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建築設計の職務経歴書の書き方|採用担当に伝わる記入例と無料テンプレート

建築設計の職務経歴書の書き方|採用担当に伝わる記入例と無料テンプレート

建築設計の職務経歴書でよくあるのが、担当した建物の名前を並べ、「意匠設計を担当」「基本設計から実施設計まで」と書いて終わるケースです。作品集があるから職務経歴書は簡単でよい、と考える人も少なくありません。けれども採用担当が職務経歴書で知りたいのは、どんな用途・規模の建物で、設計のどの段階を、どの立場で担い、どんな結果を出してきたかです。

作品集は、建物の姿や設計の考え方を伝えるのに向いています。一方で、チームの中で自分がどこを担当したのか、予算や法規の制約の中でどう判断したのかは、写真や図面だけでは伝わりません。その部分を言葉と数字で補うのが、建築設計の職務経歴書の役割です。

この記事では、設計事務所で約10年半、保育園・福祉施設・中学校・事務所ビルの意匠設計を担当してきた人の記入例をもとに、項目ごとの書き方と評価される理由を解説します。作品集の添え方、勤務先のタイプ別の書き分け方、AIの経験の書き方も紹介します。

この記事でわかること

  • 建築設計の職務経歴書の完成イメージ(記入例)
  • データで読む、設計の担い手・BIM・資格の今
  • 担当範囲と設計の結果を、OK例・NG例で書くコツ(作品集の添え方も)
  • 組織設計事務所・アトリエ・設計施工・住宅会社の書き分け方と、数字が書けないときの対処法
  • 2026年の建築設計とAI:AIの経験を職務経歴書にどう書くか

無料テンプレート

建築設計の職務経歴書、記入見本つきのテンプレートがあります

この記事の記入例と同じ形式で、Word・Excel・PDFの3形式。空欄のテンプレートと記入見本がセットになっています。

建築設計の職務経歴書の記入例

まずは完成イメージです。大学院を修了して設計事務所に入社し、保育園や有料老人ホームの実施設計を経験。主担当として市立中学校の校舎の改築を基本設計から監理まで担い、現在はチーフとして事務所ビルの設計・監理を任されている人を想定しています。画像をタップすると拡大できます。

建築設計の職務経歴書の記入例(設計事務所 約10年半)
建築設計の職務経歴書の記入例(A4・2枚)

この記入例と同じ形式のテンプレートを無料で用意しています。Word・Excel・PDFの3形式で、空欄テンプレートと記入見本の2点セットです。

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ツールで聞かれる質問や記入見本は、建築設計の職務経歴書をAIで作成するページで先に確かめられます。

データで読む:建築設計に求められるのは「担当範囲と設計の進め方を、言葉と数字で示せる人」

書き方に入る前に、建築設計の仕事の今を公的なデータで見ておきます。3つの資料を重ねると、見えてくることは1つです。設計事務所で働く一級建築士はベテランが多く、BIMで設計の進め方が変わり、資格の取得は簡単ではない。だから評価されるのは、実務の中で何を任され、どう設計を進めてきたかを具体的に示せる人です。

設計事務所で働く一級建築士の4割超は60代以上。30代の担い手は1割に満たない

国土交通省の資料「建築分野の担い手の動向について」によると、建築士事務所に所属する一級建築士の年齢構成は、2024年4月1日時点で60代が24.6%、70代以上が19.0%でした。合わせると4割を超えます。一方、30代は9.7%、20代は1.6%にとどまります。2008年(推計)には60代以上は約12%だったとされ、担い手の年齢は大きく上がっています。

建築士事務所に所属する一級建築士の年齢構成。20代1.6%、30代9.7%、40代18.7%、50代26.4%、60代24.6%、70代以上19.0%
言いたいこと:設計事務所で働く一級建築士の4割超は60代以上(国土交通省、2024年4月1日時点)

出典:建築分野の担い手の動向について(国土交通省、建築分野の中長期的なあり方に関する懇談会 第2回 資料4)(2025年6月13日)

編集部の読みでは、30〜40代で設計の実務を一通り経験した人は、どの設計事務所にとっても次の中心を担う存在です。採用担当は、その人に入社後すぐに、どの段階からプロジェクトを任せられるかを確かめたいと考えます。

だからこそ、職務経歴書では「意匠設計を担当」ではなく、基本設計・実施設計・確認申請・監理のどこまでを担ったかを段階の名前で書きます。記入例の「役割:意匠の主担当(基本設計〜実施設計・監理)」は、この物差しに沿った書き方です。

設計事務所の6〜8割がBIMを導入。「使えます」より「何に使ったか」が問われる

国土交通省の「建築分野におけるBIMの活用・普及状況の実態調査」(2025年1月)では、所属する企業でBIMを「導入している」と答えた割合は全体で58.7%でした。総合設計事務所は80.0%、専門設計事務所は61.4%で、設計の現場でBIMが広がっていることがわかります。

BIMを導入している割合。総合設計事務所80.0%、専門設計事務所61.4%、専門工事会社74.4%、総合建設業48.6%、全体58.7%
言いたいこと:設計事務所の6〜8割がBIMを導入している(国土交通省、2025年1月)

出典:建築分野におけるBIMの活用・普及状況の実態調査 確定値<詳細>(国土交通省)(2025年1月調査)

この調査は建築BIM推進会議に参加する団体の会員が対象で、回収率は17.5%です。BIMに関心の高い会社ほど回答している可能性があり、業界全体の数字としては幅を持って読む必要があります。また、「導入している」はソフトと機器を購入済みという意味で、すべての案件で使っているとは限りません。

それでも、BIMが「一部の先進的な事務所の道具」ではなくなっていることは確かです。読み手の側から読み直すと、採用担当は「Revitが使えます」という一言より、BIMで何を確かめ、図面や調整がどう変わったかを知りたいと考えます。記入例の「BIM(Revit)で意匠・構造・設備のモデルを重ね、干渉を確認」「社内検図の指摘を前の案件の約140件から約50件に」は、使い道と結果をセットで示した例です。

一級建築士試験の合格率は11.4%。資格は「どこまで進んでいるか」まで正確に書く

国土交通省の発表によると、令和7年の一級建築士試験は、学科の試験の合格率が16.5%、設計製図の試験の合格率が35.0%でした。学科から製図までを通した総合の合格率は11.4%で、合格者は3,988人です。

令和7年一級建築士試験の合格率。学科の試験16.5%、設計製図の試験35.0%、総合11.4%
言いたいこと:一級建築士試験の合格率は学科・製図を通して11.4%(国土交通省、2025年)

出典:令和7年一級建築士試験「設計製図の試験」の合格者を決定(国土交通省)(2025年12月24日)

一級建築士は、設計できる建物の範囲を広げる資格で、建築設計の求人では応募の条件や歓迎の条件になっていることがよくあります。合格までに何年もかけて学科と製図に挑む人も多い資格です。

編集部の読みでは、だからこそ資格の欄は「持っている・持っていない」だけでなく、どこまで進んでいるかを正確に書くことが大切です。学科の試験に合格して製図に挑戦中の人は、その事実を書けば、実務と並行して学び続けていることが伝わります。記入例では、試験の合格と登録の年月を分けて書いています。

まとめると、いまの建築設計の職務経歴書では、担当した建物の名前に加えて、どの段階を担い、BIMや法規でどう設計を確かめたかと資格がどこまで進んでいるかを書けるかで差がつきます。次は、採用担当が書類のどこを見ているかを確認します。

建築設計の職務経歴書テンプレートを無料でダウンロード

採用担当が建築設計の職務経歴書で見ている3つのこと

採用担当が確かめる3つのこと:設計してきた建物の用途と規模、担当した範囲と立場、設計の結果を示す数字
この章のまとめ:採用担当が確かめる3つのこと

こうした変化と採用の現場でよく見られる傾向を踏まえると、建築設計の採用担当は、書類から次の3つを確認しています。

  1. 設計してきた建物の用途と規模どんな用途の建物を、どの構造・延床面積で設計してきたか。用途ごとに守る法規や使う人の要望が違うため、応募先の得意な用途に近いかどうかを判断できます。
  2. 担当した範囲と立場基本設計・実施設計・確認申請・監理のどこまでを、担当者・主担当・チーフのどの立場で担ってきたか。チームの人数と分担があると、入社後に任せられる範囲がわかります。
  3. 設計の結果を示す数字工事費を予算に収めたか、確認申請の補正や設計変更をどれだけ減らしたか、省エネ性能などの評価を取得したか。作品の見た目だけでなく、設計の確かさを数字で見ます。

3つとも、答えになるのは「デザイン力」「こだわり」という言葉ではなく、用途・規模・担当範囲・結果の数字です。作品集で建物の姿を見せ、職務経歴書で自分の役割と判断を示す、という分担を意識しましょう。

項目別の書き方:OK例とNG例の違い

ここからは項目ごとに、NG例とOK例を並べて解説します。OK例は記入例からの引用です。建築設計の書類で特に差がつくのは、プロジェクトごとの担当範囲の書き方と、設計の結果を示す数字、そして作品集の添え方です。

職務要約:用途・規模・担当範囲・代表的な結果を3〜5行で

職務要約は、採用担当が最初に読む部分です。経験年数に加えて、担当した建物の用途と規模、そして設計のどの段階を任されてきたかを入れます。

× NG例

大学院修了後、設計事務所に入社し、意匠設計として様々な建物の設計に携わってまいりました。使う人の立場に立った、デザイン性と機能性を両立する設計を大切にしています。

ここが惜しい

  1. 「様々な建物」では、用途も規模も件数もわかりません。
  2. 基本設計から任されてきたのか、図面の作成が中心なのかが判断できません。
  3. 「デザイン性と機能性を両立」を裏付ける結果がなく、考え方の紹介にとどまっています。

○ OK例

大学院(建築学専攻)修了後、2016年4月に設計事務所の株式会社サンプル設計事務所に入社し、約10年半、意匠設計に従事してまいりました。保育園・福祉施設・中学校・事務所ビルなど6件(延床面積 約900〜7,800㎡)を担当し、2019年からは主担当として基本設計から実施設計・監理までを任されています。

ここが評価される

  1. 用途・件数・延床面積の幅を書いているので、設計してきた建物の規模がすぐわかります。
  2. 「基本設計から実施設計・監理まで」と段階の名前で書き、任された範囲が伝わります。
  3. 記入例では続けて、予算の調整と省エネ性能の評価という、設計の結果を1つずつ入れています。

設計事務所から建設会社の設計部やディベロッパーへ移りたい人は、応募先の仕事に近い経験(コスト調整、発注者との協議など)を職務要約の最後の一文に入れると、つながりが伝わりやすくなります。

職務経歴:プロジェクトごとに「用途・規模・体制・担当範囲」と「判断・結果」

職務経歴は、建築設計の書類でいちばん重要な項目です。下の画像の3つのポイントを押さえると、同じ経験でも伝わり方が大きく変わります。

建築設計の職務経歴の書き方のポイント
職務経歴の書き方のポイント

× NG例

中学校の校舎の設計を担当。基本設計から監理まで行い、学校関係者の要望を取り入れた使いやすい校舎を実現しました。

ここが惜しい

  1. 構造・階数・延床面積がなく、どれくらいの規模の建物かがわかりません。
  2. チームの人数も分担もなく、設計の中で自分がどこを担ったのかがわかりません。
  3. 「使いやすい校舎を実現」は感想で、予算や設計変更などの結果が書かれていません。

○ OK例

【プロジェクト】市立中学校の校舎の改築(RC造・地上4階・延床 約7,800㎡、公募型プロポーザルで受注)

規模:意匠3名・構造2名・設備3名 役割:意匠の主担当(基本設計〜実施設計・監理)

内容:学校・教育委員会とワークショップを6回行い諸室の配置を決定。実施設計でVE案18項目をまとめ、概算工事費を予算(約32億円)内に調整

成果:工事の入札は不調なく1回で成立。工事中の設計変更12件のうち設計起因は3件。2023年2月に竣工

ここが評価される

  1. 「RC造・地上4階・延床 約7,800㎡」と、建物の中身が数字でわかります。
  2. 意匠・構造・設備の人数と自分の役割を書き、チームの中での立ち位置が伝わります。
  3. 要望の整理・予算の調整・設計変更の件数と、判断と結果がつながっています。

プロジェクトは「用途(構造・階数・延床面積、受注の形)→体制→役割→内容→成果」の順にそろえると、採用担当は自社の案件と並べて読めます。データの章で見たとおり、採用担当が知りたいのは「どの段階から任せられるか」です。役割の欄には、必ず担当した段階の名前を書きましょう。

発注者名や建物名は守秘義務の範囲で

竣工して公表されている建物でも、発注者名や建物の名称を書いてよいかは、発注者と今の事務所のルールに従います。「市立中学校の校舎の改築」のように、用途・規模・受注の形で伝えれば十分です。

予算・図面の品質・性能の実績:設計の結果を数字で示す

建築設計の成果は、建物が完成したことだけではありません。採用担当が知りたいのは、設計の進め方によって、何がどれだけ良くなったかです。予算への調整、確認申請の補正や社内検図の指摘、設計変更の件数、省エネ性能の評価などは、設計の確かさを示す数字になります。

× NG例

BIMを活用して設計の効率化と品質向上に取り組みました。環境に配慮した省エネ設計にも力を入れています。

ここが惜しい

  1. BIMを何に使い、図面がどう変わったのかが書かれていません。
  2. 「品質向上」「省エネ設計」は、結果を示す数字や評価がなく、どの程度の設計ができるのか判断できません。

○ OK例

内容:BIM(Revit)で意匠・構造・設備のモデルを重ね、干渉を確認

成果:実施設計の社内検図の指摘を前の案件の約140件から約50件に減らした。BELSでZEB Readyの評価を取得

ここが評価される

  1. 「モデルを重ねて干渉を確認」と、BIMの使い方が具体的です。
  2. 検図の指摘件数を前後で比べているので、図面の品質がどれだけ変わったかがわかります。
  3. 省エネ性能を、第三者の評価(BELS)の結果で示しています。

記入例の中学校の改築では「VE案18項目をまとめ、概算工事費を予算(約32億円)内に調整」「設計変更12件のうち設計起因は3件」と、コストと図面の品質の両方を数字で示しています。設計変更の件数を書くときは、発注者の要望による変更と設計起因の変更を分けると、正確に読んでもらえます。

法改正への対応も実績になる

2025年4月の法改正で、原則すべての新築建築物に省エネ基準への適合が義務づけられるなど、確認申請の手続きが変わりました。記入例の「確認申請チェックリストを改訂」のように、制度の変更に合わせて仕事の進め方を整えた経験も書きましょう。

法改正の内容は、たとえば神奈川県の案内のように、自治体の建築の窓口でも説明されています。2025年4月からは、全ての新築住宅・非住宅で省エネ基準への適合が義務になり、いわゆる新2号建築物では確認申請で構造・省エネ関連の図書の提出が必要になりました。

作品集:職務経歴書には「形式・中身・公開の了承」を短く書く

建築設計の応募では、職務経歴書と一緒に作品集(ポートフォリオ)を求められることがよくあります。作品集そのものとは別に、職務経歴書にもどんな作品集を、どんな考え方でまとめたかを短く書いておくと、採用担当は開く前に中身を把握できます。

× NG例

作品集を別途お送りします。

ここが惜しい

  1. どんな形式で、何件の作品が入っているのかがわかりません。
  2. 掲載した図面や写真を公開してよいか確認したのかが書かれておらず、守秘義務への意識が伝わりません。

○ OK例

A3横・20ページのPDF(担当した6件の図面・写真と、用途・規模・担当範囲・期間を掲載)

※竣工写真・図面は、発注者と当社の了承を得た範囲で掲載しています

ここが評価される

  1. 形式とページ数があり、採用担当がどんな資料かを開く前に把握できます。
  2. 作品ごとに担当範囲と期間を書いていることで、チームの成果と自分の仕事を分けて見てもらえます。
  3. 公開の了承を得た範囲で載せていることを書き、情報の扱いへの意識が伝わります。

作品集では、作品ごとに「用途・規模・担当範囲・期間」を添え、チームの成果の中で自分が担った部分がわかるようにします。応募先から形式やページ数の指定があれば、それに合わせましょう。竣工前の建物や未公表の計画、発注者が公開を望まない図面は載せません。

活かせる経験・知識・技術:用途と設計の範囲・法規と申請・調整の力から3つに絞る

職務経歴の中から、応募先で使える経験を3つに絞って箇条書きにします。ソフトの名前はテクニカルスキル欄に任せ、ここではどんな建物で何ができるかを書きます。

× NG例

・デザイン力

・Revit・AutoCAD

・コミュニケーション能力

ここが惜しい

  1. 「デザイン力」「コミュニケーション能力」は抽象的で、どんな設計の場面で活きるのかが伝わりません。
  2. ソフトの名前はテクニカルスキル欄と重複します。

○ OK例

・教育・福祉・事務所の意匠設計で、基本設計から実施設計・監理までの一貫した経験

・法規の確認と確認申請・関係機関との協議(補正の指摘を減らす仕組みづくり)

・BIMでの意匠・構造・設備の調整と、予算に合わせたVE案のとりまとめ

ここが評価される

  1. 設計の範囲・法規と申請・調整と、強みの種類が重ならないように選んでいます。
  2. どれも職務経歴のプロジェクトと対応しているので、面接で深掘りされても具体的に話せます。
  3. 求人票の「基本設計から」「確認申請」「BIM」などの言葉とそろえると目に留まりやすくなります。

記入例では、テクニカルスキル欄を「CAD・BIM」「プレゼン」「法規・申請」「その他」の4つに分けています。ソフトは「Revit(実施設計・干渉確認、3年半)」のように、使った段階と年数をセットで書きます。資格の欄は「一級建築士試験 合格」と「一級建築士 登録」を分け、管理建築士講習の修了も添えています。学科の試験だけに合格している人は「一級建築士試験 学科の試験 合格(2026年 設計製図の試験を受験)」のように書きましょう。

自己PR:強みは2つまで。設計の「進め方」と結果で示す

自己PRは「強み → 進め方 → 結果の数字」の順に書きます。建築設計の自己PRは「情熱」「こだわり」になりがちですが、採用担当が知りたいのは、要望・予算・法規の間で、どう判断して設計をまとめてきたかです。

× NG例

私の強みは、建築への情熱とデザインへのこだわりです。どんな建物でも妥協せず、細部まで美しさを追求してきました。

ここが惜しい

  1. 「情熱」「こだわり」は多くの応募者が書く言葉で、差がつきません。
  2. 「妥協せず」は、予算や工期の中でどう判断する人なのかが読み取れず、かえって不安に思われることもあります。

○ OK例

使う人の要望を、予算内の設計にまとめる力

ワークショップで要望を整理し、VE案18項目で概算工事費を予算内に調整しました。

ここが評価される

  1. 「ワークショップで整理し、VE案で調整する」という進め方が具体的で、応募先でも同じ進め方ができそうだと伝わります。
  2. 「VE案18項目」「予算内」と結果があるので、強みが自己評価で終わっていません。
  3. 記入例では2つ目の強みとして、BIMと法規の確認で手戻りを減らした経験を書いています。

記入例の自己PRは1つにつき1行と短めです。面接では、ワークショップでどんな意見が出て、どの要望を優先したのか、VE案で何を変えたのかを、作品集の図面を指しながら話せるようにしておきましょう。

建築設計の職務経歴書の記入見本つきテンプレート

勤務先のタイプ別:建築設計の職務経歴書の書き分け方

勤務先のタイプごとに前に出すこと:組織設計事務所、アトリエ系の設計事務所、建設会社の設計部、住宅会社・ハウスメーカー
この章のまとめ:勤務先のタイプごとに前に出すこと

同じ建築設計でも、どんな勤務先で働いてきたかによって、任される範囲も強調したい数字も変わります。どのタイプでも共通するのは、用途・規模・担当範囲・結果の数字をそろえることです。まずは表で全体像を確認しましょう。

タイプ採用担当が見るポイント強調したい数字
組織設計事務所大きな建物で、チームの中のどこを担ったか延床面積・チームの人数、担当した段階・部位
アトリエ系の設計事務所1件をまるごと担い、発注者と合意をつくれるか担当件数、打ち合わせの回数、予算と工事費
建設会社の設計部(設計施工)施工部門と組み、コスト・工期に合わせて設計できるか工事費の調整額、着工までの期間、設計変更の件数
住宅会社・ハウスメーカー多くの案件を、お客様の要望に合わせて進められるか年間の設計棟数、契約率、打ち合わせの回数

組織設計事務所

組織設計事務所では、規模の大きな建物を多くの人数で設計します。採用担当は、チームの中で、どの段階・どの部分を自分が担ったかを確かめます。

職務経歴書に書きたいこと

  • 建物の用途・構造・階数・延床面積
  • 意匠・構造・設備の人数と、自分の役割(担当・主担当・チーフ)
  • 担当した段階・部位と、予算・設計変更・評価などの結果

記入例

【プロジェクト】市立中学校の校舎の改築(RC造・地上4階・延床 約7,800㎡、公募型プロポーザルで受注)

規模:意匠3名・構造2名・設備3名 役割:意匠の主担当(基本設計〜実施設計・監理)

ポイント

  1. 記入例の書き方です。建物の中身、体制、自分の役割と段階がひと目でわかります。

よくある落とし穴は、大きな建物の名前を並べて、自分の役割が書かれていないケースです。延床面積が大きいほど、担当した範囲を具体的に書かないと、実際より大きく見せているように読まれかねません。

アトリエ系の設計事務所

少人数の設計事務所では、1人が1件の設計を最初から最後まで担うことが多くあります。採用担当は、発注者との合意のつくり方と、予算の中でまとめた経験を見ます。

職務経歴書に書きたいこと

  • 担当した建物の用途・規模と件数
  • 発注者との打ち合わせの回数や、合意までの進め方
  • 予算と工事費、工期、竣工後の評価や受賞など

記入例

※記入例とは別の架空例です

【担当】木造の住宅・店舗の設計(年間 約5件、延床 約100〜400㎡)。発注者との打ち合わせから実施設計・確認申請・監理まで1人で担当

【実績】2025年度は5件すべてを予算の範囲で着工。打ち合わせは1件平均12回で、模型と3Dパースを使って合意

ポイント

  1. 1件を通して担った範囲と、発注者との進め方・予算の結果がそろっています。

よくある落とし穴は、作品集の写真に頼り、職務経歴書が建物名だけになっているケースです。少人数の事務所ほど、担った業務の幅を言葉で書くことが強みになります。

建設会社の設計部(設計施工)

建設会社の設計部では、自社の施工部門と組んで設計を進めます。採用担当は、コストと工期を見ながら、施工しやすい設計にまとめた経験を確かめます。

職務経歴書に書きたいこと

  • 建物の用途・規模と、設計施工で担当した段階
  • 施工部門・積算部門との調整と、工事費の調整の結果
  • 着工までの期間や、着工後の設計変更の件数

記入例

※記入例とは別の架空例です

【プロジェクト】物流倉庫(S造・地上3階・延床 約18,000㎡、設計施工)。施工部門と基本設計の段階から工法を検討し、着工までを約5か月で完了

【成果】積算部門と仕様を見直し、工事費を当初の見積もりから約4%下げて受注。着工後の設計起因の変更は2件

ポイント

  1. 施工部門との組み方と、工事費・期間・設計変更の結果が数字で書かれています。

よくある落とし穴は、「社内調整」とだけ書くケースです。誰と、何を、どれだけの期間で決めたのかを書くと、設計施工ならではの経験として評価されます。

住宅会社・ハウスメーカー

住宅会社の設計では、多くの案件を同時に進め、お客様と直接打ち合わせをします。採用担当は、年間の設計棟数と、お客様の要望をまとめる力を見ます。

職務経歴書に書きたいこと

  • 住宅の構造・規模と、年間の設計棟数
  • お客様との打ち合わせの回数、契約・着工までの期間
  • 社内の検図や確認申請の指摘件数など、図面の品質

記入例

※記入例とは別の架空例です

【担当】木造2階建ての注文住宅の設計(年間 約35棟)。営業担当と同席し、間取りの提案から実施設計・確認申請まで担当

【実績】2025年度の設計担当棟数は36棟。初回の間取り提案から契約に至った割合は約6割

ポイント

  1. 棟数の多さと、提案から契約へのつながりが数字で示されています。

よくある落とし穴は、棟数だけを書いて、提案の中身が伝わらないケースです。2025年4月の法改正で、木造2階建ての住宅でも確認申請で構造・省エネ関連の図書が必要になりました。こうした変化への対応も1行添えると、今の実務に強い人だと伝わります。

2026年の建築設計とAI:職務経歴書にどう書くか

建築設計がAIの経験を職務経歴書に書くとき:AIを使った、図面・計画の情報を扱うとき、AIを使っていない・禁止の職場
この章のまとめ:建築設計のAIの経験、書くときの3つの場面

最初にお伝えしたいのは、AIの使い方や、AIの経験を求める度合いは、応募先によって大きく違うということです。IPA(情報処理推進機構)の「DX動向2026」では、AIを導入している企業は従業員1,001人以上で8割近くにのぼる一方、101人以下では16.6%でした。少人数の設計事務所と大きな組織設計事務所では、事情がかなり違います。

AIを使った経験がないからといって、書類選考で不利になると考える必要はありません。まずは求人票に「生成AI」「AIツール」などの言葉があるかを確認しましょう。記載があれば具体的に書き、なければテクニカルスキル欄に1行添える程度で十分です。

建築設計で現実的なAIの使い方

総務省の「令和8年版 情報通信白書」では、生成AIを使っている日本の企業のうち、「議事録・メール作成補助」の業務で使っている割合が約7割と最も多くなっています。建築設計の仕事でも、まずは文章の下書きから使われることが多いです。たとえば次のような使い方が現実的です。

  • 設計説明書や提案書の文章の下書きをつくる(記入例の使い方)
  • 発注者との打ち合わせの議事録を、メモから整える
  • 初期のイメージの検討で、雰囲気の異なるパースの案を出してみる
  • 法令や基準の改正点を調べるときに、要点の整理を手伝わせる(原文で必ず確かめる)

どれも「下書き」や「たたき台」までをAIに任せる使い方です。法規の解釈や面積・寸法などの数値は、出力をそのまま使わず、必ず条文や図面で自分が確かめることが大切です。

「何の業務で・どう使い・どう確かめたか」を書く

対象の業務・使い方に、社内ルールと確認の方法を添えて書きます。

× NG例

生成AIを活用して、設計業務を効率化しました。

ここが惜しい

  1. どの業務に、どう使ったのかがわかりません。
  2. 社内ルールに沿って使ったか、法規や数値を確認したかが書かれておらず、安心して任せられるか判断できません。

○ OK例

生成AIで設計説明書の下書きを作成(社内ルール内、法規・数値は自分で確認)

ここが評価される

  1. 「設計説明書の下書き」と、AIに任せた範囲が具体的です。
  2. 「社内ルール内」「法規・数値は自分で確認」と、使い方の決まりと確認の方法がそろっています。

時間の変化など効果を示す数字があれば、「1件 約〇時間→約〇時間」のように添えるとさらに伝わります。面接では、浮いた時間を発注者との打ち合わせの準備や図面の確認にあてた、といった話ができると説得力が増します。

図面・計画の情報を扱うときの注意点

建築設計は、未公表の計画、発注者の事業の情報、図面など、外に出してはいけない情報を日常的に扱います。AIの経験を書くときは、次の3点を添えましょう。

  • 未公表の計画・図面・発注者の情報をAIに入力しなかった
  • 会社が認めたツールを、社内ルールの範囲で使った
  • 法規・面積・寸法などは、条文や図面で自分が確かめた

画像を生成するAIを使った場合は、作品集に載せるかどうかも慎重に判断します。載せるなら、AIで作った案であることと、自分が設計した範囲を分けて書きましょう。

AIを使っていない・禁止の職場だった人は

発注者との契約や事務所の方針で、生成AIの利用を認めていない職場は珍しくありません。ルールに従って情報を守ってきたこと自体が、設計者として大切な姿勢です。

代わりに、道具や仕組みで設計の進め方を変えた経験を書きましょう。記入例の「BIMで干渉を確認」や「法規チェックシート(約60項目)を作成し、補正の指摘を約15件から約6件に」は、AIと同じく「仕事のやり方を自分で変えられる力」を示します。

実績の数字が書けないときの対処法

数字が書けないときに拾う4つの切り口:建物の中身、担当した図面・業務、図面の品質、発注者との合意
この章のまとめ:数字が書けないときは4つの切り口から拾う

建築設計は、売上のような数字が個人に結びつきにくい仕事です。それでも、建物の中身・担当した図面と業務・図面の品質・発注者との合意の4つの切り口で探すと、書ける数字はたいてい見つかります。

若手で、図面を描く担当が中心だった

担当した図面の種類と、関わった件数で書きます。
例:「保育園・有料老人ホームなど4件で、平面詳細図・展開図・建具表を担当。確認申請図書の作成も担当」
描いた図面の種類がわかると、次にどの段階を任せられるかが伝わります。

担当した建物がまだ竣工していない

竣工前でも、担当した段階と、その結果は書けます。
例:「事務所ビル(S造・地上8階・延床 約6,200㎡)。基本計画〜実施設計を担当し、確認済証を取得。2027年3月竣工予定」
竣工予定の時期を添えると、どこまで進んだ案件かが伝わります。

工事費や設計料を社外に出せない

金額を伏せても、割合と調整の方法は書けます。
例:「VE案を取りまとめ、概算工事費を当初案から約5%下げて予算内に調整」
社内の規程で禁じられた数字は書きません。用途・規模・担当範囲だけでも、採用担当には十分に伝わります。

コンペやプロポーザルで選ばれなかった

結果だけでなく、担当した範囲と提案の中身を書けば経験になります。
例:「公募型プロポーザル3件で、配置計画と提案書の作成を担当(うち1件で受注)」
選ばれなかった提案も、作品集に入れて考え方を説明できます(公開してよい範囲で)。

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提出前のチェックリスト

提出前に確かめる7つのこと
この章のまとめ:提出前に確かめる7つのこと

書き終えたら、提出前に次の項目を確認しましょう。

  • 職務要約に、経験年数・勤務先の種類・建物の用途と規模・担当範囲・代表的な成果が入っている
  • プロジェクトごとに「用途・構造・階数・延床面積」と、チームの人数・自分の役割を書いている
  • 基本設計・実施設計・確認申請・監理のどこまでを担当したかがわかる
  • 予算の調整・検図や補正の指摘・設計変更・性能の評価など、設計の結果を数字で書いている
  • 作品集は形式と中身を書き、公開の了承を得た範囲で掲載している
  • 生成AIを使った場合は、使った業務と、法規・数値を自分で確かめたことを書いている
  • 発注者名・建物名・未公表の計画など、守秘義務に触れる情報を書いていない

最後に、職務要約・職務経歴・作品集で同じ情報(担当した件数、延床面積の幅、担当した段階、予算や指摘件数の数字など)を使っている箇所を読み合わせ、食い違いがないかを確かめましょう。A4で2枚程度に収まっているかも確認します。

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よくある質問

作品集があれば、職務経歴書は簡単でもいいですか?

作品集は建物の姿や考え方を伝えるもので、職務経歴書は自分が担った範囲と判断、結果を伝えるものです。役割が違うため、職務経歴書でも担当範囲と数字を具体的に書きましょう。

一級建築士をまだ持っていません。応募しても大丈夫ですか?

求人によって条件はさまざまです。二級建築士や、一級建築士試験の学科の試験への合格など、今どこまで進んでいるかを正確に書き、受験の予定も添えましょう。実務でどの段階を担ってきたかを具体的に書くことが大切です。

意匠設計から、施工管理や発注者側(ディベロッパー)に移りたいです。何を強調すればいいですか?

応募先の仕事に近い経験を前に出します。施工管理なら監理で現場と調整した経験、発注者側ならコストの調整や関係者との合意づくりの経験を、件数や結果とあわせて書くと、立場が変わっても活かせる経験だと伝わります。

チームで設計した建物は、自分の作品として書いてもいいですか?

書いて構いませんが、チームの人数と自分の役割(担当した段階・部位)を必ず添えます。作品集でも同じように担当範囲を書くと、採用担当が正しく評価できます。

AIを使った経験がないと、建築設計の転職で不利になりますか?

AIの活用をどの程度求めるかは応募先によって大きく違い、経験がないことだけで不利になるとは限りません。BIMやチェックシートなど、道具や仕組みで設計の進め方を変えた経験を具体的に書きましょう。

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Author

佐藤 大貴

レジュメラボ編集責任者/アースダイバー代表

佐藤 大貴

人材紹介の会社で、キャリア系メディアの編集長をしていました。転職やキャリアをテーマにした記事づくりに長く関わり、2019年にアースダイバー株式会社を立ち上げました。編集長時代、たくさんの求職者の方やキャ…

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