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自営業から再就職する人の職務経歴書|自営業期間の書き方と記入例・無料テンプレート

自営業から再就職する人の職務経歴書|自営業期間の書き方と記入例・無料テンプレート

自分の店や事業をたたみ、もう一度会社で働こうと決めた。けれど職務経歴書を開くと、何年も続けてきた経営の仕事を、どの欄にどう書けばいいのかがわかりません。会社名の欄には何を書くのか。売上は出すべきか。「経営者だった人は扱いにくい」と思われないか。

自営業から再就職する人の職務経歴書で大切なのは、経営の経験を応募先の仕事と同じ物差しに言い換えることと、なぜ会社員に戻るのかに事実で答えることの2つです。事業の規模、売上・原価・人件費の管理、スタッフの採用と育成は、店長や管理職の仕事そのものです。言い換えさえできれば、経営の年月は強みとして読まれます。

この記事では、シティホテルで13年働いたあと、洋食店を約7年経営した人の記入例をもとに、項目ごとの書き方を解説します。業績が理由で閉店した場合、法人の代表や家業の後継ぎだった場合、別の業界に応募する場合などの書き分け方と、面接での答え方も紹介します。

この記事でわかること

  • 自営業から再就職する人の職務経歴書の完成イメージ(記入例)
  • 公的データから見た、開業する人の経歴と、飲食業の人の入れ替わり・求人の状況
  • 事業の規模と経営の実績を、店長・管理職の物差しで書くコツ(OK例・NG例)
  • 閉店の理由と再就職の理由の書き方、業績不振・法人代表・異業種などケース別の書き分け
  • 経営者として使ってきたデジタル・AIを、職務経歴書にどう書くか
  • 面接で「なぜ会社員に?」「また独立しませんか」と聞かれたときの答え方

無料テンプレート

自営業から再就職する人の職務経歴書、記入見本つきのテンプレートがあります

この記事の記入例と同じ形式で、Word・Excel・PDFの3形式。空欄のテンプレートと記入見本がセットになっています。

自営業から再就職する人の職務経歴書の記入例

まずは完成イメージです。シティホテルの料飲部でレストラン・宴会のサービスを経験し、120席のダイニングのマネージャーを務めたあと、2019年6月に28席の洋食店を開業し、約7年経営した人を想定しています。入居ビルの建て替えで2026年5月に閉店し、飲食・サービス業の多店舗運営や店長の育成に携わる仕事を目指しています。

自営業の期間を1社分の経歴として最初に書き、職務経歴の後ろに「自営業での経験について」の欄を設けているのが特徴です。画像をタップすると拡大できます。

自営業から再就職する人の職務経歴書の記入例(ホテル勤務13年、洋食店の経営 約7年)
自営業から再就職する人の職務経歴書の記入例(A4・2枚)

同じ形式のテンプレートを、Word・Excel・PDFの3形式(空欄と記入見本の2点セット)で無料で用意しています。

データで読む:経営の経験は、人が足りない現場で「店を回し、人を育てる力」として読まれる

書き方に入る前に、開業する人はどんな経歴を持っているのか、そして飲食の現場でいま何が足りないのかを、公的なデータで確かめておきます。3つのデータを重ねると、見えてくることは1つです。採用担当が自営業の経験から読み取りたいのは「経営者だったこと」ではなく、店を回し、人を採って育て、数字で利益を出してきたことです。

開業する人の3人に2人は、勤め先で管理職を経験している

日本政策金融公庫の「2025年度新規開業実態調査」によると、開業した人の97.6%に勤務経験があり、平均の勤務年数は21.1年でした。開業した業種での勤務経験がある人は81.1%(平均15.3年)、管理職の経験がある人は66.4%です。開業の直前の職業も、「正社員・正職員(管理職)」が41.1%で最も多くなっています。

開業した人の勤務キャリア。勤務経験97.6%、開業業種での勤務経験81.1%、管理職経験66.4%、経営経験13.6%
開業した人の勤務キャリア:管理職の経験がある人は66.4%(日本政策金融公庫、2025年8月調査)

出典:2025年度新規開業実態調査(日本政策金融公庫総合研究所) 図4・図5

この調査を見る限り、開業する人の多くは、組織の中で経験を積み、人をまとめる立場も経てから独立しています。逆に言えば、自営業から会社に戻る人の経歴には、たいてい組織で働いた年月が含まれています。採用担当にとっても、開業前の会社員時代は「組織で働けるか」を判断する大切な材料です。

記入例が、職務要約の書き出しをホテルでの13年とマネージャーの経験にしているのはこのためです。自営業の期間が長くても、会社員時代の役職やチームの人数は省かずに書きましょう。なお、同じ調査で開業の動機を聞くと、最も多いのは「自由に仕事がしたかった」(59.7%)でした。編集部の読みでは、採用担当が「また独立するのでは」と気にする背景には、こうした動機があります。再就職の理由を事実で書く必要がある理由は、ここにあります。

宿泊業・飲食サービス業は、1年で約4人に1人が離職している

厚生労働省の「令和7年雇用動向調査」によると、2025年の1年間の離職率は、産業計の13.7%に対して、宿泊業,飲食サービス業が23.7%で最も高くなっています。入職率も27.8%と高く、人が入っては辞めていく、入れ替わりの激しい業界です。

産業別の離職率。宿泊業,飲食サービス業23.7%、産業計13.7%、製造業9.8%など
産業別の離職率:宿泊業,飲食サービス業が23.7%で最も高い(厚生労働省、2025年)

出典:令和7年雇用動向調査結果の概況(厚生労働省) 表4-2

人が定着しにくい業界では、人を採り、早く育て、辞めにくくする仕組みをつくった経験がそのまま求められます。記入例の「アルバイト延べ31名を採用」「夜の営業を任せるまでの期間を約3か月から約6週間に短縮」「年間の離職者は6名から1名に」は、まさにその実績です。

自分の店の数字を書くときは、採用した人数、一人前になるまでの期間、1年で辞めた人数という3つの物差しが使えます。小さな店でも人数で書けば、応募先の店長やエリアマネージャーの仕事と同じ尺度で読まれます。

飲食の現場の求人は2倍超。一方で「管理的職業」は1倍を下回る

厚生労働省の「一般職業紹介状況(令和8年8月分)」で職業別の有効求人倍率を見ると、接客・給仕の職業は2.31倍、飲食物調理の職業は2.21倍で、職業計の1.06倍を大きく上回っています。一方、法人・団体の管理職などにあたる管理的職業は0.81倍でした。

職業別の有効求人倍率。接客・給仕2.31倍、飲食物調理2.21倍、職業計1.06倍、管理的職業0.81倍
職業別の有効求人倍率:飲食の現場は2倍超、管理的職業は0.81倍(厚生労働省、2026年8月)

出典:一般職業紹介状況(令和8年8月分)参考統計表(厚生労働省)

ハローワークの求人に限った数字ですが、ここから編集部が読み取るのは、現場を回せる人は求められているが、管理職の席として用意される求人は多くない、ということです。「元経営者」という肩書きだけで管理職として迎えられるとは限りません。

だからこそ、職務経歴書では肩書きよりも、現場に立って店を回してきた事実を書きます。記入例が「役割:オーナー(経営全般・ホール責任者)」と、経営と現場の両方を担ったことを会社概要の欄に書いているのはこのためです。多店舗の運営を目指す場合も、まず1店舗を任せられる人だと伝わることが入り口になります。

まとめると、自営業から再就職する人の職務経歴書では、会社員時代を含めた組織での経験と、人を採って育て、数字で店を回した実績を、応募先の仕事の言葉で書けるかで差がつきます。ここからは、それを項目ごとの書き方に落とし込んでいきます。

自営業から再就職する人の職務経歴書テンプレートを無料でダウンロード

採用担当が自営業から再就職する人で確認している3つのこと

採用担当が確認している3つのこと。事業の規模と自分で動かした範囲、経営の経験と応募先の仕事のつながり、組織のルールの中で長く働けるか
この章のまとめ:採用担当が確認している3つのこと

こうした変化と採用の現場でよく見られる傾向を踏まえると、自営業の経験がある応募者の書類から、採用担当が確かめたいことは次の3つです。

  1. どのくらいの規模の事業を、どこまで自分で動かしてきたか店舗数・席数・従業員数・年間売上高と、自分が担った範囲を確認します。「お店を経営していました」だけでは、個人で小さく営んでいたのか、人を雇って数千万円規模の事業を回していたのかがわかりません。
  2. 経営の経験が、応募先の仕事にどうつながるか売上・原価・人件費の管理、スタッフの採用と育成は、店長・エリアマネージャー・管理職の仕事と重なります。採用担当は、経営の経験を自社の仕事の物差しで読み替えられるかを見ています。
  3. 組織のルールの中で、長く働けるかなぜ事業をやめて会社員に戻るのか、上司の方針に沿って働けるか。採用の現場では「経営者だった人は扱いにくいのでは」「また独立するのでは」と気にされることもあるため、閉店の経緯と再就職の理由を事実で示すことが大切です。

自営業の経験がある人の書類で弱くなりやすいのは、2つ目と3つ目です。経営の中身は自分では当たり前すぎて言葉にしにくく、再就職の理由は書きにくいからです。次の章では、この2つを項目ごとに書き表していきます。

項目別の書き方:OK例とNG例の違い

ここからは項目ごとに、NG例とOK例を並べて解説します。OK例は記入例からの引用です。自営業から再就職する人の職務経歴書で特に差がつくのは、自営業の期間の職務経歴と、「自営業での経験について」の欄です。

職務要約:会社員と自営業の期間・事業の規模・成果を数字で示し、担いたいことで締める

職務要約では、会社員と自営業の期間をそれぞれ年数で書き、経歴の全体を最初に見せます。続けて事業の内容と規模、代表的な成果を数字で入れ、最後に応募先で担いたい仕事を1文で添えます。

× NG例

2019年から洋食店を経営していました。料理以外は仕入れから接客、経理まで一人でこなし、多くの常連のお客様に支えられてきました。経営者としての経験を活かし、御社に貢献したいと思います。

ここが惜しい

  1. 店の規模や売上、従業員の人数がなく、どのくらいの事業を動かしてきたのかがわかりません。
  2. 会社員時代の経歴が抜けていて、組織で働いた経験があるのかが読み取れません。
  3. 「経営者としての経験」がどの仕事に役立つのかが書かれておらず、応募先で担いたいことが見えません。

○ OK例

株式会社サンプルホテル(シティホテル)で13年、レストラン・宴会のサービスと、120席のダイニングのマネージャーを務めました。2019年6月に洋食店を開業し、約7年間、店舗運営・仕入れ・採用と育成・数字の管理を担いました。年間売上高は約3,300万円(2021年)から約5,200万円(2025年)に伸び、(中略)今後は多店舗の運営や店長の育成に経験を活かしたいと考えています。

ここが評価される

  1. 会社員13年・自営業約7年と期間を分けて書いているので、経歴の全体が一目でわかります。
  2. 売上の推移を年と金額で示し、事業を伸ばしてきたことが数字で伝わります。
  3. 最後に「多店舗の運営や店長の育成」と担いたい仕事を書き、なぜ会社員に戻るのかという疑問に先回りして答えています。

会社員時代の経験も省かない

自営業の期間が長くても、会社員時代の役職やチームの規模は「組織で働けるか」を判断する大切な材料です。記入例では、ホテルで28名のチームを率いたマネージャーの経験を職務要約と職務経歴の両方に書いています。

職務経歴(自営業の期間):会社名の欄に事業の規模を書き、実績は「売上・数字の管理・採用育成」に分ける

自営業の期間は、会社名の欄に屋号・店名、事業内容、従業員数、年間売上高、自分の役割を書き、その下に時期を区切って実績を並べます。下の画像の3つのポイントを押さえましょう。

自営業の期間の職務経歴と「自営業での経験について」欄の書き方のポイント
自営業の期間の職務経歴の書き方のポイント

× NG例

2019年6月 洋食店「ビストロ ヨコヤマ」開業

2026年5月 閉店

店舗の経営全般を担当。料理の仕込み、接客、仕入れ、経理など。

ここが惜しい

  1. 開業と閉店の年月しかなく、席数・従業員数・売上など事業の規模がわかりません。
  2. 業務を並べただけで、何を改善し、どんな結果を出したのかが読み取れません。
  3. 約7年を1行にまとめているため、立ち上げの苦労や成長の過程が伝わりません。

○ OK例

事業内容:洋食レストラン(28席) 従業員:正社員1名(料理長)・アルバイト5〜7名 年間売上高:約4,800万〜5,200万円(2023〜2025年) 役割:オーナー(経営全般・ホール責任者)

(中略)

【数字の管理】メニュー別の原価と販売数を毎月集計し、32品を22品に絞り込み。FL比率(食材費+人件費)を約64%(2021年)から約58%(2025年)に改善

【採用・育成】アルバイト延べ31名を採用。作業手順書と3段階の習熟チェック表で、夜の営業を任せるまでの期間を約3か月から約6週間に短縮。(中略)

ここが評価される

  1. 会社概要の欄に席数・従業員数・年間売上高を書いているので、事業の規模が一目でわかります。
  2. 「数字の管理」「採用・育成」と、店長や管理職の仕事と同じ物差しで分けているので、応募先の仕事との重なりが読み取れます。
  3. 改善の前後を数字で示し、経営者として何を変えたのかが具体的に伝わります。
  4. 「開業・立ち上げ期」「安定・成長期」と時期で区切り、約7年の流れを整理しています。

FL比率は、売上に対する食材費(Food)と人件費(Labor)の割合で、飲食店の収益を見る代表的な指標です。業界の人には通じる言葉ですが、記入例のように「(食材費+人件費)」と中身を添えると、人事担当など飲食の実務を知らない読み手にも伝わります。

データの章で見たとおり、飲食業は人の入れ替わりが激しい業界です。【採用・育成】の行は、応募先がいちばん困っていることへの答えになるため、人数と期間の数字まで書き切りましょう。

数字は帳簿や申告の金額とそろえる

年間売上高は、帳簿や確定申告で使った金額と食い違わないように書きます。「約〇〇万円」と概数で十分です。売上高(経費を引く前)と所得(経費を引いた後)を取り違えないようにしましょう。法人化していた場合は「株式会社〇〇 代表取締役」として書きます。

自営業での経験の書き方:開業の経緯・事業の継続・担った範囲・閉店と再就職の理由を事実で

記入例では、職務経歴の後ろに「■自営業での経験について」の欄を設け、【開業の経緯】【事業の継続】【経営で担ったこと】【閉店と再就職の理由】の4つを書いています。「なぜ始め、どう続け、なぜやめて、なぜ会社員なのか」という採用担当の疑問に、1か所でまとめて答える欄です。

× NG例

■自営業での経験について

長年の夢だった自分の店を持ちましたが、経営が思うようにいかず、店をたたむことにしました。今後は会社員として、安定した収入を得ながら働きたいと考えています。

ここが惜しい

  1. 「経営が思うようにいかず」とあいまいに書くと、どこでつまずいたのかを読み手が悪い方に想像してしまいます。
  2. 事業を続けられた期間や借入の返済など、きちんと事業をやり遂げたことを示す事実がありません。
  3. 再就職の理由が「安定した収入」だけだと、条件が合わなければまた独立するのでは、と受け取られかねません。

○ OK例

【事業の継続】2021〜2025年は黒字を続け、借入金は2026年4月に返済を終えました。

【経営で担ったこと】メニュー・価格、仕入れ、採用・教育、収支管理。決算・申告は税理士に依頼

【閉店と再就職の理由】入居ビルの建て替えに伴い2026年5月に閉店。組織の中で多店舗の運営や人の育成に力を注ぐため、移転ではなく再就職を選びました。廃業の手続きは済んでいます。

ここが評価される

  1. 黒字の期間と借入の返済を書き、事業を最後まで責任を持って続けたことが事実で伝わります。
  2. 自分で担ったことと税理士に任せたことを分けているので、経営の経験の中身を正しく読み取れます。
  3. 閉店の理由を事実で1行にし、再就職の理由を「担いたい仕事」の言葉で書いているので、前向きで、長く働く意思が伝わります。

「移転ではなく再就職を選びました」の一文は小さく見えて、大切な役割を持っています。店を続ける道もあった中で会社員を選んだことが、再就職が消去法ではないことの裏付けになるからです。収入の安定を考えるのは自然なことですが、書類では担いたい仕事を理由の中心に置きましょう。

業績が理由で閉店した場合

売上が伸びずに閉店した場合も、理由をごまかさず「〇〇〇〇年〇月、売上の減少により閉店」と事実で書きます。そのうえで、立て直しのために試したこと、取引先への精算や借入の返済をやり遂げたことを添えると、責任感と経験から学んだことが伝わります。

活かせる経験・知識・スキル:「経営者」を、応募先の仕事の言葉に言い換える

この欄は、経営の経験を応募先の仕事の言葉に翻訳する欄です。経営の年数を書くだけでなく、何を管理し、誰を育て、どんな組織で働いてきたかを3つ程度に分けて書きます。

× NG例

・飲食店の経営7年

・料理と接客の知識

・何でも自分でこなせる行動力

ここが惜しい

  1. 「経営7年」と年数だけを書いても、何を管理し、どんな成果を出したのかがわかりません。
  2. 「料理と接客の知識」は応募先での役立て方が見えず、店舗の運営や管理の仕事への応募では強みとして伝わりにくくなります。
  3. 「何でも自分でこなせる」は、組織での役割分担になじめるかを、かえって心配させることがあります。

○ OK例

飲食店の経営者として約7年、売上・原価・人件費を月次で管理し、5年続けて黒字を出した経験

アルバイトの採用・教育の仕組みづくり(延べ31名を採用、育成期間を約3か月→約6週間に)

ホテルのダイニング(120席・スタッフ28名)のマネージャーとしての予算管理とチーム運営

ここが評価される

  1. 「売上・原価・人件費の管理」「採用・教育」と、店長や管理職の仕事で使う言葉に言い換えています。
  2. それぞれに期間や人数、前後の数字を添えているので、経験の水準が伝わります。
  3. 自営業の経験だけでなく、会社員時代のチーム運営も入れ、組織の中で働ける根拠を示しています。

業界を変えて応募する場合

自営業と違う業界に応募するときは、業界の知識より、どこでも通じる仕事に言い換えます。たとえば「仕入れ先との価格交渉」は購買・調達の経験、「売上と経費の月次管理」は数字を扱う事務の経験として書くと、応募先の仕事とのつながりが伝わります。

自己PR:経営で出した成果と、組織で人を育てる意思を1つずつ

自己PRでは、経営者としての自負を前に出したくなります。しかし、「すべて自分で決めてきた」を強調しすぎると、組織で働けるかがかえって心配されることがあります。経営で出した成果と、組織の中で担いたいことを1つずつ書きましょう。

× NG例

7年間、オーナーとして店のことはすべて自分で決めてきました。経営者の視点で物事を考えられるのが私の強みです。御社でも経営者目線で、どんどん改善を提案していきたいと考えています。

ここが惜しい

  1. 「すべて自分で決めてきた」を強く出すと、上司の方針に沿って働けるかが、かえって心配されます。
  2. 「経営者の視点」を裏付けるエピソードや数字がなく、どの経営経験者にも書けてしまいます。
  3. 入社後に何を担うのかが具体的でなく、「経営者目線」という言葉だけが目立ちます。

○ OK例

人が育ち、定着する仕組みをつくる力

作業手順書と習熟チェック表を作り、夜の営業を任せるまでの期間を約3か月から約6週間に短縮。年間の離職者も6名から1名に減りました。今後は組織の中で人を育てる仕事に力を注ぎます。

ここが評価される

  1. 「人を育てる仕組み」という、多店舗の運営や店長の育成にそのまま活きる強みを選んでいます。
  2. 育成期間と離職者数の前後の数字で、仕組みの効果が具体的に伝わります。
  3. 記入例では1つ目の強みに、原価の管理で利益を改善した成果を書いています。経営で出した成果と、組織で人を育てる意思を1つずつ書くと、バランスよく伝わります。

「仕組み」という言葉を選んでいるのもポイントです。自分がいなくても回る店をつくった経験は、自分の手を動かすだけでなく、人を通して成果を出せることの証拠になります。多店舗の運営や店長の育成は、まさにその仕事です。職種ごとの書き方の詳しいポイントは、職種別の記事で解説しています。

自営業から再就職する人の職務経歴書の記入見本つきテンプレート

ケース別:自営業から再就職する人の書き分け方

ケース別の書き分けのポイント。業績以外の理由で閉店、業績が理由で閉店、法人の代表・家業の後継ぎ、別の業界・職種に応募
この章のまとめ:ケース別の書き分けのポイント

自営業から再就職するといっても、事業をやめた理由や事業の形、応募先によって、採用担当が気にすることは変わります。まず表で全体像を確認しましょう。

ケース採用担当が気にすること書くべきこと
業績以外の理由で閉店・事業を譲ったなぜ続けずに会社員なのかやめた理由を1行、続けてきた実績、会社員を選んだ理由
業績が理由で閉店した失敗から何を学び、どう後始末をしたか閉店の理由を事実で、立て直しに試したこと、精算・返済の状況
法人の代表・家業の後継ぎだった肩書きに対して、実際に何を担っていたか会社の規模、自分が担った範囲と数字、ほかの役員との分担
別の業界・職種に応募する経営の経験が自社の仕事にどうつながるか仕入れ・数字の管理・採用など、どこでも通じる仕事への言い換え

業績以外の理由で閉店した・事業を譲った

事業をやめる理由は、業績だけではありません。東京商工リサーチの調査では、2025年に休廃業・解散した企業は6万7,210件で、そのうち最終損益が黒字だった企業は52.8%でした。入居先の建て替え、体調、家族の事情、後継ぎへの引き継ぎなど、利益が出ていてもやめる事業は珍しくないのです。記入例の入居ビルの建て替えによる閉店も、このケースです。

職務経歴書に書きたいこと

  • やめた時期と理由(1行で、事実だけ)
  • 黒字の期間・借入の返済など、事業を続けてきた事実
  • 移転や継続ではなく、会社員を選んだ理由

記入例

【事業の譲渡】2026年3月、店舗と屋号を、開業時から働いてきた料理長に譲りました。営業を止めないよう、仕入れ先や常連客への引き継ぎに2か月を充てています。

ポイント

  1. 譲った相手と引き継ぎの期間を書くことで、最後まで責任を持って事業を手放したことが伝わります。
  2. 後継ぎを育てた事実そのものが、人を育てる力の裏付けになります。

よくある落とし穴

業績が理由ではないのに、閉店の事情を長く説明しすぎるケースです。理由は1行で十分で、紙幅は続けてきた実績と、これから担いたい仕事に使いましょう。

業績が理由で閉店した

売上が落ちて店を閉じた場合、書類に書くのは勇気がいります。それでも、理由をあいまいにしないことが信頼につながります。採用担当が見ているのは失敗の有無より、そこから何を学び、どう後始末をしたかです。

職務経歴書に書きたいこと

  • 閉店の時期と、業績が理由であること
  • 立て直しのために試したこと(価格・メニュー・人員配置など)と、その結果
  • 取引先への精算や借入の返済の状況

記入例

【閉店の理由】近隣の再開発で来店客が減り、年間売上高は約3,600万円(2023年)から約2,700万円(2025年)に減少。ランチの価格改定と人員配置の見直しで赤字を縮めましたが、黒字に戻せず2026年3月に閉店しました。取引先への支払いと借入の返済は終えています。

ポイント

  1. 売上の変化と試した対策を数字で書いているので、状況を自分で分析できる人だと伝わります。
  2. 精算と返済を終えたことで、最後まで責任を果たしたことがわかります。

よくある落とし穴

「コロナ禍の影響で」「物価高のため」と外的な要因だけを書くケースです。事実として書くのは構いませんが、自分が何を試したかがないと、状況に流されただけに見えます。

法人の代表・家業の後継ぎだった

法人化していた人や、家業を継いで役員を務めていた人は、「代表取締役」「専務取締役」といった肩書きが先に立ちます。採用担当が知りたいのは肩書きではなく、実際に担っていた仕事です。

職務経歴書に書きたいこと

  • 会社名・事業内容・従業員数・売上の規模と、役職
  • 自分が担った範囲と、ほかの役員や家族との分担
  • 担当した範囲での成果(数字で)

記入例

株式会社サンプル青果(青果の卸売、従業員12名) 専務取締役(2016年4月〜2026年3月)

役割:仕入れと配送の責任者(経理・人事は社長が担当)。配送ルートを見直し、トラック1台あたりの配送先を1日約18件から約24件に増やしました。

ポイント

  1. 担当と担当外をはっきり分けているので、面接で深く聞かれても説明がずれません。
  2. 家業でも、自分の担当範囲で出した成果を数字で示しています。

よくある落とし穴

家業だからと「家業を手伝う」と1行で済ませるケースです。役職と担当範囲があれば、立派な職歴として読まれます。逆に、社長が担っていた経営判断まで自分の成果として書くと、面接で説明に困ります。

別の業界・職種に応募する

自営業と違う業界や職種に応募するときは、業界の知識より、どこでも通じる仕事に言い換えることを優先します。飲食店の経営には、購買・経理・人事・販促など、会社の多くの仕事の要素が含まれています。

職務経歴書に書きたいこと

  • 応募先の仕事に近い経営の仕事(仕入れ・数字の管理・採用など)
  • その仕事の量と成果(件数・金額・人数)
  • 会社員時代も含めた、組織で働いた経験

記入例

【購買・調達に応募する場合】仕入れ先の開拓と価格交渉、メニュー別の原価と販売数の毎月の集計。32品を22品に絞り込み、仕入れ先も見直して、FL比率を約64%から約58%に改善

ポイント

  1. 同じ実績を「原価を下げた購買の仕事」として切り出し、応募先の仕事との重なりを示しています。
  2. 業界の専門用語に頼らず、仕事の中身で伝えています。

よくある落とし穴

飲食の専門用語や料理の経歴をそのまま書くケースです。応募先の求人票の言葉に合わせて、仕事の中身を言い直しましょう。

自営業とデジタル・AI:経営者として選んだ道具を、職務経歴書にどう書くか

デジタル・AIの経験の書き方。伝わりにくいのはツール名を並べるだけ。伝わるのは、何の仕事に使い何が変わったか、スタッフに定着させた工夫、入れなかった情報と確認の方法を書くこと
この章のまとめ:デジタル・AIの経験の書き方

AIの使い方や、どの程度の活用を求めるかは、応募先の規模・業界・社内ルールによって大きく違います。IPA(情報処理推進機構)の「DX動向2026」では、AIを導入している企業は従業員1,001人以上で8割近くにのぼる一方、101人以下では16.6%にとどまります。

AIを使った経験がないからといって、書類選考で不利になると考える必要はありません。求人票に「生成AI」「DX」「店舗のデジタル化」などの記載があれば具体的に書き、なければPCスキル欄に1行添える程度で十分です。

自営業の人は、道具を「選んで、根づかせた」経験を持っている

会社員なら、使うツールは会社が決めます。自営業では、会計ソフトもレジも予約の管理も、自分で選び、スタッフが使えるように根づかせてきたはずです。記入例のPCスキル欄にある「クラウド会計ソフトでの記帳、POSレジの売上分析、予約台帳での顧客管理」は、その経験を書いたものです。

多店舗を運営する会社では、本部が決めたシステムを各店に定着させることも店長やエリアマネージャーの仕事です。経営者として道具を選び、スタッフに覚えてもらった経験は、その仕事に直結します。飲食店の経営で現実的な使い方には、たとえば次のようなものがあります。

  • 生成AIで求人原稿やメニュー説明の下書きをつくる(記入例の使い方)
  • POSレジのデータから、時間帯別・メニュー別の売れ方を分析する
  • 予約台帳で来店の履歴を管理し、仕込みの量やシフトに反映する
  • 作業手順書の文案をAIで整え、スタッフ向けにわかりやすく書き直す

IPAの調査でも、AIの用途は「文書・音声の要約、翻訳、校正」が82.5%と最も多く挙がっています。下書きや書き直しは、小さな店でも取り入れやすい使い方です。

「何の仕事に使い、何が変わったか」を書く

× NG例

POSレジ、クラウド会計、生成AIなど、最新のツールを積極的に取り入れてきました。ITには強いほうです。

ここが惜しい

  1. ツールの名前を並べただけで、何の仕事にどう使ったのかがわかりません。
  2. 「ITには強い」は自己評価で、裏付けがありません。
  3. 入力した情報の扱いに触れておらず、会社の情報を安心して任せられるか判断できません。

○ OK例

会計・店舗システム:クラウド会計ソフトでの記帳、POSレジの売上分析、予約台帳での顧客管理

生成AI:求人原稿・メニュー説明の下書き(2025年〜。個人情報は入れず、自分で確認)

ここが評価される

  1. ツールごとに「記帳」「売上分析」「顧客管理」と使った仕事を書いているので、実務の範囲が伝わります。
  2. 生成AIは使い始めた時期と用途を書き、実際に使った範囲だけを示しています。
  3. 「個人情報は入れず、自分で確認」と添え、情報の扱いに気を配っていることが伝わります。

自営業では、何をAIに入力するかも自分で決めてきました。会社に入れば、それが会社のルールに変わります。予約客の名前や連絡先、スタッフの個人情報を入力しなかったことを書いておくと、ルールの中で道具を使える人だと伝わります。

デジタルやAIを使ってこなかった人は

小さな店では、手書きの帳簿や紙の予約台帳で十分に回っていたことも多いはずです。使っていなかったなら、無理に書く必要はありません。

代わりに、数字を見て店を変えた経験を書きましょう。記入例の「メニュー別の原価と販売数を毎月集計し、32品を22品に絞り込み」は、道具の新しさに関係なく、データで判断できる人であることを示しています。Excelや紙の集計表で同じことをしていたなら、それで十分です。

面接で「なぜ会社員に?」「また独立しませんか」と聞かれたときの答え方

面接でよく聞かれることと答え方の軸。閉店の事実を短く担いたい仕事につなげる、組織で働く理由を経験から、組織で働いた事実で答える、所得と売上を分けて希望年収を伝える
この章のまとめ:面接でよく聞かれることと答え方の軸

自営業の経験がある人の面接では、再就職の理由と、組織で働けるかを確かめる質問がよく出ます。答え方の基本は、職務経歴書の「自営業での経験について」の欄と同じ事実を、同じ順番で話すことです。

「なぜ店を閉じて、会社員に戻るのですか」と聞かれた

閉店の事実を短く伝え、組織の中で担いたい仕事につなげます。
例:「入居ビルの建て替えで閉店が決まりました。移転も考えましたが、店で取り組んだスタッフの育成を、一店舗ではなく複数の店で生かしたいと考え、再就職を選びました」
収入の安定だけを理由にすると、条件次第でまた辞めるのでは、と受け取られかねません。

「また独立したくなりませんか」と聞かれた

否定するだけでなく、組織で働く理由を、経験から具体的に話します。
例:「一人の店では、人を育てても活躍の場を広げられませんでした。会社の中で店長を育て、仕組みを複数の店に広げる仕事に、腰を据えて取り組みたいと考えています」
独立の経験を否定する必要はありません。そこで感じた限界と、次にやりたいことを結びつけましょう。

「年下の上司や、本部の方針に従えますか」と聞かれた

気持ちではなく、組織で働いた事実で答えます。
例:「ホテルでは料飲部の方針のもとで、28名のダイニングの予算と人員を管理していました。決まった方針の中で現場を動かすことには慣れています」
経営者時代に従業員の意見を取り入れた例があれば、立場が変わっても人の話を聞けることの裏付けになります。

「希望の年収はどのくらいですか」と聞かれた

自営業の売上や利益をそのまま年収と比べず、手元に残った所得と、会社員時代の年収を分けて考えます。
例:「ホテル時代の年収と、求人票の店長職の幅を踏まえて、〇〇万円程度を希望します」
売上高と所得を取り違えると、希望額が実態とずれて伝わります。根拠を一言添えると、話し合いが進めやすくなります。

提出前のチェックリスト

提出前に確かめること。会社員と自営業の期間を年数で、会社名の欄に規模と役割、実績を売上・数字の管理・採用育成に分ける、売上は帳簿や申告と食い違わない概数、閉店理由と再就職の理由
この章のまとめ:提出前に、ここだけは確かめる

書き終えたら、提出前に次の項目を確認しましょう。

  • 職務要約に、会社員と自営業それぞれの期間、事業の内容と規模、代表的な成果を数字で入れている
  • 自営業の会社名の欄に、屋号・店名、事業内容、従業員数、年間売上高、自分の役割を書いている
  • 経営の実績を「売上」「数字の管理」「採用・育成」など、応募先の仕事と同じ物差しで分けて書いている
  • 売上などの数字は、帳簿や申告の金額と食い違わない概数で書いている
  • 自分で担ったことと、税理士など外部に任せたことを分けて書いている
  • 閉店・廃業の理由を事実で書き、再就職の理由を「担いたい仕事」の言葉で書いている
  • 「すべて自分で決めてきた」「経営者目線で」など、組織で働けるかを心配させる書き方をしていない

最後に、職務要約・職務経歴・「自営業での経験について」の欄で、開業と閉店の年月、売上の金額、黒字の年数が食い違っていないかを突き合わせましょう。

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よくある質問

自営業の期間と会社員の期間、どちらを先に書けばいいですか?

職務経歴は新しい順に書く書き方が一般的で、記入例も直近の自営業の期間を先に書いています。古い順に書いても構いませんが、どちらの場合も職務要約で会社員と自営業の期間を年数で示し、経歴の全体が最初にわかるようにしましょう。

赤字の年が多く、売上を書くのに抵抗があります。

売上は必ず書かなければいけない項目ではありません。書かない場合は、席数や従業員数、客数など、事業の規模がわかる別の数字で示します。ただし面接で聞かれることはあるため、帳簿や申告の金額と食い違わない説明を用意しておきましょう。

履歴書の職歴欄には、自営業をどう書けばいいですか?

「2019年6月 個人事業主として洋食店「ビストロ ヨコヤマ」を開業」「2026年5月 同店を閉店」のように、開業と閉店の年月を書くのが一般的です。職務経歴書の年月と食い違わないようにしましょう。

閉店の手続きや店の整理が、まだ終わっていません。

終わっていないことは隠さず、「2026年5月に閉店。廃業の手続きは〇月に完了予定」のように、済んでいることと残っていることを分けて書きます。入社できる時期とあわせて伝えておくと、採用担当が予定を立てやすくなります。

デジタルやAIを使った経験がないと、不利になりますか?

不利になるとは限りません。AIの活用をどの程度求めるかは応募先によって大きく違います。原価の集計やシフトの組み方など、数字を見て店を変えた経験を具体的に書けば、データで判断できる人だと伝わります。

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Author

佐藤 大貴

レジュメラボ編集責任者/アースダイバー代表

佐藤 大貴

人材紹介の会社で、キャリア系メディアの編集長をしていました。転職やキャリアをテーマにした記事づくりに長く関わり、2019年にアースダイバー株式会社を立ち上げました。編集長時代、たくさんの求職者の方やキャ…

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