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フリーランスから会社員へ|職務経歴書の書き方と記入例・無料テンプレート

フリーランスから会社員へ|職務経歴書の書き方と記入例・無料テンプレート

フリーランスとして何年も仕事をしてきたのに、いざ職務経歴書を書こうとすると手が止まる。取引先の名前は出してよいのか。売上は書くべきか。「組織で働けない人」と思われないか。会社員から独立した人ほど、こうした迷いを抱えがちです。

フリーランスの期間は、会社員の経歴と書き方の型が違うだけで、空白でも寄り道でもありません。採用担当が知りたいのは「どんな規模の仕事を、どれだけ続けて任されてきたか」と「なぜ今、会社員なのか」の2つだと考えられます。この2つに事実で答えられれば、フリーランスの経験は強みとして読まれます。

この記事では、Web制作会社で6年働いたあと、フリーランスのWebエンジニアとして6年半活動した人の記入例をもとに、取引先・案件の書き方、守秘義務と実名の扱い、売上や継続率の示し方を解説します。面接で「組織で働けますか」と聞かれたときの答え方も紹介します。

この記事でわかること

  • フリーランスから会社員を目指す人の職務経歴書の完成イメージ(記入例)
  • 公的統計とフリーランスの実態調査から見た、フリーランスの働き方と仕事の取り方
  • 取引先名・売上・継続率を、書く前に決めておく方法(秘密保持契約の確認など)
  • 「フリーランスとしての活動について」欄を含む、項目別の書き方とOK例・NG例
  • 常駐型・多案件型・短期の独立・取引先への入社など、ケース別の書き分け方
  • フリーランス時代のAI活用を、組織のルールの中で書く方法と、面接での答え方

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この記事の記入例と同じ形式で、Word・Excel・PDFの3形式。空欄のテンプレートと記入見本がセットになっています。

フリーランスから会社員を目指す人の職務経歴書の記入例

まずは完成イメージです。Web制作会社で6年働いたあと、2020年に独立し、事業会社2社の開発チームにも参加してきた30代のWebエンジニアが、自社サービスを持つ会社の正社員を目指すケースを想定しています。フリーランス期間を1社分の経歴として書き、職務経歴の後ろに「フリーランスとしての活動について」の欄を設けているのが特徴です。画像をタップすると拡大できます。

フリーランスから会社員を目指す人の職務経歴書の記入例(会社員6年、フリーランスのWebエンジニア6年半)
フリーランスから会社員を目指す人の職務経歴書の記入例(A4・2枚)

この記入例と同じ形式のテンプレートを無料で用意しています。Word・Excel・PDFの3形式で、それぞれ空欄テンプレートと記入見本の2点セットです。

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データで見る:フリーランスの働き方と、企業の見方

書き方の前に、フリーランスとして働く人がどのくらいいて、どうやって仕事を得ているのかを、データで確認しておきましょう。採用担当にどう読まれるかを考えるヒントになります。

本業がフリーランスの人は209万人、有業者の約32人に1人

総務省の「令和4年就業構造基本調査」は、フリーランスの数を国の基幹統計として初めて集計しました。本業がフリーランスの人は209万人で、有業者の3.1%です。産業別では建設業が最も多く、学術研究、専門・技術サービス業が36.7万人、情報通信業が15.3万人と続きます。

本業がフリーランスの人の数(産業別)。建設業49.7万人、学術研究、専門・技術サービス業36.7万人、情報通信業15.3万人など
本業がフリーランスの人の数(産業別、2022年)

出典:令和4年就業構造基本調査 結果の概要(総務省統計局) 表6-2

有業者に占める割合では、学術研究、専門・技術サービス業が13.5%と最も高く、専門の技能を売る仕事ではフリーランスは珍しくありません。応募先の業界によっては、フリーランス経験者を採用した前例がある会社も多いと考えられます。

職務経歴書への落とし込み方

フリーランスの期間は、隠したり「無職」と同じ扱いにしたりせず、1つの職歴として書きます。会社名の欄に「フリーランス(個人事業主)」と屋号・期間を書き、会社員の経歴と同じ形で並べると、経歴の全体が一目で伝わります。

フリーランスの約6割は「過去・現在の取引先」から仕事を得ている

では、フリーランスはどこから仕事を得ているのでしょうか。フリーランス協会の「フリーランス白書2026」によると、仕事の獲得経路(複数回答)は「人脈(知人の紹介含む)」が68.3%、「過去・現在の取引先」が58.3%でした。最も収入が得られる経路でも、この2つが上位です。

フリーランスの仕事獲得経路。人脈68.3%、過去・現在の取引先58.3%、自分自身の広告宣伝活動32.9%など
フリーランスの仕事獲得経路(複数回答)

出典:フリーランス白書2026(プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会) 第1章 p.9

フリーランスの仕事の多くは、継続や紹介で成り立っています。つまり契約の更新や再度の依頼は、会社員でいう「評価」にあたる事実です。

職務経歴書への落とし込み方

案件ごとに「契約:6か月ごとに4回更新」のように、更新の回数と期間を書きます。全体では「9社中7社と契約の更新または再度の依頼」のように、継続の割合で示すと、取引先からの評価が客観的に伝わります。

約4割が「会社員と行き来できる仕組み」と「企業の偏見・誤解の是正」を求めている

同じ調査で、フリーランスや副業を選びやすくするために必要なことを聞いたところ、健康保険組合(72.7%)や厚生年金(50.0%)など保障の項目が上位に並びました。あわせて、「フリーランスと被雇用(会社員)を自由に行き来できる仕組み」が40.2%、「企業における、フリーランスに対する偏見や誤解の是正」が36.9%ありました。

フリーランスや副業を選びやすくするために必要なこと。健康保険組合72.7%、厚生年金50.0%、会社員と行き来できる仕組み40.2%、偏見や誤解の是正36.9%など
フリーランスや副業を選びやすくするために必要だと思うこと(複数回答)

出典:フリーランス白書2026(プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会) 第1章 p.12

フリーランスと会社員の間の移りにくさや、企業側の見方に課題を感じている人が少なくないことがわかります。採用の現場でも「一人で好きに働いてきた人」「条件が合わなければまた独立する人」と見られることはあるでしょう。その誤解は、主張ではなく、チームで働いた事実と会社員を選ぶ理由を書くことで解くのが近道です。

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採用担当がフリーランス経験者で確認している3つのこと

フリーランス経験のある応募者の書類を読むとき、採用担当が確かめたいことは、おおむね次の3つです。どの項目を書くときも、このどれかに答えているかを意識しましょう。

  1. フリーランス期間に、何を・どの規模でやってきたか取引社数、案件ごとの取引先の業種と規模、チームでの役割、成果。会社員の経歴と同じ物差しで読めるかを確認します。「個人で活動」だけでは実態が見えません。
  2. 取引先から評価され、続けて任されてきたか上司の評価や社内表彰がない分、契約の更新回数、再度の依頼、継続率、売上の規模感が、外から見た評価を示す事実として読まれます。
  3. 組織の中で長く働く意思と準備があるかなぜ会社員に戻るのか、チームで協力して働けるか。「条件が合わなければ、また独立するのでは」と気にされることもあるため、理由と協働の経験を具体的に示します。

フリーランス経験者の書類で弱くなりやすいのは、2つ目と3つ目です。技術や作品は書けても、評価と組織への適応は書き慣れていないからです。

書く前に決めておく3つのこと:取引先名・売上・継続率

フリーランスの職務経歴書では、会社員の経歴にはない判断が3つ必要です。先に方針を決めておきましょう。

取引先名:秘密保持契約を読み返し、迷ったら業種と規模で書く

まず、取引先と結んだ秘密保持契約(NDA)や業務委託契約の条項を読み返します。取引していること自体を秘密にする契約もあれば、成果物の公開だけを制限する契約もあります。契約に反する書き方は、それだけで「情報の扱いが甘い人」と受け取られかねません。

  • 実名で書いてよい:取引先が自ら制作実績として公開している、または書面・メールで掲載の許可を得ている
  • 業種と規模で書く:上記以外のすべて。「A社(飲食店向け予約管理SaaS、従業員約150名)」の形
  • 書かない:公開前のサービス名、取引先の売上額や利用者数そのもの、社内の体制や事情

採用担当が知りたいのは社名より、「どんな環境で、どの立場で働いたか」です。業種と従業員規模、契約の形があれば、仕事の水準は十分に伝わります。会社概要の欄に「※取引先は業種で記載」と一言添えておくと、伏せている理由が守秘義務だと伝わり、むしろ信頼につながります。

成果の数字にも注意が必要です。記入例の「購入完了率 約2.1%→約2.6%」のように、社名を伏せたうえで概数や変化の幅で書くのが基本です。取引先の売上額など、それだけで会社が特定できる数字は避けましょう。ポートフォリオのURLも、公開されている成果物だけにします。

売上:「売上高」か「所得」かを決め、規模感で書く

売上は書かなければいけない項目ではありませんが、書くと活動の規模が一目で伝わります。書く場合は、経費を引く前の「売上高」なのか、引いた後の「所得」なのかをはっきりさせます。記入例では「売上高:年間約1,000万円前後(2023〜2025年)」と、数年分の規模感で書いています。

最も良かった1年だけを書くより、直近2〜3年の範囲で書くほうが実態に近く、面接でも説明しやすくなります。開業直後で売上が小さい場合や、書くことに抵抗がある場合は、無理に書かず、取引社数・継続率・稼働日数で規模を示しても構いません。

継続率:分母と分子を決めて、計算できる形で書く

継続率は、フリーランスの評価を示すいちばんの材料です。ただし「リピート率9割」のように根拠のない数字を書くと、かえって疑われます。記入例のように、「延べ9社中7社と契約の更新または再度の依頼」と、分母と分子がわかる形で書きましょう。

もともと1回で終わる前提のスポット案件が多い人は、比率にするとかえって低く見えることがあります。その場合は、主要な取引先について「6か月ごとに4回更新(計2年6か月)」のように、更新の回数と期間で示す方法が向いています。

項目別の書き方:OK例とNG例の違い

ここからは項目ごとに、NG例とOK例を並べて解説します。フリーランス経験者の書類で特に差がつくのは、フリーランス期間の職務経歴と、活動についての説明欄です。

職務要約:会社員とフリーランスの期間を年数で示し、担いたいことで締める

職務要約では、会社員とフリーランスの期間をそれぞれ年数で書き、経歴の全体を最初に見せます。続けて取引社数と、チームで働いた期間、代表的な成果を数字で入れ、最後に会社員として担いたいことを1文で添えます。

× NG例

2020年からフリーランスのWebエンジニアとして、さまざまな企業の案件に携わってきました。フロントエンドからバックエンドまで幅広く対応でき、多くのクライアントから高い評価をいただいています。今後は安定した環境で働きたいと考えています。

ここが惜しい

  1. 取引社数も案件の規模もなく、どの程度の実績なのかを判断できません。
  2. 「幅広く対応」「高い評価」は根拠がなく、自己評価に見えます。
  3. 「安定した環境で」だけでは会社で何を担いたいのかが伝わらず、待遇だけが目的に見えるおそれがあります。

○ OK例

Web制作・開発会社の株式会社サンプルウェブで6年、2020年4月からフリーランス(個人事業主)として6年半、Webのフロントエンド開発に携わってきました。独立後は延べ9社と取引し、事業会社2社では開発チームの一員として計5年、React・TypeScriptでの開発を担当しています。予約管理サービスでは主要画面の表示時間を約4.2秒から約1.8秒に短縮しました。今後は1つのサービスに腰を据え、設計とチームづくりまで担いたいと考えています。

ここが評価される

  1. 会社員6年・フリーランス6年半と期間を分けて書いているので、経歴の全体が一目でわかります。
  2. 「延べ9社」「事業会社2社で計5年」と数字があり、仕事の規模とチームで働いた経験の両方が伝わります。
  3. 代表的な成果を1つ入れ、最初の数行で「何ができる人か」を示しています。
  4. 最後に担いたいことを書き、「なぜ会社員なのか」という疑問に先回りして答えています。

職務経歴(フリーランス期間):案件ごとに「取引先・契約の形・役割・成果・契約の更新」を書く

フリーランス期間は、会社名の欄に屋号(なければ「個人事業主」)・事業内容・取引社数・売上の規模感を書き、その下に案件を並べます。案件ごとに、取引先の業種と規模、契約の形と稼働日数、チームでの役割、成果、契約の更新を書きます。下の画像の3つのポイントを押さえましょう。

フリーランス期間の職務経歴と「フリーランスとしての活動について」欄の書き方のポイント
フリーランス期間の職務経歴の書き方のポイント

× NG例

フリーランス(2020年4月〜現在)

複数の企業からWebサイト・Webアプリの開発を受託。React、TypeScript、Next.jsなどを使用し、多数の案件を納品。

ここが惜しい

  1. 取引先の業種・規模も契約の形もなく、どんな仕事をどの立場でしていたのかがわかりません。
  2. 「多数の案件」では件数も期間もわからず、会社員の経歴と比べられません。
  3. 成果がないため、納品しただけなのか、改善まで担ったのかを判断できません。

○ OK例

A社(飲食店向け予約管理SaaS、従業員約150名) 準委任・週4日

規模:開発チーム7名 役割:フロントエンド主担当

成果:旧画面(jQuery)から段階的に移行し、主要画面の表示時間を約4.2秒から約1.8秒に短縮。(中略)

契約:6か月ごとに4回更新(計2年6か月)。先方の内製化の方針により終了

ここが評価される

  1. 取引先名を伏せても、業種と従業員規模で、どんな環境で働いていたかが伝わります。
  2. 「準委任・週4日」と契約の形と稼働を書いているので、働き方を正しく読み取れます。
  3. 契約の更新回数は、取引先からの評価を示す客観的な事実です。
  4. 終了の理由を事実で書いているので、「途中で契約を切られたのでは」と誤解されません。

契約の形は、一言で説明できるようにしておきます。準委任は「業務を行うこと」に、請負は「成果物を完成させること」に報酬が支払われる契約です。準委任で先方のチームに入っていたのか、請負で成果物を納めていたのかで、採用担当が想像する働き方は大きく変わります。

小さな案件が多い期間は、記入例の「Web制作会社3社からの請負」「計約25件」のように、発注元の種類ごとにまとめて書きます。主要な案件は詳しく、それ以外は件数でまとめる、という濃淡をつけましょう。

フリーランス期間の書き方:独立の経緯・活動の規模・会社員を希望する理由を事実で書く

職務経歴の後ろに「■フリーランスとしての活動について」という見出しを立て、【独立の経緯】【活動の規模】【仕事の進め方】【会社員を希望する理由】の4つを書きます。職務経歴の中に散らばりがちな情報を1か所にまとめ、採用担当の疑問に先回りして答える欄です。

× NG例

■フリーランスとしての活動について

自由な働き方に憧れて独立しましたが、収入が不安定で営業にも時間を取られるため、会社員に戻ることにしました。

ここが惜しい

  1. 独立の理由が「憧れ」だけで、仕事の中身と結びついていません。
  2. 会社員に戻る理由が収入と営業の負担だけだと、条件が合わなければまた辞めるのでは、と受け取られかねません。
  3. 活動の規模が書かれておらず、フリーランス期間の実績が見えません。

○ OK例

【活動の規模】取引先は延べ9社で、9社中7社と契約の更新または再度の依頼がありました。2023〜2025年の売上高は年間約1,000万円前後です。

【会社員を希望する理由】A社・B社でチームの一員としてサービスを育てる仕事にやりがいを感じました。今後は1つのサービスで、設計や後輩の育成まで責任を持って担いたいと考えています。

ここが評価される

  1. 継続率(9社中7社)と売上の規模感は、会社員でいう評価や成績にあたる指標として読めます。
  2. 会社員を希望する理由を「担いたい仕事と責任」で書いているので、前向きで、長く働く意思が伝わります。
  3. 理由を実際の経験(A社・B社でのやりがい)から導いているので、説得力があります。

収入の安定や社会保険を理由に会社員を考えるのは、自然なことです。データでも、フリーランスが求めることの上位は保障でした。ただし書類では、それを主な理由にしないほうが安全です。保障は「会社員を選ぶ理由」、担いたい仕事は「この会社を選ぶ理由」と分けて考えると、書くべきことが見えてきます。

【仕事の進め方】には、記入例の「計画・振り返り・コードレビューに社員と同じ立場で参加」のように、どの会議や工程に加わっていたかを具体的に書きます。

活かせる経験・知識・スキル:専門の技術に加え、チームで働く力と自己管理の力を入れる

この欄では、専門の技術だけでなく、チームで働いた経験と、フリーランスならではの自己管理の力を1つずつ入れます。3つ程度に絞り、それぞれ「何に使い、どの程度できるか」まで書きます。

× NG例

・React、TypeScript、Next.js

・コミュニケーション能力

・どんな案件にも柔軟に対応できる力

ここが惜しい

  1. 技術名を並べただけで、何に使い、どの程度できるのかがわかりません。
  2. 「コミュニケーション能力」「柔軟に対応」は根拠がなく、どの応募者にも書けてしまいます。

○ OK例

React・TypeScript・Next.jsでのフロントエンド開発と、表示速度・使いやすさの改善

事業会社の開発チームで、社員と同じ立場で設計・レビューを担った経験(2社・計5年)

見積り・契約・納期の管理まで自分で行い、仕事を最後までやり切る自己管理力

ここが評価される

  1. 技術を「何に使い、何を改善したか」まで書いているので、実務の水準が伝わります。
  2. チームでの経験を期間とともに書き、組織で働けるかという不安に答えています。
  3. 見積り・契約・納期の管理という、フリーランスならではの経験を、会社でも活かせる力として言い換えています。

テクニカルスキル欄の経験年数は、職務経歴の期間と食い違わないようにします。記入例のTypeScript 5年は、A社の案件が始まった2021年10月から数えています。フリーランス期間は案件が重なりやすいため、「その技術を使い始めてからの期間」で数えるとそろえやすくなります。

自己PR:フリーランスで出した成果と、チームで働く力を1つずつ

自己PRでは、独立してやり遂げた自信を前面に出したくなります。しかし、「すべて自分の力で」を強調しすぎると、チームで働けるかがかえって心配されることがあります。成果を出す力と、チームで働く力を1つずつ書きましょう。

× NG例

フリーランスとして6年半、すべて自分の力で仕事を獲得し、やり遂げてきました。自己管理能力と行動力には自信があります。会社でもこの経験を活かし、即戦力として貢献します。

ここが惜しい

  1. 「すべて自分の力で」を強く出しすぎると、チームで協力して働けるかが、かえって心配されます。
  2. 自己管理能力・行動力を裏付けるエピソードや数字がありません。
  3. 「即戦力」と書いても、何ができる即戦力なのかが伝わりません。

○ OK例

チームの成果に責任を持つ姿勢

前職ではリーダーとしてレビューの手順を整え、リリース後の不具合を年約30件から約12件に減らしました。B社でも社員2名のコードレビューを担い、チームの品質を高めています。

ここが評価される

  1. 会社員時代とフリーランス時代の両方のエピソードで、同じ強みが一貫しています。
  2. 業務委託の立場でも社員のレビューを担ったことで、組織の一員として働く姿を想像できます。
  3. 記入例では1つ目の強みに、問い合わせを減らした成果を書いています。成果を出す力とチームで働く力を1つずつ書くと、バランスよく伝わります。

職種ごとの書き方の詳しいポイントは、職種別の記事で解説しています。あわせて参考にしてください。

フリーランスから会社員を目指す人の職務経歴書の記入見本つきテンプレート

ケース別:フリーランス経験の書き分け方

同じフリーランスでも、働き方によって採用担当が気にすることは違います。どのケースにも共通するのは、「取引先からの評価」と「組織で働く準備」を事実で示すことです。まずは全体像を表で確認し、自分に近いケースを読んでください。

働き方採用担当が気にすること書くべきこと
常駐・準委任で特定の会社に深く関わった会社員とどう違ったのか。指示を受けるだけだったのかチームの規模と役割、任された範囲の広がり、更新の回数
請負・単発の案件を数多くこなした一人で完結する仕事ばかりで、組織に合うか案件の種類と件数、代表作、発注元との進め方
独立して1〜2年で会社員に戻るうまくいかなかったのか。また独立しないか取り組んだことと結果、見えた課題、会社員を選ぶ理由
業務委託先に、社員として入社するすでに知っている相手に、何を新しく示すか委託で担った範囲と、社員として担いたい範囲の違い

常駐・準委任で特定の会社に深く関わった

エンジニアやPM、マーケターなどに多い働き方です。実態は社員に近くても、書き方が雑だと「言われた作業をしていただけ」と読まれます。採用担当は、業務委託の立場で、どこまで任されていたかを見ています。

職務経歴書に書きたいこと

  • 取引先の業種・規模、契約の形と稼働日数(週◯日)
  • チームの人数と構成(社員◯名・委託◯名)、自分の役割
  • 途中で任される範囲が広がったこと(設計への参加、社員の指導など)
  • 契約の更新回数と期間、終了の理由

記入例

C社(BtoB向け会計SaaS、従業員約300名) 準委任・週5日

規模:プロダクトチーム9名(社員6名・委託3名) 役割:プロダクトマネージャー補佐

2年目から機能企画の会議に正式に参加し、問い合わせ分析をもとに改善案を提出。3年目は新人社員1名の指導を担当

契約:1年ごとに3回更新(計3年)。先方で正社員のPMを採用したため終了

ポイント

  1. 「2年目から」「3年目は」と、任される範囲が広がった経過が時期とともにわかります。
  2. 社員の指導を任されたことが、組織の一員として信頼されていた証拠になっています。

よくある落とし穴は、取引先の組織や内部の事情を詳しく書きすぎることです。守秘義務への意識を疑われるので、自分の役割と成果だけを書きましょう。

請負・単発の案件を数多くこなした

デザイナー、ライター、動画編集、Web制作などに多い働き方です。案件の数が多いぶん、全部を並べると読みにくくなります。案件を種類ごとにまとめて件数で示し、代表作を2〜3件だけ詳しく書きます。

職務経歴書に書きたいこと

  • 案件の種類ごとの件数と、主な発注元の業種(例:制作会社経由・事業会社の直接契約)
  • 代表的な案件2〜3件の目的・担当範囲・結果
  • 発注元とのやり取りの進め方(要件の確認、修正の回数を減らす工夫など)
  • 公開されている成果物のポートフォリオURL(掲載許可のあるものだけ)

記入例

【案件】企業の採用パンフレット・会社案内のデザイン 計約60件(2021〜2025年)。うち制作会社2社からの継続受注が約40件

【代表案件】医療機器メーカー(従業員約500名)の採用サイトのデザイン。人事担当・制作会社のディレクターとの3者で進行し、公開後の応募数が前年の約1.4倍に

【進め方】初回の打ち合わせで確認項目の一覧を共有し、修正の往復を平均3回から2回に減らした

ポイント

  1. 約60件のうち約40件が継続受注と書くことで、件数の多さが評価の裏付けになっています。
  2. 3者で進行した経験は、一人で完結しない仕事の進め方を示す材料になります。

よくある落とし穴は、職務経歴書を作品集の代わりにすることです。見た目はポートフォリオで見せ、書類には目的・役割・結果・進め方を書きます。

独立して1〜2年で会社員に戻る

思ったほど案件が集まらなかった、体調や家庭の事情が変わったなど、短い期間で会社員に戻るケースです。採用担当は「うまくいかなかった理由を、自分で整理できているか」を見ています。短くても、取り組んだことは職歴として書きます。

職務経歴書に書きたいこと

  • フリーランスとして取り組んだ案件と、その成果(件数が少なくても)
  • 営業・見積り・契約など、会社員時代にはなかった経験
  • 活動して見えた課題を1文で(他人や景気のせいにしない)
  • 会社員を選ぶ理由と、その経験を応募先でどう活かすか

記入例

【活動の規模】取引先は延べ4社で、2社とは契約を更新しました。

【会社員を希望する理由】1年半の活動で、自分は新規の営業よりも、決まったサービスを継続的に改善する仕事で力を発揮できると分かりました。見積りや契約の交渉を通じて身につけたコスト感覚も活かし、事業会社の一員として長く改善に取り組みたいと考えています。

ポイント

  1. 「新規の営業より改善の仕事」と、活動を通じた自己理解として理由を書いています。
  2. フリーランスで得た力(コスト感覚)を、応募先で活かす形に結びつけています。

よくある落とし穴は、「失敗した期間」として数行で済ませることです。隠すように書くと、かえって面接で詳しく聞かれます。

業務委託先に、社員として入社する

業務委託で関わっている会社から「社員にならないか」と声をかけられるケースや、自分から応募するケースです。委託で担ってきた範囲と、社員として新たに担いたい範囲の違いを書くのがポイントです。

職務経歴書に書きたいこと

  • 委託の期間・稼働・役割と、その間の成果
  • 社員になったら新たに担いたいこと(採用・育成、中長期の計画など)
  • 他の取引先との契約の整理の見通し(入社時期に合わせて終了するなど)

記入例

【会社員を希望する理由】業務委託として2年間、商品ページの改善を担当してきました。委託の立場では関われなかった中長期の開発計画づくりや、新しく入る社員の育成まで責任を持って担いたいと考え、応募しました。他の取引先との契約は、入社予定月までに終了する予定です。

ポイント

  1. 「委託では関われなかったこと」を挙げ、社員になる意味をはっきりさせています。
  2. 他の取引先との契約の見通しを書き、入社後の働き方への不安を先回りして解いています。

よくある落とし穴は、「知っている会社だから」と書類を簡単に済ませることです。書類は人事や役員など、仕事ぶりを知らない人も読みます。ほかの応募者と同じ水準で書きましょう。

あわせて読みたい:SE(システムエンジニア)の職務経歴書の書き方

フリーランスとAI:自分の判断で使ってきたAIを、組織のルールの中でどう書くか

フリーランスの多くは、使う道具を自分で選んできました。生成AIも、会社員より早く、自分の判断で業務に取り入れてきた人が少なくないでしょう。総務省の「令和8年版 情報通信白書」によると、生成AIを一つ以上の業務で利用している日本の企業は86.4%(「わからない」を除く)です。

ただし、AIをどこまで使うか、応募者に何を求めるかは、応募先の規模・業界・社内ルールで大きく違います。IPA(情報処理推進機構)の「DX動向2026」では、AIを導入している企業は従業員1,001人以上で8割近く、101人以下では16.6%でした。AIの経験がないからといって、書類選考で不利になると考える必要はありません。求人票に「生成AI」「AIツール」などの記載があるかを確認して、書く量を決めましょう。

「案件で使ったAI」と「事業の運営で使ったAI」を分けて書く

フリーランスのAI活用は、大きく2つに分かれます。取引先の案件の中で使ったものと、見積りや提案書など自分の事業の運営に使ったものです。採用担当が特に気にするのは前者で、取引先の許可を得ていたか、取引先の情報をどう扱ったかです。2026年時点で現実的な使い方には、次のようなものがあります。

  • 案件:テストコードやコードの下書き、デザイン案の素材出し、記事構成の案出し(成果物は自分で確認して仕上げる)
  • 案件:公開されている資料や仕様書の要約、英語のドキュメントの翻訳
  • 事業の運営:提案書や見積書の文面の下書き、請求・経費の整理の補助
  • 事業の運営:学習や新しい技術の調査(出典を自分で確かめる)

職務経歴書に書くのは、主に案件で使った経験です。記入例でも、AIはテクニカルスキル欄の1か所だけにしています。

× NG例

生成AIを全案件で積極的に活用し、開発スピードを大幅に向上させました。

ここが惜しい

  1. どの業務に、どう使ったのかがわからず、「全案件」の規模感も確かめられません。
  2. 取引先の許可や、情報の扱いについて何も書かれていないため、守秘義務への意識を疑われるおそれがあります。

○ OK例

生成AI:テストコードの下書き(1年半。B社の許可を得て、顧客データは入れず自分で確認)

ここが評価される

  1. 使った業務を1つに絞り、期間を書いているので、どの程度の経験かがわかります。
  2. 「B社の許可を得て」「顧客データは入れず」「自分で確認」の3点で、情報の扱いに気を配っていることが伝わります。

会社員になると、AIの使い方は「自分の判断」から「組織のルール」へ

フリーランスは、取引先の許可さえあれば、どのAIをどう使うかを自分で決められました。会社員になると、使えるツールや入力してよい情報は、社内のルールで決まります。面接で「社内のルールに合わせて使い方を変えられるか」を確かめられることもあると考えられます。

取引先ごとのAIの可否に合わせて使い分けてきた経験は、「ルールに合わせて働ける」根拠になります。逆に、取引先の情報を個人契約のAIに入れていた場合は、書類に書かないだけでなく、今後はしないと決めておきましょう。盛った書き方は、AIの経験でも面接で必ず見抜かれます。試しただけのものは「活用」と書かず、実際に使った範囲だけを書きます。

AIを使っていない・使えない取引先だった人は

取引先の方針で使えなかった、または自分の判断で使わなかった人も、無理に書く必要はありません。書く場合は「取引先の方針により、案件では生成AIを使用していません」と一言添えれば十分です。

フリーランス経験者が会社で期待されるのは、AIの経験そのものより、新しい技術や道具を自分で調べ、仕事に取り入れてきた経験だと考えられます。新しいフレームワークへの移行を提案した、取引先ごとに違うツールにすぐ慣れた、といった事実を職務経歴や自己PRで具体的に書きましょう。

面接で「なぜ会社員に?」「組織で働けますか」と聞かれたときの答え方

面接では、会社員を選ぶ理由と組織への適応について、ほぼ必ず聞かれます。答えの基本は、「フリーランスとしての活動について」欄に書いた内容を、具体的なエピソードを添えて話すことです。よくある4つの質問で考えてみましょう。

「なぜ、フリーランスから会社員に戻るのですか」

収入や保障の話から入らず、担いたい仕事と、それが委託の立場では難しい理由を話します。
例:「A社とB社の開発チームで、サービスを育てる仕事に一番やりがいを感じました。ただ、委託の立場では契約の期間が区切られ、設計の方針や後輩の育成までは責任を持てません。1つのサービスに腰を据え、そこまで担いたいと考えています」

「条件が合わなければ、また独立しませんか」

「絶対にしません」と言い切るより、今回の判断の理由が一時的なものではないことを、経験から説明します。
例:「6年半の活動で、自分は一つのチームで長く改善を続ける仕事が合っていると分かりました。独立したのは事業会社の開発に関わるためで、それはフリーランスで実現できました。次の目標は組織の中でしか実現できないことなので、今回は長く働く前提で応募しています」

「上司の指示や、組織のルールに従って働けますか」

言葉で「できます」と言うより、委託先のルールに合わせて働いた事実を話します。
例:「A社では社内のコーディング規約とレビューの手順に従い、計画や振り返りの会議にも社員と同じ立場で参加していました。前職ではリーダーとして手順を作る側も経験しているので、ルールがある理由も理解しているつもりです」

「フリーランス時代の年収と、希望年収を教えてください」

売上高と、会社員の給与は単純に比べられないことを踏まえて答えます。売上高から経費を引き、社会保険料なども自分で負担していたことを一言添えると、話がかみ合います。
例:「直近3年の売上高は年間約1,000万円前後で、経費を引いた所得はそれより少なくなります。希望年収は〇〇万円ですが、御社の評価制度や役割に合わせてご相談させてください」

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提出前のチェックリスト

書き終えたら、提出前に次の項目を確認しましょう。

  • 職務要約に、会社員とフリーランスそれぞれの期間・専門分野・代表的な成果が入っている
  • フリーランス期間の会社名の欄に、屋号(なければ「個人事業主」)・事業内容・取引社数・売上の規模感を書いている
  • 案件ごとに、取引先の業種と規模・契約の形・役割・成果を書いている
  • 契約の更新回数や再度の依頼など、取引先からの評価を事実で示している
  • 取引先名や案件の詳細は、秘密保持契約の範囲を守って書いている
  • 会社員を希望する理由を、収入や安定だけでなく、担いたい仕事と責任の言葉で書いている
  • 生成AIの活用は、取引先の許可と確認の方法を添え、実際に使った範囲だけを書いている

よくある質問

取引先の社名を書かないと、実績を疑われませんか?

秘密保持契約で社名を出せないことは、採用担当も理解しています。業種・従業員規模・契約の形・役割・成果がそろっていれば、社名がなくても仕事の水準は伝わります。会社概要の欄に「※取引先は業種で記載」と添えておきましょう。面接で社名を聞かれた場合も、契約上お伝えできない旨を伝えれば問題ありません。

開業届を出さずに活動していた期間も、職歴として書けますか?

書けます。職務経歴書で大切なのは、実際にどんな仕事をしていたかです。会社名の欄は「フリーランス(個人事業主)」として、期間と事業内容を書きましょう。ただし、届出や確定申告の状況について聞かれたときに説明が食い違わないよう、事実と違う書き方はしないことが前提です。

履歴書の職歴欄には、どう書けばよいですか?

一般的には「2020年4月 個人事業主として開業(Webのフロントエンド開発)」のように書き、事業をやめた場合は「2026年◯月 事業を廃業」などと書きます。現在も活動中なら「現在に至る」とします。職務経歴書の期間・屋号と食い違わないようにしましょう。

入社後も、一部の取引先の仕事を続けたいのですが?

会社によっては副業を認めていない、または届出や許可が必要な場合があります。続けたい場合は、選考の段階で副業の規定を確認し、続ける予定の仕事の内容と量を正直に伝えましょう。書類では「◯社との契約は入社前に終了予定」のように、整理の見通しを書いておくと安心してもらえます。

フリーランス時代に自分で契約したAIツールの経験も、書いてよいですか?

書いて構いません。ただし、取引先の案件で使った場合は、取引先の許可を得ていたことと、取引先の情報をどう扱ったかを添えましょう。事業の運営(見積りや提案書の下書きなど)で使った経験は、スキル欄に1行で十分です。AIの活用をどこまで求めるかは応募先で違うため、求人票の記載に合わせて書く量を調整します。

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Author

佐藤 大貴

レジュメラボ編集責任者/アースダイバー代表

佐藤 大貴

人材紹介の会社で、キャリア系メディアの編集長をしていました。転職やキャリアをテーマにした記事づくりに長く関わり、2019年にアースダイバー株式会社を立ち上げました。編集長時代、たくさんの求職者の方やキャ…

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