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書き方ガイド
ルート営業の職務経歴書で評価されるのは、既存の取引先との取引を「どれだけ広げたか」が数字で伝わるかどうかです。「〇社を担当し、定期訪問で関係を築いた」だけでは、採用担当には担当を引き継いだだけなのか、自分の力で伸ばしたのかが判断できません。
ルート営業の実績は、新規開拓のように「何社獲得したか」では表しにくいものです。その代わりに、前年比・継続率・新商品の導入・配荷といった既存顧客営業ならではの数字があります。これを正しく選んで書けば、新規開拓の経験が少なくても十分に評価されます。
この記事では、食品メーカーでスーパー・ドラッグストアを担当する経験7年半の人の記入例をもとに、項目ごとの書き方と、なぜそう書くと評価されるのかを解説します。業界・顧客別の書き分け方も紹介します。
この記事でわかること
無料テンプレート
ルート営業の職務経歴書、記入見本つきのテンプレートがあります
この記事の記入例と同じ形式で、Word・Excel・PDFの3形式。空欄のテンプレートと記入見本がセットになっています。
まずは完成イメージです。調味料・加工食品メーカーで7年半、食品スーパー・ドラッグストアのルート営業を担当している人を想定しています。画像をタップすると拡大できます。

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書き方の前に、営業の求人動向と、ルート営業の実際の仕事の中身を公的なデータで確認しておきましょう。職務経歴書で何を強調すべきかが見えてきます。
厚生労働省がハローワークの求人・求職をまとめた統計(一般職業紹介状況)では、2026年8月の「営業の職業」の有効求人倍率は2.20倍でした。職業計の1.17倍と比べると、約1.9倍の水準です。求職者1人に対して、2件を超える求人がある計算になります。

出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年8月分)について」参考統計表(2026年10月2日公表)
この統計はハローワーク経由の求人だけを集計したもので、ルート営業と新規開拓営業を分けてはいません。それでも、営業が人手を求められている職種であることは読み取れます。
一方で、求人が多いことは「書類で比べられる相手も多い」ことを意味します。ルート営業の求人は、未経験者も含めて幅広い人が応募する傾向があると言われます。経験者であることを数字で示せるかが、書類選考で差がつくポイントと考えられます。
厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)では、職業ごとに実際の就業者へ調査し、仕事の内容とその実施率を公開しています。下のグラフは「食品営業(食品メーカー)」の結果です。

出典:厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「食品営業(食品メーカー)」(2026年10月閲覧)
最も多いのは「自社の製品をより多く購入してもらえるように働きかける」(90.7%)で、「新規商品を取り扱ってもらえるよう提案する」(85.2%)が続きます。既存の取引先への拡販と新商品の導入が、仕事の中心だとわかります。クレーム対応(83.3%)や売場の陳列提案(75.9%)も、多くの人が担っています。
つまり、ルート営業の職務経歴書では、この「拡販」と「導入」の成果を書くことが基本になります。訪問や受発注など日々の業務を並べるだけでは、仕事の核になる部分が伝わりません。
職務経歴書への落とし込み方
拡販は「前年比」、新商品の導入は「導入社数・配荷率」で示すと、ほかの業界の採用担当にも伝わります。クレームや欠品への対応は、自己PRのエピソードとして使えます。
厚生労働省が2026年9月に公表した「転職者実態調査」では、事業所が転職者を採用するときに重視した事項を調べています。メーカーが含まれる製造業では、回答のあった事業所の43.1%が「既存事業の拡大・強化」を挙げました。全産業の39.5%を上回ります。

出典:厚生労働省「令和7(2025)年転職者実態調査の概況」(2026年9月25日公表)表3
この数字は営業職だけを対象にしたものではありません。ただ、既存の商品と取引先で売上を伸ばすことは、ルート営業がまさに担う役割です。既存取引を伸ばした実績は、メーカーの採用ニーズと重なりやすいと考えられます。なお、卸売業・小売業では36.1%でした。
職務経歴書への落とし込み方
「担当先を維持した」で終わらせず、「担当先の売上を前年比〇%に伸ばした」と書きましょう。応募先が求める「既存事業の拡大」に、そのまま応える実績になります。

ここまでのデータと、採用の現場でよく見られる傾向を踏まえると、ルート営業の採用担当は次の3つを確認しています。どの項目を書くときも、このどれかが伝わるかを意識しましょう。
ここからは項目ごとに、NG例とOK例を並べて解説します。ルート営業は、書き方次第で「御用聞き」にも「取引を伸ばせる人」にも見えます。
職務要約は、採用担当が最初に読む部分です。担当先の業態・社数・商材・前年比を入れて、どんな取引をどのくらいの規模で任されていたかを短く伝えます。
× NG例
大学卒業後、株式会社サンプル食品に入社し、ルート営業として既存のお客様を担当してまいりました。定期的な訪問で信頼関係を築き、安定した取引を続けてきました。
ここが惜しい
○ OK例
大学卒業後、株式会社サンプル食品に入社し、約7年半、調味料・加工食品のルート営業に従事してまいりました。食品スーパー・ドラッグストアを担当し、2025年度は担当12社・約380店舗で売上9.12億円(前年比110%、支店営業22名中2位)を達成しました。売場データに基づく棚割り提案と新商品の導入を得意とし、2024年からは主任として後輩2名を指導しています。
ここが評価される
職務経歴は、ルート営業の職務経歴書でいちばん重要な項目です。下の画像の3つのポイントを押さえると、同じ担当先でも伝わり方が大きく変わります。

特に差がつくのが、担当と実績の書き方です。
× NG例
【担当】首都圏の量販店12社を担当。定期訪問、受発注、納品の調整、クレーム対応などを行う。
【実績】2025年度:売上9.12億円
ここが惜しい
○ OK例
【実績】
2024年度:秋の新商品(冷凍惣菜3品)を担当12社中10社で導入
2025年度:担当売上目標8.4億円/実績9.12億円(達成率109%、前年比110%、支店営業22名中2位)
担当12社すべてと取引を継続(取引停止ゼロ)
ここが評価される
伸ばした「理由」を一文添える
「POSデータで売れ筋を分析し、棚割りの見直しを提案。配荷率を62%から88%に拡大」のように、取引が伸びた理由を書くと再現性が伝わります。訪問の順番や頻度を見直した工夫も、立派な取り組みです。
ルート営業では、誰と商談していたかが応募先との近さを判断する大きな材料になります。本部バイヤーとの商談か、店舗担当者とのやりとりかで、求められる力が違うためです。
× NG例
・ルート営業経験7年
・既存顧客との信頼関係構築
・普通自動車免許
ここが惜しい
○ OK例
・食品スーパー・ドラッグストア本部バイヤーとの定番・特売商談
・POSデータを使った売場分析と、棚割り・販促の提案
・欠品・納期トラブル時の取引先調整と、工場・物流部門との連携
ここが評価される
「Excel」とだけ書くより、「ピボットテーブルを使ったPOSデータの集計・分析」のように用途まで書くと、提案の根拠をつくれる人だと伝わります。棚割りソフトや受発注システム、SFA(営業の活動管理ツール)など、業界で使われるツールの経験もあれば書きましょう。運転免許は、社用車で回るルート営業では応募条件になっていることが多いので、資格欄に忘れず書きます。
ルート営業の自己PRは、取引を伸ばした提案のエピソードか、トラブルのときに関係を守ったエピソードが効果的です。どちらも「強み → エピソード → 結果の数字」の順に書きます。
× NG例
私の強みは、お客様に寄り添う誠実さです。どんな小さな要望にもすぐに対応し、お客様から「あなたで良かった」と言っていただけることが多くありました。
ここが惜しい
○ OK例
トラブルのときに、取引先の売場を守る対応力
2023年夏、工場の設備故障で主力商品が約3週間出荷停止に。影響の大きい店舗から順に、代替品と入荷見込みを当日中に連絡しました。担当先の取引停止や棚の縮小は1件もありませんでした。
ここが評価される

同じルート営業でも、業界や担当先によって採用担当が見るポイントと、強調すべき数字は大きく変わります。まずは全体像を表で確認し、そのあと自分に近いタイプの解説を読んでください。
| 業界・担当先 | 採用担当が見るポイント | 強調したい数字 |
|---|---|---|
| 食品・日用品メーカー(小売チェーン担当) | 本部商談と売場提案で取引を伸ばす力 | 前年比、配荷率、新商品の導入社数 |
| 産業資材・部品の商社・卸 | 顧客の工場や現場の困りごとに応える力 | 担当社数、取扱品目数、新規品目の採用件数 |
| 医療機器・医薬品卸 | 医療機関との関係と、正確な供給対応 | 担当施設数、シェア、新製品の採用件数 |
| 自動車・住宅設備など(代理店担当) | 代理店を動かし、売る力を高める支援力 | 代理店の販売台数・件数の伸び、育成した店数 |
スーパーやドラッグストアなどのチェーンを担当するメーカーの営業では、本部の商談で商品を採用してもらい、店頭で売れる状態をつくる力が見られます。「何店舗に置いてもらい、どれだけ売れたか」まで書くのがポイントです。
職務経歴書に書きたいこと
記入例
【担当】首都圏の食品スーパー・ドラッグストア12社(約380店舗)
【実績】主力ドレッシングの配荷率を62%から88%に拡大。2025年度の担当売上は前年比110%
ポイント
よくある落とし穴
特売の回数や陳列の手伝いなど、作業の量だけを書くケースです。その結果、販売数量や配荷がどう変わったのかまで書かないと評価につながりません。
工場や建設会社などに資材・部品を供給する営業では、顧客の現場の困りごとを聞き取り、扱う品目を広げる力が見られます。取扱品目の広がりは、顧客から頼られていることの証拠になります。
職務経歴書に書きたいこと
記入例
【担当】県内の製造業45社(年間取引額 約6億円)
【実績】2025年度:担当売上目標5.8億円/実績6.2億円(達成率107%)。コスト削減につながる代替部品の提案で、新規採用品目を年間23品目追加
ポイント
よくある落とし穴
品番や社内の商品分類をそのまま書いてしまうケースです。業界外の採用担当にも伝わるよう、「切削工具」「配管資材」のような一般的な言葉に言い換えましょう。
病院や診療所、薬局を担当する営業では、医療機関との長い関係と、欠品を出さない正確な供給が見られます。人の命に関わる商品を扱うため、トラブル時の対応はほかの業界以上に重視されます。
職務経歴書に書きたいこと
記入例
【担当】病院8施設・診療所60施設へのルート営業
【実績】担当エリアの売上前年比106%。新製品の院内採用を年間12件獲得。供給が不安定な品目は代替品を先回りで案内し、欠品による診療への影響ゼロ
ポイント
よくある落とし穴
医療機関の名前や、患者に関わる情報を具体的に書いてしまうケースです。「200床規模の総合病院」のように、特定できない書き方にしましょう。
メーカーの営業として販売店や工務店などの代理店を担当する場合は、自分が売るのではなく、代理店が売れるように支援する力が見られます。代理店の成績をどう変えたかを書くのがポイントです。
職務経歴書に書きたいこと
記入例
【担当】住宅設備の販売代理店・工務店30社
【実績】代理店の営業担当者向けに商品勉強会を月2回開催。担当代理店の水まわり商品の販売件数を前年比115%に拡大
ポイント
よくある落とし穴
代理店の売上を自分の売上のように書いてしまうケースです。自分の役割と、代理店の成果を分けて書くと、かえって支援する力が正しく伝わります。
あわせて読みたい:営業職の職務経歴書の書き方
ChatGPTやMicrosoft Copilotなどの生成AIは、営業の現場にも広がり始めています。総務省の「令和8年版 情報通信白書」の企業向け調査では、業務の種類ごとに生成AIの活用状況を尋ねたところ、日本では「営業・販売」で活用しているという回答が約6割でした。
ただし、AIをどこまで使うか、どこまで求めるかは、応募先の規模・業界・社内ルールによって大きく違います。IPAの「DX動向2026」では、AIを導入している企業は従業員1,001人以上で8割近くでしたが、101人以下では16.6%にとどまりました。AIを使った経験がないからといって、それだけで不利になるわけではありません。
目安は求人票です。「生成AI」「AIツール」などの記載があれば具体的に書き、記載がなければ1〜2行で触れる程度で十分です。
ルート営業でAIが役立つのは、提案や連絡の「下準備」の部分です。2026年時点では、次のような使い方が現実的です。
どれも、最終的に判断して取引先と話すのは自分です。採用担当が知りたいのは、AIを使ったことそのものより、浮いた時間を何に使ったかだと考えられます。ルート営業なら、訪問や売場づくりに回した、という書き方が伝わりやすいでしょう。
「AIを使った」とだけ書いても、どの程度使えるのかは伝わりません。業務・使い方・変化の3つをセットで書きます。
× NG例
業務効率化のため、ChatGPTなどの生成AIを積極的に活用しました。
ここが惜しい
○ OK例
【取り組み】社内で利用が認められた生成AIで、本部商談用の提案資料のたたき台と、商談メモの要約を作成。数字と表現は自分で確認してから使い、資料1本あたりの作成時間を約3時間から約2時間に短縮。空いた時間で店舗巡回を月4回増やしました。
ここが評価される
情報漏えいを防ぐために、生成AIの利用を禁止・制限している会社もあります。前述のとおり、規模の小さい企業ではAI自体を導入していないことも多く、使っていないことを気にする必要はありません。
代わりに書けるのは、AIを使うときにも土台になる力です。たとえば「ExcelのピボットテーブルでPOSデータを集計し、提案の根拠をつくった」「訪問ルートを見直して移動時間を週約5時間減らした」といった、データを扱う力と業務を改善した経験です。受発注システムやSFAなど、新しいツールの導入に対応した経験も、変化に適応できる根拠になります。
ルート営業は、個人の目標がなかったり、市場の影響を受けやすかったりと、数字を書きにくい場面が多い仕事です。それでも、見る角度を変えれば書ける数字は必ずあります。
個人の売上目標が設定されていない
目標がなくても、担当先の売上の前年比や、取引の継続率は書けます。「担当25社の取引額を3年間で約1.2倍に」のように、期間を区切って変化を示しましょう。
担当エリアの市場が縮小している
前年割れでも、市場全体や会社全体の落ち込みより小さければ評価されます。「エリア全体が前年比93%の中、担当先は前年比98%を維持」のように、比べる基準を添えて書きます。
会社の方針で売上額を出せない
金額を伏せて、達成率・前年比・社内順位・導入社数など、割合や件数で書きます。これなら機密に触れずに成果を伝えられます。
チームで担当していて個人の実績がない
チーム全体の実績を書いたうえで、自分の担当範囲と役割を明記します。「6名で80社を担当。うち自分は量販の15社を受け持ち、新商品の導入提案を担当」のように書くと伝わります。
あわせて読みたい:アピールできる実績がない人の職務経歴書の書き方
書き終えたら、提出前に次の項目を確認しましょう。
状況別の無料テンプレート
ブランク、転職回数、未経験…気になる事情があるなら、状況別の記入見本も
職種の書き方はこの記事で、事情の伝え方は状況別の記入見本で。2つを組み合わせれば、書きにくいところも迷わず書けます。
書き方次第です。担当先を回っていたことだけを書くと、そう受け取られることもあります。前年比や新商品の導入など、取引を伸ばした数字を書けば、既存顧客を任せられる営業として評価されます。
応募はできます。既存顧客への新商品の提案や、新しい店舗・部署への取引拡大は、新規開拓に近い経験です。その経験を具体的に書き、ヒアリングや提案の進め方が活かせることを伝えましょう。
担当期間ごとに区切って書けば問題ありません。担当替えのあとに短期間で成果を出せた経験があれば、引き継ぎがうまい人として強みになります。
書いてかまいません。ただし作業の説明は短くし、その時間に店舗の売場を確認した、担当者と話して要望を聞いたなど、営業につなげた工夫を中心に書くと評価されやすくなります。
社名は書かないのが無難です。守秘義務の意識も、採用担当は見ています。「首都圏の食品スーパー12社」のように、業態・地域・規模で書けば十分に伝わります。
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