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看護師の職務経歴書の書き方|採用担当に伝わる記入例と無料テンプレート

看護師の職務経歴書の書き方|採用担当に伝わる記入例と無料テンプレート

看護師の職務経歴書で評価されるのは、「どんな病院の、どんな病棟で、どれだけの患者を受け持ち、どんな役割を担ってきたか」が具体的に伝わるかどうかです。「外科病棟で看護業務全般を担当」と書くだけでは、採用担当には経験の中身が見えません。

看護師には、営業のような売上の数字はありません。そのかわりに、病床数・看護体制・受け持ち患者数・経験した処置・リーダーやプリセプターの経験など、経験を具体的に示せる材料がたくさんあります。

この記事では、急性期病院で外科系病棟と循環器内科病棟を経験した看護師(7年半)の記入例をもとに、項目ごとの書き方と、なぜそう書くと評価されるのかを解説します。急性期・回復期・クリニック・訪問看護など、応募先別の書き分け方も紹介します。

この記事でわかること

  • 看護師の職務経歴書の完成イメージ(記入例)
  • 公的データから見た、看護師の転職市場と採用側が求めるもの
  • 項目別の書き方と、OK例・NG例の違いの理由
  • 応募先別の書き分け方と、数字が書けないときの対処法
  • 電子カルテ・音声入力などのICTやAIに関わった経験の書き方(経験がない場合も)

無料テンプレート

看護師の職務経歴書、記入見本つきのテンプレートがあります

この記事の記入例と同じ形式で、Word・Excel・PDFの3形式。空欄のテンプレートと記入見本がセットになっています。

看護師の職務経歴書の記入例

まずは完成イメージです。急性期病院の外科系病棟で3年、循環器内科病棟で4年半働き、プリセプターも経験した看護師を想定しています。画像をタップすると拡大できます。

看護師の職務経歴書の記入例(急性期病院・7年半)
看護師の職務経歴書の記入例(A4・2枚)

この記入例と同じ形式のテンプレートを無料で用意しています。Word・Excel・PDFの3形式で、それぞれ空欄テンプレートと記入見本の2点セットです。

データで見る:看護師の転職で、職務経歴書が大切な理由

書き方の前に、看護師の転職市場と、採用する側が転職者に何を求めているのかを公的な調査データで確認しておきましょう。職務経歴書で何を伝えるべきかが見えてきます。

看護師の求人は多い。だからこそ「応募先に合うか」が問われる

厚生労働省の職業別の統計(一般職業紹介状況)では、「保健師・助産師・看護師」の有効求人倍率は2026年8月時点で2.00倍でした。ハローワークで仕事を探す人1人に対して、2件の求人がある計算です。全職業の1.06倍と比べると、約1.9倍の水準です。

保健師・助産師・看護師の有効求人倍率と全職業の比較(厚生労働省 一般職業紹介状況 2026年8月)
看護師の有効求人倍率(2026年8月)

出典:一般職業紹介状況(令和8年8月分)参考統計表(厚生労働省) 参考統計表

パートを除く常用の求人に限ると2.29倍と、さらに高くなります。ただし、これはハローワーク経由の数字で、看護師専門の求人サイトなどは含みません。求人が多いことは、応募先の選択肢が広いということです。一方で採用する側は、自院の病棟や役割に合う人かを書類で見極めようとします。選択肢が多い職種ほど、応募先ごとに書き方を合わせることが大切です。

採用側が期待するのは「経験を活かした即戦力」

厚生労働省が2026年9月に公表した「転職者実態調査」では、事業所が転職者を採用した理由を職種の区分ごとに調べています。看護師は「専門的・技術的な仕事」の区分に入ります。この区分には医療技術者や技術者なども含まれる点に注意してください。

専門的・技術的な仕事で転職者を採用した理由(厚生労働省 令和7年転職者実態調査)
専門的・技術的な仕事で転職者を採用した理由

出典:令和7(2025)年転職者実態調査の概況(厚生労働省) 表4

最も多いのは「経験を活かし即戦力になる」(64.1%)で、「専門知識・能力がある」(51.2%)が続きます。従業員1,000人以上の事業所では、この2つがどちらも86%を超えています。専門職の中途採用では、入職後すぐに任せられる経験と知識があるかが最も重視されていることがわかります。

職務経歴書への落とし込み方

即戦力は「経験した病棟・診療科」「受け持ち患者数」「経験した処置・看護技術」で示します。専門知識は、認定資格や院内外の研修、勉強会の実績で裏付けましょう。応募先の病棟に近い経験ほど、具体的に書くのがポイントです。

既卒採用者の離職率は16.1%。採用側は「定着」も見ている

日本看護協会の「病院看護実態調査」によると、2024年度の病院の看護職員の離職率は、正規雇用全体で11.0%でした。一方、既卒で採用された看護職員(転職者など)は16.1%と、新卒採用者の8.4%の約2倍です。

病院の看護職員の離職率(日本看護協会 2025年病院看護実態調査)
病院の看護職員の離職率(2024年度)

出典:2025年 病院看護実態調査 結果(日本看護協会)

看護部の採用担当(看護部長など)から見ると、中途で採用した看護師が早く辞めてしまうことは大きな課題です。データから直接言えるのは離職率の差までですが、採用の現場では「この人は長く働いてくれるか」もあわせて見られている、とよく言われます。

職務経歴書への落とし込み方

同じ病院で役割を広げてきた経緯や、異動先で新しい分野を身につけた経験は、定着と適応の力を示す材料になります。転職理由は前向きな言葉で、応募先で取り組みたいことと結びつけて書きましょう。

看護師の職務経歴書テンプレートを無料でダウンロード

採用担当が看護師の職務経歴書で見ている3つのこと

ここまでのデータと、看護師の採用でよく見られる傾向を踏まえると、採用担当は書類を読みながら次の3つを確認しています。どの項目を書くときも、このどれかが伝わるかを意識しましょう。

  1. 経験の中身どんな規模・機能の病院で、どの診療科を、どれくらいの受け持ち人数で経験したか。
  2. 役割と成長リーダー・プリセプター・委員会など、経験年数に応じて役割を広げてきたか。
  3. 自院との近さ経験した看護が、応募先の病棟・施設の患者層や働き方とどれだけ近いか。

項目別の書き方:OK例とNG例の違い

ここからは項目ごとに、NG例とOK例を並べて解説します。同じ経験でも、書き方ひとつで採用担当の受け取り方は大きく変わります。

職務要約:3〜5行で経歴の全体像を伝える

職務要約は、採用担当が最初に読む部分です。経験年数・病院の機能と規模・病棟と診療科・担ってきた役割を3〜5行にまとめます。ここで自院に合いそうだと思ってもらえるかが、続きを読んでもらえるかを左右します。

× NG例

看護専門学校を卒業後、サンプル記念病院に入職し、病棟看護師として勤務してまいりました。患者様に寄り添う看護を大切にし、日々の業務に取り組んでまいりました。

ここが惜しい

  1. 病院の規模や機能、病棟の診療科が書かれていないため、どんな経験を積んできたのかがわかりません。
  2. 「寄り添う看護」は看護師の多くが大切にしている姿勢です。それだけでは、ほかの応募者との違いが伝わりません。
  3. 経験年数が書かれておらず、任せられる仕事の範囲を採用担当が判断できません。

○ OK例

看護専門学校を卒業後、2019年4月にサンプル記念病院(急性期・420床、7対1)に入職し、約7年半、病棟看護に従事してまいりました。消化器外科・整形外科の混合病棟で3年間周手術期看護を経験したのち、現在は循環器内科病棟で心臓カテーテル治療前後の看護と心不全看護を担当しています。日勤・夜勤のリーダー業務のほか、プリセプターとして新人2名の指導を担当しました。

ここが評価される

  1. 「急性期・420床、7対1」で、忙しさや看護の密度がどの程度の環境だったかが一目で伝わります。
  2. 病棟ごとの年数と看護の内容が書かれているので、応募先の病棟に近い経験かどうかをすぐに判断できます。
  3. リーダーとプリセプターの経験に触れることで、中堅として任せられる役割がわかります。

職務経歴:勤務先の概要と受け持ち人数を数字で書く

職務経歴は、看護師の職務経歴書でいちばん重要な項目です。下の画像の3つのポイントを押さえると、同じ経験でも伝わり方が大きく変わります。

看護師の職務経歴の書き方のポイント(注釈付き)
職務経歴の書き方のポイント

看護師の場合、まず病院の概要(病床数・病床機能・看護体制・夜勤体制)を書きます。7対1と10対1、二交代と三交代では、同じ病棟看護でも働き方が大きく違うためです。そのうえで、特に差がつくのが病棟での経験の書き方です。

× NG例

循環器内科病棟にて看護業務全般を担当。

ここが惜しい

  1. 「看護業務全般」では、どんな処置や看護を経験したのかがわかりません。採用担当は、自院で任せられる仕事を判断できません。
  2. 病棟の規模や受け持ち人数がないため、どの程度の業務量をこなしてきたのかが伝わりません。

○ OK例

【病棟の概要】50床(うちモニター管理 最大20床)、夜勤は看護師4名体制
【受け持ち】日勤7名前後、夜勤12名前後
【主な看護】心臓カテーテル検査・治療(PCI)前後の看護、心不全の急性期管理と退院指導、12誘導心電図・モニター心電図の判読、急変時の初期対応

ここが評価される

  1. 病床数と夜勤の人数、受け持ち人数で、病棟の忙しさと自分の業務量が具体的に伝わります。
  2. 処置や看護技術を具体名で書いているので、応募先の病棟でそのまま使える経験かどうかがわかります。
  3. 略語(PCI)には日本語を添えています。採用担当が他分野の出身でも読み違えません。

役割と取り組みは「結果」まで書く

「プリセプターを担当」だけでなく「新人2名が1年目を終えて勤務を継続」、「退院支援委員」だけでなく「退院指導の実施率を58%から92%に高めた」のように結果まで書くと、役割の重みが伝わります。

患者の個人情報は絶対に書かない

エピソードを書くときは、患者の氏名・年齢・病名の組み合わせ・入院時期など、個人が特定できる情報は書きません。「80代の心不全の患者さん」程度の一般的な表現にとどめましょう。守秘義務への意識も、看護師として評価される点の一つです。

活かせる経験・知識・スキル:応募先で使えるものを3つに絞る

経験したことを全部並べるのではなく、応募先の病棟・施設で使えるものを3つ程度に絞って箇条書きにします。

× NG例

・看護師経験7年
・コミュニケーション能力
・チーム医療

ここが惜しい

  1. 「看護師経験7年」は職務経歴を読めばわかるため、ここで書く意味がありません。
  2. 「コミュニケーション能力」「チーム医療」は抽象的で、何ができるのかが伝わりません。

○ OK例

・急性期の周手術期看護(3年)と循環器看護(心臓カテーテル治療前後の管理・心不全看護、4年半)
・12誘導心電図・モニター心電図の判読と、急変時の初期対応(BLS・ACLSプロバイダー)
・プリセプターとしての新人指導(2名)と、退院指導の手順づくり

ここが評価される

  1. 分野と年数をセットで書いているので、経験の深さがひと目でわかります。
  2. 資格を添えることで、急変対応の力に裏付けがあることが伝わります。
  3. 求人票の「求める経験」と言葉をそろえて書くと、採用担当の目に留まりやすくなります。

電子カルテ・資格:使った経験と取得年月を正確に

看護師の職務経歴書では、PCスキルの欄を「電子カルテ・PCスキル」としてまとめると自然です。電子カルテは、看護記録や指示受けなど、使っていた機能まで書くと実務のイメージが伝わります。メーカー名は、社名の公開に問題がないことを確かめたうえで書くと、応募先と同じシステムなら評価されることがあります。

免許・資格の欄には、看護師免許の取得年月を必ず書きます。BLS・ACLSなどの救命処置の講習、認定看護師などの資格、心電図検定のような分野の検定も、応募先の仕事に関わるものは書いておきましょう。

自己PR:強みは2つまで、必ずエピソードを添える

自己PRは「強み → それを発揮したエピソード → 結果」の順に書くと説得力が出ます。

× NG例

私の強みは、患者様の気持ちに寄り添えることです。どんなに忙しくても笑顔を忘れず、患者様から感謝の言葉をいただくことが多くありました。

ここが惜しい

  1. 「寄り添う」「笑顔」は多くの応募者が書く内容のため、これだけでは差がつきません。
  2. 「感謝の言葉」は本人の受け止めで、採用担当には成果として評価しにくい内容です。

○ OK例

相手に合わせて教え方を工夫する力
プリセプターとして新人2名を担当しました。看護技術の習得状況をチェックリストで見える化し、週1回の振り返りで次の目標を一緒に決めました。2名とも1年目を終えて勤務を続けており、2025年度に担当した新人は、現在は日勤で7名を受け持っています。

ここが評価される

  1. 強みの見出しが具体的で、どんな場面で力を発揮する人なのかが一言でわかります。
  2. 「チェックリスト」「週1回の振り返り」と方法が書かれているので、応募先でも同じ指導ができそうだと伝わります。
  3. 新人の定着という結果まで書いているので、教育を任せたい病院に響きやすくなります。
記入見本つきの看護師テンプレートを見る

経験・応募先別:職務経歴書の書き分け方

同じ看護師でも、応募先の病棟や施設によって採用担当が見るポイントと、強調すべき経験は大きく変わります。まずは全体像を表で確認し、そのあと自分に近いタイプの解説を読んでください。

応募先採用担当が見るポイント強調したい経験・数字
急性期病棟重症度の高い患者への対応力病床機能・看護体制、受け持ち人数、処置・急変対応
回復期・慢性期・療養型生活を支える看護と多職種連携在宅復帰・退院支援の件数、ADL支援、カンファレンス
クリニック・外来少人数で幅広く動ける力1日の外来患者数、検査・処置の介助、診療科の幅
訪問看護・介護施設一人で判断し、家族と関われる力訪問件数・利用者数、医療処置、急変時の判断

急性期病棟(総合病院・大学病院など)

急性期病棟では、状態が急に変わる患者を受け持ち、多くの処置を並行して進める力が見られます。どの程度の重症度・忙しさの中で働いてきたかを、数字で示すのが評価の分かれ目です。

職務経歴書に書きたいこと

  • 病床数・病床機能・看護体制(7対1など)と夜勤体制
  • 受け持ち患者数(日勤・夜勤)と、手術件数や入院数など病棟の規模
  • 経験した処置・看護技術(人工呼吸器、ドレーン管理、輸血など)
  • 急変対応やリーダー業務の経験

記入例

【病棟の概要】消化器外科・整形外科 混合病棟48床、病棟の手術患者は年間約600件
【主な看護】術後の全身管理・疼痛管理、ドレーン・創部の管理、ストーマケア

ポイント

  1. 病棟の手術件数を書くことで、周手術期看護の経験量が伝わります。
  2. 処置を具体名で並べているので、即戦力として何を任せられるかがわかります。

よくある落とし穴

経験した処置を細かく並べすぎて、どれが得意分野なのか見えなくなるケースです。応募先の病棟で必要な処置を先に書き、それ以外は簡潔にまとめましょう。

回復期・慢性期・療養型病院

回復期リハビリテーション病棟や療養病棟では、病気の治療だけでなく、退院後の生活を見すえた看護が求められます。急性期の経験を、「生活を支える看護」の言葉に置き換えて書くのがポイントです。

職務経歴書に書きたいこと

  • 退院支援・退院指導の経験と件数
  • ADL(食事・排せつ・移動など日常生活の動作)の支援やリハビリ職との連携
  • 多職種カンファレンスへの参加や、家族への説明の経験
  • 認知症や高齢患者の看護の経験

記入例

【取り組み】心不全患者向けの退院指導パンフレットとチェックリストを作成し、病棟の指導手順を統一。退院指導の実施率を2024年度の58%から2025年度は92%に高めました。

ポイント

  1. 急性期の病棟でも、退院後の生活を考えた取り組みをしていたことが伝わります。
  2. 実施率の変化を書いているので、仕組みを作って定着させる力がわかります。

よくある落とし穴

「急性期で忙しかったので、落ち着いた環境で働きたい」という本音が文面ににじむケースです。採用担当は、回復期・慢性期の看護そのものに関心があるかを見ています。

クリニック・外来

クリニックや外来では、少ない人数で受付まわりから検査・処置の介助まで幅広く動くことが求められます。1日に対応する患者数と、介助できる検査・処置の種類を具体的に書くと評価されます。

職務経歴書に書きたいこと

  • 診療科と、1日の外来患者数
  • 介助した検査・処置(採血、点滴、内視鏡、小手術など)
  • 患者への説明や電話での問い合わせ対応
  • 予約・在庫管理など、診療を回すための業務

記入例

【担当】内科・消化器内科の外来(1日の外来患者 約80名、看護師5名体制)
【主な業務】採血・点滴、内視鏡検査の介助(1日10件前後)、検査前の説明

ポイント

  1. 外来の患者数と看護師の人数で、1人あたりの業務量が伝わります。
  2. 検査の介助件数を書くことで、クリニックですぐに任せられる仕事がわかります。

よくある落とし穴

病棟での受け持ち人数や夜勤の話ばかり書いてしまうケースです。クリニックには入院も夜勤もないことが多いため、外来でも活かせる処置や説明の経験を前に出しましょう。

訪問看護・介護施設

訪問看護や介護施設では、医師がその場にいない状況で、看護師が状態を判断する場面が多くなります。一人で観察・判断し、必要なときに医師や家族につなげた経験が評価されます。

職務経歴書に書きたいこと

  • 在宅や施設でも行う医療処置(点滴、褥瘡ケア、胃ろう・カテーテル管理など)
  • 状態の変化に気づき、医師に報告して対応につなげた経験
  • 家族への説明や、ケアマネジャーなど他職種との連携
  • (経験があれば)訪問件数・担当利用者数

記入例

【主な看護】心不全の急性期管理と退院指導、急変時の初期対応
【強み】体重・尿量・心電図の変化から状態の悪化に早く気づき、根拠とあわせて医師に報告

ポイント

  1. 心不全は在宅でも多い病気のため、退院後の生活を支える場面で経験が活かせます。
  2. 「根拠とあわせて報告」という書き方で、一人でも判断できる力が伝わります。

よくある落とし穴

病院での経験をそのまま並べ、訪問看護で必要な「一人での判断」や「家族との関わり」に触れないケースです。病棟の経験の中から、在宅でも活きる場面を選んで書きましょう。

あわせて読みたい:薬剤師の職務経歴書の書き方

2026年の看護師とAI・医療DX:職務経歴書にどう書くか

最初にお伝えしたいのは、看護の現場でICTやAIをどこまで使うかは、病院によって大きく違うということです。厚生労働省の「電子カルテ普及計画」によると、2023年の電子カルテの普及率は、400床以上の病院で93.7%、200床未満の病院で59.0%、一般診療所で55.0%でした。国は2030年までに普及率約100%を目指していますが、今はまだ紙のカルテで働く職場もあります。

生成AIも同じです。総務省の情報通信白書では、生成AIを使ったことがある個人は58.8%でした。ただしこれは仕事と日常生活を合わせた数字です。患者の情報を扱う病院では、業務での使用を認めていない、または使える範囲を限っているところも少なくないと考えられます。

そのため、AIの経験がないことは、看護師の転職で不利にはなりません。採用担当が見るのは、まず看護の経験です。求人票に「電子カルテ」「音声入力」「ICT」「DX」「生成AI」などの言葉があるかを確認し、あれば書く量を増やす、なければ一言添える程度で十分です。

看護の現場で広がっているICT・AIの使い方

厚生労働省は2026年度、「看護現場におけるデジタルトランスフォーメーション推進実証事業」で看護業務の効率化を進めています。その公募要領では、音声入力システムや、電子カルテと連動したバイタルサインの自動入力、インカム、離床センサーなどが例に挙がっています。2026年時点で現実的なのは、次のような使い方です。

  • 音声入力や携帯端末を使った、ベッドサイドでの看護記録の入力
  • バイタルサインの測定値を電子カルテに自動で取り込む仕組み
  • インカムでの連絡や、離床センサー・見守りカメラによる夜間の見守り
  • 病院によっては、AIによる問診や、記録・サマリーの下書きを支援する機能
  • 院内で認められた範囲での生成AIの利用(勉強会資料や、個人情報を含まない患者向け説明文の下書きなど)

書き方:「使った」ではなく、導入・運用での役割と変化を書く

看護師の職務経歴書で評価されやすいのは、ツールを使ったこと自体よりも、導入や運用に関わった経験と、それで業務がどう変わったかです。「何の業務で」「自分は何をして」「何が変わったか」の3点をそろえて書きましょう。導入時のスタッフへの操作説明、手順書づくり、運用ルールの見直しなども立派な経験です。

× NG例

電子カルテの音声入力を使っていました。AIにも詳しいです。

ここが惜しい

  1. どの業務で、どの程度使っていたのかがわからず、応募先で何を任せられるかが伝わりません。
  2. 「AIに詳しい」は根拠がなく、面接で具体的に聞かれたときに答えにくくなります。

○ OK例

【取り組み】2025年度、病棟への音声入力システムの導入で、病棟の推進担当を務めました。操作の手順書を作り、病棟スタッフ28名に使い方を説明しました。導入後、日勤後の記録にかかる残業時間は、病棟の集計で1人あたり平均約40分から約25分に減りました。

ここが評価される

  1. 推進担当・手順書・28名への説明と、自分が担った役割が具体的に書かれています。
  2. 「病棟の集計で」と数字の出どころを添えているので、信頼できる数字だと伝わります。
  3. 残業の削減という結果まで書いているので、業務改善の力が伝わります。

※この例は、記入例の人物とは別の人を想定しています。

注意点:患者の情報は外部の生成AIに入力しない

病歴などの患者の情報は、法律で特に慎重な扱いが求められる個人情報です。個人情報保護委員会も生成AIサービスの利用に関する注意喚起で、個人情報を含む入力には十分な確認が必要だとしています。院内で認められていない生成AIに、患者の情報を入力してはいけません。

職務経歴書に生成AIの利用を書くなら、「院内のルールに沿って」「個人情報は入力せず」「内容は自分で確認して」使ったことを一言添えましょう。採用担当にとっては、情報の扱いに慎重な人だという安心材料になります。また、説明会に参加しただけの導入を「推進した」と書くような、盛った書き方はしないでください。

AIやICTに関わった経験がない人は

ICTやAIの導入に関わった看護師は、まだ一部です。経験がなくても気にする必要はありません。かわりに、次のようなことを書きましょう。

  • 電子カルテで使っていた機能(看護記録、看護計画、指示受けなど)と使用年数
  • 紙カルテから電子カルテへの移行や、システムの入れ替えを経験したこと
  • 記録の様式や申し送りの見直し、チェックリストづくりなどの業務改善

記入例の「退院指導のチェックリストで実施率を58%から92%に高めた」も、ICTを使わない業務改善の例です。仕組みを見直して、業務を良くした経験は、AIを使ったかどうかにかかわらず評価されます。

実績の数字が書けないときの対処法

「病棟の数字を覚えていない」「役職の経験がない」という人も、書き方を工夫すれば十分に評価されます。

病棟の数字を把握していない

病床数や看護体制は、病院の公式サイトや募集要項で確認できます。手術件数などがわからない場合は、受け持ち人数や夜勤の人数など、自分で確実に言える数字だけを書きましょう。不確かな数字を書くより、正確な数字を一つ書くほうが信頼されます。

経験年数が短い(1〜3年目)

年数の短さを補うのは、具体性です。受け持ち人数、夜勤に入り始めた時期、ひとりでできるようになった処置などを、時期とあわせて書くと成長の速さが伝わります。

ブランクがある

ブランクの期間と理由(出産・育児・介護など)を一行で書き、復職に向けて準備していることを添えます。復職支援の研修やBLSの受講など、最近の学びがあれば必ず書きましょう。

委員会や役職の経験がない

役職がなくても、係の仕事(物品・感染対策・記録など)や、勉強会での発表、新人へのちょっとした声かけも立派な経験です。自分から取り組んだことと、それで変わったことを書きます。

あわせて読みたい:アピールできる実績がない人の職務経歴書の書き方

提出前のチェックリスト

書き終えたら、提出前に次の項目を確認しましょう。

  • 職務要約に、経験年数・病院の機能と規模・病棟・役割が入っている
  • 病院の概要(病床数・看護体制・夜勤体制など)を書いている
  • 病棟ごとに、受け持ち人数と主な看護・処置を書いている
  • リーダー・プリセプター・委員会などの役割を、開始年度とともに書いている
  • 患者が特定できる情報を書いていない
  • 看護師免許の取得年月と、応募先に関わる資格を書いている
  • A4で1〜2枚(多くても3枚以内)に収まり、誤字脱字がない

状況別の無料テンプレート

ブランク、転職回数、未経験…気になる事情があるなら、状況別の記入見本も


職種の書き方はこの記事で、事情の伝え方は状況別の記入見本で。2つを組み合わせれば、書きにくいところも迷わず書けます。

よくある質問

看護師の職務経歴書は何枚が適切ですか?

A4で1〜2枚が目安です。病棟や勤務先が多い人でも、応募先に近い経験を詳しく、それ以外は簡潔にまとめて3枚以内に収めましょう。

看護師の転職でも、職務経歴書は必要ですか?

応募先から求められていなくても、用意しておくのがおすすめです。履歴書だけでは伝わらない病棟の経験や役割を伝えられ、面接で話す内容の整理にも役立ちます。

異動や転職で経験した病棟が多い場合は、どう書けばいいですか?

勤務先ごと・病棟ごとに期間を分けて書きます。応募先に近い病棟の経験は詳しく、関係の薄い経験は1〜2行にまとめると読みやすくなります。

病院名や病床数は書いても大丈夫ですか?

病院名や病床数など、公開されている情報は書いて問題ありません。ただし、患者の情報や院内の内部資料にある数字は書かないようにしましょう。

受け持ち人数や実績を少し多めに書いても大丈夫ですか?

事実と異なる内容は書いてはいけません。面接で詳しく聞かれたときに説明できないと、評価を大きく下げる原因になります。

この記事の記入例テンプレートを無料でダウンロード

Word・Excel・PDFの3形式に対応。空欄テンプレートと記入見本のセットです。

Author

佐藤 大貴

レジュメラボ編集責任者/アースダイバー代表

佐藤 大貴

人材紹介の会社で、キャリア系メディアの編集長をしていました。転職やキャリアをテーマにした記事づくりに長く関わり、2019年にアースダイバー株式会社を立ち上げました。編集長時代、たくさんの求職者の方やキャ…

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