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経理・財務の職務経歴書の書き方|採用担当に伝わる記入例と無料テンプレート

経理・財務の職務経歴書の書き方|採用担当に伝わる記入例と無料テンプレート

経理・財務の職務経歴書で採用担当が知りたいのは、「どの規模の会社で、決算のどこからどこまでを担当してきたか」です。「月次決算、年次決算、税務申告を担当」と業務名を並べるだけでは、どこまで任せられる人なのかが伝わりません。

同じ「年次決算を担当」でも、中小企業で税理士と申告書を仕上げる仕事と、上場企業で連結決算をまとめて有価証券報告書を書く仕事では、求められる知識も責任も大きく違います。

この記事では、中小企業の経理全般から上場企業の連結決算・開示まで約12年半を経験した人の記入例をもとに、項目ごとの書き方と評価される理由を解説します。会社の規模・担当範囲別の書き分け方も紹介します。

この記事でわかること

  • 経理・財務の職務経歴書の完成イメージ(記入例)
  • 公的データから見た、経理の求人の状況と決算・税務の「今の当たり前」
  • 項目別の書き方と、OK例・NG例の違いの理由
  • 会社の規模・担当範囲別の書き分け方と、数字が書けないときの対処法
  • 2026年の経理・財務とAI:AIの経験を職務経歴書にどう書くか

無料テンプレート

経理・財務の職務経歴書、記入見本つきのテンプレートがあります

この記事の記入例と同じ形式で、Word・Excel・PDFの3形式。空欄のテンプレートと記入見本がセットになっています。

経理・財務の職務経歴書の記入例

まずは完成イメージです。建材卸の中小企業で経理全般を約4年半経験したあと、上場している化学メーカーに転職し、単体決算を経て連結決算と開示を担当している人を想定しています。職歴は新しい順に書いています。画像をタップすると拡大できます。

経理・財務の職務経歴書の記入例(経理全般から連結決算・開示まで約12年半)
経理・財務の職務経歴書の記入例(A4・2枚)

この記入例と同じ形式のテンプレートを無料で用意しています。Word・Excel・PDFの3形式で、それぞれ空欄テンプレートと記入見本の2点セットです。

データで見る:経理・財務の転職で、職務経歴書が合否を分ける理由

書き方の前に、経理の求人の状況と、決算や税務の実務がいまどうなっているかを、公的なデータで確認しておきましょう。

会計事務の職業は、求人1件に求職者が約2人

厚生労働省の「一般職業紹介状況」から、ハローワークでの職業別の有効求人倍率を見ます。パートを除く常用の求人で、2026年8月の会計事務の職業は0.51倍でした。職業計の1.17倍を大きく下回り、仕事を探している人約2人に対して求人が1件ほどの計算です。

職業別の有効求人倍率。会計事務の職業は0.51倍
職業別の有効求人倍率(ハローワーク、パートを除く常用、2026年8月)

出典:一般職業紹介状況(令和8年8月分)について(厚生労働省) 参考統計表

一般事務の職業(0.29倍)と比べると高いものの、経理の求人にも応募は集まりやすい状況です。この統計はハローワーク経由の求人と求職者だけを集計したもので、転職市場全体をそのまま表すものではありません。それでも、「経理経験あり」だけでは横並びになりやすいことは読み取れます。

職務経歴書への落とし込み方

経理の応募書類は、業務名がほぼ同じになりがちです。差がつくのは、会社の規模(売上・上場区分・連結子会社数)と、決算のどこまでを自分で担当したかです。この2つを職務要約と会社概要の欄で最初に示しましょう。

上場企業の決算発表は、期末から41〜45日目に集中

東京証券取引所の「2026年3月期決算発表状況の集計結果」によると、3月期決算の上場会社2,147社が期末から決算発表までにかかった日数は、平均41.3日でした。

東証上場会社の決算発表までの日数別の割合。41〜45日が78.3%
決算発表までの日数別の割合(2026年3月期、東証上場会社)

出典:2026年3月期決算発表状況の集計結果について(東京証券取引所)

全体の78.3%が41〜45日に集まり、45日以内に発表した会社は98.8%にのぼります。30日以内に発表した会社は10.2%でした。上場企業の経理は、この締め切りから逆算して月次・四半期・年次の決算を組み立てています。

だからこそ、経理の採用担当は「決算を何日で締めてきたか」を気にします。決算の日数は、業務の正確さとスピード、段取りの力をまとめて表す数字だからです。

職務経歴書への落とし込み方

決算の成果は、「◯営業日→◯営業日」のように日数で書きます。上場企業なら決算発表までの日数、中小企業なら月次決算を締めるまでの営業日数が目安です。チームで取り組んだ場合は、自分の担当部分も添えましょう。

法人の税務申告は、約9割が電子申告に

国税庁の「令和6年度におけるオンライン(e-Tax)手続の利用状況等について」では、法人税申告のe-Tax利用率は2024年度に89.1%、消費税申告(法人)は90.2%でした。2020年度からの4年間で、法人税は7.9ポイント、消費税は10.3ポイント上がっています。

法人税申告・消費税申告のe-Tax利用率の推移
法人税申告・消費税申告(法人)のe-Tax利用率(2020〜2024年度)

出典:令和6年度におけるオンライン(e-Tax)手続の利用状況等について(国税庁)

このほか、2023年10月にはインボイス制度が始まりました。電子帳簿保存法では、メールなどで受け取った請求書のような電子取引のデータを電子のまま保存することが求められ、国税庁は2024年1月以降の保存方法を案内しています。ここ数年の経理は、制度の変更とあわせて、紙からデータへの切り替えが一気に進んだ時期だといえます。

職務経歴書への落とし込み方

電子申告や会計ソフトの利用は、いまや多くの会社で当たり前になっています。「e-Taxを使える」と書くより、制度の変更や電子化のときに、自分が何を見直し、どれだけの取引先や件数に対応したかを書くほうが評価につながると考えられます。

経理・財務の職務経歴書テンプレートを無料でダウンロード

採用担当が経理・財務の職務経歴書で見ている3つのこと

ここまでのデータと、採用の現場でよく見られる傾向を踏まえると、経理・財務の採用担当は書類を読みながら次の3つを確認しています。どの項目を書くときも、このどれかが伝わるかを意識しましょう。

  1. 担当範囲と、会社の規模日次・月次・年次決算、連結、税務申告、開示、管理会計、資金繰りのうち、どこまでを自分で担当したか。売上・上場区分・連結子会社数から、扱ってきた決算の重さがわかるか。
  2. 決算の正確さとスピード締めの日数、監査や税務調査への対応、ミスや差異を防ぐ工夫など、期日どおりに正しい数字を出せる根拠があるか。
  3. 仕組みを変えた経験会計システムの導入、決算早期化、インボイス制度・電子帳簿保存法への対応など、仕事のやり方を見直した経験と自分の役割があるか。

項目別の書き方:OK例とNG例の違い

ここからは項目ごとに、NG例とOK例を並べて解説します。

職務要約:会社の規模・担当範囲・代表的な成果を3〜5行で

職務要約は、採用担当が最初に読む部分です。経理の場合は、会社の規模と担当範囲を最初に書き、そのあとに代表的な成果を1つ添えます。

× NG例

大学卒業後、2社で経理業務に従事してまいりました。月次決算、年次決算、税務申告、連結決算など、経理業務全般を幅広く経験しております。

ここが惜しい

  1. 会社の規模がわからないため、どの程度の決算を経験してきたのかを判断できません。
  2. 「経理業務全般」「幅広く」では、どこまでを自分で担当し、どこからが補助だったのかがわかりません。
  3. 成果がないため、決算をこなしてきただけなのか、改善もできる人なのかが伝わりません。

○ OK例

大学卒業後、建材卸の株式会社サンプル建材(非上場・従業員65名)で約4年半、日次から年次決算・税務申告まで経理全般を担当しました。2018年10月に東証スタンダード上場の化学メーカー、株式会社サンプル化成に入社し、単体決算を経て、2022年4月からは連結決算(子会社5社)と決算短信・有価証券報告書の作成を担当しています。決算早期化プロジェクトでは、決算発表を期末後44日から38日に早めました。

ここが評価される

  1. 「非上場・従業員65名」「東証スタンダード上場」と規模を書き分けているので、中小企業と上場企業の両方の経理がわかる人だと伝わります。
  2. 「単体決算→連結決算と開示」と担当の広がりが時系列でわかり、成長の筋道が見えます。
  3. 「期末後44日から38日」と、経理の採用担当になじみのある指標で成果を示しています。

職務経歴:会社概要と「前→後の日数」で決算の重さを伝える

職務経歴は、経理の職務経歴書でいちばん重要な項目です。下の画像の3つのポイントを押さえると、同じ経験でも伝わり方が大きく変わります。

経理・財務の職務経歴の書き方のポイント
職務経歴の書き方のポイント

特に差がつくのが、会社概要と実績の書き方です。会社概要には、資本金や従業員数に加えて、上場区分と連結子会社の数を入れておくと、連結決算や開示の経験の重さが一目で伝わります。

× NG例

【担当】決算業務

【実績】決算の早期化に貢献した

ここが惜しい

  1. 単体か連結か、月次か年次かがわからず、任せられる仕事の範囲を判断できません。
  2. 「貢献した」だけでは、何日早まったのか、自分が何をしたのかがわかりません。

○ OK例

【担当】連結決算(子会社5社:国内3社・海外2社)と開示書類の作成

【実績】2024年度:決算早期化プロジェクト(5名)で連結パッケージの改訂と子会社向け説明会を担当。決算発表を期末後44日(2024年3月期)から38日(2025年3月期)に短縮

ここが評価される

  1. 子会社の数と国内・海外の内訳があるので、連結の難しさの程度が伝わります。
  2. 「5名」のプロジェクトの中で自分が何を担当したかを分けて書いているので、成果を盛っていないことがわかります。
  3. 決算期を添えて前後の日数を書いているので、いつの成果かがはっきりし、数字の信頼性が高まります。

活かせる経験・知識・スキル:担当範囲と規模を入れて3〜4つ

経理の知識を並べるのではなく、応募先の求人票に書かれた業務と重なる経験を、規模の数字とセットで3〜4つに絞ります。

× NG例

・簿記の知識

・決算業務

・コミュニケーション能力

ここが惜しい

  1. 「簿記の知識」は資格欄を見ればわかるため、ここで書く意味がありません。
  2. 「決算業務」だけでは単体か連結か、どの規模かがわからず、ほかの応募者と差がつきません。

○ OK例

・上場企業の連結決算(子会社5社)と、決算短信・有価証券報告書の作成

・中小企業での、日次から年次決算・税務申告までの経理全般

・インボイス制度など制度変更への対応と、他部署・子会社への説明

ここが評価される

  1. 担当範囲と規模が具体的なので、応募先の求人と照らし合わせやすくなっています。
  2. 「他部署・子会社への説明」は、経理が社内を動かす場面で求められる調整の力を示しています。

PCスキル・使用システム・資格:システムは「どこまで関わったか」を書く

経理の書類では、使ってきた会計システムがよく見られます。応募先と同じシステムなら、すぐに業務に入れるからです。システム名に加えて、入力だけか、設定や設計まで関わったかを書きましょう。

× NG例

Excel:上級

会計システム:使用経験あり

ここが惜しい

  1. 「上級」の基準は人によって違うため、何ができるのかがわかりません。
  2. 「使用経験あり」では、仕訳の入力だけなのか、導入や設定まで担当したのかが伝わりません。

○ OK例

Excel:XLOOKUP・SUMIFS関数、ピボットテーブルでの増減分析、VBAでの連結パッケージの取込・照合

ERP(会計):仕訳・固定資産・債権債務の入力と照会、刷新時の勘定科目の設計

ここが評価される

  1. 関数名と用途があるので、決算や分析の作業にそのまま使えるかを判断できます。
  2. 「刷新時の勘定科目の設計」と書いているので、システムの導入や入れ替えのときにも頼れる人だと伝わります。
  3. 記入例では製品名を伏せていますが、実際の書類では会計ソフトやERPの製品名を書くほうが伝わります。

資格欄には、日商簿記検定の級や、税理士試験の科目合格、USCPA(米国公認会計士)などを、取得年月とあわせて書きます。税理士試験の科目合格は、合格した科目名まで書くのが基本です。学習中の資格は「学習中」と明記し、合格済みの資格と区別しましょう。

自己PR:強みは2つまで、決算や制度対応のエピソードと数字を添える

自己PRは「強み → それを発揮したエピソード → 結果の数字」の順に書きます。経理なら、正確さ・スピード・仕組みづくり・社内外との調整のいずれかを軸にすると書きやすくなります。

× NG例

私の強みは、責任感と正確さです。経理として、数字のミスがないよう丁寧に仕事をしてきました。

ここが惜しい

  1. 「正確さ」は経理の応募者の多くが書く強みで、これだけでは差がつきません。
  2. どんな場面で、何をして、どうなったのかがないため、本人の自己評価にとどまっています。

○ OK例

締め切りから逆算して、決算の段取りを組み替える力

2024年度の決算早期化プロジェクトで、連結決算の工程ごとの日数を洗い出しました。子会社からの連結パッケージの差し戻しが毎回20件前後あり、確認に2〜3日かかっていたことが主な原因でした。入力ルールを明確にしたパッケージに改訂して子会社5社に説明した結果、差し戻しは5件以下に減り、決算発表は期末後44日から38日に早まりました。

ここが評価される

  1. 原因を数字で突き止めてから手を打っているので、再現性のある改善だと伝わります。
  2. 「20件前後→5件以下」「44日→38日」と、途中の変化と最終的な結果の両方を書いています。
  3. 子会社5社への説明という、経理の外の人を動かした経験も含まれています。
経理・財務の職務経歴書の記入見本つきテンプレート

担当範囲・会社別:職務経歴書の書き分け方

経理・財務は、会社の規模と担当範囲によって、仕事の中身が大きく変わる職種です。採用担当が見るポイントと、強調すべき数字も変わります。まずは全体像を表で確認し、そのあと自分に近いタイプの解説を読んでください。

タイプ採用担当が見るポイント強調したい数字
中小企業の経理全般一人で決算を回せる守備範囲の広さ経理の人数、月次決算の日数、税理士との分担
上場企業の決算・開示連結・開示の経験と、締め切りを守る力連結子会社数、決算発表までの日数、担当した開示書類
財務・資金調達お金の流れを読み、資金を確保する力取引銀行数、借入・調達の金額、資金繰り表の頻度
経理事務から経理担当へ決算に関わる業務へ広げてきた意欲と土台処理件数、関わった決算の範囲、資格

中小企業の経理全般

経理担当が数名の会社では、日々の仕訳から年次決算まで一通りを担うことが多くなります。採用担当は、一人でどこまで回せるかを見ています。経理の人数と、税理士との分担を書くと、守備範囲が正しく伝わります。

職務経歴書に書きたいこと

  • 経理部門の人数と、自分の担当範囲(日次・月次・年次)
  • 月次決算を何営業日で締めていたか
  • 税務申告での顧問税理士との分担(作成・確認のどちらか)
  • 経理以外に担っていた業務(給与計算、資金繰り、総務など)

記入例

管理部 経理課(経理担当2名)

【担当】日次から年次決算までの経理全般。仕訳入力、売掛金・買掛金の管理(得意先 約300社)、支払・振込(月約400件)、法人税・消費税申告書の作成(顧問税理士が確認)、資金繰り表の作成

【実績】2017年度:銀行明細の取込とExcel照合表を導入し、月次決算を10営業日から6営業日に短縮

ポイント

  1. 部署名に「経理担当2名」と添えることで、決算の多くを自分で担っていたことが伝わります。
  2. 申告書は「作成」が自分で「確認」が税理士と分けているので、税務の経験の深さを正しく判断できます。

よくある落とし穴は、「税務申告を担当」とだけ書いてしまうケースです。実際は税理士が作成し、自分は資料をそろえただけという場合、面接で深く聞かれて食い違いが生まれます。作業の範囲を正直に書くほうが信頼されます。

上場企業の決算・開示

上場企業の経理では、連結決算と開示書類の経験が評価の中心です。決算発表は期末から45日以内がほとんどのため、締め切りの中で、どの工程を担っていたかを具体的に書きます。

職務経歴書に書きたいこと

  • 単体か連結か。連結子会社の数と、国内・海外の内訳
  • 担当した開示書類(決算短信、有価証券報告書のどの部分か)
  • 監査法人への対応(窓口か、資料作成か)
  • 決算発表までの日数と、早期化に関わった経験

記入例

【担当】連結決算(子会社5社:国内3社・海外2社)と開示書類の作成

【内容】連結パッケージの回収・精査、連結精算表の作成、決算短信・有価証券報告書(経理の状況)の作成、監査法人との窓口

ポイント

  1. 有価証券報告書のうち「経理の状況」を担当したと範囲を限定しているので、経験を正しく伝えられています。
  2. 「監査法人との窓口」は、上場企業の経理で求められる説明の力を示しています。

よくある落とし穴は、チームで作った書類を「有価証券報告書を作成」と一言で書くケースです。開示書類は分担して作るのが一般的です。担当した章や注記を書くと、応募先は入社後にどこを任せられるかを判断しやすくなります。

財務・資金調達

財務の担当は、経理のように「正しく記録する」仕事に加えて、資金を確保し、お金の流れを先回りして管理する仕事です。金額の規模と交渉の相手を具体的に書きます。

職務経歴書に書きたいこと

  • 取引のある金融機関の数と、担当した借入・調達の種類
  • 資金繰り表の作成頻度(月次・週次・日次)と、予測の精度
  • 為替・金利の管理や、余剰資金の運用に関わった経験
  • 予算・管理会計など、経営層への報告に関わった経験

記入例

【担当】資金繰り・借入管理(取引金融機関 6行)

【実績】2025年度:設備投資資金として長期借入 計30億円の条件交渉と契約手続きを担当。資金繰り表を月次から週次に切り替え、手元資金の予測と実績の差を月平均約1.2億円から約0.4億円に縮小

ポイント

  1. 金融機関の数と調達額で、扱ってきた取引の規模がわかります。
  2. 予測と実績の差を数字で示しているので、資金繰りの精度を高めたことが伝わります。

よくある落とし穴は、銀行との「調整」「交渉」を、結果のないまま書くケースです。金利や期間などの条件をどう改善したか、資金不足をどう防いだかまで書かないと、交渉の力は伝わりません。

経理事務から経理担当へ

伝票入力や経費精算など、日次の処理が中心だった人が、決算を担う経理担当を目指すケースです。採用担当は、決算に関わる仕事へ自分で範囲を広げてきたかを見ています。処理件数に加えて、決算のどの部分に関わったかを書きます。

職務経歴書に書きたいこと

  • 日次で担当していた処理の種類と件数
  • 月次・年次決算のうち、関わった作業(残高の確認、資料作成など)
  • 自分から引き受けた業務や、範囲が広がった経緯
  • 日商簿記など、知識の裏付けになる資格や学習

記入例

【内容】買掛金の計上と支払処理(月約500件)、経費精算の確認

【実績】2025年度から月次決算の未払費用・前払費用の計上を引き継ぎ、年次決算では固定資産の増減明細の作成を担当

ポイント

  1. 「引き継ぎ」「担当」と書くことで、決算に関わる範囲が広がってきたことが伝わります。
  2. 件数と、決算での具体的な作業名があるので、入社後に任せる仕事をイメージできます。

よくある落とし穴は、関わった決算を「年次決算を担当」と大きく書いてしまうケースです。一部の作業だけの場合は、作業名で書くほうが誤解がありません。今後担当したい範囲は、自己PRや志望動機で前向きに伝えましょう。

あわせて読みたい:経営企画の職務経歴書の書き方

2026年の経理・財務とAI:職務経歴書にどう書くか

最初にお伝えしておくと、AIをどこまで使うか、応募者にどこまで求めるかは、応募先の規模・業界・社内ルールによって大きく違います。IPA(情報処理推進機構)の「DX動向2026」では、AIを導入している企業は従業員1,001人以上で8割近くにのぼる一方、101人以下では16.6%でした。

AIを使った経験がないからといって、書類選考で不利になると考える必要はありません。まずは求人票に「生成AI」「AIツール」などの記載があるかを確認しましょう。記載があれば具体的に書き、なければ職務経歴の中で1行触れる程度で十分です。

パーソルキャリア(doda)が2026年3月に発表した「企業のAI活用実態と人材戦略に関する調査」では、中途採用が今後減る領域として「定型・ルーティン業務中心の職種」が最も多く、次いで「バックオフィス職種」が挙がりました。ただし対象は、AIを導入済みの従業員501人以上の企業の人事・採用担当者515人で、企業全体の傾向ではありません。減ると見込まれているのは入力や転記のような定型作業が中心で、決算の判断や制度への対応、数字にもとづく説明は、引き続き人に任されると考えられます。

経理・財務で現実的なAIの使い方

2026年時点で、経理・財務の実務で現実的なのは、次のような使い方です。AI-OCR(請求書などの紙や画像を読み取ってデータにする仕組み)や会計ソフトの自動仕訳のように、生成AI以外のAIもすでに広く使われています。

  • AI-OCRで請求書・領収書を読み取り、会計ソフトの自動仕訳と組み合わせて入力作業を減らす
  • Excelの関数やマクロ(VBA)の書き方を質問し、照合・集計の作業を自動化する
  • 月次の増減分析や経営会議資料のコメントの下書きをつくり、数字と内容は自分で確認して仕上げる
  • 税制改正などの解説資料を要約し、確認すべき論点を洗い出す(最終確認は原文で行う)
  • 社内向けの経費精算ルールや、インボイス対応の手順書のたたき台をつくる

どれも、AIには「下書き」や「たたき台」を任せ、数字の正しさの確認と判断は自分で行う使い方です。経理では、AIの出力をそのまま使わず、元の帳簿や証憑と照らし合わせて確認することが前提になります。

「何の業務で・どう使い・何が変わったか」を書く

「生成AIを活用」とだけ書いても、採用担当には何ができるのかが伝わりません。ほかの実績と同じように、対象の業務・使い方・結果をセットで書きます。

× NG例

ChatGPTなどの生成AIを活用し、経理業務の効率化に取り組みました。

ここが惜しい

  1. どの業務に、どのように使ったのかがわかりません。「効率化」の大きさも数字がないため判断できません。
  2. 決算の数字や取引先の情報をどう扱ったかが書かれていないため、機密情報を扱う経理を安心して任せられるか判断できません。

○ OK例

2025年度:社内ルールの範囲で生成AIにExcelマクロ(VBA)の作成を補助させ、連結パッケージの取込・照合を自動化。四半期ごとの作業を約5時間から約1.5時間に短縮(決算数値はAIに入力せず、ダミーデータで検証)

ここが評価される

  1. 「連結パッケージの取込・照合」と対象の業務が具体的なので、入社後に活かせる場面をイメージできます。
  2. 「約5時間から約1.5時間」と前後の時間があるので、効果の大きさが伝わります。
  3. 「決算数値はAIに入力せず」「ダミーデータで検証」と書いているので、情報を慎重に扱える人だと伝わります。

使うときの注意点と、書くときの注意点

経理・財務は、公表前の決算の数字や取引先との条件など、外に出してはいけない情報を日常的に扱います。AIの経験を書くときは、次の3点が伝わるようにしましょう。

  • 未公表の決算数値・取引先情報・個人情報をAIに入力しなかった
  • 会社が認めたツールを、社内ルールの範囲で使った
  • AIの出力をそのまま使わず、数字や計算を自分で検証した

使った経験を実際より大きく書くのは避けましょう。数回試しただけなら、PCスキル欄に「生成AIでExcel関数の作成を補助させた経験あり」と書く程度で十分です。

AIを使っていない・禁止の職場だった人は

決算情報や取引先の情報を守るため、生成AIの利用を禁止している経理部門は珍しくありません。その場合、無理にAIの経験を書く必要はありません。情報管理のルールに従って仕事をしてきたこと自体が、経理として大切な姿勢です。

代わりに、経理の仕事を仕組みで速く・正確にした経験を書きましょう。会計システムの導入、銀行明細の取込設定、Excelの照合表、決算スケジュールの見直しなどは、AIを使った効率化と同じ「仕事のやり方を自分で改善できる力」を示します。

実績の数字が書けないときの対処法

「経理は正しくて当たり前。成果と呼べるものがない」と感じる人は少なくありません。経理の成果は、日数・件数・規模・差異の4つで、ほとんど数字に置き換えられます。よくある4つのケースで考えてみましょう。

決算を毎月こなしてきただけで、改善した経験がない

期日を守り続けたこと自体が、経理では評価される実績です。
例:「月次決算(5営業日)を、在籍4年間すべて期日どおりに完了」
監査や税務調査で大きな指摘がなかった場合も、社内の扱いに合わせて書けます。

担当が売掛金や支払など一部の業務に限られていた

一部の担当でも、件数と金額で規模を示せます。
例:「得意先 約300社の売掛金管理(月平均 約12億円)。回収遅れの得意先を毎月一覧にして営業部に共有し、90日超の滞留債権を半年で約4割削減」

システム導入や早期化はチームの成果で、自分の役割が見えにくい

チームの規模と、自分が受け持った部分を分けて書きます。
例:「会計システム刷新プロジェクト(経理部4名・システム部門3名)で、勘定科目と仕訳パターンの整理を担当」
全体の成果(本稼働の時期、短縮した日数)は、自分の担当とつなげて書きます。

売上や利益などの数字を、社外に出してよいかわからない

上場企業なら、決算短信などで公表されている売上高や連結子会社数は書いて問題ありません。非上場の会社では、「売上高 約40億円」のような概数や、「前年比 約2割増」のような比率で書く方法があります。
取引先名や未公表の数字は、職務経歴書に書かないのが原則です。この配慮そのものが、情報を扱う経理としての信頼につながります。

あわせて読みたい:アピールできる実績がない人の職務経歴書の書き方

提出前のチェックリスト

書き終えたら、提出前に次の項目を確認しましょう。

  • 会社概要に、売上高・上場区分(非上場も含む)・連結子会社数を書いている
  • 職務要約に、経験年数・担当範囲・代表的な成果が入っている
  • 日次・月次・年次決算、連結、税務、開示のうち、自分の担当範囲を正確に書いている
  • 決算の成果を「◯営業日→◯営業日」など前後の数字で1つ以上書いている
  • チームでの成果は、自分の担当部分を分けて書いている
  • AIの経験を書く場合は、業務・使い方・変化と、機密情報の扱いで気をつけたことを書いている
  • 未公表の数字や取引先名を書いていない。誤字脱字・金額の桁の誤りがない

経理の書類は、数字の正確さそのものを見られていると考えておきましょう。「億円」と「百万円」の混在や、年度と決算期の取り違えは、ほかの職種以上に目立ちます。

状況別の無料テンプレート

ブランク、転職回数、未経験…気になる事情があるなら、状況別の記入見本も


職種の書き方はこの記事で、事情の伝え方は状況別の記入見本で。2つを組み合わせれば、書きにくいところも迷わず書けます。

よくある質問

税理士試験の科目合格や、学習中の資格は書いてもよいですか?

書いて構いません。科目合格は「税理士試験 簿記論 合格」のように科目名と合格年月を書きます。学習中の資格は「学習中」と明記し、受験予定の時期を添えると、学ぶ姿勢が具体的に伝わります。

応募先と使っている会計システムが違うと不利ですか?

システムが違っても、仕訳や決算の考え方は共通です。設定の変更や導入に関わった経験、複数のシステムを使った経験があれば、新しいシステムにも慣れやすい人だと伝わります。

決算の一部しか担当していなくても「年次決算」と書いてよいですか?

一部の担当なら、作業名で書くほうが正確です。「年次決算のうち、固定資産と引当金の計算を担当」のように範囲を書けば、経験を小さく見せることなく、面接での食い違いも防げます。

前職の売上高や取引先名は、どこまで書いてよいですか?

売上高や従業員数は、公表されている範囲か概数で書けば問題ありません。取引先名や未公表の決算数値は書かないのが原則です。「大手メーカー向け」のように、業種や規模で表すとよいでしょう。

AIを使った経験がないと、経理の転職で不利になりますか?

AIの活用をどの程度求めるかは応募先によって大きく違い、経験がないことだけで不利になるとは限りません。求人票に生成AIやAIツールの記載がある場合は、会計システムの導入やExcelでの自動化など、仕事のやり方を改善した経験を具体的に書き、新しいツールを覚えることに前向きな姿勢を伝えましょう。

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佐藤 大貴

レジュメラボ編集責任者/アースダイバー代表

佐藤 大貴

人材紹介の会社で、キャリア系メディアの編集長をしていました。転職やキャリアをテーマにした記事づくりに長く関わり、2019年にアースダイバー株式会社を立ち上げました。編集長時代、たくさんの求職者の方やキャ…

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