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書き方ガイド
IT・SaaSの法人営業の職務経歴書でよくあるのが、「お客様の課題に寄り添ったソリューション提案で、目標を達成してきました」という書き方です。これでは、どんな商材を、どんな規模の企業に、どう売ってきたのかが伝わりません。採用担当が知りたいのは、どんな顧客に何を売り、受注までの道のりをどう進め、数字がどう変わったかです。
SaaSの営業では、受注金額だけでなく、年間契約金額(ARR)、受注率、平均受注単価、リードタイム(商談の開始から契約までの期間)といった数字で成果を測るのが一般的です。中堅・大手企業への提案では、利用部門のほかに情報システム部門のセキュリティ審査や、経理・経営層の決裁も通す必要があります。
この記事では、会計ソフトの営業を4年、人事労務SaaSのフィールドセールスを7年半経験し、大手企業向けの営業でリーダーを務める人の記入例をもとに、項目ごとの書き方と評価される理由を解説します。経歴・応募先別の書き分け方と、AIの経験の書き方も詳しく紹介します。
この記事でわかること
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まずは完成イメージです。中小企業向けの会計・給与ソフトの営業を4年経験したのち、人事労務SaaSの会社に移って7年半。中堅企業向けのフィールドセールスから始まり、従業員1,000名以上の企業を担当するエンタープライズ営業に移って、現在はグループのリーダーを務めている人を想定しています。画像をタップすると拡大できます。

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ツールで聞かれる質問や記入見本は、法人営業(IT・SaaS)の職務経歴書をAIで作成するページで先に確かめられます。
書き方に入る前に、IT・SaaSの法人営業をとりまく状況を、公表されているデータで見ておきます。3つの資料を重ねると、見えてくることは1つです。人事・会計の業務をクラウドに移す企業は増えていますが、残っている企業は「改修の手間」や「セキュリティ」で迷っています。だから評価されるのは、顧客の不安を一つずつ解き、導入までの道のりを数字で示せる営業です。
前提として、企業のIT投資の意欲は高い水準にあります。日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)の「企業IT動向調査2026」によると、IT予算を増やす企業の割合から減らす企業の割合を引いた値(IT予算DI)は、2025年度の計画で43.3ポイントでした。計画値としては過去10年で最も高い値とされています(東証上場企業とそれに準じる企業が対象、回答957社)。
総務省の「令和7年通信利用動向調査」は、常用雇用者100人以上の企業に、クラウドサービスで何を使っているかを聞いています。クラウドを利用している企業のうち、「給与、財務会計、人事」に使っている企業は56.2%でした。ファイル保管、社内の情報共有、電子メールに次ぐ4番目で、2023年の48.3%、2024年の52.0%から毎年伸びています。

出典:令和7年通信利用動向調査報告書(企業編)(総務省) 図表3-3
編集部の読みでは、人事・会計のSaaSを売る相手は「初めてクラウドを使う企業」から、「今の仕組みから乗り換える企業」や「使う範囲を広げる企業」へと移っています。乗り換えの商談では、今の仕組みとの違い、移行の手間、移行期間中の業務の止め方まで説明する必要があり、関わる部門も増えます。
記入例の「人事・情報システム・経理部門との要件整理、セキュリティ審査や稟議資料の準備を支援」は、まさにこうした商談の進め方です。売った金額だけでなく、誰と何を決めて導入に至ったかを書くと、乗り換えや拡大の商談を任せられる人だと伝わります。
同じ調査で、クラウドを利用していない企業に理由を聞くと、最も多いのは「必要がない」の46.5%でした。次いで「クラウドの導入に伴う既存システムの改修コストが大きい」が28.7%、「情報漏えいなどセキュリティに不安がある」が26.6%です。

出典:令和7年通信利用動向調査報告書(企業編)(総務省) 図表3-6
回答した企業は150社と少なく、クラウドを使っていない一部の企業の声として読む必要があります。それでも、営業の側から読み直すと示唆があります。「必要がない」と考える顧客には業務の課題を一緒に見つけ、「改修コスト」には移行の手順と費用を、「セキュリティ」には審査に必要な資料を示す。顧客がためらう理由ごとに、答え方を用意できるかが受注を左右します。
職務経歴書では、こうした対応を「丁寧に説明した」で終わらせず、どの部門の、どんな審査に、どう対応したかを書きましょう。記入例では、グループで「導入計画書」をつくり、決裁者・審査・稟議の時期を初回訪問の後に顧客と書き出す運用にしています。その結果、平均リードタイムが約8.5か月から約6か月に縮まりました。
最後に、書類の書き方が待遇にもつながることを示すデータです。厚生労働省の「令和7年転職者実態調査」で、転職者の賃金を決めるときに考慮した要素を見ると、全産業では「これまでの経験・能力・知識」が59.2%で最も多くなっています。これが情報通信業の職場では81.3%と、8割を超えていました。「前職の賃金」も50.7%と、全産業の27.0%を大きく上回っています。

出典:令和7年転職者実態調査の概況(厚生労働省) 表5
これは産業ごとの集計で、情報通信業にはエンジニアなど営業以外の職種も含まれます。そのうえで編集部の読みでは、IT業界では「どんな経験を、どの水準で積んできたか」が、採用だけでなく待遇の判断材料にもなりやすいと言えます。
だからこそ、経験は比べられる形で書きます。「大手企業を担当」ではなく「従業員1,000名以上の企業、年間商談約30件」。「大型案件を受注」ではなく「従業員約8,000名の製造業グループ12社への一括導入(ARR 3,600万円)」。顧客の規模・商談の数・金額がそろっていれば、応募先は自社の商談と比べて、任せられる範囲を判断できます。
まとめると、いまのIT・SaaSの法人営業の職務経歴書では、受注金額に加えて、どんな規模の顧客の、どんな不安に答え、どれだけの期間で導入に至ったかを書けるかで差がつきます。次は、採用担当が書類のどこを見ているかを確認します。


こうした変化と採用の現場でよく見られる傾向を踏まえると、IT・SaaSの法人営業の採用担当は、書類から次の3つを確認しています。
3つとも、答えになるのは「頑張った」という姿勢ではなく、商談の中身と数字です。「顧客志向」「提案力」は、どの応募者にも書けてしまいます。誰に、何を、どんな手順で決めてもらい、何が変わったかを書きましょう。
ここからは項目ごとに、NG例とOK例を並べて解説します。OK例は記入例からの引用です。IT・SaaSの営業で特に差がつくのは、職務経歴での商談の書き方と、受注率・リードタイムなど商談の数字の示し方です。
職務要約は、採用担当が最初に読む部分です。経験年数に加えて、商材・顧客の従業員規模・担当範囲・代表的な数字を入れます。SaaSの営業なら、新規受注ARRと達成率が共通の物差しになります。
× NG例
IT企業で法人営業を10年以上経験してまいりました。お客様の課題に寄り添ったソリューション提案を得意とし、常に目標を達成してきました。今後もお客様のDX推進に貢献したいと考えております。
ここが惜しい
○ OK例
会計ソフトの株式会社サンプルアカウンティングで4年、人事労務SaaSの株式会社サンプルワークスで7年半、法人営業に従事してまいりました。2022年からは従業員1,000名以上の企業を担当し、人事・情報システム・経理の各部門の合意を取りながら導入を進めてきました。2025年度は個人の新規受注ARR 1億6,500万円(達成率110%)を達成し、(中略)
ここが評価される
フィールドセールスとインサイドセールス、カスタマーサクセスが分かれている会社では、自分がどこを受け持っていたかを一言添えます。分業していない会社なら「リードの獲得から契約・導入後の追加提案まで一人で担当」と書くと、範囲の広さが伝わります。
職務経歴は、IT・SaaSの営業の書類でいちばん重要な項目です。下の画像の3つのポイントを押さえると、同じ経験でも伝わり方が大きく変わります。

× NG例
大手企業向けに人事労務システムの提案営業を担当。お客様の課題をヒアリングし、最適なプランを提案しました。複数の大型案件を受注し、売上拡大に貢献しました。
ここが惜しい
○ OK例
【業務】大手企業への新規提案(年間商談約30件)。人事・情報システム・経理部門との要件整理、セキュリティ審査や稟議資料の準備を支援
【実績】2023年度:新規受注ARR 目標1億2,000万円/実績1億3,440万円(達成率112%)、受注9社(受注率30%)。最大案件は従業員約8,000名の製造業グループ12社への一括導入(ARR 3,600万円)
ここが評価される
記入例では、ミッドマーケット(従業員300〜999名)、エンタープライズ(1,000名以上)、リーダーと、顧客の規模と立場が変わるたびに期間を分けています。顧客の規模が変わると、商談の数も、関わる部門も、受注までの期間も変わります。期間を分けて書くと、その変化に対応してきたことが伝わります。
「ARR」「受注率」は社内の定義をそろえて書く
ARR(年間契約金額)は月額の12か月分か、初期費用を含むかなど、会社によって数え方が違います。受注率も、商談化した件数を分母にするのか、提案した件数を分母にするのかで変わります。迷う場合は、括弧で数え方を書き添えましょう。
受注金額は、商談数・受注率・平均受注単価の掛け算で表せます。どの要素を自分の工夫で動かしたのかを書くと、成果の理由が伝わります。
× NG例
営業プロセスを改善し、受注までの期間を大幅に短縮しました。チーム全体の生産性向上にも貢献しました。
ここが惜しい
○ OK例
平均リードタイム(初回訪問〜契約)グループで約8.5か月→約6か月(2023→2025年度)
決裁者・審査・稟議の時期を顧客と書き出す「導入計画書」をグループで標準化
ここが評価される
記入例の数字を分解してみると、ミッドマーケットの2021年度は商談約90件・受注率31%・平均受注ARR約197万円、エンタープライズの2023年度は商談約30件・受注率30%で、平均にすると1社あたり約1,500万円です。受注率は同じ水準のまま、商談の数を減らして1件の規模を大きくしてきたことが読み取れます。データの章で見た「乗り換え・拡大の商談」は、こうした大きな商談になりやすい分野です。
受注金額は「数×率×単価」で分解してみる
受注金額は、商談数×受注率×平均受注単価で表せます。どの要素が伸びたのかを書くと、成果の理由が伝わります。リードタイムが短くなると、同じ人数で回せる商談の数が増えることも添えられます。
生成AIを営業の仕事に使った経験は、職務経歴の【取り組み】に1行で書くのが基本です。使った作業・入力しなかった情報・自分の確認・変わったことの4つを入れます。
× NG例
生成AIを活用して営業活動を効率化しました。
ここが惜しい
○ OK例
社内で認められた生成AIで、議事メモから提案書の構成案を下書き(顧客名・個人情報は入力せず、内容は自分で確認)。作成時間を1件約6時間から約3.5時間に短縮
ここが評価される
記入例では、ツール・PCスキル欄にも「生成AI」の行を設け、使い始めた時期と使い方を短く書いています。AIを使っていない人は、この行を削り、提案資料の型をつくったなど仕事の進め方を変えた経験を職務経歴に書けば十分です。詳しくは後の「2026年のIT・SaaS営業とAI」の章で解説します。
職務経歴の中から、応募先で使える経験を3つに絞って箇条書きにします。ツール名はツール・PCスキル欄に任せ、ここでは何ができるかを書きます。
× NG例
・コミュニケーション能力
・提案力
・Salesforce
ここが惜しい
○ OK例
・大手企業の複数部門(人事・情報システム・経理)の合意をとる商談の組み立て
・受注ARR・受注率・リードタイムを分解し、商談の進め方を改善する力
・人事労務の業務知識(入退社手続き・年末調整・人事評価)にもとづく提案
ここが評価される
SaaSは業務ごとに製品が分かれているため、顧客の業務の知識は、応募先の商材が変わっても活きる強みです。人事労務、会計、営業管理、物流など、自分が詳しい業務を具体的な手続きの名前で書きましょう。ツール・PCスキル欄では、SFA・CRMの使用年数とどこまで使えるかを書き、職務経歴の期間と合わせます。
自己PRは「強み → 進め方 → 結果の数字」の順に書きます。IT・SaaSの営業の自己PRは「粘り強さ」「信頼関係」といった姿勢の話になりがちですが、採用担当が知りたいのは、その強みで商談がどう前に進んだかです。
× NG例
私の強みは粘り強さです。困難な商談でも諦めずにお客様に向き合い、信頼関係を築いてきました。どんな環境でも成果を出せる自信があります。
ここが惜しい
○ OK例
複数の部門をまとめ、大きな導入を前に進める力
大手企業では情報システム・経理の審査が導入時期を左右します。審査の時期を顧客と書き出す「導入計画書」で、グループの平均リードタイムを約8.5か月から約6か月に縮めました。
ここが評価される


IT・SaaSの法人営業は、これまでの経歴と応募するポジションによって、採用担当が気にすることが変わります。どのタイプでも共通するのは、商材・顧客の規模・前後の数字の3つをそろえることです。まずは表で全体像を確認しましょう。
| タイプ | 採用担当が見るポイント | 前に出すこと |
|---|---|---|
| 中小企業向けから大手向けへ | 長い商談で、複数の部門の合意をとれるか | 商談の件数と期間、関わった部門、審査や稟議への対応 |
| パッケージ・受託のIT営業からSaaSへ | 売り切りではなく、使い続けてもらう前提で提案できるか | 導入後の利用や追加提案まで見た提案、継続の数字 |
| IT以外の法人営業から | ITの商材を学び、数字で商談を管理できるか | 顧客の業務の知識、商談の管理の仕方、ITを学んだ行動 |
| 営業リーダー・マネージャーへ | チームの数字を管理し、商談の進め方を仕組みにできるか | チームの人数と数字、標準化した進め方、育成 |
採用担当は、商談の数が少なく期間が長い大手向けの営業に、進め方を切り替えられるかを確かめます。小さな商談をたくさん回してきた経験の中から、複数の人が関わった商談を探して書きます。
職務経歴書に書きたいこと
記入例
※記入例とは別の架空例です
【業務】従業員30〜200名の企業への新規営業(年間商談約120件、受注率35%)
【取り組み】利用者が100名を超える商談では、総務部門と経理部門に分けて説明会を開き、決裁までの手順を初回に確認。最大案件は従業員約180名・3拠点の一括導入
ポイント
よくある落とし穴は、受注件数の多さだけを強調するケースです。大手向けの採用担当は、件数よりも「長い商談を最後まで進めた経験」を探しています。1件でもよいので、時間をかけて決めてもらった商談を具体的に書きましょう。
売り切りのソフトや受託開発の営業から移る人です。採用担当は、契約した後も使い続けてもらうことを前提に提案できるかを確かめます。
職務経歴書に書きたいこと
記入例
※記入例とは別の架空例です
【実績】2025年度:受注額 目標2億円/実績2億1,800万円(達成率109%)。担当顧客の保守契約の更新率96%
【取り組み】導入後半年で使われなくなった機能を顧客ごとに調べ、提案時に「使う人・使う場面」を顧客と決める進め方に変更
ポイント
よくある落とし穴は、SaaSの用語に無理に言い換えるケースです。ARRや解約率で管理していなかったなら、「保守契約の更新率」「追加発注の件数」など、実際に使っていた数字のまま書きます。数え方の説明が添えてあれば十分に伝わります。
人材、広告、不動産、メーカーなど、IT以外の商材から移る人です。採用担当は、ITの商材を学べるか、数字で商談を管理してきたかを確かめます。
職務経歴書に書きたいこと
記入例
※記入例とは別の架空例です
【実績】2025年度:売上 目標1億2,000万円/実績1億3,200万円(達成率110%)。担当約60社
【取り組み】営業部の顧客管理システムの入れ替えで、営業側の担当として要件の取りまとめに参加。入力項目を約40から約15に絞り、入力率を約6割から9割超に
ポイント
よくある落とし穴は、「ITに興味がある」で終わるケースです。データの章で見たように、IT業界の職場では経験・能力・知識が重く見られます。興味ではなく、すでに取り組んだことを書きましょう。
チームの数字に責任を持つポジションです。採用担当は、チームの商談を管理し、進め方を仕組みにできるかを確かめます。
職務経歴書に書きたいこと
記入例
【業務】グループ5名の商談管理とメンバー4名の育成。自身も大手企業約20社を担当
平均リードタイム(初回訪問〜契約)グループで約8.5か月→約6か月(2023→2025年度)
決裁者・審査・稟議の時期を顧客と書き出す「導入計画書」をグループで標準化
ポイント
よくある落とし穴は、自分の受注実績ばかりを書くケースです。リーダーとして応募するなら、チームの数字をどう動かしたか、メンバーがどう育ったかを中心に書きましょう。

最初にお伝えしたいのは、AIの使い方や、AIの経験を求める度合いは、応募先によって大きく違うということです。IPAの「DX動向2026」プレス発表では、AIを導入している企業は従業員1,001人以上で8割近くにのぼる一方、101人以下では16.6%でした。
AIを使った経験がないからといって、書類選考で不利になると考える必要はありません。まずは求人票に「生成AI」「AI機能」「AIを活用した営業」などの言葉があるかを確認しましょう。記載があれば具体的に書き、なければ職務経歴に1行添える程度で十分です。
IT・SaaSの営業とAIの関わりは、大きく2つに分かれます。1つは、議事メモや提案書の下書きなど、自分の仕事に生成AIを使うこと。もう1つは、AIを組み込んだ機能のある製品を、顧客に説明して売ることです。職務経歴書でも、この2つを分けて書くと、経験が正確に伝わります。
総務省の「令和8年版 情報通信白書」によると、生成AIを業務で使っている日本の企業のうち、「営業・販売」の業務で使っている企業は約6割でした。営業の仕事にAIを使うことは、もう珍しいことではありません。だからこそ、使ったことそのものより、どう使ったかが問われます。
2026年時点で、IT・SaaSの営業の現場で現実的な使い方は次のようなものです。どれも「下書き」までをAIに任せ、顧客に出す前に人が確かめる使い方です。
| 使い方 | 具体例 | 人が確かめること |
|---|---|---|
| 議事メモの要約 | 商談の議事メモから、決まったこと・宿題・次の打ち合わせの論点を整理する | 顧客の発言の意味が変わっていないか |
| 提案書の構成案 | 議事メモから課題と提案の流れを組み立てる(記入例の使い方) | 顧客の課題に合っているか、誇張がないか |
| 審査への回答の下書き | セキュリティチェックシートの質問に、公開済みの資料をもとに回答案をつくる | 製品の仕様と一致しているか、担当部門の確認を通したか |
| 業界・企業の下調べ | 公開情報から、訪問先の業界の動きや決算の要点をまとめる | 元の資料で数字と事実を確かめたか |
特に注意したいのが、セキュリティ審査への回答です。回答の内容は契約の前提になるため、AIが書いた文をそのまま出すと、製品の実際の仕様とずれる危険があります。下書きに使った場合も、プリセールスや情報セキュリティの担当部門の確認を通したことまで書くと、安心して任せられる人だと伝わります。
項目別の書き方で紹介したとおり、記入例では【取り組み】に「社内で認められた生成AIで、議事メモから提案書の構成案を下書き(顧客名・個人情報は入力せず、内容は自分で確認)。作成時間を1件約6時間から約3.5時間に短縮」と書いています。短い1行に、ルール・入力しなかった情報・確認の仕方・効果の4つが入っています。
浮いた時間で何をしたかまで書けると、さらに伝わります。たとえば「提案書の作成時間を減らした分、初回訪問の後に顧客と導入計画を書き出す時間にあてた」のように、商談の質につながった使い方を書きましょう。効果を測っていなければ数字を作らず、使った作業と確かめ方だけを書きます。
SaaSの製品にもAIの機能が増えています。人事労務の分野なら、問い合わせへの自動回答や、書類の読み取り、人事データの分析などです。AI機能のある製品を売るとき、顧客、とくに情報システム部門が気にするのは、答えの正確さと、入力したデータの扱いです。
こうした商談を経験した人は、顧客のどんな不安に、どう答えて導入に至ったかを書きます。製品の仕様や機能の名前より、顧客と何を確かめて合意したかが大切です。
記入例
※記入例とは別の架空例です
【取り組み】AIによる社内問い合わせ回答機能の提案で、顧客の情報システム部門から「回答の誤り」と「データの学習利用」への懸念。開発部門と、学習に使わない設定と回答の根拠を示す画面を説明する資料を用意し、2か月の試験導入で正答率の確認方法を顧客と決めて本契約に(従業員約3,000名、ARR 1,200万円)
ポイント
AI機能の精度について、根拠のない数字や「必ず正しく答える」といった表現を書類に書くのは避けましょう。面接で詳しく聞かれたときに説明できる範囲で書くことが大切です。
金融や公共、大手企業向けの商談では、顧客との約束や社内の規程で、生成AIを使えない職場は珍しくありません。ルールに従って顧客の情報を守ってきたこと自体が、IT・SaaSの営業として大切な姿勢です。
代わりに、仕事の進め方を自分で変えた経験を書きましょう。記入例の「決裁者・審査・稟議の時期を顧客と書き出す『導入計画書』をグループで標準化」のように、型をつくって商談を速くした経験は、AIと同じく「仕事のやり方を変えられる力」を示します。提案書のひな形、よくある質問への回答集、商談の段階ごとの確認項目なども、書ける経験です。

営業は数字の仕事ですが、分業や会社の方針によって「自分の数字」を書きにくい人もいます。商談の量・商談の進み方・顧客の規模・仕組みづくりの4つの切り口で探すと、書ける数字はたいてい見つかります。
インサイドセールスやCSと分業していて、受注額が自分の成果か分かりにくい
分業している場合は、自分が受け持った工程の数字を書きます。
例:「インサイドセールスから引き継いだ商談(年間約90件)の提案から契約まで」「受注28社(受注率31%)」
引き継いだ商談の数と、そのうち受注した数があれば、自分の工程での成果がはっきりします。
大型案件をチームで受注し、個人の貢献を切り分けにくい
チームの成果と、その中で自分が担った役割を分けて書きます。
例:「グループ12社への一括導入(ARR 3,600万円)。自身は人事部門との要件整理と、グループ各社への説明会(計12回)を担当」
役割の中身と回数を書けば、金額を独り占めしなくても貢献が伝わります。
失注が多く、受注率が低かった
受注率が低くても、変化や工夫は書けます。
例:「受注率 18%→24%(2024→2025年度)」「失注理由を毎月集計し、価格以外の理由が6割と分かったため、導入事例の資料を整備」
新しい商材や新しい市場を開拓していたなら、その事情を一言添えましょう。
金額を社外に出せない
金額は達成率・前年比・規模の幅で書きます。
例:「新規受注 達成率110%」「平均受注単価 前年比1.3倍」「従業員1,000名以上の企業を担当」
社内の規程で禁じられた数字は書きません。割合と顧客の規模があれば、成果の大きさは十分に伝わります。
履歴書の学歴欄、入学・卒業の年で迷ったら
生年月日を選ぶだけで、入学・卒業の年月を和暦・西暦で計算し、学歴欄をそのまま作れます。早生まれ・浪人・留年にも対応しています。
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書き終えたら、提出前に次の項目を確認しましょう。
最後に、達成率や受注率を電卓で計算し直しましょう。記入例なら、1億3,440万円÷1億2,000万円=112%、受注9社÷商談約30件=30%です。営業の書類では、数字の計算が合っていること自体が、数字に強い人だという印象につながります。

応募先の求人票や会社の公開情報で使われている言葉に合わせるのがわかりやすいです。迷う場合はARR(年間契約金額)で書き、「月額〇万円×12か月」のように数え方を括弧で添えると、どちらの指標で管理している会社にも伝わります。
書かないのが基本です。顧客との守秘義務があるうえ、社名がなくても「従業員約8,000名の製造業グループ12社」のように業種と規模で書けば、案件の大きさは十分に伝わります。導入事例として公開されている場合も、書く前に社内の規程を確認しましょう。
すべての年度を書く必要はありません。代表的な年度を選んで書くのが一般的です。ただし面接で聞かれることはあるので、未達だった年度の理由と、翌年度に向けて変えたことを説明できるようにしておきましょう。
商談化した件数と、そのうち受注につながった割合、顧客の課題を聞き取るために工夫したことを書きます。フィールドセールスの商談に同席した経験や、提案資料づくりに関わった経験があれば、具体的に添えましょう。
AIの活用をどの程度求めるかは応募先によって大きく違い、経験がないことだけで不利になるとは限りません。提案資料の型づくりや回答集の整備など、仕事の進め方を変えた経験を、前後の数字とともに書きましょう。
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