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大手からベンチャーへ転職する人の職務経歴書|経験の言い換え方と記入例・無料テンプレート

大手からベンチャーへ転職する人の職務経歴書|経験の言い換え方と記入例・無料テンプレート

大手で10年近く働いてきた。実績もそれなりにある。それなのにベンチャーに応募しようとすると、急に自信がなくなる。「大手の看板があったからでは」「分業に慣れた人は動けないと思われないか」「給料の話はどう書けばいいのか」。大手からベンチャーへ移る人の多くが、書類の段階でこうした迷いを抱えます。

大手での経験は、それだけで不利になるものではありません。ただし、同じ実績でも書き方しだいで「組織の力」に見えたり「本人の力」に見えたりします。ベンチャーの採用担当が知りたいのは、会社の看板を外したとき、この人は自分で何をしてきたかです。

この記事では、大手通信会社で法人営業と新サービスの企画を10年半担当してきた人の記入例をもとに、大手の経験をベンチャーで使える形に言い換える方法を解説します。応募先の成長段階ごとの書き分け方や、面接で「なぜ大手を辞めてまで」と聞かれたときの答え方も紹介します。

この記事でわかること

  • 大手からベンチャーへ転職する人の職務経歴書の完成イメージ(記入例)
  • 公的データから見た、小さな組織が転職者に求めていること
  • 社内用語の言い換え、チームの成果と自分の役割の分け方など、項目別のOK例・NG例
  • 創業期・拡大期・上場準備など、応募先の成長段階別の書き分け方
  • 大手のルールの中で使ってきたAIの経験の書き方と、面接での答え方

無料テンプレート

大手からベンチャーへ転職する人の職務経歴書、記入見本つきのテンプレートがあります

この記事の記入例と同じ形式で、Word・Excel・PDFの3形式。空欄のテンプレートと記入見本がセットになっています。

大手からベンチャーへ転職する人の職務経歴書の記入例

まずは完成イメージです。従業員約12,000名の大手通信会社で、法人営業を7年、中小企業向けの新サービスの企画を3年半担当してきた人が、法人向けITサービスのベンチャーの事業開発・企画職に応募するケースを想定しています。職務経歴の後ろに「ベンチャーで活かせること」という欄を設け、転職の理由と大手での経験の活かし方をまとめています。画像をタップすると拡大できます。

大手からベンチャーへ転職する人の職務経歴書の記入例(大手通信会社で営業7年・企画3年半)
大手からベンチャーへ転職する人の職務経歴書の記入例(A4・2枚)

この記入例と同じ形式のテンプレートを、Word・Excel・PDFの3形式で無料で用意しています。空欄のテンプレートと記入見本の2点セットです。

データで読む:小さな組織ほど、転職者に「入ってすぐ動ける経験」を求めている

書き方に入る前に、ベンチャーのような小さな組織が転職者をどう迎えているかを、厚生労働省の調査で見ておきます。ここで使う「令和7年転職者実態調査」は、事業所(職場)の規模別に結果を出しています。会社全体の規模ではありませんが、ベンチャーの多くは、この区分でいえば小さい側に入ります。

3つの表を重ねた編集部の読みは、こうです。小さな職場ほど、転職者を時間をかけて育てる相手ではなく、入ってすぐ自分で動ける経験者として迎えています。

小さな職場ほど、新卒より転職者を優先して採りたいと考えている

この調査では、今後3年間に転職者を採用する予定がある事業所に、新卒者と転職者のどちらを優先したいかを聞いています。「転職者を優先して採用したい」と答えたのは、1,000人以上の事業所では13.3%でした。これが30〜99人では41.4%、5〜29人では40.2%にのぼります。

今後3年間に転職者を優先して採用したい事業所の割合。1,000人以上13.3%、30〜99人41.4%、5〜29人40.2%
言いたいこと:小さな職場ほど、新卒より転職者を優先したい(厚生労働省「令和7年転職者実態調査」、2025年)

出典:令和7年転職者実態調査の概況(厚生労働省) 表7

1,000人以上の事業所では「どちらとも言えない」が67.1%と多くなっています。編集部の読みでは、大きな職場では新卒を採って育てる仕組みと中途採用が並んでおり、小さな職場では、その育てる仕組みを持たない分、すでに経験のある人に頼っていると考えられます。ベンチャーにとって中途採用は、いま組織に足りない経験を、すぐに埋めるための手段です。

応募する側から読み直すと、職務経歴書で示すべきなのは「大手にいたこと」ではなく、応募先にいま欠けている経験を持っていることです。記入例が職務要約で、新サービスを「顧客約40社へのヒアリングから試行、提供開始まで」進めた経験を前に出しているのは、事業をつくる段階のベンチャーが欲しい経験だからです。

転職者に教育訓練をしない職場は、小さいほど多い

同じ調査で、転職者に教育訓練を行ったかを見ると、1,000人以上の事業所は97.5%が実施し、実施しなかったのは2.0%でした。規模が小さくなるほど「実施しなかった」は増え、5〜29人の事業所では18.5%、約5か所に1か所です。

転職者に教育訓練を実施しなかった事業所の割合。1,000人以上2.0%、300〜999人4.3%、100〜299人6.8%、30〜99人10.8%、5〜29人18.5%
言いたいこと:転職者に教育訓練をしない職場は、規模が小さいほど多い(厚生労働省「令和7年転職者実態調査」、2025年)

出典:令和7年転職者実態調査の概況(厚生労働省) 表6

小さな職場でも8割は何らかの教育訓練をしているので、「入ったら放っておかれる」とまでは言えません。ただ、大手のように入社時の研修や手順書、相談できる専任の部署がそろっている前提では動けない、と考えておくほうが安全です。

編集部の読みでは、採用の現場で「大手の人は分業や指示がないと動けないのでは」と心配されることがあるのは、この差があるからです。その心配に答えるのは意気込みではなく、自分で手を動かしてきた作業の具体例です。記入例の「ベンチャーで活かせること」欄で、ヒアリングの設計から料金プランの収支の試算、Web申込画面の要件づくりまでを並べているのは、この点に先回りするためです。

小さな職場ほど、転職者の賃金で「前職の賃金」を考慮する割合が低い

転職者の賃金を決めるときに考慮した要素(複数回答)を見ると、「前職の賃金」は1,000人以上の事業所で48.1%、5〜29人の事業所では24.4%でした。反対に「賃金の世間相場」は、1,000人以上で25.7%、5〜29人で36.4%と、小さな職場のほうが多くなっています。

転職者の賃金決定で考慮した要素。前職の賃金は1,000人以上48.1%、5〜29人24.4%。賃金の世間相場は1,000人以上25.7%、5〜29人36.4%
言いたいこと:小さな職場ほど、前職の賃金より世間相場で賃金を決める(厚生労働省「令和7年転職者実態調査」、2025年)

出典:令和7年転職者実態調査の概況(厚生労働省) 表5

賃金の水準そのものも、平均で見ると規模で差があります。厚生労働省の「令和7年賃金構造基本統計調査」では、30〜34歳の所定内給与(残業代などを除いた月の給与)の平均は、大企業(常用労働者1,000人以上)で34万4,600円、小企業(10〜99人)で28万6,500円でした。平均どうしの比較なので、個々のベンチャーの給与を示すものではありません。

2つの資料を合わせた編集部の読みは、こうです。大手での給与は、ベンチャーでの給与を決める物差しになるとは限りません。だからこそ、待遇の変化を理解したうえで応募していることを、書類で一言示しておく価値があります。記入例の【働き方について】は「規模や待遇の変化も理解したうえで、担う範囲の広さを重視しています」と書いています。具体的な金額や条件は書類に書かず、面接や内定後に確かめましょう。

まとめると、大手からベンチャーへ移る人の職務経歴書では、応募先に足りない経験を持ち、研修や分業がなくても自分で動け、待遇の変化も理解している人だと、事実で伝えられるかどうかで差がつきます。ここからは、採用担当が書類で確かめていることを整理します。

大手からベンチャーへ転職する人の職務経歴書テンプレートを無料でダウンロード

採用担当が大手出身の応募者で確認している3つのこと

採用担当が大手出身の応募者で確認している3つのこと:本人が何をしたか、自分で手を動かせるか、なぜベンチャーなのか
この章のまとめ:採用担当が確認している3つのこと

こうした変化と採用の現場でよく見られる傾向を踏まえると、ベンチャーの採用担当は大手出身の応募者の書類から、次の3つを確認しています。

  1. 会社の看板ではなく、本人が何をしたか大手の実績は、ブランド・顧客基盤・分業の仕組みに支えられている部分があります。チームの人数と自分の立場、自分で担当した作業、数字の成果を分けて書いているかで、本人の力を見極めます。
  2. 少人数の組織で、自分で手を動かせるかベンチャーでは、資料づくりや試算、顧客対応まで一人で幅広く担うことがよくあります。教育訓練や分業が手薄な前提で、自分で進めた経験が書かれているかを確認します。
  3. なぜベンチャーなのか、環境の違いを理解しているか意思決定の速さ、役割の広さ、方針の変更、待遇の変化。こうした違いを理解したうえでの転職か、担いたい仕事が具体的かを見ています。「成長したい」だけでは、期待とのずれによる早期離職を心配されます。

大手出身の人の書類で弱くなりやすいのは、1つ目と2つ目です。大きな案件や全社のプロジェクトほど、関わった人が多く、自分の担当範囲がぼやけやすいからです。次の章では、この2つを項目ごとの書き方に落とし込みます。

項目別の書き方:OK例とNG例の違い

ここからは項目ごとに、NG例とOK例を並べて解説します。OK例は記入例からの引用です。

職務要約:会社の規模より、自分の役割と成果を数字で示す

職務要約は、採用担当が最初に読む部分です。大手の人ほど「大型案件」「全社横断」といった会社の規模を表す言葉に頼りがちですが、ベンチャーの採用担当が知りたいのは自分の立場と、担った範囲です。

× NG例

大手通信会社にて、法人営業および新規サービスの企画に従事してまいりました。大手企業を中心とした大型案件を多数担当し、全社横断プロジェクトにも参画するなど、幅広い経験を積んでまいりました。今後はベンチャー企業のスピード感の中で、さらに成長したいと考えております。

ここが惜しい

  1. 「大型案件」「全社横断プロジェクト」は会社の規模を示すだけで、本人の役割と成果がわかりません。
  2. 「従事」「参画」は関わり方があいまいで、自分で進めたのか、メンバーの一人だったのかを判断できません。
  3. 「成長したい」は受け身に見え、ベンチャーで何を担うのかが伝わりません。

○ OK例

大手通信会社の株式会社サンプル通信で10年半、法人向けサービスの営業(7年)と企画(3年半)を担当してきました。(中略)企画では中小企業向けの新サービスを主担当として立ち上げ、顧客約40社へのヒアリングから試行、提供開始までを進め、契約数は1年で約1,800社です。今後は意思決定の速い環境で、事業の成長に直接責任を持ちたいと考えています。

ここが評価される

  1. 営業7年・企画3年半と期間を分けて書いているので、経歴の全体が一目でわかります。
  2. 「主担当として」「ヒアリングから試行、提供開始まで」と、自分の立場と担った範囲がはっきりしています。
  3. 最後に担いたいことを「事業の成長に直接責任を持つ」と書き、ベンチャーを選ぶ理由が伝わります。

新サービスの立ち上げや業務の改善など、仕組みが整っていない状態から物事を進めた経験があれば、職務要約の中で数字とともに見せましょう。データの章で見たとおり、小さな職場は「いま足りない経験」を持つ人を探しています。ゼロから関わった仕事は、大手出身の人がベンチャーに示せるいちばんの材料です。

職務経歴:社内用語を言い換え、チームの成果と自分の役割を分ける

職務経歴は、大手出身の人の書類でいちばん差がつく項目です。下の画像の3つのポイントを押さえると、同じ経験でも「組織の力」ではなく「本人の力」として読まれます。

大手からベンチャーへ転職する人の職務経歴の書き方のポイント
職務経歴の書き方のポイント

× NG例

法人営業本部 第一営業部 1G(重点顧客担当)
重点顧客のアカウントプランを策定し、大型案件の受注に貢献。2021年度 本部長賞受賞。

ここが惜しい

  1. 「1G」「本部長賞」は社内でしか通じず、ベンチャーの採用担当には担当範囲も表彰の基準もわかりません。
  2. 「受注に貢献」では、チームの中で自分が何を担ったのかがわかりません。
  3. 案件の規模・期間・関係者の数がなく、仕事の難しさが伝わりません。

○ OK例

法人営業本部 第一営業部(大企業担当)

【業務】製造業・物流業の大企業4社を担当(年間取引額 計約15億円)

【実績】物流会社の全国約280拠点のネットワーク刷新を受注(2021年度、5年契約・総額約6億円)。先方の情報システム・総務・経理など5部署と調整し、社内のSE・保守担当8名の提案チームを取りまとめて、約1年で受注

ここが評価される

  1. 部署名に「大企業担当」と添え、社外の人にも担当範囲が伝わる言葉にしています。
  2. 「8名の提案チームを取りまとめて」と、チームの人数と自分の役割を分けて書いています。
  3. 拠点数・契約額・期間・関係部署の数で、案件の規模と調整の難しさが具体的にわかります。

大手の職務経歴書で見落としやすいのが、社内でしか通じない言葉です。「1G」「重点顧客」「アカウントプラン」「本部長賞」は、社内では説明不要でも、ベンチャーの採用担当には意味が伝わりません。部署名は正式名称に担当範囲を添え、表彰は「部内14名中2位」のように基準がわかる書き方に置き換えます。

部署の異動は「何が変わったか」で書く

大手では数年ごとに異動があり、部署名だけが並ぶと経歴が読み取りにくくなります。記入例のように部署ごとに「中堅・中小企業担当」「大企業担当」「企画担当3名のうち主担当」と担当や立場を添えると、営業から企画へと役割が広がった流れが伝わります。

ベンチャーで活かせること:転職の理由・経験の活かし方・自分で手を動かしたことを事実で書く

記入例では、職務経歴の後ろに「■ベンチャーで活かせること」という欄を設けています。職務経歴だけでは伝わりにくい「なぜベンチャーなのか」「大手の経験がどこで役立つのか」を、4つの見出しでまとめる欄です。

× NG例

■ベンチャーで活かせること
大手企業で培った幅広い知見とネットワークを活かし、御社の事業拡大に貢献したいと考えています。大企業の意思決定の遅さに限界を感じ、裁量の大きい環境を求めて転職を決意しました。

ここが惜しい

  1. 「幅広い知見とネットワーク」は中身がわからず、応募先のどの場面で役立つのかが見えません。
  2. 前の会社への不満を理由にすると、ベンチャーでも思いどおりにいかないときに辞めるのでは、と受け取られかねません。
  3. 自分で手を動かした経験がなく、少人数の組織で働く姿を想像できません。

○ OK例

【大手での経験の活かし方】大企業との長期の商談(関わる部署が多い案件を約1年かけて受注)の経験は、大企業への販売や提携を進める場面で活かせます。(中略)

【自分で手を動かしてきたこと】ヒアリングの設計と実施、料金プランの収支の試算、Web申込画面の要件づくり、営業向け説明資料の作成まで、自分で担当しました。

ここが評価される

  1. 大手での経験を「応募先のどの場面で使えるか」に言い換えているので、入社後の活躍をイメージできます。
  2. 自分で担当した作業を具体的に並べ、「分業がないと動けないのでは」という心配に先回りしています。
  3. 記入例の【転職を考えた理由】は、実際にやりがいを感じた仕事から書いており、不満ではなく前向きな理由として伝わります。

4つの見出しのうち、【転職を考えた理由】は「新サービス企画で、顧客の声を聞いて試し、すぐ直す仕事にやりがいを感じました」と、実際の仕事から書き起こしています。大手への不満から書くと、どれだけ言葉を選んでも「同じ不満をまた持つのでは」と読まれます。理由は、やりがいを感じた仕事の延長線で書きましょう。

待遇の変化にも一言ふれておく

データの章で見たとおり、小さな職場ほど前職の賃金をそのまま物差しにはしません。記入例の【働き方について】のように、規模や待遇の変化を理解したうえで何を重視して選んでいるかを一言書いておくと、採用担当の不安を減らせます。具体的な条件は面接で確認しましょう。

活かせる経験・知識・スキル:担当業務の経験に、立ち上げの経験と人を動かす力を加える

職務経歴の中から、応募先で使える経験を3つ程度に絞ります。大手の人は「社内調整力」と書きがちですが、そのままでは大きな組織の中だけで通じる力に見えます。

× NG例

・法人営業

・大手企業との折衝力

・社内調整力

ここが惜しい

  1. 項目名だけで、どの程度の規模・期間の経験なのかがわかりません。
  2. 「社内調整力」は大手の組織の中だけで通じる力に見え、ベンチャーでどう活きるのかが伝わりません。

○ OK例

・法人向けIT・通信サービスの提案営業(中堅・中小企業から大企業まで、7年)

・顧客ヒアリングから試行・提供開始まで、新サービスを立ち上げた経験(契約数 約1,800社)

・立場の違う関係者の利害を整理し、合意をつくって物事を前に進める調整力

ここが評価される

  1. 営業の経験を、担当した顧客の幅と年数で具体的に示しています。
  2. 立ち上げの経験を成果の数字とともに入れ、ベンチャーで求められやすい経験を前に出しています。
  3. 「社内調整力」を「合意をつくって前に進める力」と言い換え、社内外どちらでも使える力として伝えています。

自己PR:自分が主語のエピソードで、少人数の組織でも発揮できる強みを示す

自己PRでは、大手で身につけた「型」より、自分で考えて動いた場面を書きます。主語が「会社」や「チーム」になっていないかを確かめましょう。

× NG例

大手企業で10年間働き、組織の中で成果を出すためのビジネスマナーや仕事の進め方を身につけました。御社でも即戦力として、事業の成長に貢献できると考えています。

ここが惜しい

  1. 「ビジネスマナー」「仕事の進め方」は誰にでも書けてしまい、強みとして伝わりません。
  2. エピソードと数字がなく、「即戦力」の根拠がわかりません。
  3. 「組織の中で」を強く出すと、仕組みが整っていない環境で動けるかが、かえって心配されます。

○ OK例

顧客の声を聞き、小さく試して改善する力

新サービスの企画では、約40社へのヒアリングで課題を整理し、試行版を20社に提供しました。利用状況と意見をもとに料金プランと機能を見直し、提供開始から1年で約1,800社の契約につなげました。

ここが評価される

  1. 「ヒアリング→試行→見直し」と、自分で進めた手順が具体的で、ベンチャーでの進め方と重なります。
  2. 契約数という結果まで書いているので、試すだけでなく成果につなげる力が伝わります。
  3. 記入例の2つ目の強みでは、関係者を巻き込んだ経験を「少人数の組織でも」と応募先に結びつけています。
大手からベンチャーへ転職する人の職務経歴書の記入見本つきテンプレート

応募先の成長段階別:大手からベンチャーへの書き分け方

応募先の成長段階別の書き分け方:創業期、拡大期、上場準備・上場後、大企業と取引するベンチャー
この章のまとめ:応募先の段階ごとに、前に出す経験を変える

ひと口にベンチャーといっても、社員が十数名の創業期と、数百名に増えて上場を準備している段階とでは、大手出身の人に期待する役割がまったく違います。求人票や会社のサイトで社員数・設立年・資金調達の状況を確かめ、どの段階にあたるかを見てから書き分けましょう。

応募先の段階採用担当が気にすること前に出したい経験
創業期(社員が数十名まで)役割の決まっていない仕事を、自分で手を動かして進められるか自分で担当した作業、少ない人数・予算で出した成果
拡大期(社員が数十〜数百名)人が増えても回る仕組みや、チームを任せられるか手順・ルールづくり、メンバーの育成、採用への関わり
上場準備・上場後規程や管理の体制を、事業の速さを落とさずに整えられるか規程・内部統制・予算管理などを整えた経験
大企業と取引・提携するベンチャー大企業の意思決定の進み方を知り、商談や提携を前に進められるか関係部署の多い案件の進め方、稟議を通した経験

創業期のベンチャー(社員が数十名まで)

創業期の会社には、営業の資料も料金表も、手順書もまだそろっていないことがよくあります。大手出身の人に最も気にされるのは、誰も段取りをしてくれない状態で動けるかです。

職務経歴書に書きたいこと

  • 自分で手を動かして担当した作業(資料・試算・画面の要件など)
  • 少ない人数・予算・期間で出した成果
  • 方針が変わったときに、どう切り替えたか

記入例

【取り組み】社内の新規事業公募に応募し、メンバー2名で中小企業向けの研修サービスを試作。予算30万円の範囲で案内ページと申込フォームを自作し、3か月で試験導入6社を獲得

ポイント

  1. 人数・予算・期間の制約を書くことで、資源が少ない中でも成果を出せる人だと伝わります。
  2. 「自作し」と自分の作業を明記しているので、分業に頼らない働き方がイメージできます。

よくある落とし穴

大手での役職や部下の人数を前に出しすぎるケースです。創業期の会社では、まずプレーヤーとして動けるかが見られます。管理職の経験は書いてよいですが、同じくらいの行数で「自分で手を動かした仕事」も書きましょう。

拡大期のベンチャー(社員が数十〜数百名)

社員が急に増える段階では、「人によってやり方が違う」「新しく入った人が育たない」といった悩みが出てきます。ここでは大手で当たり前だった仕組みや手順をつくる経験が強みになります。

職務経歴書に書きたいこと

  • 手順書・ルール・研修など、仕組みをつくった経験と、その結果
  • メンバーの育成や、チームのまとめ役を担った経験
  • 仕組みを「重くしすぎない」ために工夫したこと

記入例

【取り組み】新人営業向けの提案手順を1枚のチェックリストにまとめ、同行の回数を減らしても提案の質がそろうように見直し。新人3名の初受注までの期間を平均約6か月から約4か月に短縮

ポイント

  1. 大手のやり方をそのまま持ち込むのではなく、「1枚にまとめた」と軽くした工夫が伝わります。
  2. 前後の数字で、仕組みの効果を示しています。

よくある落とし穴

「大手の管理手法を導入したい」と書くケースです。拡大期の会社は、速さを保ちながら整えたいと考えています。導入したい仕組みではなく、過去に整えた仕組みと、その結果で示しましょう。

上場準備・上場後のベンチャー

上場を目指す段階では、規程づくり、内部統制、予算管理、情報管理など、大手では整っていた管理の仕組みが一気に必要になります。経理・法務・人事など管理部門の人にとっては、大手の経験がいちばん直接に活きる段階です。

職務経歴書に書きたいこと

  • 整備・運用に関わった規程や管理の仕組みの範囲
  • 監査や審査に対応した経験
  • 現場の負担を増やしすぎないように工夫したこと

記入例

【担当】営業部門の契約審査の運用(年間約300件)。審査基準を一覧にまとめ、定型の契約は営業部内で判断できるよう見直し、法務部への依頼を約4割削減

ポイント

  1. 管理を強めるだけでなく、現場が速く動ける形に整えた経験として書いています。

よくある落とし穴

大手の規程や様式を「そのまま使える」と書くケースです。社内の資料を持ち出すことはもちろんできません。自分が整えた経験と考え方で示しましょう。

大企業と取引・提携するベンチャー(法人向けサービスなど)

大企業を顧客や提携先にするベンチャーでは、大企業の中で物事がどう決まるかを知っていること自体が強みです。記入例の人物が応募するのも、この段階の会社です。

職務経歴書に書きたいこと

  • 関わる部署が多い案件を、どう進めて受注したか
  • 稟議や社内審査の流れを踏まえて、提案や契約を進めた経験
  • 大企業の担当者の立場に立った提案の工夫

記入例

【大手での経験の活かし方】大企業との長期の商談(関わる部署が多い案件を約1年かけて受注)の経験は、大企業への販売や提携を進める場面で活かせます。

ポイント

  1. 記入例からの引用です。大手の経験を「応募先のどの場面で使えるか」まで言い換えています。
  2. 職務経歴の「先方5部署と調整」「約1年で受注」と対応しているので、面接で深掘りされても具体的に話せます。

よくある落とし穴

「大手との人脈」を強みに書くケースです。前の会社の顧客との関係は会社のものでもあり、転職後にそのまま使えるとは限りません。人脈ではなく、大企業の案件を進めた「やり方」を書きましょう。

大手からベンチャーへ移る人とAI:ルールの中で使った経験をどう書くか

大手からベンチャーへ移る人のAIの経験の書き方:避けたい書き方と伝わる書き方
この章のまとめ:AIの経験は「業務・ルール・確認」で書く

AIの使い方や、どの程度の活用を求めるかは、応募先の規模・業界・社内ルールによって大きく違います。IPA(情報処理推進機構)の「DX動向2026」では、AIを導入している企業は従業員1,001人以上で8割近くにのぼる一方、101人以下では16.6%にとどまります。

規模の小さな会社全体では導入が少なめですが、法人向けのITサービスを手がけるベンチャーのように、日常的に使っている会社もあります。AIの経験がないからといって、書類選考で不利になると考える必要はありません。まず求人票に「生成AI」「AIツール」などの記載があるかを確かめ、記載があれば具体的に、なければツール欄に1行添える程度にとどめましょう。

大手での使い方と、ベンチャーで問われることの違い

大手では、会社が審査して認めたツールが配られ、使ってよい業務や入力してはいけない情報がルールで決まっていることがほとんどです。ベンチャーでは、どのツールを使うか、どこまで任せるかを、現場で決める場面も出てきます。

だからこそ、大手でルールに沿って使ってきた経験は、ベンチャーでは「安全な使い方を自分で組み立てられる力」として読まれます。同じIPAの調査では、AIの用途として「文書・音声の要約、翻訳、校正」が82.5%と最も多く挙がっています。営業や企画の仕事なら、次のような使い方が現実的です。

  • 顧客へのヒアリング記録や打ち合わせメモの要約の下書き(記入例の使い方)
  • 提案書・企画書の構成案や、説明資料の言い回しの見直し
  • 公開情報をもとにした市場や競合の下調べ(数字は必ず一次情報で確認)
  • Excelの関数や集計の組み方の相談

書き方:「何の業務で・どう使い・何に気をつけたか」

記入例では、ツール・PCスキル欄に1行だけ書いています。使った業務・使い方・情報の扱いの3つがそろっていれば、1行でも十分に伝わります。

× NG例

生成AI:業務効率化のため日常的に活用

ここが惜しい

  1. どの業務に、どう使ったのかがわからず、応募先で任せられる場面を想像できません。
  2. 顧客の情報を入力していないか、出力を確認したかが書かれておらず、情報の扱いを安心して任せられるか判断できません。

○ OK例

生成AI:ヒアリング記録の要約下書き(社内承認ツールのみ、顧客名なし、自分で確認)

ここが評価される

  1. 「ヒアリング記録の要約下書き」と、使った業務と任せた範囲が具体的です。
  2. 「社内承認ツールのみ」「顧客名なし」と書いているので、会社のルールと顧客の情報を守って使える人だと伝わります。
  3. 「自分で確認」と添え、出力をそのまま使っていないことがわかります。

応募先が求人票でAIの活用を求めている場合は、職務経歴の【取り組み】に「何が変わったか」まで書く方法もあります。その場合も、作業時間などの数字は実際に測った範囲で書きましょう。

盛らない・持ち出さない

大手からの転職で特に気をつけたいのは、前の会社でつくったプロンプト(AIへの指示文)や、AIで整理した社内資料を持ち出さないことです。社内でつくったものは、会社の情報です。

  • 顧客名・社内の数字・未公開の企画をAIに入力しなかったことを書く
  • 会社が認めたツールを、社内ルールの範囲で使ったことを書く
  • 数回試しただけの経験を「活用」と書かない。面接で具体例を聞かれても答えられる範囲にとどめる

AIを使っていない・禁止の職場だった人は

情報管理を理由に生成AIの利用を禁じている大手は珍しくなく、使っていないことを気にする必要はありません。ルールを守って顧客の情報を扱ってきたこと自体が、ベンチャーでも信頼される姿勢です。

代わりに、仕事のやり方を自分で変えた経験を書きましょう。記入例の「紙の申込書をWeb申込に切り替え、申込から利用開始までを平均14日から5日に短縮」のような改善は、AIと同じく、新しい道具や仕組みを取り入れて成果を出せる力を示します。

面接で「なぜ大手を辞めてまでベンチャーに?」と聞かれたときの答え方

面接での答え方の順番:やりがいを感じた経験、ベンチャーで担いたいこと、大手の経験の活かし方、環境の違いへの理解
この章のまとめ:答えは「経験→担いたいこと→活かし方→理解」の順に

大手出身の応募者は、面接でほぼ必ず「なぜ大手を辞めてまで」と聞かれます。答えの中身は、職務経歴書の「ベンチャーで活かせること」欄と同じ流れにそろえましょう。書類と面接で話がずれないことが、そのまま「よく考えて決めた転職だ」という証拠になります。

「なぜ、大手を辞めてまでベンチャーに来たいのですか」

大手への不満ではなく、やりがいを感じた仕事から話し始めます。
例:「新サービスの企画で、顧客約40社の声を聞いて試行版をつくり、意見をもとにすぐ直す仕事に手ごたえを感じました。同じ進め方で、事業の成長に直接責任を持てる環境で働きたいと考えています」
「大手は意思決定が遅い」は、事実でも口にしないほうが無難です。

「年収が下がるかもしれませんが、大丈夫ですか」

理解していることと、何を重視しているかを短く答えます。
例:「条件が変わる可能性は理解しています。そのうえで、担う範囲の広さを重視して応募しました。具体的な条件は、ご提示いただいた内容をもとに検討します」
希望の金額を聞かれたら、生活に必要な水準を根拠とともに伝え、「大手と同じでないと困る」という言い方は避けます。

「資料づくりや細かい作業も、自分でやってもらいますが」

「できます」と答えるだけでなく、実際に自分でやってきた作業を挙げます。
例:「企画では、ヒアリングの設計と実施、料金プランの収支の試算、Web申込画面の要件づくり、営業向けの説明資料まで自分で担当しました」
職務経歴書の【自分で手を動かしてきたこと】と同じ内容を話せば、書類の裏付けになります。

「方針がよく変わります。合わなかったら、また辞めませんか」

変化への向き合い方を、過去の経験で答えます。
例:「試行版を20社に提供した際、利用状況を見て料金プランと機能を見直しました。方針が変わったときは、小さく試して数字で確かめる進め方で対応します」
「変化に強いです」と言い切るより、変化にどう対応したかの事実のほうが伝わります。

提出前のチェックリスト

大手からベンチャーへ転職する人の職務経歴書 提出前のチェックリスト7項目
この章のまとめ:提出前に確認したい7つのこと

書き終えたら、提出前に次の7項目を確認しましょう。

  • 職務要約に、在籍年数・担当してきた仕事・代表的な成果を数字で入れている
  • 社内でしか通じない部署名・略語・表彰名を、社外の人に伝わる言葉に言い換えている
  • チームの人数と自分の立場を書き、チームの成果と自分の役割を分けている
  • 新サービスの立ち上げや改善など、ゼロから関わった仕事を具体的に書いている
  • 大手での経験を、応募先のどの場面で活かせるかに言い換えて書いている
  • 転職の理由を、前の会社への不満ではなく、担いたい仕事の言葉で書いている
  • 生成AIの活用は、社内ルールと確認の方法を添え、実際に使った範囲だけを書いている

最後に、職務要約・職務経歴・自己PRで同じ数字を使っている箇所を突き合わせ、達成率などの計算が合っているかも確かめましょう。

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よくある質問

大手の会社名は、職務経歴書で目立たせないほうがいいですか?

会社名はそのまま書いて問題ありません。事業内容と従業員数も書いておくと、どんな環境で働いてきたかが正しく伝わります。大切なのは、会社名に頼らず、自分の立場と担当した作業、数字の成果を分けて書くことです。

社内表彰は書いてもいいですか?

書いてかまいません。ただし「本部長賞」のような社内の名前だけでは、ベンチャーの採用担当には基準がわかりません。「部内14名中2位」「全社約300名の営業から5名を選出」のように、何人の中でどう評価されたのかがわかる書き方にしましょう。

大手で管理職でした。ベンチャーでは管理職の経験は評価されませんか?

評価されないわけではありません。特に拡大期の会社では、チームをまとめた経験が求められます。ただし創業期の会社ほど、プレーヤーとして動けるかも見られます。部下の人数だけでなく、自分で手を動かした仕事も同じくらい具体的に書きましょう。

ベンチャーで働いた経験がありません。社内の新規事業の経験がなくても応募できますか?

応募できます。新規事業でなくても、業務の改善や新しい顧客層の開拓など、決まった手順がない状態から進めた仕事があれば、それを具体的に書きましょう。なお、反対にベンチャーから大手へ移る人の書き方は、レジュメラボの別の記事で紹介しています。

AIを使った経験がないと、ベンチャーへの転職で不利になりますか?

AIの活用をどの程度求めるかは応募先によって大きく違い、経験がないことだけで不利になるとは限りません。求人票にAIの記載がある場合は、紙の手続きをWebに切り替えた経験など、新しい仕組みを取り入れて仕事を変えた経験を具体的に書きましょう。

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Author

佐藤 大貴

レジュメラボ編集責任者/アースダイバー代表

佐藤 大貴

人材紹介の会社で、キャリア系メディアの編集長をしていました。転職やキャリアをテーマにした記事づくりに長く関わり、2019年にアースダイバー株式会社を立ち上げました。編集長時代、たくさんの求職者の方やキャ…

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