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「給料が安いから辞めた」って、言っていい? 職務経歴書と面接での本音の伝え方

「給料が安いから辞めた」って、言っていい? 職務経歴書と面接での本音の伝え方

こんにちは。レジュメラボ編集長の佐藤です。

転職の話になると、少し声を落として出てくる本音があります。「正直に言うと、給料が安かったんですよね」。

ところが、その本音を職務経歴書や面接でそのまま出していいかというと、ほとんどの人が迷います。お金の話をすると印象が悪くなりそうだし、かといって、ほかにそれらしい理由をこしらえるのも気が引ける。結果、「キャリアアップのため」というふわっとした言葉で済ませてしまう人がとても多いんです。

今回は、この「給料が理由の転職」をどう伝えるかを、データを見ながら掘り下げてみます。先に私の考えを言っておくと、給料が理由で辞めることは、まったく恥ずかしいことではありません。ただ、そのままの言葉で伝えると損をします。必要なのは、本音を隠すことではなく、相手に伝わる言葉に置き換えることです。

この記事でわかること

  • 転職理由の1位が「給料」であることを示す公的データ
  • 退職者の多くが、本音の理由を会社に伝えていない実態
  • 面接官が「給料が理由」と聞いたときに気にしていること
  • 職務経歴書で書くこと・書かないこと
  • 面接での伝え方(NG例・OK例)と、状況別の言い換え
  • 年収の話を切り出すタイミング

転職理由の1位は「給料」。なのに、みんな言わない

まず、どれくらいの人が給料を理由に辞めているのか。厚生労働省が2026年9月に公表した「令和7年転職者実態調査」で、自己都合で前の会社を辞めた人に理由を聞いた結果がこちらです(3つまで選択)。

転職者が前の会社を辞めた理由。賃金が低かったから25.5%が最多、能力・実績が正当に評価されないから18.9%
転職者が前の会社を辞めた理由(自己都合、3つまで複数回答)

出典:令和7年転職者実態調査(厚生労働省)

1位は「賃金が低かったから」で25.5%。「会社の将来が不安」「仕事内容に満足できない」も僅差で並んでいますが、給料は転職理由のトップです。民間の調査でも傾向は同じで、マイナビの「転職活動実態調査(2026年)」では、転職理由の最多が「給与が低かった」の29.4%でした。転職の動機に給与が含まれていた人は、87.4%にのぼります。

ここで、グラフの下のほうにも目を向けてください。「能力・実績が正当に評価されないから」が18.9%あります。この項目は、あとで大事な意味を持ってきます。

ただし、本音を会社に伝えている人は少ない

一方で、辞めるときに本当の理由を伝えている人は多くありません。人材サービスのハッカズークが、1年以内に退職した574人に聞いた調査では、88%が「会社に伝えなかった本音の退職理由がある」と答えています。

会社に伝えた退職理由と本音の理由の比較。家庭の事情は伝えた48%に対し本音13%、別の業界にチャレンジしたいは40%に対し18%
会社に伝えた退職理由と、本音の退職理由

出典:退職理由の本音と建前に関する実態調査(ハッカズーク/日本の人事部)

会社に伝えた理由で多かったのは「家庭の事情」の48%ですが、本音として挙げた人は13%でした。「別の業界にチャレンジしたい」も、伝えた人40%に対して本音は18%です。建前としてよく使われる理由と、本当の理由の間には、かなりの差があります。

給料で辞める人はたくさんいるのに、それを口にする人は少ない。だからこそ、転職活動で「どこまで正直に言っていいのか」がわからなくなるのだと思います。

面接官は「給料が理由」の何を気にしているのか

採用する側の立場で考えてみます。面接官は、応募者が給料に不満を持っていたこと自体を責めたりはしません。働く以上、給料を気にするのは当然だからです。

面接官が退職理由を聞くとき、本当に確かめたいのは次の3つです。

  1. 同じ理由で、また辞めないかうちの給与水準や昇給の仕組みでも、また同じ不満を持つのではないか。
  2. 仕事の中身に関心があるか給料だけで会社を選んでいて、仕事内容はどこでもいいと思っていないか。
  3. 自分の価値を客観的に見られているか「安かった」が、実績に照らして妥当な不満なのか、ただの主観なのか。

「給料が安かったので辞めました」とだけ言うと、この3つのどれにも答えられていません。だから印象が悪くなるのであって、給料という理由そのものが悪いわけではないんです。

「不満」と「正当な理由」を分けるもの

では、給料の話をどう伝えればいいのか。ここで先ほどの18.9%、「能力・実績が正当に評価されないから」が効いてきます。

「給料が安かった」と「成果に見合った評価を受けられなかった」は、同じ話をしているようで、受け取られ方がまったく違います。前者は気持ちの話で、後者は事実の話です。そして、事実の話にできるかどうかを決めるのは、あなたがどんな成果を出してきたかを、相手が確認できるかどうかです。

つまり、給料を理由にした転職で一番大事なのは、面接での言い回しよりも先に、職務経歴書で自分の成果を数字で見せておくことなんです。売上、担当件数、改善した数字、任された範囲。これが書類にあれば、「この成果でこの待遇なら、転職を考えるのも無理はない」と、相手のほうが納得してくれます。

転職すれば給料が上がる、とは限らない

もうひとつ、知っておきたいデータがあります。厚生労働省の「令和7年雇用動向調査」で、2025年に転職した人の賃金の変化を見ると、こうなっています。

転職者の賃金の変化。増えた40.8%、変わらない25.5%、減った31.0%
転職して、前の勤め先と比べて賃金はどう変わったか

出典:令和7年雇用動向調査結果の概況(厚生労働省)

増えた人は40.8%。一方で、減った人も31.0%います。転職すれば自動的に給料が上がるわけではありません。上がる人と上がらない人を分けるのは、結局のところ、自分の経験の値打ちを、書類と面接で相手に伝えきれたかどうかだと私は考えています。

職務経歴書には、退職理由を書かなくていい

意外と知られていないのですが、職務経歴書に退職理由を書く欄は、基本的にありません。履歴書の職歴欄も、自己都合なら「一身上の都合により退職」で十分です。わざわざ「給与への不満から退職」と書く必要はありません。

職務経歴書でやるべきことは、給料の話をすることではなく、あなたの市場価値の根拠を並べておくことです。面接で給料の話になったとき、その根拠が書類にあるかどうかで、話の通り方が変わります。

気をつけたいのは、自己PRや志望動機に、給料への不満がにじんでしまうケースです。

× NG例

前職では成果を上げても評価に反映されなかったため、今後は正当に評価される環境で、自分の力を発揮したいと考えています。

ここが惜しい

  1. 「評価に反映されなかった」は、前の会社への不満として読まれます。
  2. 「正当に評価される環境」は、どの会社にも言える言葉で、応募先を選んだ理由になっていません。
  3. 何をどれだけ成果として上げたのかが書かれていないので、「正当な評価」が何を指すのかわかりません。

○ OK例

法人営業として6年間、中小企業向けの業務システムの新規開拓を担当しました。直近3年間は年間目標を連続で達成し(達成率112%・118%・121%)、2025年度は営業部40名中3位の受注額でした。今後は、成果と役割に応じて評価が決まる環境で、より大きな案件や後輩の育成にも挑戦したいと考えています。

ここが評価される

  1. 達成率や順位を数字で書いているので、実績の大きさが伝わります。
  2. 不満の言葉を使わずに、「成果と役割で評価される環境を求めている」ことが伝わります。
  3. 「より大きな案件」「後輩の育成」と、次にやりたいことまで書いているので、給料だけが目的ではないとわかります。

このOK例のように、達成率や社内順位を職務経歴書のどこに、どう書けばいいのか。営業職の記入見本では、法人営業8年目の人を想定して、実績の数字の並べ方までそのまま確認できます。

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希望年収欄はどう書く?

応募書類に希望年収を書く欄がある場合は、「現年収○○万円。貴社規定に従います」のように、現年収を正確に書いたうえで判断を委ねるのが無難です。最初から高い希望額だけを書くと、書類の段階で「条件だけで選んでいる人」と見られることがあります。具体的な交渉は、内定が見えてきてからで遅くありません。

面接では「順番」と「主語」を変える

面接で「前の会社を辞めた理由は?」と聞かれたら、嘘をつく必要はありません。変えるのは、話す順番と主語の2つだけです。

順番:過去の話は2割、これからの話を8割

退職理由の質問は、過去について聞かれているようでいて、面接官が知りたいのは「この人がうちで何をしたいのか」です。辞めた理由は短く済ませて、そこから「だから、御社でこうしたい」という話に移るのが基本です。

主語:「会社が払ってくれない」から「評価の仕組み」へ

「給料を上げてもらえなかった」と言うと、主語が会社になり、不満を言っているように聞こえます。「評価が勤続年数で決まる仕組みだった」と言えば、主語は仕組みになり、事実の説明になります。同じ内容でも、聞こえ方が大きく変わります。

× NG例

正直に言うと、給料が安かったからです。毎年がんばっても昇給は数千円で、このままでは生活も厳しいと思い、転職を決めました。

ここが惜しい

  1. 理由が給料への不満だけで終わっていて、応募先で何をしたいのかが見えません。
  2. 「がんばっても」の中身がないため、待遇が見合っていなかったのか判断できません。
  3. 面接官は「うちでも昇給に不満を持ったら辞めるのでは」と考えてしまいます。

○ OK例

前職では、評価と昇給が勤続年数を軸に決まる仕組みで、目標を3年連続で達成しても、処遇にはほとんど差がつきませんでした。成果を出すこと自体にはやりがいを感じていたので、成果と役割に応じて評価される環境で、長く腰を据えて働きたいと考えるようになりました。御社の営業職は、担当する案件の規模と成果で評価が決まると伺い、自分の経験をいちばん生かせると考えて応募しました。

ここが評価される

  1. 給料の話を「評価の仕組み」の話として、事実で説明しています。
  2. 辞めた理由は前半だけで、後半は応募先でやりたいことに移っています。
  3. 「長く腰を据えて」と添えることで、また辞めるのではという不安にも答えています。

ポイントは、どこにも嘘がないことです。給料に不満があったのは本当で、その原因が評価の仕組みにあったのも本当。本音を、相手が判断しやすい言葉に置き換えているだけです。

状況別の言い換え4パターン

給料が理由といっても、背景は人によって違います。よくある4つの状況について、面接で使える言い方の例をまとめました。どれも、事実を曲げずに伝えるための言い換えです。

① 業界全体の給与水準が低い

「介護の仕事は好きですが、業界全体として処遇の水準が低く、長く続けるには将来の見通しを持ちにくいと感じました。同じ介護の仕事でも、資格や役割に応じて処遇が上がる仕組みのある御社で、介護福祉士としての経験を生かしたいと考えています」。業界を否定せず、仕事そのものへの思いを残すのがコツです。

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② 会社の業績悪化で昇給が止まった

「業績の悪化で、2年間昇給と賞与の見送りが続きました。会社の状況は理解していましたが、今後も改善の見通しが立たなかったため、経験を生かせる場所を探すことにしました」。会社の状況という事実を、淡々と伝えれば十分です。

③ 年功序列で成果が反映されない

前のセクションのOK例のように、「評価の仕組み」の話として説明します。このパターンは、職務経歴書に実績の数字があるかどうかで説得力が大きく変わります。

④ 結婚や住宅購入など、家計の事情

「家族が増えるのを機に、将来の収入の見通しを考えるようになりました」と、そのまま伝えて構いません。生活の事情は、誰もが納得できる理由です。そのうえで、「だから、長く働ける会社を選びたい」とつなげると、定着の不安にも答えられます。

やってはいけない4つのこと

最後に、給料が理由の転職で、損をしやすい伝え方を挙げておきます。

  • 建前の理由をつくる:「家庭の事情」「新しい業界に挑戦したい」などの建前は、面接で深掘りされると話のつじつまが合わなくなります。
  • 前の会社を悪く言う:「ケチな会社だった」「経営陣が無能だった」などは、事実であっても、聞いた側には不満の多い人という印象が残ります。
  • 書類の段階で年収を前面に出す:志望動機に「年収アップのため」と書くと、仕事内容への関心が伝わりません。
  • 現年収や他社の提示額を盛る:入社手続きで源泉徴収票を出す場面もあり、食い違いは信頼を失うもとです。

年収の話は、いつ、どう切り出すか

では、肝心の年収の希望はいつ伝えればいいのか。目安は次のとおりです。

  • 応募書類:希望年収の欄があれば、現年収を正確に書き、「貴社規定に従います」とするのが基本です。どうしても下回れない額がある場合は、「○○万円以上を希望します」と根拠とともに簡潔に。
  • 面接で聞かれたとき:聞かれたら、隠さずに答えて大丈夫です。「現在は○○万円です。これまでの経験を踏まえて、○○万円程度を希望しています」と、金額とその根拠をセットで伝えます。
  • 内定後:条件の具体的なすり合わせは、内定の通知や条件提示を受けたあとが一番話しやすいタイミングです。仕事内容と評価の仕組みを確認したうえで、納得できるまで質問しましょう。

面接で年収の希望を伝えるときも、根拠になるのは職務経歴書に書いた実績です。ここでも、書類で準備しておいたものが効いてきます。

まとめ:本音は隠さず、翻訳する

給料を理由に会社を辞めるのは、いたって普通のことです。データを見ても、転職理由のトップは給料でした。

ただ、そのままの言葉で伝えると、面接官が本当に知りたい「また辞めないか」「うちで何をしたいのか」に答えられません。だから、本音を隠すのではなく、翻訳する。「安かった」を「成果と処遇が見合わなかった」に、「会社が払ってくれない」を「評価の仕組み」に置き換えて、最後はこれからやりたいことで締める。そしてその翻訳を支えるのが、職務経歴書に並べた、あなたの実績の数字です。

給料の話を堂々とできる職務経歴書を、ぜひつくってください。応援しています。

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Author

佐藤 大貴

レジュメラボ編集責任者/アースダイバー代表

佐藤 大貴

人材紹介の会社で、キャリア系メディアの編集長をしていました。転職やキャリアをテーマにした記事づくりに長く関わり、2019年にアースダイバー株式会社を立ち上げました。編集長時代、たくさんの求職者の方やキャ…

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