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研究・開発(R&D)の職務経歴書の書き方|採用担当に伝わる記入例と無料テンプレート

研究・開発(R&D)の職務経歴書の書き方|採用担当に伝わる記入例と無料テンプレート

研究・開発(R&D)の職務経歴書で採用担当が知りたいのは、論文の数や専門用語の多さではありません。「どの技術を、どの用途で研究し、事業にどうつなげたか」がテーマごとに伝わるかどうかです。

一方で、未公開のテーマは書けず、製品化まで届かなかったテーマも多いのが研究職です。守秘を守りながら成果と自分の貢献をどう示すかが、最大の壁になります。

この記事では、化学メーカーで機能性樹脂の研究開発を約11年半経験した人の記入例をもとに、項目ごとの書き方を解説します。研究テーマの抽象度の決め方、特許・論文の書き方、研究の段階別・博士やポスドクからの書き分けも紹介します。

この記事でわかること

  • 研究・開発(R&D)の職務経歴書の完成イメージ(記入例)
  • 公的統計で見る、企業の研究と研究者の移動の実態
  • 守秘義務に触れない、研究テーマの書き方と抽象度の決め方
  • 特許出願・論文・学会発表を、件数と立場でまとめる方法
  • 基礎研究・応用研究・製品開発、博士・ポスドクからの転職の書き分け方
  • 実験データの解析やAIの活用を、実験での確かめ方とセットで書くコツ

無料テンプレート

研究・開発(R&D)の職務経歴書、記入見本つきのテンプレートがあります

この記事の記入例と同じ形式で、Word・Excel・PDFの3形式。空欄のテンプレートと記入見本がセットになっています。

研究・開発(R&D)の職務経歴書の記入例

まずは完成イメージです。大学院(応用化学専攻)を修了して化学メーカーに入社し、塗料用添加剤とハードコート樹脂の2テーマで製品化を経験した主任研究員を想定しています。画像をタップすると拡大できます。

研究・開発(R&D)の職務経歴書の記入例(化学メーカーの研究職 約11年半)
研究・開発(R&D)の職務経歴書の記入例(A4・2枚)

この記入例と同じ形式のテンプレートを無料で用意しています。Word・Excel・PDFの3形式で、それぞれ空欄テンプレートと記入見本の2点セットです。

データで見る:企業の研究と、研究者の転職

書き方の前に、企業の研究の性格と研究者の移動を、公的統計で確認しておきましょう。総務省の「科学技術研究調査」によると、2025年3月31日現在の研究者は91万2800人で、そのうち企業の研究者は52万6300人です。

企業の研究費は約8割が「開発研究」。大学等は半分以上が「基礎研究」

同じ調査では、研究費を「基礎研究」「応用研究」「開発研究」の3つに分けて集計しています。2024年度、企業が自然科学に使った研究費のうち、開発研究は77.8%、基礎研究は6.9%でした。大学等は逆で、基礎研究が53.1%を占めます。

研究費の性格別の割合(企業と大学等、総務省 科学技術研究調査 2024年度)
研究費の性格別の割合(2024年度)

出典:2025年(令和7年)科学技術研究調査結果(総務省統計局)(表2-5・表2-6。大学等は「統計でみる日本の科学技術研究」 図4)

調査の用語の解説では、開発研究を「新しい製品、サービス、システム、装置、材料、工程等の創出又は既存のこれらのものの改良を狙いとする研究」としています。企業の採用担当が「その研究は事業にどうつながったか」を聞くのは、このためです。

職務経歴書への落とし込み方

テーマの成果は「製品化」「量産移管」「顧客評価」「次の段階へ移管」のどこまで進んだかで締めましょう。基礎寄りの研究でも、想定していた製品や事業を一言添えると伝わり方が変わります。

外部から加わる研究者は「転入」が「新規採用」を上回る

科学技術研究調査は、研究者として外部から加わった人も集計しています。2024年度の転入研究者は4万4924人で、前年度より7.5%増えました。新規採用者の3万5904人を上回り、2015年度以降で最も多い数です。

研究者の新規採用者数と転入研究者数の推移(総務省 科学技術研究調査 2015〜2024年度)
研究者の新規採用者数と転入研究者数の推移

出典:2025年(令和7年)科学技術研究調査結果(総務省統計局)(表1-11)

転入研究者は、調査票で「転入前の勤務先」を記入する区分で、前の勤務先から移ってきた研究者を指します。出向や大学どうしの移動も含むため、企業への転職者だけの数ではありません。それでも、研究者が組織を移ること自体は、もう珍しくないと読み取れます。

職務経歴書への落とし込み方

前の会社の研究の中身は持ち出せません。持ち込めるのは、専門分野、使える手法、テーマを進めた経験です。テーマの中身より「何ができる人か」が伝わる書き方を優先しましょう。

製品開発の技術者の有効求人倍率は2.33倍

厚生労働省の「一般職業紹介状況」では、2026年8月の「製造技術者(開発)」の有効求人倍率は2.33倍でした(常用・パートタイムを除く)。職業計の1.17倍の2倍近くで、求職者1人に対して求人が2件以上ある状態です。有効求人は前年同月より4.1%増え、有効求職者は3.5%減っています。

職業別の有効求人倍率(厚生労働省 一般職業紹介状況 2026年8月)
職業別の有効求人倍率(2026年8月)

出典:一般職業紹介状況(令和8年8月分)参考統計表(厚生労働省)(2026年10月2日公表)

この参考統計表には、研究所の「研究者」だけの区分は載っていません。ここでは、メーカーで製品の開発に携わる技術者の区分で見ています。ハローワーク経由の数字で、転職サービスや大学の公募は含みません。

職務経歴書への落とし込み方

研究・開発の求人は、分野や手法の条件が具体的に書かれていることが多いと考えられます。求人票の「必須」「歓迎」の言葉を、職務要約と専門分野の欄でも使いましょう。専門が少しずれる場合は、共通する手法や評価方法を前に出します。

研究・開発(R&D)の職務経歴書テンプレートを無料でダウンロード

採用担当が研究・開発(R&D)の職務経歴書で見ている3つのこと

研究職の書類は、人事に加えて配属先の研究所の責任者も読むことが多いと言われます。専門外の人にも専門家にも伝わるように、次の3つを意識しましょう。

  1. 専門と応募先のテーマが重なるかどの材料・技術を、どの用途で研究してきたか。専門分野と使える分析・評価の手法が、応募先の研究テーマや製品とどこまで重なるかを最初に確認します。
  2. 研究を成果まで運べるかテーマを製品化・量産・顧客採用まで進めた経験があるか。企業の研究開発では、論文の数より「事業にどうつながったか」が重く見られます。
  3. 自分の貢献と進め方チームの中での役割、発明者としての立場、社内外との連携、試作の絞り込み方。チームの成果の中で本人が何を担い、どう進めたかを読み取ろうとしています。

項目別の書き方:OK例とNG例の違い

ここからは項目ごとに、NG例とOK例を並べて解説します。研究職では、職務経歴の前に「研究テーマをどこまで書くか」を決めておくと、全体がぶれません。

職務要約:「専門分野・テーマ・成果」を数字入りで3〜5行に

職務要約は、採用担当が最初に読む部分です。経験年数・専門分野・用途・製品化などの代表的な成果を3〜5行にまとめます。専門分野は「新素材」のような大きな言葉ではなく、材料や技術の種類まで書きます。

× NG例

大学院修了後、化学メーカーの研究所に入社し、新素材の研究開発に携わってまいりました。日々実験と評価を重ね、製品の性能向上に貢献してきました。

ここが惜しい

  1. 「新素材」では、どの材料をどの用途で研究してきたのかがわかりません。
  2. 「性能向上に貢献」に数字がなく、製品化したのか、研究段階で終わったのかが読み取れません。
  3. 経験年数も役割も書かれておらず、入社後に任せられる範囲を判断できません。

○ OK例

大学院(応用化学専攻)修了後、株式会社サンプルケミカルで約11年半、機能性樹脂の研究開発に従事してきました。塗料用添加剤とUV硬化型ハードコート樹脂の2テーマで製品化までを担当し、ハードコート樹脂は2025年度売上約8億円の製品になりました。特許出願は7件(うち筆頭発明者3件)です。2022年からは大学との共同研究でテーマリーダーを務めています。

ここが評価される

  1. 「機能性樹脂」「塗料用添加剤」「UV硬化型ハードコート樹脂」と、専門と用途が一文でわかります。
  2. 製品化した件数と売上の規模で、研究が事業につながったことが伝わります。
  3. 特許出願の件数に「うち筆頭発明者」を添えると、チームの中での貢献の大きさがわかります。

研究テーマの書き方:守秘を守る「抽象度」を決める

研究職の職務経歴書で一番迷うのが、テーマをどこまで具体的に書くかです。具体的すぎると守秘義務に触れ、抽象的すぎると何の専門家かが伝わりません。おすすめは「用途+材料・技術の種類」までを書き、組成や条件は書かない、という線引きです。

抽象度書き方の例判断
高すぎる新素材の研究、高分子の研究専門が伝わらない
ちょうどよいディスプレイ用フィルム向けUV硬化型ハードコート樹脂の開発用途と材料の種類がわかり、中身は明かさない
具体的すぎる〇〇社向け、△△骨格のモノマーを30%配合した組成の開発組成・顧客名が守秘に触れるおそれ

情報は、次の3つに分けて考えると整理しやすくなります。

  • そのまま書ける:発売済みの製品の用途、公開された特許や論文の件数、会社が発表した共同研究の相手先
  • 言い換えて書く:未公開のテーマ(用途と材料の種類まで)、性能(前後の数字や従来品との比較)、顧客(「顧客2社」「大手電機メーカー」)
  • 書かない:組成・配合・製造条件、社内のテーマ名やコード名、未公開の発明の内容、出願前の技術

判断に迷う項目は、在籍中の会社の情報管理のルールに合わせます。退職後も守秘義務が続く契約になっていることがあるため、退職済みの会社のテーマも同じ基準で書きましょう。面接で詳しく聞かれたときも、「公開されている範囲でお話しします」と線を引ける人は、むしろ信頼されます。

職務経歴:テーマごとに「役割・担当・成果」をセットで書く

研究職の職務経歴は、部署ごとではなく研究テーマごとに書くのが基本です。1つのテーマはテーマ・役割(チーム人数)・連携先・担当・成果の形にそろえます。下の画像の3つのポイントを押さえましょう。

研究・開発(R&D)の職務経歴の書き方のポイント(注釈付き)
職務経歴の書き方のポイント

× NG例

ディスプレイ向けの新規材料の開発を担当。顧客と協力しながら多くの試作を重ね、高性能な製品の上市を実現しました。特許も複数出願しています。

ここが惜しい

  1. チームの人数や役割がなく、リーダーだったのか担当者だったのかがわかりません。
  2. 「高性能」「多くの試作」では、何がどれだけ良くなったのか、どう進めたのかが伝わりません。
  3. 「特許も複数」では件数も、発明者としての立場もわかりません。

○ OK例

【テーマ】ディスプレイ用フィルム向けUV硬化型ハードコート樹脂の開発
役割:テーマリーダー(チーム5名) 連携先:顧客2社、自社工場の製造部
担当:顧客との仕様調整、配合設計、パイロットから量産へのスケールアップ
成果:鉛筆硬度3Hを保ったまま、屈曲試験の合格回数を従来品の5万回から20万回に向上。実験計画法で試作を当初計画の約120回から約50回に削減。2021年に製品化(2025年度売上約8億円)。特許出願3件(うち筆頭発明者2件)、国内学会発表1件

ここが評価される

  1. 性能を「従来品の5万回から20万回」と前後の数字で示しているので、成果の大きさを客観的に判断できます。
  2. 実験計画法で試作を約120回から約50回に減らしたと書くことで、研究の進め方の確かさが伝わります。実験計画法は、少ない試行で条件の影響を調べる統計の手法です。
  3. 製品化の年と売上、特許の件数と立場までそろっていて、研究が事業になったことがひと目でわかります。

「鉛筆硬度3Hを保ったまま」の一言にも意味があります。ある性能を上げると、別の性能は下がりがちだからです。何を守りながら何を上げたかを書くと、難しさが専門外の人にも伝わります。

事業への貢献は「どの段階まで運んだか」で示す

製品化前なら「顧客2社でサンプル評価中」「事業部に移管」のように、次の段階へ進めた事実を書きます。売上は、会社が公表している範囲か「約8億円」のような丸めた規模にとどめましょう。

研究成果のまとめ:特許・論文・学会発表は「件数と立場」で

特許・論文・学会発表は、職務経歴の各テーマに書いたうえで、「研究成果のまとめ」として1か所に集計すると全体がひと目でわかります。番号や発明の名称は書かず、件数と立場で示すのが基本です。

× NG例

特許:特開20XX-XXXXXX「〇〇組成物およびその製造方法」ほか多数
論文・学会発表:多数

ここが惜しい

  1. 公開前の内容や社内の情報が混ざるおそれがあり、番号や名称を並べると守秘の面で不安を持たれます。
  2. 「多数」では規模がわからず、筆頭か共同かも読み取れません。
  3. 製品化の実績が書かれておらず、研究が事業にどうつながったのかが伝わりません。

○ OK例

製品化:2件(2018年・2021年) 特許出願:7件(うち筆頭発明者3件)
学会発表:3件(国内2件・国際1件) 論文:共著1報(共同研究先の大学と)

ここが評価される

  1. 製品化・特許・学会・論文を1か所にまとめているので、職務経歴を読み込まなくても全体がつかめます。
  2. 件数は職務経歴のテーマごとの数字の合計と一致させています(特許2件+3件+2件=7件)。
  3. 番号や名称を書かず件数と立場で示すことで、守秘への配慮も伝わります。面接で聞かれたら、公開されている範囲で説明します。

書き分けのポイントは次のとおりです。

  • 特許:「出願」と「登録」を分けます。登録まで進んだものは「出願7件(うち登録2件)」のように書きます。特許出願は原則として出願から1年6か月で公開されるため、未公開の出願は件数だけにします。
  • 発明者としての立場:「筆頭発明者」「共同発明者」を添えます。発明者に名前が載っていない関与は、件数に数えません。
  • 論文:「査読付き」かどうかと、筆頭著者か共著かを書きます。社内の技術報告書は論文に含めません。
  • 学会発表:国内・国際、口頭・ポスターを分けます。招待講演や学会の賞は別に1行で書くと目に留まります。

活かせる経験・専門分野・分析技術:専門は年数、分析・評価は手法名で

「活かせる経験」は3つ程度に絞り、専門分野と分析・評価の技術は別の表に分けます。研究職の採用では「その装置を使えるか」「その評価ができるか」が具体的に確認されます。

× NG例

・高分子化学の専門知識
・各種分析機器の使用経験
・粘り強さ

ここが惜しい

  1. 「各種分析機器」では、どの機器でどんな評価ができるのかがわかりません。
  2. 「専門知識」「粘り強さ」は、研究職の応募者の多くが書く言葉で、差がつきません。
  3. 経験年数がなく、どれくらいの深さで取り組んできたのかを判断できません。

○ OK例

・分子設計から量産へのスケールアップまで、樹脂材料を製品化した経験(2件)
・実験計画法とデータ解析で、試作の回数を減らして開発を速める手法
専門分野:高分子合成(ラジカル重合、11年半)、UV硬化型樹脂の配合設計(7年半)
分析・評価:NMR、GPC、DSC、FT-IR、動的粘弾性、塗膜評価(硬度・密着性・屈曲性)

ここが評価される

  1. 「スケールアップまで」と書くことで、研究室の外まで責任を持てる人だと伝わります。
  2. 分析機器と評価方法を具体名で並べているので、応募先の設備で何ができるかを判断しやすくなります。
  3. 専門分野の年数は職務経歴の期間(入社から11年半、ハードコートのテーマから7年半)と一致させています。

分析機器は、「自分で測定・解析できる」ものと「結果を読める」ものを分けておくと、面接で深掘りされても困りません。

自己PR:強みは2つまで。研究のエピソードと数字で裏付ける

自己PRは「強み → 発揮したエピソード → 結果の数字」の順に書きます。研究職の自己PRで避けたいのは、「探究心」「粘り強さ」だけで終わることです。企業が求めているのは、期限と費用の中で研究を成果に変える力です。

× NG例

私の強みは探究心です。わからないことがあれば徹底的に調べ、納得できるまで実験を繰り返してきました。最近はAIも研究に活用しています。

ここが惜しい

  1. 「探究心」は研究職の応募者のほぼ全員が書く言葉で、それだけでは違いが伝わりません。
  2. 「納得できるまで実験を繰り返す」は、企業では期限や費用を意識していないと受け取られるおそれがあります。
  3. 「AIも活用」は、何にどう使い、結果をどう確かめたかがわからず、自己評価にとどまっています。

○ OK例

顧客の要望を数値の目標に置き換え、製品化までやり切る力
ハードコート樹脂の開発では、顧客の「折り曲げても割れない」という要望を、屈曲試験20万回という目標に置き換えました。実験計画法で試作を約50回に抑え、工場と量産条件を詰めて、2021年に製品化しました。

ここが評価される

  1. あいまいな要望を測れる目標に変えた、という企業の研究者らしい強みが具体的に伝わります。
  2. 目標・進め方・結果が、職務経歴の数字(20万回、約50回、2021年製品化)と一致しています。
  3. 記入例では2つ目の強みとして、大学との共同研究を進めた力も書いています。社内と社外、2つの場面で強みを示すと、任せられる仕事の幅が伝わります。
  4. データ解析やAIを使った経験は、職務経歴の【取り組み】のように「社内ルールの範囲で使い、最後は実験で確かめた」とセットで書くと、結果に責任を持てる人だと伝わります。
記入見本つきの研究・開発(R&D)向けテンプレートを見る

研究の段階・経歴別:職務経歴書の書き分け方

同じ研究職でも、基礎研究・応用研究・製品開発のどこを担ってきたか、どこに応募するかで、採用担当が見るポイントと強調すべき経験は変わります。総務省の科学技術研究調査の定義も参考に、全体像を表で確認しましょう。

タイプ主な仕事採用担当が見るポイント強調したい経験・数字
基礎研究新しい現象や原理を見つける新しい知見を生み、事業の種につなげる力特許出願・論文、社内の次の段階への移管、外部との連携
応用研究特定の用途で実用化できるかを確かめる技術の見極めと、テーマを前に進める判断目標値の達成、顧客評価・サンプル出荷、テーマの継続・中止の判断
製品開発製品・材料・工程をつくる、改良する仕様・コスト・納期を守って量産まで運ぶ力製品化の年と売上規模、量産移管、品質・コストの数字
博士・ポスドクから企業へ大学・公的機関で研究を行う研究の進め方と、企業の研究に移せる力論文(筆頭・査読付き)、外部資金、共同研究、装置の立ち上げ・指導

基礎研究(コーポレート研究所など)に応募する

企業の基礎研究は、すぐには製品にならない「次の事業の種」を探す仕事です。企業が自然科学に使った研究費のうち6.9%と小さく、ポジションも限られます。新しい知見を生む力に加えて、それを事業の候補に結びつける視点があるかが見られます。

職務経歴書に書きたいこと

  • 研究分野と、その分野で見つけた新しい知見(公開済みの範囲で)
  • 特許出願・論文の件数と、筆頭かどうか
  • 社内の応用研究・事業部へ移管したテーマ
  • 大学・公的機関との共同研究や、外部資金の獲得

記入例

【テーマ】次世代電池向け固体電解質の材料探索(基礎研究)
役割:研究員(チーム3名) 連携先:大学の研究室
成果:新しい組成の系を見つけ、特許出願2件(うち筆頭発明者1件)、査読付き論文2報(うち筆頭1報)。2023年に電池材料の応用研究テーマとして社内移管

ポイント

  1. 「社内移管」と書くことで、基礎研究の成果が次の段階に進んだことが伝わります。
  2. 組成の中身は書かず、「新しい組成の系」とだけ書いて守秘を守っています。

よくある落とし穴

現象の説明だけで終わり、その知見が何に使えるのかが書かれていないケースです。想定していた用途を一言添えましょう。

応用研究に応募する

応用研究は、技術が特定の用途で使えるかを確かめ、実用化の可否を判断する段階です。目標値を決め、見込みを判断しながらテーマを前に進めた経験が評価されます。記入例の人物の直近のテーマは、この段階にあたります。

職務経歴書に書きたいこと

  • 最初に置いた目標値と、到達した値
  • 顧客評価・サンプル出荷など、社外の評価に進んだ事実
  • テーマの継続・方向転換・中止を判断した経験
  • 研究計画や報告会など、進捗を管理した方法

記入例

【テーマ】バイオマス由来のコーティング用樹脂の開発(大学と共同研究)
役割:テーマリーダー(6名、若手3名を指導) 連携先:大学、原料メーカー
成果:バイオマス度50%で石油由来品と同等の耐熱性を確認。2025年から顧客2社でサンプル評価中

ポイント

  1. 製品化前でも、「同等の耐熱性を確認」「顧客2社でサンプル評価中」と、どこまで進んだかがわかります。
  2. 売上がまだなくても、次の段階に進んだ事実は立派な成果です。

よくある落とし穴

「〇〇を検討中」とだけ書き、どこまで進んだかがわからないケースです。到達した値と、いまどの段階にあるかを書きましょう。

製品開発(開発研究)に応募する

製品開発は、企業の研究費の約8割を占める開発研究の中心です。仕様・コスト・納期を守って、製品を量産まで運べるかが見られます。

職務経歴書に書きたいこと

  • 開発した製品の用途と、製品化・発売の年
  • 売上や採用顧客数など、事業としての規模(公表範囲・丸めた数字で)
  • 工場への量産移管、スケールアップ、品質の確保
  • 顧客・営業・製造など、関わった部門と自分の役割

記入例

【テーマ】常温で保存できる飲料用乳化剤の配合開発
役割:開発担当(チーム3名) 連携先:営業部、自社工場、顧客の開発部門
成果:常温保存3か月で分離しない配合を確立。工場での試作3回で量産条件を決め、2024年に発売。発売1年で顧客5社が採用

ポイント

  1. 「試作3回で量産条件を決めた」と書くと、工場と連携して手戻りなく進めたことが伝わります。
  2. 採用顧客の数は、売上を書けないときにも使える事業の数字です。

よくある落とし穴

製品名や型番をそのまま並べるケースです。応募先には何の製品かが伝わりません。「〇〇用の△△材料」のように用途と種類で書きましょう。

博士・ポスドク(大学・公的研究機関)から企業へ

大学や公的研究機関から企業に移る人は、研究の中身より研究の進め方を伝えることを意識しましょう。大学等と企業では研究の性格が違うからこそ、企業の研究に持ち込める力を言葉にして示す必要があります。

職務経歴書に書きたいこと

  • 博士課程・ポスドクの研究テーマ(専門外の人にもわかる言葉で)
  • 論文の件数(査読付き・筆頭)と学会発表
  • 研究費の獲得、共同研究先の企業、装置の立ち上げや学生の指導
  • 研究の手法・分析技術のうち、応募先で使えるもの

記入例

〇〇大学大学院 工学研究科 博士後期課程(2019年4月〜2022年3月)
国立研究開発法人〇〇研究所 特別研究員(任期付き、2022年4月〜現在)
【テーマ】高分子膜を使った気体の分離(二酸化炭素の回収)
成果:査読付き論文5報(うち筆頭3報)、国際学会発表4件。企業との共同研究で膜の試作評価を担当。科研費の若手研究に採択

ポイント

  1. 博士課程は学歴ですが、研究の中身は職務経歴書に「研究歴」として書いてかまいません。ポスドクは雇用なので職歴として書きます。
  2. 企業との共同研究の経験は、企業の研究への適性を示す材料になります。相手先の社名は、公表されていなければ「化学メーカー」のように書きます。

大学での研究は論文として公開されていることが多く、企業の研究者より具体的に書ける場合があります。ただし、論文のタイトルを並べても専門外の人には伝わりません。職務経歴書には件数と分野を書き、一覧は別紙の研究業績リストにまとめましょう。

よくある落とし穴

「〇〇の機構を解明」のように学術的な成果だけを書くケースです。使える手法、期限内に成果を出した経験、分担して進めた経験を、応募先のテーマに合わせて選びましょう。

あわせて読みたい:品質管理・品質保証の職務経歴書の書き方

2026年の研究・開発とAI:職務経歴書にどう書くか

最初にお伝えしたいのは、AIの使い方や、AIの経験を求める度合いは応募先によって大きく違うということです。情報処理推進機構(IPA)の「DX動向2026」では、AIを導入している企業は従業員1,001人以上で8割近くにのぼる一方、101人以下では16.6%でした。研究所では、未公開のデータを守るために社外のAIサービスを制限している会社も少なくありません。

求人票に「マテリアルズ・インフォマティクス」「機械学習」「AI」などの言葉があれば、職務経歴の【取り組み】として詳しく書きましょう。記載がなければ、データ解析の欄に1行添える程度で十分です。

研究・開発で現実的なAIの使い方

2026年時点で、研究の現場で見られる使い方には次のようなものがあります。

  • 過去の実験データで物性を予測し、試す候補を絞る(材料分野ではマテリアルズ・インフォマティクスと呼ばれます)
  • 公開された論文や特許の調査で、要約や翻訳を補助してもらう
  • 実験データの整理・グラフ化のプログラムを、生成AIの助けを借りて書く
  • 英語の論文や発表資料の表現を校正する
  • 社内で認められた環境で、過去の報告書から似た実験を探す

IPAの同じ調査では、AIの用途として「情報検索・収集・分析」を挙げた企業が77.0%ありました。研究でも、調べる・まとめる場面から使われ始めています。ただし、研究ではAIの予測や要約は「仮説」にすぎず、最後は実験と原典で確かめる必要があります。

書き方:「予測」と「実験での確認」をセットで

AIの経験は「AIを活用して効率化」と書くだけでは伝わりません。使った場面・データの扱い・実験での確かめ方・変わったことをセットで書きます。

× NG例

マテリアルズ・インフォマティクスや生成AIを積極的に活用し、研究開発の大幅な効率化を実現しました。

ここが惜しい

  1. どの研究の、どの作業に使ったのかがわかりません。
  2. 「大幅な効率化」に数字がなく、効果の大きさを判断できません。
  3. 予測の結果をどう確かめたかがなく、研究者として結果に責任を持てる人かが伝わりません。

○ OK例

【取り組み】社内のデータ活用ルールに沿い、過去の実験データ約800件で物性の予測モデルを作成。候補配合を約200から約30に絞り、すべて実験で確認して採否を判断

ここが評価される

  1. 「社内のデータ活用ルールに沿い」で、未公開のデータを適切に扱ったことが伝わります。
  2. 約800件・約200から約30と、データの規模と絞り込みの効果が数字でわかります。
  3. 「すべて実験で確認して採否を判断」で、予測をうのみにしない姿勢が伝わります。

AIの経験を書くときの注意点

  • 未公開のデータや出願前の発明を、社外のAIサービスに入力していないことがわかるように書く。営業秘密の管理や、特許の新規性の面で問題になるおそれがあるためです。
  • 会社のルールに従って使ったことを前提に書く。ルールのない時期に、個人のアカウントで社内のデータを扱った経験は書かないほうが無難です。
  • 論文や学会の資料で生成AIを使った場合は、投稿先や学会の規定に従ったかに注意する。
  • 盛らない。既存の解析ソフトの機能を使っただけなのに「AIモデルを開発」と書くと、面接で手法を聞かれて答えに詰まります。

AIを使っていない・禁止の職場だった人は

研究所では、情報管理の方針でAIを使えない職場も多くあります。それだけで評価が下がると考える必要はありません。実験計画法、統計解析、実験データの整理といった経験は、AIの予測を正しく使うための土台そのものだからです。

実験計画法で試作の回数を減らした経験や、PythonやRで解析を自動化した経験を書きましょう。個人で学んでいる場合は、公開データで練習したことを「学習中」として書けます。社内のデータを個人の環境に持ち出すのは避けてください。

実績の数字が書けないときの対処法

研究テーマの多くは製品化までたどり着かず、性能値も社外秘という人もいるでしょう。それでも、見る角度を変えれば書ける数字は必ずあります。

テーマが製品化前に中止・凍結になった

中止までに到達した値と、判断の理由を書きます。「目標の耐熱性に対し8割まで到達。コストの見通しから2年で中止を提案」のように、自分で判断して区切りをつけた経験は企業の研究で評価されます。テーマから生まれた評価手法やデータを別のテーマに生かしたなら、それも書きましょう。

性能の値や売上が社外秘で書けない

絶対値の代わりに、比率や従来品との比較で書きます。「従来品比で耐久性約4倍」「目標値を達成」などです。売上は「億円規模」のように丸める方法もあります。

基礎研究が中心で、事業の数字がない

特許出願・論文の件数と立場、社内移管したテーマの数、外部資金や共同研究の件数で示します。「3年間で応用研究に移管したテーマ1件」のように、研究が次の段階に進んだ事実が成果になります。

チームの研究で、自分の分が切り分けられない

担当した工程と量で書きます。「合成と評価を担当し、試作約60回を実施」「評価方法を立ち上げ、測定時間を1件2時間から30分に短縮」のように、自分が手を動かした範囲を数字にしましょう。発明者として名前が載った特許の件数も、貢献の証拠になります。

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提出前のチェックリスト

書き終えたら、提出前に次の項目を確認しましょう。

  • 職務要約に、経験年数・専門分野・担当したテーマ・製品化などの代表的な成果が入っている
  • テーマごとに「役割(チーム人数)・連携先・担当・成果」が書かれている
  • 成果に、性能の前後の数字・製品化の年・特許出願の件数と発明者としての立場を添えている
  • 研究成果のまとめの件数が、職務経歴のテーマごとの件数の合計と一致している
  • 未公開の組成・条件、顧客名、特許番号や発明の名称など、守秘義務に触れる情報を書いていない
  • データ解析やAIを使った場合は、社内ルールの範囲で使ったことと、実験での確かめ方をセットで書いている
  • A4で2枚程度(多くても3枚以内)に収まり、専門用語に誤字脱字がない

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職種の書き方はこの記事で、事情の伝え方は状況別の記入見本で。2つを組み合わせれば、書きにくいところも迷わず書けます。

よくある質問

特許や論文の一覧は、全部つけたほうがいいですか?

職務経歴書には件数と立場、代表的な分野だけで十分です。求められた場合や、大学・公的機関から応募する場合は、別紙の研究業績リストを添えます。公開されていない出願は一覧に載せず、件数だけにとどめましょう。

在籍中の会社の製品名や共同研究先は書いてもいいですか?

会社が公表している範囲なら書いてかまいません。ただし、自分がどの部分を担当したかまでは公表されていないのが普通です。製品名より「用途+材料の種類」で書くほうが伝わりやすく、迷いも減ります。

研究職から、技術営業や知財、生産技術などに応募するときは?

研究の成果より、応募する職種で使える経験を前に出します。技術営業なら顧客との仕様調整や技術資料の作成、知財なら特許出願の準備や先行技術の調査、生産技術ならスケールアップや工場との量産条件の調整です。テーマごとの書き方は同じで、「担当」と「成果」の中身を選び直します。

博士号を持っていない研究職でも、不利になりませんか?

企業の研究職では、修士修了や学部卒の人も多く活躍しています。書類では学位より、どのテーマをどこまで進めたかが見られます。ただし基礎研究のポジションなどで博士を条件にしている求人もあるため、求人票を確認しましょう。

ポスドクの任期満了で転職します。理由は書いたほうがいいですか?

職務経歴書に退職理由を書く必要はありません。書く場合は「任期満了のため」と事実を一言添えれば十分です。任期付きの雇用は研究の世界では一般的で、それ自体が不利になるものではありません。面接では、企業の研究を選んだ理由を自分の言葉で話せるようにしておきましょう。

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Author

佐藤 大貴

レジュメラボ編集責任者/アースダイバー代表

佐藤 大貴

人材紹介の会社で、キャリア系メディアの編集長をしていました。転職やキャリアをテーマにした記事づくりに長く関わり、2019年にアースダイバー株式会社を立ち上げました。編集長時代、たくさんの求職者の方やキャ…

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