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人事・労務の職務経歴書の書き方|採用担当に伝わる記入例と無料テンプレート

人事・労務の職務経歴書の書き方|採用担当に伝わる記入例と無料テンプレート

人事・労務の職務経歴書で評価されるのは、「どの領域を、どの規模で担当し、何をどう良くしたか」が具体的に伝わるかどうかです。「給与計算を担当」「採用業務に従事」と業務名を並べるだけでは、採用担当は任せられる仕事の範囲を判断できません。

人事・労務の仕事は、給与計算や社会保険の手続きのように「ミスなく終えて当たり前」の業務が多く、成果を数字で書きにくいと感じる人も少なくありません。それでも、対象人数や作業日数の変化に目を向けると、書ける数字は意外と見つかります。

この記事では、労務・給与計算から入り、採用も担当するようになった経験約7年半の人の記入例をもとに、項目ごとの書き方と、なぜそう書くと評価されるのかを解説します。採用・労務・人事制度・教育研修という担当領域別の書き分け方も紹介します。

この記事でわかること

  • 人事・労務の職務経歴書の完成イメージ(記入例)
  • 公的データから見た、企業が人事・事務の転職者に求めるもの
  • 項目別の書き方と、OK例・NG例の違いの理由
  • 担当領域別の書き分け方と記入例
  • 人事・労務の仕事でのAI活用と、職務経歴書への書き方

無料テンプレート

人事・労務の職務経歴書、記入見本つきのテンプレートがあります

この記事の記入例と同じ形式で、Word・Excel・PDFの3形式。空欄のテンプレートと記入見本がセットになっています。

人事・労務の職務経歴書の記入例

まずは完成イメージです。従業員約500名のメーカーで、給与計算・社会保険手続きを3年、その後に中途採用と労務管理を担当してきた人を想定しています。画像をタップすると拡大できます。

人事・労務の職務経歴書の記入例(労務・給与計算から採用まで担当・8年目)
人事・労務の職務経歴書の記入例(A4・2枚)

この記入例と同じ形式のテンプレートを無料で用意しています。Word・Excel・PDFの3形式で、それぞれ空欄テンプレートと記入見本の2点セットです。

データで見る:人事・労務の転職で、職務経歴書が合否を分ける理由

書き方の前に、人事・労務の転職市場と、企業が転職者に何を求めているのかを公表データで確認しておきましょう。職務経歴書で何を伝えるべきかが見えてきます。

人事を含む「企画・管理」は、求人が多い状態が続いている

転職サービスdodaの職種別の集計(doda転職求人倍率レポート)では、人事を含む「企画・管理」の転職求人倍率は2026年8月時点で3.28倍でした。全体の2.86倍を上回っています。同じ年の4月(2.82倍)から4か月続けて上昇しました。

職種別の転職求人倍率(doda、2026年8月)
人事を含む「企画・管理」の転職求人倍率(2026年8月)

出典:doda転職求人倍率レポート(パーソルキャリア)(2026年9月17日発表、2026年8月分)

ただし、この「企画・管理」には人事のほか、経理・総務・法務・経営企画なども含まれます。人事だけの倍率ではない点に注意してください。一方、同じ月の「事務・アシスタント」は0.65倍で、求人より転職希望者のほうが多い状態です。「人事の専門職」として応募するか、「事務の経験者」として応募するかで、競争の状況は大きく変わると考えられます。

職務経歴書への落とし込み方

人事・労務の専門性で勝負するなら、「給与計算」「社会保険手続き」「採用」などの担当領域と、その対象人数を最初に示しましょう。事務作業の延長ではなく、人事の専門職として経験を積んできたことが伝わります。

事務系の採用で重視されるのは「即戦力」と「適応力」

厚生労働省が2026年9月に公表した「令和7(2025)年転職者実態調査」では、事業所が職種別に転職者を採用した理由を調べています。人事・労務の仕事は「事務的な仕事」という区分に入ります。ただし、この区分には庶務や会計、企画などの事務も含まれ、人事だけの数字ではありません。

事務的な仕事で転職者を採用した理由(厚生労働省 令和7年転職者実態調査)
事業所が事務的な仕事で転職者を採用した理由

出典:令和7(2025)年転職者実態調査の概況(厚生労働省)(表4)

「離職者の補充」を除くと、最も多いのは「経験を活かし即戦力になる」(41.5%)で、次いで「職場への適応力がある」(36.5%)です。適応力は、前回2020年調査の27.7%から大きく増えました。事務の採用では、経験に加えて「新しい職場にすぐなじめるか」も重視されていることがわかります。

人事・労務は、会社ごとに就業規則や給与の仕組み、使うシステムが違う仕事です。前の会社のやり方をそのまま持ち込むのではなく、新しい会社のルールを早く理解できる人かどうかが見られていると考えられます。

職務経歴書への落とし込み方

即戦力は「担当した業務の範囲と規模」で示します。適応力は、システムの入れ替えや法改正、担当替えのあとに、短期間で業務を立て直した経験を書くと伝わります。

規模の大きい事業所ほど、即戦力を求める傾向が強い

同じ調査を事業所の規模別に見ると、「事務的な仕事」の採用理由に「即戦力」を挙げた割合は、1,000人以上の事業所で76.4%、5〜29人の事業所で38.3%でした。規模が大きくなるほど、経験者に即戦力を期待する割合が高くなります。

事務的な仕事の採用理由に「即戦力」を挙げた事業所の割合(事業所規模別、厚生労働省 令和7年転職者実態調査)
「即戦力」を採用理由に挙げた事業所の割合(規模別)

出典:令和7(2025)年転職者実態調査の概況(厚生労働省)(表4)

人事・労務は、会社の規模によって仕事の中身が大きく変わる職種です。数十名の会社なら1人で全領域を兼ねることが多く、数百名を超えると採用・労務・制度などに分かれていきます。だからこそ職務経歴書では、従業員数・拠点数・対象人数を書いて、どの規模の仕事を経験してきたかを示すことが大切です。

人事・労務の職務経歴書テンプレートを無料でダウンロード

採用担当が人事・労務の職務経歴書で見ている3つのこと

ここまでのデータと、採用の現場でよく言われる傾向を踏まえると、人事・労務の採用担当は書類を読みながら次の3つを確認しています。どの項目を書くときも、このどれかが伝わるかを意識しましょう。

  1. 担当領域と規模採用・労務・制度・研修のどこを、何名規模の会社で、どこまで任されていたか。
  2. 改善の実績作業日数・採用単価・充足日数・離職率など、担当してから何がどう良くなったか。
  3. 正確さと法令への対応力給与や手続きを期日どおり正確に回せるか。法改正に合わせて規程や運用を直せるか。

項目別の書き方:OK例とNG例の違い

ここからは項目ごとに、NG例とOK例を並べて解説します。同じ経験でも、書き方ひとつで採用担当の受け取り方は大きく変わります。

職務要約:担当領域・規模・代表的な成果を3〜5行で

職務要約は、採用担当が最初に読む部分です。ここで「自社の求人に合う人か」が判断されます。担当領域・会社の規模・経験年数・代表的な成果を3〜5行にまとめます。

× NG例

大学卒業後、株式会社サンプル工業に入社し、人事部で給与計算や採用など人事全般の業務に携わってまいりました。社員が働きやすい環境づくりを心がけてきました。

ここが惜しい

  1. 「人事全般」では、どの領域をどこまで担当したのかがわかりません。採用担当は、求人のポジションに合うかを判断できません。
  2. 会社の規模や対象人数がないため、仕事の量や難しさが伝わりません。
  3. 「働きやすい環境づくり」は姿勢であって、実績ではありません。何をして、どう変わったかを書く必要があります。

○ OK例

大学卒業後、株式会社サンプル工業(製造業・従業員約500名)に入社し、約7年半、人事・労務業務に従事してまいりました。入社後3年間は約500名分の給与計算と社会保険手続きを担当し、勤怠管理クラウドの導入で月次締めを5営業日から3営業日に短縮しました。2022年からは中途採用も担当し、2024年度は採用目標25名に対して26名を採用しています。

ここが評価される

  1. 「製造業・従業員約500名」で、どんな規模の会社で働いてきたかが一目でわかります。
  2. 労務と採用、それぞれの担当期間と成果が書かれているので、経験の幅が伝わります。
  3. 「5営業日から3営業日」「目標25名に対して26名」と数字があるので、成果の大きさを判断できます。

職務経歴:「対象規模」と「改善前→改善後」をセットで書く

職務経歴は、人事・労務の職務経歴書でいちばん重要な項目です。下の画像の3つのポイントを押さえると、同じ経験でも伝わり方が大きく変わります。

人事・労務の職務経歴の書き方のポイント(注釈付き)
職務経歴の書き方のポイント

特に差がつくのが、労務の実績の書き方です。

× NG例

給与計算、社会保険手続き、勤怠管理を担当。勤怠システムの導入も行いました。

ここが惜しい

  1. 対象人数がないため、10名分なのか500名分なのかがわかりません。人事・労務では、規模によって仕事の難しさがまったく違います。
  2. 「導入も行いました」だけでは、自分の役割も、導入して何が良くなったのかも伝わりません。

○ OK例

【担当】本社・3工場の従業員約500名の給与計算(月次・賞与・年末調整)、社会保険・労働保険の手続き(年間約300件)
【実績】紙のタイムカードから勤怠管理クラウドへの移行を担当。月次締め作業を5営業日から3営業日に短縮

ここが評価される

  1. 「約500名」「3工場」「年間約300件」で、扱ってきた仕事の量が具体的に伝わります。
  2. 「月次・賞与・年末調整」と範囲を書いているので、どこまで任せられるかを判断できます。
  3. 改善前と改善後の日数を並べているので、導入の成果がはっきりします。

採用の実績は「人数+スピード+コスト」で

採用担当の経験は、「目標25名/実績26名(達成率104%)」のように人数を書いたうえで、充足日数(欠員から入社が決まるまでの日数)や採用単価(1名採用するのにかかった費用)の変化を添えましょう。人数だけでは、どれだけ効率よく採用できたかまでは伝わりません。

活かせる経験・知識・スキル:規模の数字を入れて3〜4つに絞る

経験したことを全部並べるのではなく、応募先の仕事で使えるものを3〜4つに絞って箇条書きにします。人事・労務では、それぞれに対象規模の数字を入れるのがコツです。

× NG例

・給与計算
・社会保険の知識
・コミュニケーション能力

ここが惜しい

  1. 業務名だけで、どの規模の業務をどの範囲まで担当できるのかがわかりません。
  2. 「コミュニケーション能力」は誰にでも書けるため、人事の専門性のアピールになりません。

○ OK例

・従業員約500名規模の給与計算・社会保険手続きを、期日どおり正確に回す実務(年末調整を含む)
・中途採用の一連の業務(求人票の作成、採用手法の選定、面接調整、内定条件の提示)
・法改正に合わせた就業規則・社内様式の改定(顧問社会保険労務士と連携)

ここが評価される

  1. 対象規模と業務の範囲まで書いているので、入社後に任せられる仕事が具体的にイメージできます。
  2. 求人票の「必須経験」と言葉をそろえて書くと、採用担当の目に留まりやすくなります。

PCスキル・資格:システム名と「どこまで扱えるか」を書く

人事・労務では、勤怠管理・給与計算・人事管理のクラウドや、採用管理システム(ATS)の経験が評価されやすくなります。製品名を書く場合は、「導入時の初期設定」「管理者としての運用」「日々の入力のみ」など、どこまで扱えたかも添えましょう。Excelは、関数やピボットテーブルを使った人件費・残業時間の集計など、人事の仕事での使い方を書くと実務レベルが伝わります。

資格は、衛生管理者やビジネス・キャリア検定(人事・人材開発、労務管理)などがあれば書きます。社会保険労務士を勉強中の場合は、「学習中」と正直に書くのが基本です。合格していない資格を「取得」に見える書き方にするのは避けましょう。受験予定の年を添えると、学ぶ意欲として伝わります。

自己PR:強みは2つまで、エピソードと数字を添える

自己PRは「強み → それを発揮したエピソード → 結果の数字」の順に書くと説得力が出ます。人事・労務では、正確さのような「守り」の強みと、改善の力のような「攻め」の強みを1つずつ書くと、バランスよく伝わります。

× NG例

私の強みは責任感です。給与計算では毎月ミスがないよう注意して作業し、社員から信頼されていました。

ここが惜しい

  1. 「責任感」「注意して作業」は、人事・労務の応募者の多くが書く内容のため、差がつきません。
  2. 「信頼されていた」ことを示す事実がなく、本人の自己評価にとどまっています。

○ OK例

数字で原因を見つけ、仕組みで解決する力
中途採用を担当した当初、欠員が出てから採用まで平均78日かかっていました。ATSで選考の段階ごとの日数を集計したところ、書類選考の回答に平均5日かかっていることが主な原因だとわかりました。各部署の面接官と「書類選考は2営業日以内に回答」というルールを決めた結果、2024年度は平均充足日数を55日まで短縮できました。

ここが評価される

  1. 原因をデータで突き止め、ルールという仕組みで解決しているので、課題解決の進め方が伝わります。
  2. 「78日→55日」という変化が、職務経歴の実績と一致しているので、内容に信頼性が生まれます。
  3. 現場の面接官を巻き込んだ話なので、社内調整の力もあわせて伝わります。
記入見本つきの人事・労務テンプレートを見る

担当領域別:職務経歴書の書き分け方

同じ人事・労務でも、担当領域によって採用担当が見るポイントと、強調すべき数字は大きく変わります。まずは全体像を表で確認し、そのあと自分に近い領域の解説を読んでください。

担当領域採用担当が見るポイント強調したい数字
採用必要な人を、期限と予算の中で集める力採用人数と達成率、充足日数、採用単価
労務・給与・社会保険正確さと、法令に沿って運用する力対象人数、手続き件数、作業日数の短縮
人事制度・評価制度を設計し、現場に定着させる力対象人数、運用開始までの期間、面談の実施率
教育・研修育成の仕組みを作り、効果を出す力研修の本数と受講者数、満足度、定着率

採用担当(新卒・中途)

採用担当は、成果が数字で表しやすい領域です。そのぶん、人数だけでなく「どうやって集めたか」まで書くと差がつきます。新卒か中途か、どの職種を採用してきたかも明記しましょう。

職務経歴書に書きたいこと

  • 新卒・中途の別、採用した職種と年間の採用人数
  • 採用目標と実績、達成率
  • 充足日数や採用単価などの効率の数字
  • 使った採用手法(求人媒体、人材紹介、リファラル、スカウトなど)

記入例

【担当】中途採用(ITエンジニア・営業職、年間30〜40名)
【実績】2025年度:目標35名/実績37名(達成率106%)。スカウト経由の採用比率を15%から40%に高め、採用単価を約20%削減

ポイント

  1. 採用職種と規模を最初に書いているので、応募先の採用ニーズと合うかがすぐにわかります。
  2. 手法の比率とコストの変化を並べることで、自分で採用のやり方を変えたことが伝わります。

よくある落とし穴

「面接を年間200回実施」のように、作業量だけを書くケースです。量は大切ですが、それで何名採用でき、入社後に定着したかまで書かないと評価されません。

労務・給与計算・社会保険

労務は、ミスなく期日どおりに終えることが前提の仕事です。そのため成果は、「正確さを保ったまま、何を効率化したか」で示します。対象人数と作業日数の変化が、いちばん伝わりやすい数字です。

職務経歴書に書きたいこと

  • 給与計算の対象人数と範囲(月次・賞与・年末調整)
  • 社会保険・労働保険の手続き件数
  • 作業日数の短縮や、電子申請・システム導入の実績
  • 法改正への対応(規程や運用をどう直したか)

記入例

【担当】従業員約1,200名・8拠点の給与計算(月次・賞与・年末調整)、社会保険手続き 年間約600件
【実績】給与明細の電子化を推進し、印刷と配布の作業を月2日分削減。改正育児・介護休業法(2025年4月・10月施行)に合わせて育児関連の規程と申請様式を改定

ポイント

  1. 対象人数と拠点数で、複雑な給与計算に対応できることが伝わります。
  2. 法改正の名前と施行時期を書くと、最新の法令に沿って動けることが具体的に伝わります。

よくある落とし穴

「法改正に対応」とだけ書くケースです。どの法改正に、何をして対応したのかを書かないと、実際にどこまで関わったのかが伝わりません。

人事制度・評価

人事制度・評価の担当は、制度を作るだけでなく、現場で使われるところまでが仕事です。「設計した」で終わらせず、「運用が定着した」ことを示す数字を書きましょう。自分が制度づくりのどの段階を担ったのかも明確にします。

職務経歴書に書きたいこと

  • 関わった制度(等級・評価・報酬など)と、対象人数
  • 設計・導入・運用のうち、自分が担当した範囲
  • 運用開始までの期間と、関わった関係者(経営層、各部門など)
  • 評価面談の実施率など、定着を示す数字

記入例

【担当】評価制度の改定プロジェクト(対象:正社員約800名)で、評価項目の設計と管理職向け説明会を担当
【実績】約1年で新制度の運用を開始。管理職向け説明会を計12回実施し、初年度の評価面談の実施率は98%

ポイント

  1. プロジェクトの中での自分の担当範囲を書いているので、実際に任せられることがわかります。
  2. 面談の実施率で、制度が現場に定着したことを示せています。

よくある落とし穴

コンサルティング会社や上司が主導したプロジェクトを、自分が中心だったように書いてしまうケースです。担当範囲をあいまいにすると、面接で詳しく聞かれたときに説明が苦しくなります。

教育・研修(人材開発)

教育・研修の担当は、研修の数よりも、育成の仕組みを作って何が変わったかが見られます。研修を実施した事実に加えて、その後の変化を示す数字を添えるのがポイントです。

職務経歴書に書きたいこと

  • 企画・運営した研修の種類と本数、年間の受講者数
  • 講師を務めたか、運営のみか
  • 受講後のアンケートの満足度や理解度
  • 新入社員の定着率など、育成の結果を示す数字

記入例

【担当】新入社員研修(年間約40名)と階層別研修の企画・運営、一部の講師
【実績】新入社員研修を、配属後の3か月間を含む仕組みに見直し。入社1年以内の離職率を18%から9%に改善

ポイント

  1. 「企画・運営」「一部の講師」と役割を分けて書いているので、どこまでできるかが伝わります。
  2. 離職率の変化で、研修が実際の定着につながったことを示せています。

よくある落とし穴

研修の名前を並べるだけのケースです。研修の目的と、終わったあとに受講者や職場がどう変わったかまで書かないと、企画の力は伝わりません。

あわせて読みたい:総務の職務経歴書の書き方

2026年の人事・労務とAI:職務経歴書にどう書くか

最初にお伝えしておくと、AIをどこまで使うか、応募者にどこまで求めるかは、応募先の規模・業界・社内ルールによって大きく違います。IPA「DX動向2026」では、AIを導入している企業は従業員1,001人以上で8割近くに上る一方、101人以下では16.6%でした。AIを使った経験がないから不利になる、ということはありません。求人票に「生成AI」「AIツール」などの記載があるかを確認し、書く量を調整しましょう。

人事・労務には、ほかの職種と違う点があります。自分がAIを使うだけでなく、社内のAI活用を進める側にも立つことです。dodaの調査(2026年4月発表)では、AIの研修や学びの機会を社員に提供している企業が82.9%、AIスキルのレベルを定義している企業が67.2%でした。定義している企業のうち58.4%は、スキルの水準を組織や個人の評価に含めています。

ただし、この調査の対象は、AIを導入済みの従業員501人以上の企業の人事・採用担当者515人です。また、社員の育成・評価についての数字で、中途採用の選考でAIの経験を確認しているかを示すものではありません。それでも、AI研修の企画やスキルの定義、評価制度への組み込みは、人事の新しい仕事になりつつあると考えられます。

人事・労務で現実的なAIの使い方

2026年時点で、人事・労務の実務で使われやすいのは次のような場面です。どれも、AIが作るのは「たたき台」で、最後の判断と確認は人が行う使い方です。

  • 求人票やスカウト文面のたたき台づくり(職種ごとの書き分け、表現の言い換え)
  • 面接官の評価メモを、評価項目ごとに整理し直す(氏名など個人が特定できる情報は除く)
  • 就業規則や社内規程に関する問い合わせへの回答案、社内FAQの作成
  • 研修資料の構成案や、受講後の確認テストの作成
  • 社内のAI研修の企画・運営や、AI利用ガイドラインづくりへの参加

最後の2つは、人事ならではの関わり方です。研修の受講者数やガイドラインの対象人数など、ほかの研修・制度の実績と同じように規模の数字を添えて書けます。

書き方:「AIを使った」ではなく「何の業務が、どう変わったか」

AIの活用を書くときも、ほかの実績と同じです。どの業務で・どう使い・何が変わったかを書きます。人事・労務の場合は、個人情報をどう扱ったかまで書くと、採用担当が安心して読めます。

× NG例

ChatGPTなどの生成AIを積極的に活用し、採用業務を効率化しました。

ここが惜しい

  1. どの業務に使ったのかがわからず、「使ってみた」程度なのか、業務に定着させたのかを判断できません。
  2. 「効率化」の中身がなく、何がどれだけ変わったのかが伝わりません。
  3. 応募者の情報をどう扱ったかが書かれていないため、人事として情報管理ができる人かが読み取れません。

○ OK例

2025年度:社内のAI利用ルールに沿い、生成AIで求人票のたたき台を作る手順を整備(応募者の個人情報は入力しない運用)。求人票1件の作成時間を約3時間から約1時間に短縮

ここが評価される

  1. 「求人票のたたき台」と業務を限定しているので、どこでAIを使ったのかが具体的にわかります。
  2. 「約3時間から約1時間」と変化を数字で示しているので、効果の大きさが伝わります。
  3. 「社内のAI利用ルール」「個人情報は入力しない」と書いているので、情報管理への意識もあわせて伝わります。

注意点:個人情報を入力しない、盛らない

人事・労務は、応募者や社員の氏名、給与、評価、健康状態など、扱いに特に注意が必要な情報を日常的に扱う仕事です。こうした情報を外部の生成AIに入力しないことは、人事の基本です。職務経歴書でも、社内ルールに従ったことと、個人情報を入れていないことが伝わるように書きましょう。

また、労働条件や法令に関わる文書では、AIの回答が正しいとは限りません。AIの出力を自分で確認し、必要に応じて顧問社会保険労務士などに確認したことも書いておくと安心です。少し試しただけの経験を「AI導入を推進」のように大きく書くのは避けます。面接で詳しく聞かれても説明できる範囲で書くのが基本です。

AIを使っていない・禁止の職場だった人は

個人情報を多く扱う人事部門では、外部の生成AIの利用を禁止したり、制限したりしている会社もあると考えられます。使っていなかったこと自体は、マイナスに受け取る必要はありません。

代わりに書けるのは、勤怠管理クラウドやATSの導入など、新しいツールを業務に取り入れ、業務の流れを見直した経験です。ツールに合わせて手順やルールを整える力は、AIを社内に広めるときにも同じように求められます。応募先がAIの活用を求めている場合は、個人で学んでいる範囲を正直に書き、面接で「個人情報をどう守りながら使うか」を自分の言葉で話せるようにしておきましょう。

実績の数字が書けないときの対処法

「労務は成果が見えにくい」「アシスタント業務が中心だった」という人も、書き方を工夫すれば十分に評価されます。

労務はミスがなくて当たり前で、成果が見えない

正確さそのものを、期間と規模で示します。「約300名分の給与計算を5年間、支給日の遅れなく担当」のように書けば、安定して任せられる人だと伝わります。チェック表の作成など、ミスを防ぐ工夫もあわせて書きましょう。

採用目標の数字を社外に出せない

人数や金額を伏せて、達成率や前年比、充足日数の短縮など割合や期間で書けば、機密に触れずに成果を伝えられます。

アシスタント業務が中心だった

担当した作業の件数と、自分の判断で進めていた範囲を書きます。「入退社手続き 年間約150件の書類作成と届出」「面接日程の調整 月約40件」のように、量と範囲を示しましょう。

小規模な会社で、総務や経理と兼務していた

兼務は「1人で幅広く回せる」という強みになります。業務を領域ごとに分けて書き、それぞれの対象人数や頻度を添えると、経験の幅と深さが整理して伝わります。

あわせて読みたい:アピールできる実績がない人の職務経歴書の書き方

提出前のチェックリスト

書き終えたら、提出前に次の項目を確認しましょう。

  • 職務要約に、担当領域・会社の規模・経験年数・代表的な成果が入っている
  • 給与計算・手続きなどの業務に、対象人数や件数を添えている
  • 実績が「改善前→改善後」や「目標・実績・達成率」の形で書かれている
  • 法改正への対応は、法律の名前と自分がしたことを書いている
  • 従業員の氏名や個別の事情など、社内の個人情報を書いていない
  • AIの活用を書く場合は、使った業務と変化を書き、個人情報を入力していないことが伝わる
  • A4で1〜2枚(多くても3枚以内)に収まり、誤字脱字がない

状況別の無料テンプレート

ブランク、転職回数、未経験…気になる事情があるなら、状況別の記入見本も


職種の書き方はこの記事で、事情の伝え方は状況別の記入見本で。2つを組み合わせれば、書きにくいところも迷わず書けます。

よくある質問

AIを使った経験がないと、人事・労務の転職で不利になりますか?

不利になるとは限りません。AIの導入状況は、会社の規模や業界によって大きく違います。求人票に「生成AI」「AIツール」などの記載がなければ、無理に書く必要はありません。記載がある場合は、システム導入で業務を見直した経験や、個人で学んでいる範囲を正直に書きましょう。

社会保険労務士の資格を勉強中です。書いてもいいですか?

書いて大丈夫です。資格欄に「社会保険労務士試験(〇〇年の受験に向けて学習中)」のように、学習中であることがはっきりわかる形で書きましょう。合格した科目や点数のように確認できない内容は、無理に書かなくてかまいません。

担当した社員のトラブル対応は、実績として書いてもいいですか?

書く場合は、個人が特定できない形にしましょう。人事・労務の職務経歴書は、個人情報の扱い方そのものが見られています。「休職者の復職支援(年間数件)の面談と手続き」のように、件数と自分の役割だけを書けば十分です。

労務から採用など、別の人事領域に応募する場合はどう書けばいいですか?

いまの領域の実績を書いたうえで、応募先の領域に近い経験を強調します。たとえば労務から採用に移るなら、入退社手続きで採用部門と連携した経験や、労働条件を説明してきた経験が活かせます。

人事以外の職種から、人事・労務に応募することはできますか?

応募はできます。その場合は、人事・労務と重なる経験を中心に書きましょう。たとえば管理職として部下の評価や面談をしてきた経験や、総務として入退社の手続きを担当した経験は、人事の仕事につながる経験として伝えられます。

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Author

佐藤 大貴

レジュメラボ編集責任者/アースダイバー代表

佐藤 大貴

人材紹介の会社で、キャリア系メディアの編集長をしていました。転職やキャリアをテーマにした記事づくりに長く関わり、2019年にアースダイバー株式会社を立ち上げました。編集長時代、たくさんの求職者の方やキャ…

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