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内部監査の職務経歴書の書き方|採用担当に伝わる記入例と無料テンプレート

内部監査の職務経歴書の書き方|採用担当に伝わる記入例と無料テンプレート

内部監査の職務経歴書は、「業務監査、J-SOX対応、フォローアップ」と業務名を並べただけになりがちです。採用担当が知りたいのは、どんな範囲を、どの立場で監査し、指摘で何が直ったかです。

内部監査は自分の売上を持たず、不正や不備の中身も社外に出せない仕事です。それでも、監査の件数と対象、主査を務めた数、指摘が改善された割合など、守秘を守ったまま書ける数字は意外と多くあります。

この記事では、上場リース会社で営業と与信審査を経験したあと、内部監査室で約7年半、業務監査とJ-SOXの評価を担ってきた人の記入例をもとに、項目ごとの書き方を解説します。J-SOX中心・業務監査中心・IT監査・他部門からの異動の書き分け方も紹介します。

この記事でわかること

  • 内部監査の職務経歴書の完成イメージ(記入例)
  • 公的データから見た内部監査の仕事の範囲と、上場企業の内部統制の不備の実情
  • 監査の件数・立場・改善の結果を、OK例・NG例で書き分けるコツ
  • 不正や不備の中身を明かさずに実績を伝える、守秘の書き方
  • J-SOX中心・業務監査中心・IT監査・他部門からの異動の書き分け方
  • 2026年の内部監査とAI:AIの経験を職務経歴書にどう書くか

無料テンプレート

内部監査の職務経歴書、記入見本つきのテンプレートがあります

この記事の記入例と同じ形式で、Word・Excel・PDFの3形式。空欄のテンプレートと記入見本がセットになっています。

内部監査の職務経歴書の記入例

まずは完成イメージです。東証プライム上場の総合リース会社に新卒で入社し、法人営業4年・与信審査3年を経て内部監査室に移り、現在は主任として年間監査計画とチームの取りまとめを担っている人を想定しています。画像をタップすると拡大できます。

内部監査の職務経歴書の記入例(上場リース会社の内部監査 約7年半)
内部監査の職務経歴書の記入例(A4・2枚)

同じ形式のテンプレートを、Word・Excel・PDFの3形式(空欄と記入見本の2点セット)で無料で用意しています。

データで読む:内部監査は「工程」ではなく「範囲と改善」で選ばれる

書き方に入る前に、内部監査を取り巻く状況をデータで見ておきます。3つの資料を重ねると、見えてくることは1つです。計画・往査・報告書はほぼ誰もが経験している一方、内部統制の不備を開示する上場企業は2年続けて40社を超えています。差がつくのは、子会社や経営への報告まで範囲を広げ、指摘を改善まで見届けてきたかです。

計画・往査・報告書はほぼ全員の仕事。差がつくのは子会社と経営への報告

厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)「内部監査人」では、内部監査人として働く人が各業務をどれくらい行っているかがわかります。内部統制の整備・運用状況の把握(往査)は100.0%、年次監査計画の立案と監査報告書の作成はともに98.3%でした。

内部監査人の主な業務の実施率。往査は100%、子会社の監査は60%
内部監査人の主な業務の実施率:子会社の監査は60%にとどまる(厚生労働省 job tag)

出典:職業情報提供サイト(job tag)「内部監査人」(厚生労働省) タスク

一方で、業務のリスク評価は88.3%、社長・取締役会等への報告は85.0%、監査の品質の評価は80.0%、傘下会社・子会社の監査は60.0%にとどまります。回答者は数十人規模のため細かな差に意味はありませんが、監査の基本の工程は誰もが経験している一方、リスク評価や子会社の監査、経営への報告まで担うかは人によって分かれると読み取れます。

つまり「監査計画、往査、報告書の作成」は誰でも書ける言葉で、子会社の監査は回答者の4割が担っていない仕事です。記入例が「年22件:営業拠点12・本社部門6・子会社4」と対象の内訳を書き、「社長・監査役会への報告」まで添えているのは、この分かれ目を越えてきたことを示すためです。

上場企業の不備開示は2年続けて40社超。3社に1社以上が人材・知識の不足を原因に

東京商工リサーチの集計では、財務報告に係る内部統制の「開示すべき重要な不備」を開示した上場企業は、2024年度に58社と2012年度以降で最多でした。2025年度は41社(42件)に減りましたが、2021年度と並んで3番目に多い水準です。

開示すべき重要な不備の内容別件数。2025年度は決算・財務報告プロセスの不備が最多
内部統制の不備の内容別件数:2025年度は決算・財務報告プロセスの不備が最多(東京商工リサーチ、2024年度・2025年度)

出典:TSRデータインサイト「2025年度上場企業『内部統制の不備』は41社・42件」(東京商工リサーチ)

2025年度の内訳は、会計処理の誤りなどの「決算・財務報告プロセスの不備」が21件で最多、監査機能の不全やコンプライアンス意識の不足などによる「全社的な内部統制の不備」が19件でした。同じ集計では、41社のうち15社が関連部門の人材不足や担当者の知識不足を原因に挙げています。

不備を開示した会社の3社に1社以上が人と知識の不足を挙げている以上、内部統制を点検し、直すところまで進められる経験は、応募先の足りない部分にそのまま当たります。J-SOXの経験は、評価範囲の決定・整備評価・運用評価のどこを担ったかとキーコントロールの数で書きましょう。記入例の「評価範囲の決定とキーコントロール 約160件の評価の取りまとめ」が、その一行です。

「企画・管理」の求人倍率は1年間ずっと全体超え。ただし内部監査だけの数字ではない

転職サービスdodaの「転職求人倍率レポート」では、内部監査は「企画・管理」の区分に含まれます。この区分の転職求人倍率は、2025年9月から2026年9月まで一度も全体を下回らず、2026年9月は3.31倍(全体2.89倍)でした。

企画・管理と全体の転職求人倍率の推移(2025年9月〜2026年9月)
「企画・管理」の転職求人倍率の推移:1年間一度も全体を下回らず(doda、2025年9月〜2026年9月)

出典:doda転職求人倍率レポート データ(パーソルキャリア)(2026年10月22日発表分まで)

ただし、dodaの職種区分で「企画・管理」には、経営企画・経理・人事・法務など14職種が含まれます。「内部監査は売り手市場」と読むのは早計です。内部監査の求人は「J-SOXの評価経験」のように条件が具体的なことも多く、条件に合うことが書類からすぐ読み取れなければ選ばれません。職務要約で、監査の種類・会社の規模・自分の立場を言い切っておきましょう。

まとめると、内部監査の職務経歴書では、工程を並べるより、どこまでの範囲を、どの立場で監査したかと指摘で何が直ったかを書けるかで差がつきます。ここからは、採用担当がそれをどう確かめているかを3つに整理します。

内部監査の職務経歴書テンプレートを無料でダウンロード

採用担当が内部監査の職務経歴書で見ている3つのこと

こうした変化と、採用の現場でよく言われる傾向を踏まえると、内部監査の採用担当は書類から次の3つを確認しています。

  1. 監査の範囲と自分の立場業務監査・J-SOX・IT監査のどれを、年に何件、どんな対象(拠点・本社部門・子会社)に行ってきたか。主査として計画から報告までを回したのか、メンバーとして往査を担当したのかで、任せられる範囲が変わります。
  2. 指摘を改善につなげた経験見つけた問題の件数より、その指摘で何が直り、再発をどう防いだか。フォローアップの仕組みや、金額・件数で示せる結果があるかを、採用担当は見ています。
  3. 監査を支える業務知識と資格営業・経理・審査など監査の前の実務経験や、データ分析の力があると、現場に通じる監査ができると判断されます。公認内部監査人(CIA)や内部監査士などの資格は、知識の裏付けになります。

項目別の書き方:OK例とNG例の違い

ここからは項目ごとに、NG例とOK例を並べて解説します。OK例は、すべて記入例からの引用です。

職務要約:経験年数・会社の規模・監査の種類と立場を3〜5行で

職務要約は、採用担当が最初に読む部分です。内部監査では、会社の規模と監査の種類がそのまま経験の重さを表します。上場区分、監査の種類、年数、主査かメンバーか、代表的な成果を3〜5行にまとめます。

× NG例

大学卒業後、リース会社に入社し、営業・審査を経て内部監査室に異動しました。内部監査業務全般を担当し、会社の健全な経営に貢献してまいりました。

ここが惜しい

  1. 「内部監査業務全般」では、業務監査・J-SOX・IT監査のどれを担当したのか、主査かメンバーかがわかりません。
  2. 経験年数や会社の規模(上場区分・子会社数)がないため、どの程度の重さの監査を経験してきたのかが伝わりません。
  3. 「健全な経営に貢献」は内部監査の目的そのもので、本人の成果としては評価できません。

○ OK例

大学卒業後、2012年4月に東証プライム上場の総合リース会社、株式会社サンプルリースに入社しました。法人営業4年、与信審査3年を経て、2019年4月から内部監査室で約7年半、業務監査とJ-SOX(財務報告に係る内部統制)の評価を担当しています。2023年4月からは主任として年間監査計画の立案と監査チーム(3名)の取りまとめを担い、指摘事項の期限内の改善率を72%から94%に高めました。

ここが評価される

  1. 上場区分と、業務監査・J-SOXという監査の種類、約7年半という年数で、経験の重さがひと目でわかります。
  2. 営業・審査の年数を書いているので、現場の業務を知ったうえで監査ができる人だと伝わります。
  3. 主任として計画立案とチームの取りまとめを担っていることで、応募先で任せられる役割が見えます。

職務経歴:監査の件数・対象・担当した工程を書く

職務経歴では、会社概要に上場区分・連結子会社数・拠点数を入れるのが内部監査ならではのポイントです。監査の対象になる組織の広さが、そのまま担当してきた監査の広さを示すからです。下の画像の3つのポイントを押さえましょう。

内部監査の職務経歴の書き方のポイント(注釈付き)
職務経歴の書き方のポイント

× NG例

2019年4月〜現在 内部監査室
各部署・子会社の内部監査を実施。J-SOX対応も担当。

ここが惜しい

  1. 年間の件数と対象の内訳がないため、どのくらいの範囲を監査してきたのかがわかりません。
  2. 「J-SOX対応」だけでは、評価範囲の決定から関わったのか、運用評価のテストを担当したのかが伝わりません。
  3. 計画・往査・報告・フォローアップのうち、どの工程を担ったのかが書かれていません。

○ OK例

【担当】年間監査計画の立案(年22件:営業拠点12・本社部門6・子会社4)、チーム3名の取りまとめと主査(年8件)
【内容】J-SOXの評価範囲の決定とキーコントロール 約160件の評価の取りまとめ。社長・監査役会への報告、会計監査人との情報交換

ここが評価される

  1. 年間件数と対象の内訳、主査の件数を分けて書いているので、全体の計画と自分の担当の両方がわかります。
  2. J-SOXは評価範囲の決定から関わったことと、キーコントロールの数まで書いているため、評価の規模と立場が具体的に伝わります。
  3. 社長・監査役会への報告や会計監査人との情報交換が書かれていて、経営層や外部とやり取りしてきたことがわかります。

報告先も短く書いておきましょう。金融庁が2023年4月に公表した改訂後の内部統制の基準では、内部監査人の「取締役会及び監査役等への報告経路」の重要性が書き加えられ、2026年7月のコーポレートガバナンス・コードの改訂でも内部監査部門の機能発揮が重視されています。取締役会や監査役(会)に報告してきた経験は、報告の経路を整えたい応募先で、そのまま活きる経験です。

監査室に来る前の業務も、短く残す

営業・経理・審査などの経験は、内部監査では現場を理解する力として評価されます。記入例のように期間ごとに行を分け、担当と代表的な実績を1〜2行で書いておきましょう。

監査の実績:指摘の数より、改善まで進んだ結果を書く

内部監査の実績は、「何を見つけたか」より「指摘で何が直ったか」で評価されます。見つけた問題は件数と金額、改善は「前→後」の数字で書きます。

× NG例

監査で多数の不備を発見し、指摘しました。指摘事項のフォローアップも適切に行いました。

ここが惜しい

  1. 「多数の不備」では、どんな問題をどれだけ見つけたのかがわかりません。
  2. 指摘のあとに何が直ったのかが書かれておらず、監査が会社の役に立ったのかが伝わりません。
  3. 「適切に行いました」は本人の評価で、フォローアップの仕組みや成果が見えません。

○ OK例

2021年度:支払データ(年間 約62,000件)を全件分析し、重複支払いの疑いを抽出。過払い3件(計約180万円)を見つけて回収し、システムに二重払いの警告を追加
2023年度:指摘事項ごとに改善の担当者と期限を決め、毎月進捗を確認して経営会議に報告する運用を導入。期限内の改善率を72%(2022年度:50件中36件)から94%(2025年度:48件中45件)に改善

ここが評価される

  1. 見つけた問題を件数と金額で書き、回収と再発防止まで示しているので、監査の成果がはっきりわかります。
  2. 改善率を「何件中何件」で添えているため、数字の根拠が明確で、盛っていないことが伝わります。
  3. フォローアップの仕組みを自分で作ったことが書かれていて、監査室の運営にも関われることがわかります。

監査対象の会社名や個人が特定できる書き方はしない

不正や重大な不備に関わる内容は、社名・拠点名・個人が特定できない形で書きます。金額や件数も、社外に出してよい範囲かを確認し、迷うものは「過払いを発見し回収」など結果だけにとどめます。守秘への配慮そのものが、内部監査の採用担当には評価の材料になります。

活かせる経験・知識・資格:監査の種類・業務知識・データ分析を3つに絞る

ここでは、応募先で任せられることを3つ程度に絞って書きます。内部監査では、「監査の経験」「監査の前の業務知識」「データ分析」の3本柱にすると、重なりなく強みが伝わります。

× NG例

・内部監査の経験
・J-SOXの知識
・論理的思考力

ここが惜しい

  1. 年数や立場がないため、経験の深さがわかりません。
  2. 「J-SOXの知識」は、評価を実際に担当したのか、知っているだけなのかが区別できません。
  3. 「論理的思考力」は抽象的で、監査のどんな場面で活きるのかが伝わりません。

○ OK例

・業務監査とJ-SOX評価を合わせて約7年半(主査として計画から報告・フォローアップまで)
・リース営業4年・与信審査3年の実務経験にもとづく、営業・審査・債権管理の業務の理解
・支払・契約データの全件分析による、監査対象の絞り込みと不備の発見

ここが評価される

  1. 監査の種類・年数・立場がそろっていて、応募先で任せられる範囲がひと目でわかります。
  2. 監査の前の実務経験を業務知識として書いているので、現場に通じる監査ができることが伝わります。
  3. データ分析の経験は、多くの企業が内部監査で強化したい点で、求人票の言葉とそろえると目に留まりやすくなります。

資格は正式名称と認定団体で書く

公認内部監査人(CIA)、内部監査士(日本内部監査協会)、公認情報システム監査人(CISA)などは、正式名称で取得年月とともに書きます。学習中・受験中のものは、合格した科目や受験予定を添えて書けます。

PCスキル・使用システム:ツール名より「何のデータを、どこまで見たか」

内部監査のPCスキル欄は、関数名を並べるより、どのデータを、どこまで自分で確かめられるかを書く欄です。全件を見られるか、権限やログまで確認できるかで、監査の深さが変わるからです。

× NG例

Excel:上級
基幹システム:操作可

ここが惜しい

  1. 「上級」「操作可」では、監査でデータをどこまで扱えるのか、権限やログまで確認できるのかがわかりません。

○ OK例

Excel:Power Query・ピボットテーブルでの支払・経費データの全件分析
基幹システム:リース契約管理・会計システムの照会、操作ログ・権限設定の確認

ここが評価される

  1. 扱ったデータの種類と分析の仕方が具体的で、職務経歴の「約62,000件の全件分析」ともつながっています。
  2. 「操作ログ・権限設定の確認」まで書いているので、ITに関わる統制も見てきたことが伝わります。

自己PR:強みは2つまで、監査のエピソードと結果を添える

自己PRは「強み → それを発揮した監査のエピソード → 結果の数字」の順に書きます。公正さや客観性は内部監査の前提なので、強みとしては差がつきません。現場との関わり方や、監査の進め方の工夫を強みにしましょう。

× NG例

私の強みは、公正な立場で物事を判断できることです。監査では常に客観的な視点を持ち、被監査部門とも良好な関係を築いてまいりました。

ここが惜しい

  1. 公正さや客観性は内部監査に就く人なら当然求められることで、それだけではほかの応募者と差がつきません。
  2. 「良好な関係」がどんな行動で、何につながったのかが書かれていません。
  3. エピソードや数字がないため、応募先で同じ力を発揮できるかが判断できません。

○ OK例

現場の業務を踏まえ、改善につながる指摘にする力
拠点の業務の流れを踏まえ、無理なく直せる改善策を一緒に考えています。指摘ごとに担当者と期限を決めて毎月進捗を確認する運用を作り、期限内の改善率を72%から94%に高めました。

ここが評価される

  1. 見出しで、どんな監査をする人なのかが一言でわかります。
  2. 「拠点の業務の流れを踏まえ」「毎月進捗を確認」と、被監査部門との関わり方が具体的な行動で書かれていて、仕事の進め方が見えます。
  3. 改善率という結果まで書いているので、指摘を「出して終わり」にしない人だと伝わります。
記入見本つきの内部監査向けテンプレートを見る

経験のタイプ別:内部監査の職務経歴書の書き分け方

同じ「内部監査」でも、J-SOXの評価が中心の人と、拠点や子会社の業務監査が中心の人とでは、強調すべき経験が違います。まずは表で全体像を確認し、自分に近いタイプを読んでください。

タイプ採用担当が見るポイント強調したい数字・事実
J-SOXの評価が中心評価範囲の決定から関わったか、評価の規模キーコントロールの数、評価した業務プロセス、不備の改善
業務監査・子会社監査が中心監査の対象の広さと、主査として回せるか年間件数と対象の内訳、主査の件数、改善率
IT監査・システム監査ITに関わる統制を自分で評価できるか評価したシステムの数、IT全般統制の項目、権限・ログの確認
他部門から内部監査へ現場の業務知識と、監査に必要な基礎があるか担当業務の規模、社内の点検・改善の経験、学習中の資格

J-SOXの評価が中心の人

J-SOXの経験は、「評価を担当」の一言で終わりがちです。改訂後の基準は2024年4月1日以後に始まる事業年度から適用され、評価範囲の決定方法と根拠を記録することが求められるようになりました。データの章で見たとおり、不備を開示した会社の3社に1社以上が人材や知識の不足を原因に挙げています。範囲の決定から関わった人は、そこをはっきり書きましょう。

職務経歴書に書きたいこと

  • 評価範囲の決定・整備評価・運用評価のどこを担当したか
  • キーコントロールの数と、評価した業務プロセス(販売・購買・決算など)
  • 会計監査人とのやり取りの有無と頻度
  • 不備を見つけたあと、改善までどう関わったか

記入例

【内容】J-SOXの評価範囲の決定とキーコントロール 約160件の評価の取りまとめ。社長・監査役会への報告、会計監査人との情報交換
2024年度:改訂J-SOXの適用初年度に、評価範囲の決め方と理由を文書に残す手順を整備

ポイント

  1. 記入例からの引用です。範囲の決定・評価の規模・報告先がそろっていて、J-SOXの全体を見てきたことがわかります。
  2. 改訂の初年度にした仕事を年度つきで書くと、制度の変化に対応できる人だと伝わります。

よくある落とし穴

運用評価のテストだけを担当していたのに、「J-SOX全般」と書いてしまうケースです。担当した工程を正確に書き、テストの件数や不備の改善を実績にしましょう。

業務監査・子会社監査が中心の人

拠点や子会社の業務監査が中心の人は、監査の対象の広さと、主査として計画から報告まで回せるかが見られます。東京商工リサーチの集計では、2026年1〜6月に不適切な会計・経理を開示した上場企業の27件のうち、8件は子会社・関係会社で起きていました。データの章で見たとおり、子会社の監査を担う内部監査人は約6割です。子会社まで目を配ってきた経験は、それだけで書く価値があります。

職務経歴書に書きたいこと

  • 年間の監査件数と、対象の内訳(拠点・本社部門・子会社・海外)
  • メンバーか主査か、主査を務めた件数
  • リスク評価で監査の対象をどう選んだか
  • 指摘の改善率や、再発防止まで進んだ結果

記入例

【担当】業務監査(年6〜8件。営業拠点・本社部門・子会社)、J-SOXの業務プロセスの評価。リスク評価、往査、監査調書・報告書の作成、フォローアップ

ポイント

  1. 記入例の内部監査室1期目(2019〜2023年)の書き方です。主任になる前の、メンバーとしての担当範囲を工程ごとに書いています。
  2. 主任になってからの行(年22件・主査 年8件)と並べると、任される範囲が広がったことが伝わります。

よくある落とし穴

監査した拠点や子会社の名前を並べてしまうケースです。社名や拠点名は守秘の対象になりえます。「営業拠点12・子会社4」のように、種類と数で書けば十分伝わります。

IT監査・システム監査の経験がある人

ITに関わる統制を評価してきた経験は、それだけで強い差別化になります。改訂後の基準でも、ITの委託業務に関わる統制や、サイバーリスクを踏まえた情報システムのセキュリティの重要性が書き加えられました。

職務経歴書に書きたいこと

  • 評価したシステムの種類と数(会計・販売・人事など)
  • IT全般統制のどの領域を見たか(アクセス管理・変更管理・運用管理など)
  • CISAなどの資格や、システム開発・運用の実務経験

記入例

【担当】IT全般統制の評価(会計・販売・購買の3システム)。アクセス権限の棚卸しと、本番環境への変更手続きの確認
【実績】退職者のアカウントが残っていた不備を指摘し、人事システムとの連携による自動削除の仕組みづくりを提案。翌年度の評価で不備ゼロを確認

ポイント

  1. システムの数と統制の領域を書いているので、評価できる範囲がはっきりします。
  2. 「指摘→仕組みの提案→翌年度の確認」と書くと、IT監査でも改善まで見届けたことが伝わります。

よくある落とし穴

システム名を並べるだけのケースです。権限・変更・ログなど、そのシステムの「何を」確かめたかを書きましょう。

経理・営業など他部門から内部監査へ移りたい人

経理・営業・審査などの実務経験は、監査の対象業務を知っている強みになります。記入例の人も、営業と審査を経て内部監査室に移っています。未経験から応募する人は、業務知識と「点検・改善」の経験を軸に書きましょう。

職務経歴書に書きたいこと

  • 担当業務の規模(取引先数・処理件数・金額など)
  • 社内の点検や自主チェック、規程の改訂に関わった経験
  • ミスや不正を防ぐ仕組みを作った経験
  • 学習中の資格(内部監査士・CIA・簿記など)と進み具合

記入例

【担当】法人の与信審査(月約60件)。決算書の分析と稟議書の作成。2018年度は審査規程の改訂で、チェックリストの見直しと営業部向け説明会(計6回)を担当

ポイント

  1. 記入例の審査部時代の行です。規程の改訂やチェックリストの見直しは、内部統制の「整備」にあたる経験として読まれます。
  2. 件数と回数で、業務の規模と他部署に説明してきた経験が伝わります。

よくある落とし穴

「内部監査に興味がある」と意欲だけを書くケースです。意欲は志望動機に回し、職務経歴書では監査で活きる業務の経験を事実と数字で書きましょう。

あわせて読みたい:経理・財務の職務経歴書の書き方

2026年の内部監査とAI:職務経歴書にどう書くか

AIの使い方や、どの程度の活用を求めるかは、応募先の規模・業界・社内ルールによって大きく異なります。IPA(情報処理推進機構)の「DX動向2026」では、AIを導入している企業は従業員1,001人以上で8割近くにのぼる一方、101人以下では16.6%にとどまります。

AIを使った経験がないからといって、書類選考で不利になると考える必要はありません。まずは求人票に「生成AI」「AIツール」「データ分析」などの記載があるかを確認しましょう。記載があれば具体的に書き、なければPCスキル欄に1行添える程度で十分です。

内部監査で現実的なAIの使い方

同じIPAの調査では、AIの用途として「文書・音声の要約、翻訳、校正」(82.5%)、「情報検索・収集・分析」(77.0%)が上位です。内部監査では、次のような使い方が現実的です。

  • 改訂された社内規程の新旧を比べ、変わった点を一覧にして監査の観点を洗い出す
  • 業務の流れを伝えて、監査のチェックリストや質問票の素案をつくる
  • 公表されている法令・基準の改正の概要を要約し、影響しそうな業務を確認する
  • 監査報告書の文章を、事実と意見が分かれているか、わかりやすいかの観点で校正する
  • データ分析の手順(Power Queryの処理など)の書き方を質問し、全件分析の準備に役立てる

いずれも、AIには素案や要約を任せ、判断と結論は自分で出す使い方です。AIの出力も、監査証拠と同じように裏付けを確かめる姿勢が欠かせません。

「何の業務で・どう使い・どう確かめたか」を書く

「生成AIを活用」とだけ書いても、何ができるのかは伝わりません。対象の業務・使い方に加えて、内部監査では特に情報の扱いと、出力の確かめ方を書くことが大切です。

× NG例

生成AIを活用して監査業務を効率化しました。監査調書や報告書の作成にも利用しています。

ここが惜しい

  1. どの業務に、どう使ったのかがわかりません。
  2. 監査調書や報告書には社内の機密情報が含まれます。情報の扱いについて何も書かれていないと、かえって不安を与えます。

○ OK例

生成AI:社内で認められたツールで規程の比較やチェックリストの素案を作成(社内データは入力せず自分で確認)

ここが評価される

  1. 記入例のPCスキル欄の1行です。「規程の比較」「チェックリストの素案」と、使った業務が具体的です。
  2. 「社内で認められたツール」「社内データは入力せず」「自分で確認」と、ルールと確認の方法が書かれていて、監査人として信頼できる使い方だと伝わります。
  3. 時間の短縮などの効果は、実際に測っていれば添えられます。測っていない数字は書かないようにしましょう。

使うときの注意点と、書くときの注意点

不正の調査や不備の内容、個人の処分に関わる情報は、どんなツールにも入力してはいけません。AIの経験を書くときは、次の3点を添えると安心感が伝わります。

  • 監査対象の機密情報・個人情報をAIに入力しなかった
  • 会社が認めたツールを、社内ルールの範囲で使った
  • AIの出力をそのまま使わず、原典や証拠と照らして自分で確認した

使った経験を実際より大きく書くのは避けましょう。面接で「出力のどこを直したか」と聞かれても答えられる範囲にとどめましょう。

AIを使っていない・禁止の職場だった人は

監査室は機密情報を扱うため、生成AIの利用を禁止したり、使える範囲を厳しく限ったりしている会社は珍しくありません。無理にAIの経験を書く必要はなく、ルールに従ってきたこと自体が大切な姿勢です。

代わりに、データを使って監査を変えた経験を書きましょう。記入例の「支払データ約62,000件の全件分析」のように、Excelやシステムの照会で抜き取りを全件の確認に変えた経験は、AIを使った効率化と同じく「監査のやり方を自分で改善できる力」を示します。

実績の数字が書けないときの対処法

次の切り口を使えば、守秘を守ったまま実績を数字で示せます。

切り口数字にする例書き方の例
監査の量と範囲年間件数・対象の内訳年22件(営業拠点12・本社部門6・子会社4)
立場主査の件数・チームの人数主査 年8件、チーム3名の取りまとめ
改善期限内の改善率・再発件数改善率 72%→94%(48件中45件)
発見と回収分析した件数・回収額約62,000件を全件分析し、過払い3件を回収
監査の進め方往査日数・報告までの日数報告書の提出を往査後10営業日以内に

数字は、監査室の管理表やフォローアップの記録から拾えます。社外に出してよいか迷う数字は、割合や概数にするか、結果だけを書きましょう。

不正や重大な不備の中身を書けない

中身ではなく、「どう見つけ、どう再発を防いだか」を書きます。
例:「経費データの分析で不自然な傾向を見つけ、調査を担当。承認の手順を見直し、再発防止策の定着まで確認」
個人や事案が特定されうる情報は省きます。

大きな指摘がなく、成果と呼べるものがない

重大な指摘がないのは、監査が機能している証拠でもあります。その場合は、監査の量と進め方を実績にします。
例:「年12件の拠点監査を計画どおり実施し、報告書の提出までの期間を平均15営業日から10営業日に短縮」

J-SOXの運用テストばかりで、自分の成果が見えない

テストの件数と、見つけた不備のその後を書きます。
例:「販売・購買プロセスのキーコントロール 約40件の運用評価を担当。サンプル数と手続きを標準化し、評価の手戻りを減らした」

監査室が1〜2名で、兼務や小規模の監査だった

小さな監査室は、一人で全工程を回した経験として書けます。
例:「内部監査を1名で担当(総務と兼務)。年間計画の立案から往査・報告・フォローアップまで、年6件を実施」
規模は小さくても、計画から報告まで自分で担ったことは、大きな会社の主査に近い経験として読まれます。

あわせて読みたい:法務の職務経歴書の書き方

提出前のチェックリスト

書き終えたら、提出前に次の項目を確認しましょう。

  • 職務要約に、内部監査の経験年数・会社の規模・監査の種類と立場(主査かメンバーか)が入っている
  • 監査の年間件数と対象の内訳(拠点・本社部門・子会社など)を書いている
  • J-SOXは、評価範囲の決定・整備評価・運用評価のどこを担当したかがわかる
  • 指摘のあと何が改善されたかを、件数・割合・金額などで書いている
  • 監査対象の会社名・個人・不正の詳細など、社外に出せない情報を書いていない
  • 監査の前の業務経験と、資格の正式名称・取得年月を書いている
  • AIの経験を書く場合は、使った業務と、機密情報を入れずに自分で確認したことを書いている

最後に、A4で2枚程度に収まっているか、改善率や年数の計算に矛盾がないかも確かめましょう。内部監査の書類は、それ自体が「数字を確かめる力」の見本として読まれます。「50件中36件」と「72%」のように、根拠と割合が合っているかは必ず見直してください。

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職種の書き方はこの記事で、事情の伝え方は状況別の記入見本で。2つを組み合わせれば、書きにくいところも迷わず書けます。

よくある質問

内部監査の経験がなくても、内部監査の求人に応募できますか?

応募できる求人はあります。経理・営業・審査などの業務経験は、現場を理解する力として評価されます。担当業務の規模と、社内の点検や規程の見直しに関わった経験を具体的に書き、学習中の資格があれば進み具合も添えましょう。

不正調査に関わった経験は、職務経歴書に書いてもいいですか?

書けますが、社名・拠点名・個人が特定できる内容や事案の詳細は書きません。自分の役割と再発防止の結果にとどめ、面接で話せる範囲も事前に決めておきましょう。

CIAや内部監査士の資格がないと不利ですか?

資格がなくても、監査の件数・立場・改善の結果が具体的なら、実務の力は十分伝わります。資格は知識の裏付けとなる補足と考え、学習中なら合格した科目や受験予定を書きましょう。

J-SOXの経験しかありません。業務監査の求人にも応募できますか?

応募できます。J-SOXで見てきた販売・購買・決算などの業務プロセスは、業務監査でもそのまま対象になります。評価した範囲と、不備を改善まで見届けた経験を書きましょう。

AIを使った経験がないと、内部監査の転職で不利になりますか?

AIの活用をどの程度求めるかは応募先によって大きく違い、経験がないことだけで不利になるとは限りません。データ分析で監査の進め方を変えた経験を具体的に書き、新しいツールに前向きな姿勢を伝えましょう。

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Author

佐藤 大貴

レジュメラボ編集責任者/アースダイバー代表

佐藤 大貴

人材紹介の会社で、キャリア系メディアの編集長をしていました。転職やキャリアをテーマにした記事づくりに長く関わり、2019年にアースダイバー株式会社を立ち上げました。編集長時代、たくさんの求職者の方やキャ…

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