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社内SEの職務経歴書の書き方|採用担当に伝わる記入例と無料テンプレート

社内SEの職務経歴書の書き方|採用担当に伝わる記入例と無料テンプレート

社内SEの職務経歴書でよくある悩みが、「何でもやってきたのに、何を書けばいいかわからない」というものです。採用担当が知りたいのは作業の一覧ではなく、どんな会社のITをどこまで任され、何を良くしたかです。

社内SEは、自分で作るより「決めて、任せて、確かめる」ことが多い仕事です。売上の数字を持ちにくいぶん、問い合わせ件数・作業時間・IT費用といった業務と費用の数字が評価の中心になります。

この記事では、流通業の情報システム部で基幹システムの刷新とベンダー管理を担ってきた人の記入例をもとに、項目ごとの書き方を解説します。ひとり情シスやSIer出身など経歴別の書き分け方と、生成AIの導入・ルールづくりの書き方も紹介します。

この記事でわかること

  • 社内SEの職務経歴書の完成イメージ(記入例)
  • 業界団体・総務省の調査から見た、企業のIT部門が抱える課題
  • ヘルプデスク・プロジェクト・ベンダー管理の実績の書き方と、OK例・NG例の違い
  • 大企業の情シス・ひとり情シス・SIer出身など、経歴別の書き分け方
  • 社内向け生成AIの導入や利用ルールづくりを、職務経歴書に書くコツ

無料テンプレート

社内SEの職務経歴書、記入見本つきのテンプレートがあります

この記事の記入例と同じ形式で、Word・Excel・PDFの3形式。空欄のテンプレートと記入見本がセットになっています。

社内SEの職務経歴書の記入例

まずは完成イメージです。流通業向けのシステム会社で運用保守を4年、食品・日用品の卸・小売を営む会社の情報システム部で8年半働いてきた人を想定しています。ヘルプデスクから基幹システムの刷新、保守ベンダーの管理へと担当を広げてきた主任クラスです。画像をタップすると拡大できます。

社内SEの職務経歴書の記入例(流通業の情報システム部・経験12年半)
社内SEの職務経歴書の記入例(A4・2枚)

この記入例と同じ形式のテンプレートを無料で用意しています。Word・Excel・PDFの3形式で、それぞれ空欄テンプレートと記入見本の2点セットです。

データで見る:企業のIT部門が足りないと感じている力

何を強調して書くかは、企業のIT部門が何に困っているかを知ると決めやすくなります。3つのデータを見ていきましょう。

内製化の課題は、開発人材に続いて「プロジェクトを回せる人」と「業務の理解」

日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)の「企業IT動向調査2026」は、上場企業などのIT部門を中心に毎年行われている調査です(2025年度は957社が回答)。システムを自社主導で作る「内製化」の課題を聞いたところ、最も多いのは開発人材の量の不足(52.7%)と質の不足(49.6%)でした。次に多いのが、プロジェクトマネジメント人材の不足(44.4%)と、現行業務への理解不足(38.2%)です。

内製化を進めるうえでの課題(JUAS 企業IT動向調査2026)
内製化を進めるうえでの課題(2025年度調査)

出典:企業IT動向調査2026(2025年度調査)概要資料(日本情報システム・ユーザー協会)(2026年4月公表)

「ビジネス要件をシステム仕様に落とせない」というシステム企画力の不足も34.5%ありました。どれも、社内SEが日々の仕事で担っている力です。中途採用でも、業務を理解して要件にまとめ、プロジェクトを回せる人が求められていると考えられます。回答は上場企業が中心です。

職務経歴書への落とし込み方

プロジェクトでは「要件取りまとめ」「ベンダー窓口」のように役割を書き、現場の業務がどう変わったかを1行入れましょう。記入例の「店舗の発注作業を…約60分から約30分に短縮」がその例です。

クラウドサービスを全社で使う企業は6割。社内SEの仕事は「選んで管理する」へ

総務省の「令和7年通信利用動向調査」によると、クラウドサービスを全社的に利用している企業は2025年に60.0%でした。2021年の42.7%から17.3ポイント増えています。一部の部門での利用を含めると83.5%です。

企業のクラウドサービスの利用状況の推移(総務省 通信利用動向調査)
クラウドサービスの利用状況の推移(2021〜2025年)

出典:令和7年通信利用動向調査の結果(概要)(総務省)(図表4-1・2026年5月29日公表)

自社でサーバーを持たず、サービスを契約して使う形が広がると、社内SEの仕事も変わります。サーバーを自分で組んで動かす仕事より、サービスを選び、契約・アカウント・費用を管理する仕事の比重が増していると考えられます。

職務経歴書への落とし込み方

クラウドへの移行やSaaS(インターネット経由で使うソフト)の導入は、「何を・何人分・どう移したか」と、移行後の費用や作業の変化で書きます。ライセンスの棚卸しによる費用の削減も、契約を管理できる人だと伝わる実績です。

1年間で約半数の企業がセキュリティ被害。最多は標的型メール

同じ調査では、過去1年間にインターネット利用でセキュリティ被害を受けた企業は48.1%でした。被害の内容で最も多いのは「標的型メールの送付」(31.8%)で、ウイルスの発見・感染(22.9%)が続きます。

過去1年間に発生したセキュリティ被害(総務省 通信利用動向調査)
企業のセキュリティ被害の内容(2025年)

出典:令和7年通信利用動向調査の結果(概要)(総務省)(図表5-4・2026年5月29日公表)

標的型メールは、特定の会社や人を狙い、ウイルス付きのファイルや偽のログイン画面に誘うメールです。システムの設定だけでは防ぎきれず、社員への教育や訓練、被害が出たときの初動の手順も欠かせません。仕組みと人の両面で守ることは、社内SEの大切な役割です。

職務経歴書への落とし込み方

セキュリティの実績は、訓練の回数や対象人数、ルールの整備、インシデント(事故)対応の件数などで書けます。ただし、自社のシステム構成やセキュリティ設定の細かな内容は書かないでください。

社内SEの職務経歴書テンプレートを無料でダウンロード

採用担当が社内SEの職務経歴書で見ている3つのこと

ここまでのデータと、社内SEの採用の現場でよく言われる傾向を踏まえると、採用担当は書類を読みながら次の3つを確認しています。どの項目を書くときも、このどれかが伝わるかを意識しましょう。

  1. どんな会社の、どこまでのITを支えてきたか業種、拠点数、利用者数、PC台数、担当したシステム。社内SEの仕事は会社によって範囲が大きく違うため、採用担当はまず自社の環境と重なるかを確認します。
  2. 業務部門とベンダーの間に立てるか現場の要望をまとめて要件にし、ベンダーを選び、進捗や品質を管理できるか。社内SEは自分で作るより「決めて、任せて、確かめる」役割が多く、調整の経験が重視されます。
  3. 業務と費用をどれだけ良くしたか問い合わせ件数、作業時間、保守費・ライセンス費などを前後の数字で示せるか。社内SEは売上の数字を持ちにくいぶん、業務改善とコストの実績が評価の中心になります。

項目別の書き方:OK例とNG例の違い

ここからは項目ごとに、NG例とOK例を並べて解説します。OK例はすべて記入例からの引用です。

職務要約:会社の業種と、担当範囲・一番の成果を3〜5行で

職務要約では、勤務先の業種・担当範囲・一番の成果をまとめます。社内SEの仕事は会社ごとに範囲が違うため、「どんな会社で、どこまでを担当したか」が最初にわかることが大切です。

× NG例

情報システム部にて、社内システムの運用保守、ヘルプデスク、PCの管理など社内SE業務全般を担当してまいりました。各部署からの依頼にも柔軟に対応し、業務効率化に貢献してきました。

ここが惜しい

  1. 会社の業種も規模もなく、どれくらいの環境を支えてきたのかがわかりません。
  2. 「社内SE業務全般」では、得意な領域や任されていた立場が伝わりません。
  3. 「業務効率化に貢献」には数字がなく、何がどれだけ良くなったのか判断できません。

○ OK例

流通業向けシステム会社で4年、食品・日用品の卸・小売を営む株式会社サンプル流通の情報システム部で8年半、業務システムと社内ITの運用に携わってきました。ヘルプデスク・IT資産管理から、基幹システム刷新の要件定義・ベンダー選定、保守ベンダーの管理まで経験しています。現在は主任として保守ベンダーを管理し、保守費を年間約14%削減しました。

ここが評価される

  1. 勤務先の業種を書いているので、どんな業務を支えるシステムを扱ってきたかがわかります。
  2. ヘルプデスクから基幹システム刷新、ベンダー管理へと、担当範囲が広がってきた流れが一文で伝わります。
  3. 最後に一番の成果を数字で添えています。

職務経歴:担当範囲は数字で、プロジェクトは「規模・役割・工程・成果」で

職務経歴は、部署ごとの期間に分けて書くのが読みやすい形です。日々の運用は拠点数・利用者数・PC台数で規模を示し、プロジェクトは「規模・役割・工程・成果」の4点セットにします。下の画像の3つのポイントを押さえましょう。

社内SEの職務経歴の書き方のポイント(注釈付き)
職務経歴の書き方のポイント

社内SEのプロジェクトは、社内とベンダーの混成チームで進むのが普通です。両方の人数を書くと、発注側としての立ち位置がはっきりします。

× NG例

基幹システムの刷新プロジェクトに参加。ベンダーと協力して要件定義からテスト、店舗への展開まで対応し、無事に本稼働を迎えました。

ここが惜しい

  1. 社内とベンダーの人数がなく、プロジェクトの規模も自分の立ち位置もわかりません。
  2. 「参加」「対応」では、要件をまとめたのか、作業を手伝ったのかが区別できません。
  3. 「無事に本稼働」だけでは、予定や予算どおりだったのか、業務がどう変わったのかが伝わりません。

○ OK例

【プロジェクト】基幹システム(販売・在庫・発注管理)の刷新
規模:社内6名+ベンダー約20名 役割:要件取りまとめ、ベンダー窓口
工程:要件定義、RFP作成・ベンダー選定(3社比較)、受け入れテスト、店舗・物流センターへの展開
成果:2023年10月に予定どおり本稼働(予算約4億円の範囲内)。発注数の提案機能を取り入れ、店舗の発注作業を1店舗1日あたり約60分から約30分に短縮

ここが評価される

  1. 社内とベンダーの人数を分けているので、発注側として何人の体制を動かしたかがわかります。
  2. RFP(提案依頼書)や3社比較など、役割と工程が具体的なので、ベンダー選定を任せられる人だと伝わります。
  3. 稼働時期・予算に加えて、現場の作業時間がどう変わったかまで書いています。

ヘルプデスクは「拠点・利用者・台数」で規模を示す

「本社・物流センター2か所・店舗42店」「利用者約2,000名、PC約1,300台」のように書くと、日々の運用の大きさが一目で伝わります。社内のシステム構成やセキュリティ設定の詳細など、外に出せない情報は書かないようにしましょう。

業務改善・ベンダー管理の実績:「何を変えて、どう良くなったか」を書く

社内SEの毎日は、依頼に応えることの連続です。だからこそ「依頼に対応した」で終わらせず、何を変えて、どう良くなったかを書きます。ベンダー管理は、費用と取り決めの数字で語るのが基本です。

× NG例

ベンダーとの定例会議を運営し、良好な関係を築きました。また、各部署の業務改善の依頼にも積極的に対応し、現場から感謝されています。

ここが惜しい

  1. 「良好な関係」「感謝されています」は感想で、成果として確かめられません。
  2. ベンダー管理で何を決め、費用や品質がどう変わったのかが書かれていません。
  3. 業務改善の件数や削減できた時間がなく、改善の大きさが伝わりません。

○ OK例

【取り組み】保守契約とSLA(障害時の対応時間などの取り決め)を見直し、年間保守費を約1.1億円から約9,500万円に削減(約14%減)
【取り組み】各部署の紙・Excelの業務14件をノーコードツールでアプリ化し、合計で月約320時間の作業を削減

ここが評価される

  1. 保守契約とSLAという見直しの対象を書いているので、ほかの会社でも同じ動き方ができると伝わります。
  2. 保守費を前後の金額と割合で示しているので、成果の大きさを正しく読めます。
  3. 業務改善は件数と削減時間の両方を書いています。

ベンダー管理は、次の切り口で書けます。担当した部分に数字を添えましょう。

  • 選定:RFPを作り、何社をどんな基準で比べたか
  • 契約:保守契約・SLAの見直し、ライセンスの棚卸し、費用の変化
  • 品質:障害の件数や対応時間を定例で確認し、改善を求めた経験
  • 体制:委託先の数と、自社と委託先の役割分担

ベンダーとの関係は「対等」に書く

「ベンダーに任せた」では丸投げに、「ベンダーの指示に従った」では受け身に見えます。自社が決めたこと(要件・優先順位・受け入れの基準)と、ベンダーに任せたことを分けて書くと、発注側として主体的に動けることが伝わります。

テクニカルスキル・資格:分類ごとに「何を・どの工程で・何年」

社内SEのテクニカルスキル欄は、業務システム・社内IT・開発・ベンダー管理のように分類して書くと読みやすくなります。ベンダー管理を独立した分類にすると、社内SEならではの強みが目に入ります。

× NG例

Windows、Microsoft 365、Active Directory、SQL、Java、Excel、ノーコードツール

ここが惜しい

  1. 経験年数がなく、日常的に使ってきたものと少し触れただけのものが区別できません。
  2. 管理・開発・要件定義のどの立場で扱ったのかがわかりません。
  3. 社内SEで評価されやすいベンダー管理の経験が抜けています。

○ OK例

業務システム:販売・在庫・発注管理の要件定義・受け入れテスト(5年半)、運用保守(12年半)
ベンダー管理:RFP作成・ベンダー選定(1件)、保守契約・SLAの見直し(2年半)
資格:応用情報技術者試験 合格、情報セキュリティマネジメント試験 合格

ここが評価される

  1. 「要件定義・受け入れテスト」と「運用保守」を分けて年数を書いているので、経験の深さが正確に伝わります。
  2. 経験年数は職務経歴の期間と一致させます。食い違いがあると信頼を損ないます。

自己PR:強みは2つまで。エピソードと数字で示す

自己PRは「強み → それを発揮したエピソード → 結果の数字」の順に書きます。その力で何が変わったかまで書いて、はじめて強みとして伝わります。

× NG例

私の強みはコミュニケーション能力です。社内のさまざまな部署の方と接する中で、相手の立場に立って丁寧に対応することを心がけてきました。

ここが惜しい

  1. 「コミュニケーション能力」は多くの人が書くため、それだけでは差がつきません。
  2. 丁寧に対応した結果、何が変わったのかが書かれていません。

○ OK例

現場の困りごとを聞き取り、仕組みで解決する力
FAQの整備で問い合わせを月約900件から約600件に、ノーコードツールでの14業務のアプリ化で月約320時間の作業を減らしました。同じ困りごとが起きない形にすることを大切にしています。

ここが評価される

  1. 「聞き取る力」を、FAQとアプリ化という2つの具体的な成果で裏付けています。
  2. 記入例では2つ目の強みとしてベンダー管理も書いています。強みを2つに絞ると、それぞれの根拠が厚くなります。
記入見本つきの社内SE向けテンプレートを見る

経歴・応募先の体制別:職務経歴書の書き分け方

同じ社内SEでも、会社の規模や情報システム部門の人数によって、仕事の中身は大きく違います。自分の経歴と応募先の体制に合わせて、強調する経験を選びましょう。まずは全体像を表で確認してください。

経歴・応募先採用担当が見るポイント強調したい経験・数字
大企業の情報システム部門(分業型)得意な領域の深さと、大きなプロジェクトでの役割担当領域、社内・ベンダーの人数、予算、展開した拠点数
中小企業・ひとり情シス一人で幅広く回し、優先順位をつけて守ってきた力支えた人数・台数、委託先の使い方、費用、止めなかった実績
SIer・ベンダーから社内SEへ発注側の立場で、業務部門の話を聞けるか顧客の業務を聞き取った経験、運用保守での改善、合意形成
ヘルプデスク中心から企画・業務システムへ問い合わせの裏にある課題を、仕組みで解決できるか問い合わせ件数の変化、FAQ・手順の整備、改善提案

大企業の情報システム部門に応募する

大企業では、業務システム・インフラ・ヘルプデスク・セキュリティと、担当が分かれていることが多くあります。「何でもできる」より、どの領域をどこまで深くやってきたかが見られます。

職務経歴書に書きたいこと

  • 担当した領域と、その中で任されていた範囲
  • プロジェクトの規模(社内・ベンダーの人数、予算)と自分の役割
  • 関わった部署・拠点の数と、合意のとり方(稟議、経営層への報告など)
  • 全社やグループ会社への展開の経験

記入例

規模:社内6名+ベンダー約20名 役割:要件取りまとめ、ベンダー窓口
工程:要件定義、RFP作成・ベンダー選定(3社比較)、受け入れテスト、店舗・物流センターへの展開

ポイント

  1. 従業員1,800名の会社の基幹刷新で、社内6名のうちの自分の役割を絞って書いています。
  2. 店舗・物流センターへの展開まで書くと、多くの拠点と調整してきたことが伝わります。

よくある落とし穴

プロジェクト全体の成果を、すべて自分の手柄のように書くケースです。大きなプロジェクトほど、面接で「あなたは何をしたのか」を細かく聞かれます。全体の規模と自分の役割を分けて書きましょう。

中小企業・ひとり情シスの経験を書く

少人数の情報システム部門や、総務などと兼務で一人でITを担う「ひとり情シス」の人は、担当が広すぎて書ききれないことに悩みがちです。全部を並べるより、「何人の会社のITを、どう優先順位をつけて守ってきたか」を軸にまとめると強みになります。

職務経歴書に書きたいこと

  • 会社の規模(従業員数・拠点数・PC台数)と、IT担当の人数・兼務の有無
  • 担当範囲の分類(端末、ネットワーク、業務システム、セキュリティ、問い合わせ対応など)
  • 外部の委託先の使い方(自分でやる範囲と任せる範囲)
  • 費用・作業時間・障害対応など、一人でも変えられた数字

記入例

【担当】従業員約150名・2拠点の社内IT全般を1名で担当(総務と兼務)。PC約160台、Microsoft 365、基幹システムの社内窓口
【取り組み】PCの初期設定を手順書とスクリプトで標準化し、1台あたりの作業を約3時間から約1時間に短縮
【取り組み】保守委託先2社との契約を見直し、訪問対応を必要な拠点に絞って年間費用を約15%削減

ポイント

  1. 記入例とは別の、架空の例です。「1名で担当(総務と兼務)」と書くと、限られた時間で回してきたことが伝わります。
  2. 標準化と契約の見直しという、一人でも効果の大きい打ち手を選んでいます。

よくある落とし穴

「IT全般を担当」の一言で済ませるケースです。採用担当には、何をどこまでやったのかが伝わりません。担当範囲を分類して並べ、応募先の求人に近い領域を詳しく書きましょう。

SIer・ベンダーから社内SEに移る

記入例の人物も、前職は流通業向けのシステム会社です。作る側と発注する側の両方を知っていることは、社内SEとして大きな強みです。採用担当は、技術がわかることに加えて、業務部門の話を聞き、ベンダーを使いこなせるかを見ています。

職務経歴書に書きたいこと

  • 顧客の業務を聞き取り、仕様にまとめた経験
  • 運用保守での改善(障害や問い合わせの減少など)
  • 見積もりや仕様変更など、顧客と合意をとってきた経験
  • 職務要約での、「作る側」と「発注する側」それぞれの年数

記入例

【担当】小売業3社の販売管理システムの運用保守(問い合わせ・障害の一次対応、夜間バッチ監視)。2年目から改修の設計・テストも担当(Java・SQL)
【実績】障害の記録を原因別に整理して再発防止策を顧客と合意し、月平均の障害件数を約12件から約5件に削減

ポイント

  1. 記入例の前職の欄です。「顧客と合意し」と書くことで、技術だけでなく調整もしてきたことが伝わります。
  2. 小売業の販売管理の知識が、流通業の社内SEにそのままつながっています。

よくある落とし穴

「社内SEになって自分で開発したい」という気持ちを前に出しすぎるケースです。社内SEの求人には、開発の多くをベンダーに任せる会社も、内製を進めている会社もあります。求人票で開発の体制を確かめ、内製を進める会社なら開発の経験を、ベンダー活用が中心の会社なら調整の経験を厚めに書きましょう。

ヘルプデスク中心の経験から、企画・業務システムに広げたい

問い合わせ対応やPCの設定が中心だった人は、対応した件数の多さを書きたくなります。評価されるのは件数そのものより、問い合わせを減らした仕組みです。

職務経歴書に書きたいこと

  • 支えた範囲(拠点・利用者・台数)と、1か月あたりの問い合わせ件数
  • 問い合わせの傾向を分析して打った手(FAQ、手順書、設定の標準化)
  • 業務部門に改善を提案し、採用された経験
  • 応募先の領域に関わる資格や学習

記入例

【担当】本社・物流センター2か所・店舗42店の社内ヘルプデスクとIT資産管理(チーム4名、利用者約2,000名、PC約1,300台)
【実績】問い合わせをチケット管理ツールに一本化し、よくある質問約120件をFAQ化。月平均の問い合わせを約900件から約600件に削減
ライセンスを棚卸しし、未使用の約180本を解約して年間約430万円を削減

ポイント

  1. 記入例の人物がヘルプデスクを担当していた時期の欄です。FAQ化の件数と、問い合わせの前後の数字がそろっています。
  2. ライセンスの棚卸しは、費用を管理できる人だと伝わる実績です。

よくある落とし穴

「丁寧な対応で社員から信頼を得た」のように、接客のような書き方で終わるケースです。社内SEの採用担当が知りたいのは、同じ問い合わせが来ない仕組みを作れるかです。どんな手を打ち、件数や時間がどう変わったかを書きましょう。

あわせて読みたい:インフラエンジニアの職務経歴書の書き方

2026年の社内SEとAI:導入・ルールづくりを職務経歴書にどう書くか

最初にお伝えしたいのは、AIの使い方や、AIの経験を求める度合いは応募先によって大きく違うということです。IPAの「DX動向2026」では、AIを導入している企業は従業員1,001人以上で8割近くにのぼる一方、101人以下では16.6%でした。情報管理の方針で、生成AIの利用を認めていない会社もあります。

まずは求人票に「生成AI」「AIツール」「AI活用推進」などの言葉があるかを確認しましょう。記載があれば、取り組みやプロジェクトとして詳しく書く価値があります。記載がなければ、職務経歴の中で1行触れる程度で十分です。

社内SEは、AIを「使う人」であり「使えるようにする人」

総務省の「令和8年版 情報通信白書」によると、生成AIを業務で使っている日本企業では、「社内ヘルプデスク」での活用が約5割にのぼります。

社内SEとAIの関わり方は、ほかの職種と少し違います。自分の仕事で使うだけでなく、全社員が安全に使えるように、ツールを選び、ルールを決め、問い合わせに答える立場になるからです。「使える状態にした」経験は、社内SEならではの実績です。

効果の確かめ方も大切です。JUASの「企業IT動向調査2026」では、言語系生成AIの効果測定について「効果測定は行っていない」という回答が51.9%でした。導入した後に、利用状況や効果を数字で確かめた経験は、まだ持つ人が少ない強みと考えられます。

2026年の社内SEで現実的なAIの使い方

2026年時点で、情報システム部門でよく見られる使い方は次のとおりです。

  • 社内向け生成AIツールの導入:対象者の範囲、アカウントと権限、利用状況の確認、費用の管理
  • 利用ルールと研修:入力してはいけない情報、出力の確かめ方、使ってよい業務の整理
  • ヘルプデスクの効率化:FAQや手順書の下書き、問い合わせの分類、社内文書を検索して答えるチャットの導入
  • 小さな自動化の補助:PCの設定を自動で行うスクリプトや、表計算のマクロ、ノーコードアプリの下書き
  • ベンダー対応の補助:議事録や提案書の要約、RFPに入れる項目の洗い出し(社外秘の情報は入れない範囲で)

前の3つは全社に関わる仕事で、後ろの2つは自分の仕事を速くする使い方です。職務経歴書で差がつきやすいのは、全社に関わる前の3つです。後ろの2つは「検証用の環境で試してから使った」のように確かめ方を添えます。

書き方:「使った」ではなく「使える状態にした」まで書く

AIの経験は、「AIを活用して効率化」と書くだけでは伝わりません。対象の業務・ルールや確かめ方・変わったことの3つをセットで書きます。

× NG例

生成AIツールを全社に導入し、業務効率化に貢献しました。ヘルプデスクでもAIを活用しています。

ここが惜しい

  1. 対象の人数や範囲がなく、どの規模の導入だったのかわかりません。
  2. 入力してよい情報や出力の確認など、情報管理への配慮が読み取れません。
  3. 「業務効率化に貢献」「活用しています」には数字がなく、効果の大きさが判断できません。

○ OK例

【取り組み】生成AIの社内利用ルール(入力禁止の情報、出力の確認方法)を作成。自部署もルールに沿ってFAQの下書きに使い、担当者が確認して公開

ここが評価される

  1. ルールの中身を「入力禁止の情報、出力の確認方法」と書いているので、情報管理に気を配れる人だと伝わります。
  2. ルールを作るだけでなく、自部署でまず使い、担当者が確認して公開した流れまで書いています。
  3. 記入例では2枚に収めるため1行にしています。利用者数や問い合わせの変化などの数字がある人は、書き足しましょう。

導入をプロジェクトとして任された人は

社内向け生成AIツールの導入を任された人は、ほかのプロジェクトと同じく「規模・役割・工程・成果」で書けます。以下は記入例とは別の、架空の例です。

記入例

【プロジェクト】社内向け生成AIツールの導入
規模:情報システム部3名+法務・人事の担当者 役割:プロジェクトリーダー
工程:利用ルールの作成、3部署・約60名での試験導入、研修、全社展開
成果:社員約800名に展開し、3か月後の月間利用者は約520名。利用状況と問い合わせの内容をもとに、ルールを2回改訂

ポイント

  1. 法務・人事と組んだことを書くと、部署をまたいで調整できる人だと伝わります。
  2. 「展開した人数」と「実際に使っている人数」を分けて書いています。導入したことと、定着させたことは別の成果です。
  3. ルールの改訂まで書くと、運用まで見てきたことがわかります。

ヘルプデスクに、社内文書を検索して答えるチャットを入れた人は、回答の正しさをどう確かめたかが腕の見せどころです。これも架空の例です。

記入例

【取り組み】社内規程・手順書約300件を検索して回答する問い合わせチャットを導入。公開前に想定質問100問で回答を確認し、答えられない質問は担当者に引き継ぐ流れに。有人で対応する問い合わせを月約450件から約320件に削減

ポイント

  1. 公開前の確認と、答えられないときの引き継ぎを書いているので、誤った回答への備えが伝わります。
  2. 効果を「有人で対応する件数」で示すと、ヘルプデスクの負担がどう変わったかが一目でわかります。

AIの経験を書くときの注意点

  • 機密情報や個人情報を入力しない取り決めの中で使ったことがわかるように書く。「社内ルールに沿って」と一言添えるだけでも、情報管理の意識が伝わります。
  • 社内の設定の細かな内容は書かない。使っているツールの構成や、利用ログの監視の方法、セキュリティ設定の中身は社外秘です。「利用状況を毎月確認」程度にとどめましょう。
  • 自分の役割を正直に書く。ルールを法務や人事と一緒に作ったなら「法務・人事と共同で作成」と書きます。
  • 盛らない。「全社に導入」が実際は一部の部署だけなら、面接で答えに詰まります。

AIを使っていない・禁止の職場だった人は

情報管理の方針で、生成AIの利用を認めていない会社も少なくありません。それだけで評価が下がると考える必要はありません。情報システム部門として、リスクを整理して「当面は使わない」と判断したなら、それも立派な実績です。たとえば「生成AIの利用リスクを整理し、利用範囲の方針案を経営層に提案」のように書けます。

AIに限らず、FAQや手順書の整備、スクリプトやノーコードツールでの自動化は、AIを導入するときの土台になる経験です。個人でAIを試している場合は、業務の経験と分けて「学習中」として書きましょう。会社のデータを個人のAIで試すのは避けてください。

実績の数字が書けないときの対処法

「問い合わせの記録がない」「止まらないのが当たり前で成果が見えない」という人も多いはずです。見る角度を変えれば、書ける数字は見つかります。

問い合わせの件数を記録していなかった

メールやチャットの履歴から、1週間分を数えてみましょう。「1日平均約30件」のように、わかる範囲で「約」をつけて書きます。

障害が起きないことが成果で、数字にしにくい

止めなかったこと自体が実績です。計画停止以外の停止件数、OSの更新を何台で期限内に終えたか、バックアップから戻す訓練の回数などで書けます。安定して動かし続けたことは、社内SEにとって大切な成果です。

IT費用の金額を社外に出せない

金額を書けないときは、割合で書きます。記入例の「約14%減」のように、削減の割合だけでも成果の大きさは伝わります。

ベンダーに任せていて、自分の成果がわからない

自分がした判断と調整を書きます。たとえば「業務部門からの要望約80件を優先度で整理し、初回のリリースを約30件に絞って予定どおり稼働」のように、何を決めたかを数字で示せます。

あわせて読みたい:アピールできる実績がない人の職務経歴書の書き方

提出前のチェックリスト

書き終えたら、提出前に次の項目を確認しましょう。

  • 職務要約に、経験年数・勤務先の業種・担当範囲・一番の成果が入っている
  • 拠点数・利用者数・PC台数など、支えてきた環境の規模がわかる
  • プロジェクトごとに「規模(社内・ベンダー)・役割・工程・成果」があり、成果を前後の数字で書いている
  • テクニカルスキルの経験年数が、職務経歴の期間と一致している
  • 生成AIの経験は、対象の業務・ルールや確かめ方・変わったことをセットで書き、情報管理に触れている
  • システム構成・セキュリティ設定・取引先名など、社外に出せない情報を書いていない
  • A4で2枚程度(多くても3枚以内)に収まり、誤字脱字がない

状況別の無料テンプレート

ブランク、転職回数、未経験…気になる事情があるなら、状況別の記入見本も


職種の書き方はこの記事で、事情の伝え方は状況別の記入見本で。2つを組み合わせれば、書きにくいところも迷わず書けます。

よくある質問

ひとり情シスで何でもやってきました。全部書くべきですか?

全部を同じ重さで並べる必要はありません。担当範囲を「端末」「ネットワーク」「業務システム」「セキュリティ」などに分けて短く示し、応募先の求人に近い領域を詳しく書きましょう。

ヘルプデスクの経験しかありません。社内SEに応募できますか?

応募はできます。社内SEの求人にはヘルプデスクから始まるものも多くあります。対応件数だけでなく、FAQの整備や設定の標準化など、問い合わせを減らした工夫を書きましょう。

製品名やベンダーの社名は書いてもいいですか?

Microsoft 365のように広く使われている製品名は、技術の経験として書いてかまいません。一方で、取引先のベンダーの社名や契約金額は、社外秘にあたることがあります。「委託先3社」のように数で表し、金額は割合で書くのが無難です。

資格は書いたほうがいいですか?

応用情報技術者試験や情報セキュリティマネジメント試験などは、知識の裏付けとして書いておきましょう。ただし社内SEの選考では、資格より実務の経験が重視されます。

生成AIの利用ルールを作っただけで、自分はあまり使っていません。書いてもいいですか?

書いてかまいません。ルールづくりは、全社員が安全に使える状態をつくる、社内SEならではの実績です。誰と一緒に作ったか、何を決めたか(入力してはいけない情報、出力の確かめ方など)を正直に書きましょう。

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Author

佐藤 大貴

レジュメラボ編集責任者/アースダイバー代表

佐藤 大貴

人材紹介の会社で、キャリア系メディアの編集長をしていました。転職やキャリアをテーマにした記事づくりに長く関わり、2019年にアースダイバー株式会社を立ち上げました。編集長時代、たくさんの求職者の方やキャ…

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