Guides
書き方ガイド
人事・労務の職務経歴書で評価されるのは、「どの領域を、どの規模で担当し、何をどう良くしたか」が具体的に伝わるかどうかです。「給与計算を担当」「採用業務に従事」と業務名を並べるだけでは、採用担当は任せられる仕事の範囲を判断できません。
人事・労務の仕事は、給与計算や社会保険の手続きのように「ミスなく終えて当たり前」の業務が多く、成果を数字で書きにくいと感じる人も少なくありません。それでも、対象人数や作業日数の変化に目を向けると、書ける数字は意外と見つかります。
この記事では、労務・給与計算から入り、採用も担当するようになった経験約7年半の人の記入例をもとに、項目ごとの書き方と、なぜそう書くと評価されるのかを解説します。採用・労務・人事制度・教育研修という担当領域別の書き分け方も紹介します。
この記事でわかること
無料テンプレート
人事・労務の職務経歴書、記入見本つきのテンプレートがあります
この記事の記入例と同じ形式で、Word・Excel・PDFの3形式。空欄のテンプレートと記入見本がセットになっています。
まずは完成イメージです。従業員約500名のメーカーで、給与計算・社会保険手続きを3年、その後に中途採用と労務管理を担当してきた人を想定しています。画像をタップすると拡大できます。

この記入例と同じ形式のテンプレートを無料で用意しています。Word・Excel・PDFの3形式で、それぞれ空欄テンプレートと記入見本の2点セットです。
書き方の前に、人事・労務の転職市場と、企業が転職者に何を求めているのかを公表データで確認しておきましょう。職務経歴書で何を伝えるべきかが見えてきます。
転職サービスdodaの職種別の集計(doda転職求人倍率レポート)では、人事を含む「企画・管理」の転職求人倍率は2026年8月時点で3.28倍でした。全体の2.86倍を上回っています。同じ年の4月(2.82倍)から4か月続けて上昇しました。

出典:doda転職求人倍率レポート(パーソルキャリア)(2026年9月17日発表、2026年8月分)
ただし、この「企画・管理」には人事のほか、経理・総務・法務・経営企画なども含まれます。人事だけの倍率ではない点に注意してください。一方、同じ月の「事務・アシスタント」は0.65倍で、求人より転職希望者のほうが多い状態です。「人事の専門職」として応募するか、「事務の経験者」として応募するかで、競争の状況は大きく変わると考えられます。
職務経歴書への落とし込み方
人事・労務の専門性で勝負するなら、「給与計算」「社会保険手続き」「採用」などの担当領域と、その対象人数を最初に示しましょう。事務作業の延長ではなく、人事の専門職として経験を積んできたことが伝わります。
厚生労働省が2026年9月に公表した「令和7(2025)年転職者実態調査」では、事業所が職種別に転職者を採用した理由を調べています。人事・労務の仕事は「事務的な仕事」という区分に入ります。ただし、この区分には庶務や会計、企画などの事務も含まれ、人事だけの数字ではありません。

出典:令和7(2025)年転職者実態調査の概況(厚生労働省)(表4)
「離職者の補充」を除くと、最も多いのは「経験を活かし即戦力になる」(41.5%)で、次いで「職場への適応力がある」(36.5%)です。適応力は、前回2020年調査の27.7%から大きく増えました。事務の採用では、経験に加えて「新しい職場にすぐなじめるか」も重視されていることがわかります。
人事・労務は、会社ごとに就業規則や給与の仕組み、使うシステムが違う仕事です。前の会社のやり方をそのまま持ち込むのではなく、新しい会社のルールを早く理解できる人かどうかが見られていると考えられます。
職務経歴書への落とし込み方
即戦力は「担当した業務の範囲と規模」で示します。適応力は、システムの入れ替えや法改正、担当替えのあとに、短期間で業務を立て直した経験を書くと伝わります。
同じ調査を事業所の規模別に見ると、「事務的な仕事」の採用理由に「即戦力」を挙げた割合は、1,000人以上の事業所で76.4%、5〜29人の事業所で38.3%でした。規模が大きくなるほど、経験者に即戦力を期待する割合が高くなります。

出典:令和7(2025)年転職者実態調査の概況(厚生労働省)(表4)
人事・労務は、会社の規模によって仕事の中身が大きく変わる職種です。数十名の会社なら1人で全領域を兼ねることが多く、数百名を超えると採用・労務・制度などに分かれていきます。だからこそ職務経歴書では、従業員数・拠点数・対象人数を書いて、どの規模の仕事を経験してきたかを示すことが大切です。

ここまでのデータと、採用の現場でよく言われる傾向を踏まえると、人事・労務の採用担当は書類を読みながら次の3つを確認しています。どの項目を書くときも、このどれかが伝わるかを意識しましょう。
ここからは項目ごとに、NG例とOK例を並べて解説します。同じ経験でも、書き方ひとつで採用担当の受け取り方は大きく変わります。
職務要約は、採用担当が最初に読む部分です。ここで「自社の求人に合う人か」が判断されます。担当領域・会社の規模・経験年数・代表的な成果を3〜5行にまとめます。
× NG例
大学卒業後、株式会社サンプル工業に入社し、人事部で給与計算や採用など人事全般の業務に携わってまいりました。社員が働きやすい環境づくりを心がけてきました。
ここが惜しい
○ OK例
大学卒業後、株式会社サンプル工業(製造業・従業員約500名)に入社し、約7年半、人事・労務業務に従事してまいりました。入社後3年間は約500名分の給与計算と社会保険手続きを担当し、勤怠管理クラウドの導入で月次締めを5営業日から3営業日に短縮しました。2022年からは中途採用も担当し、2024年度は採用目標25名に対して26名を採用しています。
ここが評価される
職務経歴は、人事・労務の職務経歴書でいちばん重要な項目です。下の画像の3つのポイントを押さえると、同じ経験でも伝わり方が大きく変わります。

特に差がつくのが、労務の実績の書き方です。
× NG例
給与計算、社会保険手続き、勤怠管理を担当。勤怠システムの導入も行いました。
ここが惜しい
○ OK例
【担当】本社・3工場の従業員約500名の給与計算(月次・賞与・年末調整)、社会保険・労働保険の手続き(年間約300件)
【実績】紙のタイムカードから勤怠管理クラウドへの移行を担当。月次締め作業を5営業日から3営業日に短縮
ここが評価される
採用の実績は「人数+スピード+コスト」で
採用担当の経験は、「目標25名/実績26名(達成率104%)」のように人数を書いたうえで、充足日数(欠員から入社が決まるまでの日数)や採用単価(1名採用するのにかかった費用)の変化を添えましょう。人数だけでは、どれだけ効率よく採用できたかまでは伝わりません。
経験したことを全部並べるのではなく、応募先の仕事で使えるものを3〜4つに絞って箇条書きにします。人事・労務では、それぞれに対象規模の数字を入れるのがコツです。
× NG例
・給与計算
・社会保険の知識
・コミュニケーション能力
ここが惜しい
○ OK例
・従業員約500名規模の給与計算・社会保険手続きを、期日どおり正確に回す実務(年末調整を含む)
・中途採用の一連の業務(求人票の作成、採用手法の選定、面接調整、内定条件の提示)
・法改正に合わせた就業規則・社内様式の改定(顧問社会保険労務士と連携)
ここが評価される
人事・労務では、勤怠管理・給与計算・人事管理のクラウドや、採用管理システム(ATS)の経験が評価されやすくなります。製品名を書く場合は、「導入時の初期設定」「管理者としての運用」「日々の入力のみ」など、どこまで扱えたかも添えましょう。Excelは、関数やピボットテーブルを使った人件費・残業時間の集計など、人事の仕事での使い方を書くと実務レベルが伝わります。
資格は、衛生管理者やビジネス・キャリア検定(人事・人材開発、労務管理)などがあれば書きます。社会保険労務士を勉強中の場合は、「学習中」と正直に書くのが基本です。合格していない資格を「取得」に見える書き方にするのは避けましょう。受験予定の年を添えると、学ぶ意欲として伝わります。
自己PRは「強み → それを発揮したエピソード → 結果の数字」の順に書くと説得力が出ます。人事・労務では、正確さのような「守り」の強みと、改善の力のような「攻め」の強みを1つずつ書くと、バランスよく伝わります。
× NG例
私の強みは責任感です。給与計算では毎月ミスがないよう注意して作業し、社員から信頼されていました。
ここが惜しい
○ OK例
数字で原因を見つけ、仕組みで解決する力
中途採用を担当した当初、欠員が出てから採用まで平均78日かかっていました。ATSで選考の段階ごとの日数を集計したところ、書類選考の回答に平均5日かかっていることが主な原因だとわかりました。各部署の面接官と「書類選考は2営業日以内に回答」というルールを決めた結果、2024年度は平均充足日数を55日まで短縮できました。
ここが評価される

同じ人事・労務でも、担当領域によって採用担当が見るポイントと、強調すべき数字は大きく変わります。まずは全体像を表で確認し、そのあと自分に近い領域の解説を読んでください。
| 担当領域 | 採用担当が見るポイント | 強調したい数字 |
|---|---|---|
| 採用 | 必要な人を、期限と予算の中で集める力 | 採用人数と達成率、充足日数、採用単価 |
| 労務・給与・社会保険 | 正確さと、法令に沿って運用する力 | 対象人数、手続き件数、作業日数の短縮 |
| 人事制度・評価 | 制度を設計し、現場に定着させる力 | 対象人数、運用開始までの期間、面談の実施率 |
| 教育・研修 | 育成の仕組みを作り、効果を出す力 | 研修の本数と受講者数、満足度、定着率 |
採用担当は、成果が数字で表しやすい領域です。そのぶん、人数だけでなく「どうやって集めたか」まで書くと差がつきます。新卒か中途か、どの職種を採用してきたかも明記しましょう。
職務経歴書に書きたいこと
記入例
【担当】中途採用(ITエンジニア・営業職、年間30〜40名)
【実績】2025年度:目標35名/実績37名(達成率106%)。スカウト経由の採用比率を15%から40%に高め、採用単価を約20%削減
ポイント
よくある落とし穴
「面接を年間200回実施」のように、作業量だけを書くケースです。量は大切ですが、それで何名採用でき、入社後に定着したかまで書かないと評価されません。
労務は、ミスなく期日どおりに終えることが前提の仕事です。そのため成果は、「正確さを保ったまま、何を効率化したか」で示します。対象人数と作業日数の変化が、いちばん伝わりやすい数字です。
職務経歴書に書きたいこと
記入例
【担当】従業員約1,200名・8拠点の給与計算(月次・賞与・年末調整)、社会保険手続き 年間約600件
【実績】給与明細の電子化を推進し、印刷と配布の作業を月2日分削減。改正育児・介護休業法(2025年4月・10月施行)に合わせて育児関連の規程と申請様式を改定
ポイント
よくある落とし穴
「法改正に対応」とだけ書くケースです。どの法改正に、何をして対応したのかを書かないと、実際にどこまで関わったのかが伝わりません。
人事制度・評価の担当は、制度を作るだけでなく、現場で使われるところまでが仕事です。「設計した」で終わらせず、「運用が定着した」ことを示す数字を書きましょう。自分が制度づくりのどの段階を担ったのかも明確にします。
職務経歴書に書きたいこと
記入例
【担当】評価制度の改定プロジェクト(対象:正社員約800名)で、評価項目の設計と管理職向け説明会を担当
【実績】約1年で新制度の運用を開始。管理職向け説明会を計12回実施し、初年度の評価面談の実施率は98%
ポイント
よくある落とし穴
コンサルティング会社や上司が主導したプロジェクトを、自分が中心だったように書いてしまうケースです。担当範囲をあいまいにすると、面接で詳しく聞かれたときに説明が苦しくなります。
教育・研修の担当は、研修の数よりも、育成の仕組みを作って何が変わったかが見られます。研修を実施した事実に加えて、その後の変化を示す数字を添えるのがポイントです。
職務経歴書に書きたいこと
記入例
【担当】新入社員研修(年間約40名)と階層別研修の企画・運営、一部の講師
【実績】新入社員研修を、配属後の3か月間を含む仕組みに見直し。入社1年以内の離職率を18%から9%に改善
ポイント
よくある落とし穴
研修の名前を並べるだけのケースです。研修の目的と、終わったあとに受講者や職場がどう変わったかまで書かないと、企画の力は伝わりません。
あわせて読みたい:総務の職務経歴書の書き方
最初にお伝えしておくと、AIをどこまで使うか、応募者にどこまで求めるかは、応募先の規模・業界・社内ルールによって大きく違います。IPA「DX動向2026」では、AIを導入している企業は従業員1,001人以上で8割近くに上る一方、101人以下では16.6%でした。AIを使った経験がないから不利になる、ということはありません。求人票に「生成AI」「AIツール」などの記載があるかを確認し、書く量を調整しましょう。
人事・労務には、ほかの職種と違う点があります。自分がAIを使うだけでなく、社内のAI活用を進める側にも立つことです。dodaの調査(2026年4月発表)では、AIの研修や学びの機会を社員に提供している企業が82.9%、AIスキルのレベルを定義している企業が67.2%でした。定義している企業のうち58.4%は、スキルの水準を組織や個人の評価に含めています。
ただし、この調査の対象は、AIを導入済みの従業員501人以上の企業の人事・採用担当者515人です。また、社員の育成・評価についての数字で、中途採用の選考でAIの経験を確認しているかを示すものではありません。それでも、AI研修の企画やスキルの定義、評価制度への組み込みは、人事の新しい仕事になりつつあると考えられます。
2026年時点で、人事・労務の実務で使われやすいのは次のような場面です。どれも、AIが作るのは「たたき台」で、最後の判断と確認は人が行う使い方です。
最後の2つは、人事ならではの関わり方です。研修の受講者数やガイドラインの対象人数など、ほかの研修・制度の実績と同じように規模の数字を添えて書けます。
AIの活用を書くときも、ほかの実績と同じです。どの業務で・どう使い・何が変わったかを書きます。人事・労務の場合は、個人情報をどう扱ったかまで書くと、採用担当が安心して読めます。
× NG例
ChatGPTなどの生成AIを積極的に活用し、採用業務を効率化しました。
ここが惜しい
○ OK例
2025年度:社内のAI利用ルールに沿い、生成AIで求人票のたたき台を作る手順を整備(応募者の個人情報は入力しない運用)。求人票1件の作成時間を約3時間から約1時間に短縮
ここが評価される
人事・労務は、応募者や社員の氏名、給与、評価、健康状態など、扱いに特に注意が必要な情報を日常的に扱う仕事です。こうした情報を外部の生成AIに入力しないことは、人事の基本です。職務経歴書でも、社内ルールに従ったことと、個人情報を入れていないことが伝わるように書きましょう。
また、労働条件や法令に関わる文書では、AIの回答が正しいとは限りません。AIの出力を自分で確認し、必要に応じて顧問社会保険労務士などに確認したことも書いておくと安心です。少し試しただけの経験を「AI導入を推進」のように大きく書くのは避けます。面接で詳しく聞かれても説明できる範囲で書くのが基本です。
個人情報を多く扱う人事部門では、外部の生成AIの利用を禁止したり、制限したりしている会社もあると考えられます。使っていなかったこと自体は、マイナスに受け取る必要はありません。
代わりに書けるのは、勤怠管理クラウドやATSの導入など、新しいツールを業務に取り入れ、業務の流れを見直した経験です。ツールに合わせて手順やルールを整える力は、AIを社内に広めるときにも同じように求められます。応募先がAIの活用を求めている場合は、個人で学んでいる範囲を正直に書き、面接で「個人情報をどう守りながら使うか」を自分の言葉で話せるようにしておきましょう。
「労務は成果が見えにくい」「アシスタント業務が中心だった」という人も、書き方を工夫すれば十分に評価されます。
労務はミスがなくて当たり前で、成果が見えない
正確さそのものを、期間と規模で示します。「約300名分の給与計算を5年間、支給日の遅れなく担当」のように書けば、安定して任せられる人だと伝わります。チェック表の作成など、ミスを防ぐ工夫もあわせて書きましょう。
採用目標の数字を社外に出せない
人数や金額を伏せて、達成率や前年比、充足日数の短縮など割合や期間で書けば、機密に触れずに成果を伝えられます。
アシスタント業務が中心だった
担当した作業の件数と、自分の判断で進めていた範囲を書きます。「入退社手続き 年間約150件の書類作成と届出」「面接日程の調整 月約40件」のように、量と範囲を示しましょう。
小規模な会社で、総務や経理と兼務していた
兼務は「1人で幅広く回せる」という強みになります。業務を領域ごとに分けて書き、それぞれの対象人数や頻度を添えると、経験の幅と深さが整理して伝わります。
あわせて読みたい:アピールできる実績がない人の職務経歴書の書き方
書き終えたら、提出前に次の項目を確認しましょう。
状況別の無料テンプレート
ブランク、転職回数、未経験…気になる事情があるなら、状況別の記入見本も
職種の書き方はこの記事で、事情の伝え方は状況別の記入見本で。2つを組み合わせれば、書きにくいところも迷わず書けます。
不利になるとは限りません。AIの導入状況は、会社の規模や業界によって大きく違います。求人票に「生成AI」「AIツール」などの記載がなければ、無理に書く必要はありません。記載がある場合は、システム導入で業務を見直した経験や、個人で学んでいる範囲を正直に書きましょう。
書いて大丈夫です。資格欄に「社会保険労務士試験(〇〇年の受験に向けて学習中)」のように、学習中であることがはっきりわかる形で書きましょう。合格した科目や点数のように確認できない内容は、無理に書かなくてかまいません。
書く場合は、個人が特定できない形にしましょう。人事・労務の職務経歴書は、個人情報の扱い方そのものが見られています。「休職者の復職支援(年間数件)の面談と手続き」のように、件数と自分の役割だけを書けば十分です。
いまの領域の実績を書いたうえで、応募先の領域に近い経験を強調します。たとえば労務から採用に移るなら、入退社手続きで採用部門と連携した経験や、労働条件を説明してきた経験が活かせます。
応募はできます。その場合は、人事・労務と重なる経験を中心に書きましょう。たとえば管理職として部下の評価や面談をしてきた経験や、総務として入退社の手続きを担当した経験は、人事の仕事につながる経験として伝えられます。
この記事の記入例テンプレートを無料でダウンロード
Word・Excel・PDFの3形式に対応。空欄テンプレートと記入見本のセットです。