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ベンチャーから大手へ転職する人の職務経歴書|経験の整理のしかたと記入例・無料テンプレート

ベンチャーから大手へ転職する人の職務経歴書|経験の整理のしかたと記入例・無料テンプレート

立ち上げ期のベンチャーで、営業もマーケティングも新規事業も、何でも自分でやってきた。いざ大手に応募しようとすると、その幅広さをどう書けばいいのか迷います。「何でも屋に見えないか」「会社が伸びたのは市場の追い風と言われないか」「稟議の多い組織で働けると思ってもらえるか」。ベンチャーから大手へ移る人の多くが、こうした不安を抱えます。

幅広い経験は、書き方を整えれば強みになります。大手の採用担当が知りたいのは、どの分野の専門家として迎えられ、その成果を大きな組織でも再現できるかです。経験を全部並べるのではなく、軸を1つ決めて整理し直すことが出発点になります。

この記事では、スタートアップで7年半、営業・マーケティング・事業開発を経験してきた人の記入例をもとに、幅広い経験を「専門性・再現性・組織での動き方」に整理する方法を解説します。応募する部署ごとの書き分け方や、面接で「なぜ大手に?」と聞かれたときの答え方も紹介します。

この記事でわかること

  • ベンチャーから大手へ転職する人の職務経歴書の完成イメージ(記入例)
  • 公的データから見た、大きな組織が中途採用に求めていること
  • 軸の決め方、兼務の書き方、会社の成長と自分の成果の分け方など、項目別のOK例・NG例
  • 新規事業・既存事業・本社部門・創業メンバーなど、応募先や立場別の書き分け方
  • ベンチャーで使ってきたAIの経験の書き方と、面接での答え方

無料テンプレート

ベンチャーから大手へ転職する人の職務経歴書、記入見本つきのテンプレートがあります

この記事の記入例と同じ形式で、Word・Excel・PDFの3形式。空欄のテンプレートと記入見本がセットになっています。

ベンチャーから大手へ転職する人の職務経歴書の記入例

まずは完成イメージです。従業員約900名の会社で法人営業を3年経験したあと、入社時約15名のスタートアップに営業担当の1人目として入り、営業リーダー(マーケティング兼務)を経て、事業開発のマネージャーを務めている人が、大手の事業開発・アライアンス職に応募するケースを想定しています。職務経歴の後ろに「組織の中で成果を出した経験」という欄を設けています。画像をタップすると拡大できます。

ベンチャーから大手へ転職する人の職務経歴書の記入例(法人営業3年、スタートアップで7年半)
ベンチャーから大手へ転職する人の職務経歴書の記入例(A4・2枚)

この記入例と同じ形式のテンプレートを、Word・Excel・PDFの3形式で無料で用意しています。空欄のテンプレートと記入見本の2点セットです。

データで読む:大きな組織ほど、中途採用に「新しい事業」と「専門の力」を求めている

書き方に入る前に、大きな組織が転職者をどう採っているかを、厚生労働省の「令和7年転職者実態調査」で見ておきます。この調査は事業所(職場)の規模別に結果を出しています。会社全体の規模とは一致しませんが、大手の本社や主要な拠点は、多くが規模の大きい側に入ります。

3つの表を重ねると、見えてくることは1つです。大きな職場ほど中途採用は当たり前で、その目的は欠員の補充だけでなく、新しい事業を任せられる専門の力を外から迎えることにあります。

1,000人以上の職場の94.6%が、1年間に転職者を迎えている

この調査で、2024年10月から2025年9月の1年間に転職者を雇い入れた事業所の割合を見ると、1,000人以上の事業所では94.6%でした。規模が小さくなるほど割合は下がり、5〜29人の事業所では32.7%です。

転職者がいる事業所の割合。1,000人以上94.6%、300〜999人86.1%、100〜299人77.7%、30〜99人60.3%、5〜29人32.7%
言いたいこと:大きな職場ほど、転職者を迎えている(厚生労働省「令和7年転職者実態調査」、2025年)

出典:令和7年転職者実態調査の概況(厚生労働省) 表1

「大手は新卒が中心で、中途は入りにくい」という印象は、少なくとも職場の単位で見ると当てはまりません。大きな職場のほとんどに、毎年のように転職者が入っています。中途入社の人が珍しくないからこそ、書類は「ほかの経験者と比べてどうか」という目で読まれます。

応募する側から読み直すと、ベンチャー出身であること自体は珍しさにも不利にもなりません。比べられるのは経験の中身です。記入例が職務要約で、7年半の幅広い経験を「事業開発のマネージャーとして7社との業務提携を担当」と1つの軸にまとめているのは、ほかの経験者と並べたときに何の人かが一目でわかるようにするためです。

大きな職場は、新しい事業や技術のためにも転職者を採っている

転職者の採用にあたって重視した事項(複数回答)を見ると、「新規事業分野への進出」は1,000人以上の事業所で29.8%、5〜29人では4.0%でした。「新技術の導入・開発」も25.3%と0.8%で、大きな差があります。

転職者の採用で重視した事項。新規事業分野への進出は1,000人以上29.8%、5〜29人4.0%。新技術の導入・開発は25.3%と0.8%
言いたいこと:大きな職場は、新しい事業や技術のためにも転職者を採る(厚生労働省「令和7年転職者実態調査」、2025年)

出典:令和7年転職者実態調査の概況(厚生労働省) 表3

小さな職場では「人員構成の歪みの是正」(47.2%)、つまり年齢や職種などの人員の偏りを直す目的が最も多くなっています。大きな職場では、それに加えて「既存事業の拡大・強化」が69.5%、「組織の活性化」が49.8%と、事業を広げたり組織に新しい風を入れたりする目的が並びます。

編集部の読みでは、ここにベンチャー出身者の出番があります。大手が自社にない経験を外に求めるとき、事業をゼロから立ち上げ、仕組みにしてきた経験はその候補になります。記入例の「有料オプションを企画し、経営会議の承認を得て提供開始」や「提携の手順書と審査基準を作成」は、まさにそうした経験です。ただし「組織の活性化」を期待されることと、入社してすぐ組織を変えようとすることは別です。この点は項目別の書き方で詳しく見ます。

大きな職場ほど、「専門知識・能力」を理由に転職者を採っている

転職者を採用した理由(3つまでの複数回答)を、専門的・技術的な仕事で見ると、「専門知識・能力があるから」は1,000人以上の事業所で86.1%、5〜29人では49.3%でした。管理的な仕事でも、1,000人以上で79.2%、5〜29人で48.8%と、同じ傾向です。

専門的・技術的な仕事で、専門知識・能力があるからを採用理由に挙げた事業所の割合。1,000人以上86.1%、5〜29人49.3%
言いたいこと:大きな職場ほど「専門知識・能力」を理由に転職者を採る(厚生労働省「令和7年転職者実態調査」、2025年)

出典:令和7年転職者実態調査の概況(厚生労働省) 表4

大きな組織は仕事を部署ごとに分けており、中途採用も「この部署のこの仕事」を任せる前提で行うことが多くなります。だから、何の専門家なのかがはっきりしている人ほど採用の理由をつけやすくなります。

ここが、何でも担当してきたベンチャー出身者がつまずきやすいところです。幅広さは、軸となる専門分野を支える力として書いたときに、初めて強みとして読まれます。記入例が「活かせる経験」の1つ目に「業務提携による事業開発(3年半・7社)」を置き、営業とマーケティングの経験を2つ目に回しているのはこのためです。

まとめると、ベンチャーから大手へ移る人の職務経歴書では、専門分野の軸、成果の再現性、そして大きな組織の中での動き方を事実で示せるかどうかで差がつきます。ここからは、採用担当が書類で確かめていることを整理します。

ベンチャーから大手へ転職する人の職務経歴書テンプレートを無料でダウンロード

採用担当がベンチャー出身の応募者で確認している3つのこと

採用担当がベンチャー出身の応募者で確認している3つのこと:専門分野、成果の再現性、大きな組織での動き方
この章のまとめ:採用担当が確認している3つのこと

こうした変化と採用の現場でよく見られる傾向を踏まえると、大手の採用担当はベンチャー出身の応募者の書類から、次の3つを確認しています。

  1. どの分野の専門家として迎えられるかベンチャーでは一人が営業・マーケティング・企画などを兼ねることがよくあります。大手では担当の範囲を分けて採用することが多いため、幅広い経験の中から「この分野なら任せられる」という軸が読み取れるかを確認します。
  2. 成果に再現性があるか会社の急成長の中で出た数字が、本人の判断と手順によるものなのかを見ています。前後の数字に加えて、どんな手順で進め、ほかの人でも同じ成果を出せる形にしたかが書かれていると、環境が変わっても成果を出せる人だと判断しやすくなります。
  3. 大きな組織の中で動けるか関わる部署や人が多く、稟議・決裁などの手順を経て物事が進むのが大きな組織の特徴です。他部署と合意をつくった経験や、社内の手順に沿って進めた経験があるかを確認します。スピードや裁量の話だけだと、組織の進め方に合うかを心配されることもあります。

ベンチャー出身の人の書類で弱くなりやすいのは、2つ目と3つ目です。会社が伸びた時期の数字は大きく見えますが、市場の追い風なのか本人の力なのかが区別されていないと、評価しにくくなります。次の章では、この点を項目ごとの書き方に落とし込みます。

項目別の書き方:OK例とNG例の違い

ここからは項目ごとに、NG例とOK例を並べて解説します。OK例は記入例からの引用です。

職務要約:幅広い経験の中から軸を1つ決め、年数と成果で示す

職務要約は、採用担当が最初に読む部分です。ベンチャー出身の人ほど担当した仕事を全部並べたくなりますが、大手の採用担当が知りたいのはどの部署に配属すればよい人かです。

× NG例

スタートアップの立ち上げ期から7年半、営業・マーケティング・事業開発・採用・カスタマーサポートなど、事業に必要なことは何でも担当してきました。社員15名から120名への急成長を支えた経験を活かし、貴社でも幅広く貢献したいと考えています。

ここが惜しい

  1. 担当した仕事を並べただけで、どの分野の専門家として迎えればよいのかが伝わりません。
  2. 社員数の増加は会社の成長であり、本人が何をしてどんな成果を出したのかがわかりません。
  3. 「幅広く貢献」は、担当を分けて採用する組織では、かえって配属先を想像しにくくします。

○ OK例

法人営業として3年、スタートアップの株式会社サンプルラボで7年半、営業・マーケティング・事業開発に携わりました。直近3年半は事業開発のマネージャー(メンバー4名)として、7社との業務提携を担当し、2025年度は提携経由で新規受注の約3割(96社)を生み出しました。事業開発の専門性を活かし、大きな顧客基盤を持つ組織で提携による事業づくりを担いたいと考えています。

ここが評価される

  1. 幅広い経験に触れつつ、軸を「業務提携による事業開発」に絞っているので、任せる仕事が想像できます。
  2. 提携先7社・新規受注の約3割(96社)と、本人の担当範囲の成果を数字で示しています。
  3. 応募先の規模でこそできることを最後に書き、なぜ大手なのかという疑問に先回りして答えています。

軸は応募先の求人に合わせて選ぶ

同じ経歴でも、事業開発の求人なら提携の実績を、マーケティングの求人なら商談づくりの実績を軸にします。経歴そのものは変えず、何を先頭に置くかを応募先ごとに選び直しましょう。

職務経歴:時期ごとに役割を分け、兼務は主と従がわかるように書く

職務経歴は、ベンチャー出身の人の書類でいちばん整理が必要な項目です。同じ会社に7年いても、入社時と今とでは会社の規模も自分の役割もまったく違います。下の画像の3つのポイントを押さえましょう。

ベンチャーから大手へ転職する人の職務経歴の書き方のポイント
職務経歴の書き方のポイント

× NG例

株式会社サンプルラボ(2019年4月〜現在)
営業、マーケティング、事業開発、新サービスの企画などを担当。少人数のため、役職や担当の区別なく何でも自分で進め、会社の急成長に貢献。

ここが惜しい

  1. 7年半を1つにまとめているため、いつ・どの立場で・何を担当していたのかがわかりません。
  2. 「役職や担当の区別なく」は、役割分担のある組織で働けるかを心配させる書き方です。
  3. 成果が「急成長に貢献」だけで、本人の担当範囲の数字がありません。

○ OK例

2023年4月〜現在 事業開発部 マネージャー(メンバー4名)

【実績】提携経由の新規受注を年間18社(2023年度)から96社(2025年度)に拡大。2025年度の新規受注 約320社の約3割

【取り組み】提携の手順書(候補選定→社内審査→契約→共同販売)と審査基準を法務・経理と作成。契約までの期間を平均約5か月から約3か月に短縮

2021年4月〜2023年3月 営業部 リーダー(メンバー3名)マーケティング担当を兼務

ここが評価される

  1. 同じ会社の中でも時期ごとに部署・役職・人数を分けて書いているので、役割の広がりが読み取れます。
  2. 「マーケティング担当を兼務」と書き、どちらが主な仕事だったのかを明確にしています。
  3. 会社全体の新規受注(約320社)と提携経由(96社)を分けて書き、本人の担当範囲の成果がわかります。
  4. 手順書や審査基準など、自分がいなくても成果が出る仕組みを書き、再現性を示しています。

記入例では、会社の欄に「従業員数:約120名(入社時 約15名)」と書いています。入社時と今の規模を並べると、どの成長段階で何を担当したかが伝わります。ただし、社員数の増加は会社の成長です。自分の成果としては書かず、本人の担当範囲の数字と分けておきましょう。

新しい順に書くと、軸が先に目に入る

記入例は、サンプルラボの経歴を新しい時期から順に書いています。軸にしたい事業開発の経験が最初に来るので、採用担当が読み始めてすぐに「何の人か」をつかめます。前職を含めて時系列で書く場合も、軸の時期にいちばん多くの行を使いましょう。

組織の中で成果を出した経験:部署をまたいだ推進・仕組みづくり・社内手順に沿った経験を事実で書く

記入例では、職務経歴の後ろに「■組織の中で成果を出した経験」という欄を設けています。3つのことの3つ目、「大きな組織の中で動けるか」に、事実で答えるための欄です。

× NG例

■組織の中で成果を出した経験
ベンチャーならではのスピード感で、稟議や会議に時間をかけず、自分で判断してすぐに実行してきました。大手企業でも、この行動力で組織に新しい風を吹き込みたいと考えています。

ここが惜しい

  1. 「稟議や会議に時間をかけず」は、応募先の進め方を否定しているように読まれるおそれがあります。
  2. 組織の中で成果を出した具体的な場面が書かれておらず、欄の目的に答えていません。
  3. 「新しい風を吹き込みたい」は意気込みだけで、何をどう進める人なのかが伝わりません。

○ OK例

【部署をまたいだ推進】有料オプションの立ち上げで、開発・CS・法務・経理の4部署(計12名)と週1回の定例を運営し、決定事項を記録・共有。予定どおり2024年10月に提供を開始しました。

【仕組みにして任せる】提携の手順書と審査基準を作り、メンバー4名が同じ手順で提携を進められるようにしました。2025年度に契約した3社は、メンバーが主担当です。

【規程に沿った仕事】前職(約900名)では与信・稟議の手順に沿って大口案件を進めました。

ここが評価される

  1. 関わった部署と人数、自分の役割を書いているので、多くの関係者と仕事を進める姿が想像できます。
  2. メンバーが主担当で契約した実績は、成果が個人の力だけでなく仕組みで再現できることの証拠になります。
  3. 前職での稟議の経験を添え、手順を踏んで進める組織の仕事にも慣れていることを示しています。

データの章で見たとおり、大きな職場は「組織の活性化」も採用の目的に挙げています。それでも、書類で「新しい風を吹き込む」と書くと、入社前から今のやり方を変える前提の人に見えてしまいます。期待に応える力は、手順を踏みながら予定どおりに進めた事実で示しましょう。記入例の【大手で担いたいこと】も「大きな顧客基盤を活かし、提携事業を長い目で育てたい」と、組織の力を借りて進める書き方にしています。

活かせる経験・知識・スキル:専門分野を1つ目に置き、幅広い経験はそれを支える力として言い換える

3つ程度に絞り、1つ目には軸にする専門分野を年数・件数とともに書きます。

× NG例

・営業、マーケティング、事業開発、企画、採用など、何でも対応できる幅広さ

・ゼロから事業を立ち上げる力

・裁量の大きい環境で培った主体性

ここが惜しい

  1. 「何でも対応できる」は、裏返すと「専門分野がない」と受け取られるおそれがあります。
  2. 「ゼロから立ち上げる力」「主体性」は根拠となる期間や件数がなく、どの応募者にも書けてしまいます。

○ OK例

・業務提携による事業開発(提携先の開拓・条件交渉・契約・共同販売の運営。3年半・7社)

・営業(計7年)とマーケティング(2年)で培った、商談づくりから受注までを数字で改善する力

・他部署と合意をつくり、手順書や基準にまとめて組織で再現できる形にする力

ここが評価される

  1. 1つ目に専門分野を年数・社数とともに書き、何の専門家かをはっきりさせています。
  2. 営業・マーケティングの経験を、専門分野を支える力として言い換えているので、幅広さが強みとして伝わります。
  3. 3つ目で、他部署との調整と仕組みづくりという、大きな組織で求められる力を挙げています。

自己PR:成果を出した手順と、組織での動き方を1つずつ

自己PRは、強い言葉より「どんな手順で成果を出したか」を書きます。ベンチャーで評価されてきた言い回しが、大手では別の意味に読まれることがあるので注意しましょう。

× NG例

スタートアップで、誰も正解を持っていない中、自ら考え動くことで数々の成果を出してきました。変化を恐れないチャレンジ精神と圧倒的な当事者意識で、貴社の変革をリードします。

ここが惜しい

  1. 「数々の成果」の中身がなく、何をどう進めて成果を出したのかがわかりません。
  2. 「変革をリードします」は、入社前から組織を変える前提に読め、なじめるかを心配されかねません。
  3. 強い言葉を重ねても、根拠となる数字や事実がなければ評価につながりません。

○ OK例

提携を「仕組み」にして、チームで成果を再現する力

提携の手順書と審査基準を作り、メンバーが主担当でも同じ手順で進められるようにしました。契約までの期間を平均約5か月から約3か月に短縮し、提携経由の新規受注を年間18社から96社に伸ばしました。

ここが評価される

  1. 「手順書と審査基準」という方法と、「約5か月→約3か月」「18社→96社」という結果がそろっています。
  2. メンバーでも同じ成果が出せる形にしたことで、再現性という大手の採用担当が気にする点に答えています。
  3. 記入例では2つ目の強みに、他部署と合意をつくる力を書いています。成果の出し方と組織での動き方を1つずつ書くと、バランスよく伝わります。
ベンチャーから大手へ転職する人の職務経歴書の記入見本つきテンプレート

応募先・立場別:ベンチャーから大手への書き分け方

応募先・立場別の書き分け方:新規事業の部署、既存事業の専門職、本社の企画部門、創業メンバー・役員だった人
この章のまとめ:応募する部署と自分の立場で、軸と書き方を変える

同じ大手でも、新規事業の部署と既存事業の営業部とでは、ベンチャー出身者に期待することが違います。求人票の部署名と仕事内容をよく読み、どのタイプにあたるかを見てから書き分けましょう。

応募先・立場採用担当が気にすること前に出したい経験
新規事業・事業開発・提携の部署ゼロから立ち上げた経験を、社内の承認を得ながら進められるか立ち上げの手順、社内審査・経営会議を通した経験
既存事業の専門職(営業・マーケティングなど)その分野の専門性と、大きな顧客・予算を扱えるか軸の分野の成果を前後の数字で、扱った規模
本社の企画部門(経営企画・事業企画など)数字で事業を見て、多くの部署と調整できるか収支の試算、経営会議の資料、部署をまたいだ推進
創業メンバー・役員だった人肩書きではなく、実際に担った仕事と、組織の一員として働けるか肩書きの中身、担当した領域の成果、意思決定の手順

新規事業・事業開発・提携の部署へ

大手の新規事業の部署は、まさに社外の立ち上げ経験を求めて中途採用をしている部署です。記入例の人物が応募するのもこのタイプです。ただし大手の新規事業は、社内の審査や経営会議の承認を経て進むのが普通です。

職務経歴書に書きたいこと

  • ゼロから立ち上げた事業・サービスと、その結果
  • 社内の承認を得た手順(審査・経営会議など)
  • 提携先や他部署と合意をつくった進め方

記入例

【新サービス】有料オプション「受発注データ連携」を企画。経営会議の承認を得て2024年10月に提供開始(2025年度末 約210社)

ポイント

  1. 記入例からの引用です。「経営会議の承認を得て」の一言で、社内の手順を踏んで立ち上げたことが伝わります。
  2. 提供開始の時期と、その後の利用社数がそろっているので、立ち上げで終わっていないことがわかります。

よくある落とし穴

「スピード」を強調しすぎるケースです。大手の新規事業では、速さと同じくらい、関係部署を巻き込んで承認を得る力が見られます。速く進めた話には、どの手順を踏んだのかを必ず添えましょう。

既存事業の専門職(営業・マーケティングなど)へ

既存事業の部署では、その分野の専門性がそのまま問われます。ベンチャーで兼務していた仕事のうち、応募先の職種に合う経験を軸として前に出し、ほかは支える経験に回す書き方が基本です。

職務経歴書に書きたいこと

  • 軸にする職種での年数と、前後の数字で示した成果
  • 扱った顧客の規模や予算の大きさ
  • 兼務していた仕事との関係(どちらが主か)

記入例

【実績】月間の商談数を約20件(2020年度)から約55件(2022年度)に増やし、商談1件あたりの獲得費用を約8万円から約5万円に削減

ポイント

  1. 記入例の営業リーダー時代の実績です。マーケティング職に応募するなら、この行を軸に据えて職務要約を書き直します。
  2. 年度と前後の数字があるので、成果の大きさと期間が正しく伝わります。

よくある落とし穴

大手の顧客や予算の規模と比べて、自分の経験が小さく見えることを気にして、数字を書かないケースです。規模が違っても、前後の変化と進め方が書かれていれば評価できます。数字はそのまま書きましょう。

本社の企画部門(経営企画・事業企画など)へ

経営企画や事業企画では、事業を数字で見る力と、多くの部署と調整する力が求められます。ベンチャーで経営に近い場所にいた経験は、ここで活きます。

職務経歴書に書きたいこと

  • 収支の試算や事業計画づくりに関わった経験
  • 経営会議などで説明し、承認を得た経験
  • 部署をまたいで進めたプロジェクトと、自分の役割

記入例

【取り組み】新サービスの収支計画(3年分)を経理と作成し、経営会議で説明。価格と販売目標の見直しを2回行い、承認を得て予算化

ポイント

  1. 「経理と作成」「経営会議で説明」と、他部署との関わりと社内の手順の両方が書かれています。

よくある落とし穴

「経営の視点がある」とだけ書くケースです。どんな数字を扱い、誰に説明し、何が決まったのかを書かないと、経営に近い場所にいたことは伝わりません。

創業メンバー・役員だった人

創業メンバーや、CxO(最高〇〇責任者)などの役員の肩書きを持っていた人は、肩書きの扱いに迷いがちです。肩書きはそのまま書いてかまいませんが、大手の採用担当は肩書きの中身を見ています。

職務経歴書に書きたいこと

  • 肩書きと、その時の会社の規模(社員数)
  • 実際に担当した領域と、その成果
  • 意思決定に関わった場面と、その手順

記入例

【役職】取締役 事業開発担当(2022年4月〜、社員 約40名)

【担当】提携・新規事業の責任者として、提携先の開拓と契約、事業計画の作成を担当(部下3名)

ポイント

  1. 肩書きに社員数と部下の人数を添えているので、どの規模の会社の役員だったかが正しく伝わります。

よくある落とし穴

役員の肩書きを前に出しすぎて、入社後の役割と合わないと思われるケースです。大手では役職のないポジションから始まることもあります。肩書きより担当した仕事を厚く書き、面接で役割の変化をどう受け止めているかを話せるようにしておきましょう。

ベンチャーで使ってきたAIを、大手の「ルール」の言葉で書く

ベンチャーで使ってきたAIの経験の書き方:個人の工夫で終わる書き方と、組織で通じる書き方
この章のまとめ:AIの経験は「ルール・確認・広げ方」で書く

AIの使い方や、どの程度の活用を求めるかは、応募先の規模・業界・部署・社内ルールによって大きく違います。IPA(情報処理推進機構)の「DX動向2026」によると、AIを導入している企業は従業員1,001人以上で8割近くにのぼります。大手の多くでは、AIはすでに会社として使うものになっています。

それでも、AIの経験がないからといって、書類選考で不利になると考える必要はありません。まず求人票に「生成AI」「AIツール」などの記載があるかを確かめ、記載があれば具体的に、なければツール欄に1行添える程度で十分です。

大手では、AIは「個人の工夫」より「組織のルール」の中で使う

パーソルキャリア(doda)の「企業のAI活用実態と人材戦略に関する調査」は、AIを導入済みの従業員501人以上の企業の人事・採用担当者515人に聞いた調査です。AIスキルのレベルを定義している企業は67.2%、そのうちスキルの水準を評価に組み込んでいる企業は58.4%でした。なお、これは社員の評価の話で、中途採用の選考でAIの経験を確かめているかのデータではありません。

同じ調査の第1弾では、AI推進の懸念として、若手と一般社員の差が大きかったのが「個人情報・機密情報の取り扱い」でした。編集部の読みでは、大手ではAIを使えること以上に、ルールの中で安全に使えることが前提になっています。ベンチャーで自由に試してきた人ほど、この点を書類で示しておくと安心されます。

書き方:「何の業務で・どのルールで・どう確認したか」

記入例では、ツール・PCスキル欄に1行だけ書いています。使った業務と時期に加えて、ルールと確認の方法を添えているのがポイントです。

× NG例

生成AI:ChatGPTなど各種AIツールを日常的に使いこなし、業務を大幅に効率化

ここが惜しい

  1. どの業務に、どう使ったのかがわからず、入社後に任せられる場面を想像できません。
  2. 社外秘の情報をどう扱ったかが書かれておらず、大手の情報管理のルールに合うかを判断できません。
  3. 「使いこなし」「大幅に」は、面接で具体例を聞かれたときに説明が追いつかないおそれがあります。

○ OK例

生成AI:社内で認められたツールで、打ち合わせメモの要約を下書き(2025年4月〜)。社外秘の情報は入力せず、内容は自分で確認

ここが評価される

  1. 「打ち合わせメモの要約を下書き」と、使った業務と任せた範囲が具体的です。
  2. 「社内で認められたツール」「社外秘の情報は入力せず」と、ルールの中で使ったことがわかります。
  3. 「2025年4月〜」と時期を書き、「自分で確認」と添えているので、継続して責任を持って使ってきたことが伝わります。

ベンチャーで、AIの使い方のルールづくりやチームへの展開に関わった人は、それも書く価値があります。たとえば「チームの利用ルール(入力してよい情報・確認の手順)を作成し、メンバー4名に展開」のように書けば、記入例の「仕組みにして任せる」と同じく、個人の工夫を組織に広げた経験として読まれます。

盛らない・規模を大きく見せない

  • 少人数の会社で全員が使っていたことを「全社展開」と書かない。対象の人数を書く
  • 試しただけのツールを並べない。続けて使った業務だけを書く
  • 顧客の情報や社外秘の資料をAIに入力しなかったことを書く

大手の面接では、「出力のどこを直したか」「どんな情報は入力しなかったか」と具体的に聞かれることがあります。答えられる範囲で書きましょう。

AIを使っていない・使えなかった人は

ベンチャーでも、取引先との契約や情報管理の都合で、生成AIを使わない会社はあります。使っていないことを気にする必要はありません。

代わりに、仕事のやり方を仕組みに変えた経験を書きましょう。記入例の「提携の手順書と審査基準を作り、契約までの期間を平均約5か月から約3か月に短縮」のような経験は、AIと同じく、仕事の進め方を見直して成果を出せる力を示します。

面接で「なぜ大手に?」「大きな組織で働けますか」と聞かれたときの答え方

面接でよく聞かれる4つの質問と答え方の要点:なぜ大手か、稟議への対応、役職の変化、成果の再現性
この章のまとめ:よく聞かれる4つの質問と、答えの軸

ベンチャー出身の応募者は、面接で「なぜ大手に?」と、組織への適応を確かめる質問をほぼ必ず受けます。答えの中身は、職務経歴書の「組織の中で成果を出した経験」欄と同じ事実にそろえましょう。書類と面接が同じ事実でつながっていれば、それがそのまま再現性の証拠になります。

「なぜ、ベンチャーから大手に移りたいのですか」

「安定」や「待遇」ではなく、応募先の組織でこそできる仕事から答えます。
例:「提携経由の受注を年間96社まで伸ばしましたが、提携先の数も扱える顧客の数も、会社の規模で限られていました。大きな顧客基盤を持つ組織で、提携事業を長い目で育てたいと考えています」
前の会社の悪口や、資金面の不安を中心に話すのは避けましょう。

「決裁や稟議に時間がかかりますが、大丈夫ですか」

「大丈夫です」だけでなく、手順を踏んで進めた経験を挙げます。
例:「前職では与信審査と稟議を経て大口案件を受注しました。今の会社でも、提携は社内審査と契約の手順書に沿って進めています。手順を前提に、早めに論点を整理して進めます」
職務経歴書の【規程に沿った仕事】と同じ内容を話せば、書類の裏付けになります。

「マネージャーでしたが、入社後はメンバーからになるかもしれません」

役職より、担いたい仕事を重視していることを伝えます。
例:「役職より、提携による事業づくりを担えることを重視しています。まずは御社の進め方を学び、メンバーとして成果を出したいと考えています」
役職や年収の条件は、面接の流れに合わせて率直に確認してかまいません。

「会社が伸びたのは、市場の追い風ではありませんか」

会社の成長と、自分の担当範囲の成果を分けて答えます。
例:「会社全体の新規受注は約320社ですが、そのうち提携経由の96社が私の担当範囲です。手順書と審査基準を作り、契約までの期間を約5か月から約3か月に短縮したことが伸びた理由だと考えています」
追い風があったことは認めたうえで、自分の打ち手を示すほうが信頼されます。

提出前のチェックリスト

ベンチャーから大手へ転職する人の職務経歴書 提出前のチェックリスト7項目
この章のまとめ:提出前に確認したい7つのこと

書き終えたら、提出前に次の7項目を確認しましょう。

  • 職務要約で、応募先で軸にする専門分野を1つに絞り、年数・役割・成果を数字で書いている
  • 同じ会社の中でも、時期ごとに部署・役職・メンバー数を分けて書いている
  • 兼務していた仕事は、主な仕事と兼務がわかるように書いている
  • 会社全体の成長と、自分の担当範囲の成果を分けて書いている
  • 手順書・基準づくりなど、成果を再現できる形にしたことを書いている
  • 他部署との協力や、稟議・決裁などの手順に沿って進めた経験を事実で書いている
  • 大手を志望する理由を「安定」や「待遇」ではなく、担いたい仕事の言葉で書いている

生成AIの経験を書いた場合は、社内ルールと確認の方法を添えているかもあわせて確かめましょう。最後に、職務要約・職務経歴・自己PRで同じ数字を使っている箇所を突き合わせ、割合や期間の計算が合っているかも確認します。

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よくある質問

前の会社は小さく、名前も知られていません。会社の説明はどこまで書けばいいですか?

事業内容・従業員数・設立からの年数がわかれば十分です。記入例のように「約120名(入社時 約15名)」と入社時と今の規模を並べると、どの成長段階で働いてきたかが伝わります。資金調達の金額などは、仕事の説明に必要な場合だけにとどめましょう。

兼務が多く、どれも中途半端に見えないか心配です。

兼務の数を減らす必要はありませんが、時期ごとに「主な仕事」と「兼務」を分けて書きましょう。応募先の職種に近い仕事を軸として厚く書き、ほかは1〜2行で支える経験として添えると、幅広さが強みとして伝わります。

「マネージャー」の肩書きは、大手の役職と同じように受け取られますか?

会社によって意味が違うため、肩書きだけでは同じようには受け取られません。記入例の「マネージャー(メンバー4名)」のように、部下の人数や担当の範囲を添えて、肩書きの中身がわかるように書きましょう。

ベンチャーでの在籍が短く、何社か移っています。不利になりますか?

在籍の長さだけで判断されるとは限りませんが、会社ごとに担当と成果を分けて書き、移った理由を一貫した軸で説明できるようにしておきましょう。反対に大手からベンチャーへ移る人の書き方は、レジュメラボの別の記事で紹介しています。

AIを使った経験がないと、大手への転職で不利になりますか?

AIの活用をどの程度求めるかは、応募先や部署によって大きく違い、経験がないことだけで不利になるとは限りません。求人票にAIの記載がある場合は、手順書や基準をつくって仕事の進め方を変えた経験など、仕組みで成果を出した経験を具体的に書きましょう。

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Author

佐藤 大貴

レジュメラボ編集責任者/アースダイバー代表

佐藤 大貴

人材紹介の会社で、キャリア系メディアの編集長をしていました。転職やキャリアをテーマにした記事づくりに長く関わり、2019年にアースダイバー株式会社を立ち上げました。編集長時代、たくさんの求職者の方やキャ…

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