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部長クラスの職務経歴書|部門運営の実績の書き方と記入例・無料テンプレート

部長クラスの職務経歴書|部門運営の実績の書き方と記入例・無料テンプレート

部長クラスとして応募するとき、課長のころと同じ書き方をしてしまう人は少なくありません。「部下を育て、予算を達成してきました」と書いても、それは課長でも書ける内容です。部長の書類で問われるのは、課の成果を足し合わせた結果ではなく、その上に立って何を決めてきたかです。

採用担当が知りたいのは、部門をどの規模で預かり、どんな方針で組織と数字を動かし、課長をどう育ててきたかです。部長クラスの採用は席が少なく、書類の段階から「この人に部門を任せられるか」を見られます。

この記事では、住宅設備メーカーで3課・部員 約60名の営業部を統括し、新築向け中心の体制をリフォームにも広げてきた部長の記入例をもとに、部門運営の実績の書き方と、項目別のOK例・NG例を解説します。課長クラスとの書き方の違い、応募先・立場別の書き分け方、面接で聞かれたときの答え方も紹介します。

この記事でわかること

  • 部長クラスの職務経歴書の完成イメージ(記入例)
  • データで読む、50代前後の転職と、採用側が中途採用に求めるもの
  • 「部門運営の実績」欄を含む、項目別の書き方とOK例・NG例
  • 同じ業界の部長・事業部長・中堅企業への転職など、立場別の書き分け方
  • 部長クラスとAI:部門での使い方と情報の守り方をどう書くか
  • 面接で部門運営について聞かれたときの答え方

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部長クラスの職務経歴書の記入例

まずは完成イメージです。住宅設備メーカーに新卒で入社して27年半、課長・副部長を経て、2022年4月から首都圏営業部の部長として3課(課長3名・部員 約60名)と年間380億円の売上予算を預かっている50歳前後の人を想定しています。職務経歴の後ろに「部門運営の実績」の欄を設け、部門の方針・課長の育成・他部門との連携をまとめているのが特徴です。画像をタップすると拡大できます。

部長クラスの職務経歴書の記入例(住宅設備メーカーの営業部長、3課・部員約60名)
部長クラスの職務経歴書の記入例(A4・2枚)

この記入例と同じ形式のテンプレートを無料で用意しています。Word・Excel・PDFの3形式で、それぞれ空欄テンプレートと記入見本の2点セットです。

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データで読む:部長クラスの転職は「経験の中身」で値段が決まる。書類はその根拠になる

書き方に入る前に、部長クラスの年代の転職と、採用側の考え方を公的なデータで見ておきます。3つの資料を重ねると、見えてくることは1つです。50代前後の転職では、条件が上がる人も下がる人もいます。その差を分けるのは、採用側が最も重く見る「これまでの経験・能力・知識」です。だから職務経歴書は、部門を任せられる根拠を、数字と方法で示す書類として書く必要があります。

50代前半の転職、賃金が「増えた」は約3割、「変わらない」も約3割

厚生労働省の「令和7年雇用動向調査結果の概況」によると、2025年に転職した人のうち、前の勤め先より賃金が「増加」した人は、40〜44歳で44.9%、45〜49歳で41.1%でした。50〜54歳では29.4%で、「変わらない」が26.7%、「減少」が42.0%です。

転職入職者の賃金変動。50〜54歳は増加29.4%、減少42.0%
言いたいこと:50代前半の転職では、賃金が増える人と減る人に分かれる(厚生労働省、2025年)

出典:令和7年雇用動向調査結果の概況(厚生労働省) 表6

この数字は役職を問わないすべての転職者のもので、部長クラスの転職だけを表すものではありません。それでも、50代前半では、賃金が上がる転職と下がる転職の両方が珍しくないことがわかります。

編集部の読みでは、同じ年代でも条件に差が出るのは、応募先が「この人に何を任せられるか」を見て処遇を決めるからです。部長クラスの書類では、役職名や在籍年数ではなく、任せられる仕事の大きさが伝わるかどうかが、そのまま評価につながります。

中途採用の賃金を決めるとき、最も考慮されるのは「経験・能力・知識」

厚生労働省の「令和7(2025)年転職者実態調査の概況」で、転職者の賃金を決める際に考慮した要素(複数回答)を見ると、「これまでの経験・能力・知識」が59.2%と最も多く、次いで「年齢」35.3%、「賃金の世間相場」34.2%でした。1,000人以上の事業所では「これまでの経験・能力・知識」が85.2%にのぼります。

転職者の賃金決定の際に考慮した要素。これまでの経験・能力・知識が事業所計59.2%、1,000人以上85.2%
言いたいこと:中途採用の賃金は「経験・能力・知識」で決まる(厚生労働省、2025年)

出典:令和7(2025)年転職者実態調査の概況(厚生労働省) 表5

1,000人以上の事業所では「前職の賃金」も48.1%と、事業所計の27.0%より高くなっています。大きな会社ほど、前の会社でどんな立場で、どれだけの仕事をしていたかを確かめたうえで条件を決めています。

その「経験・能力・知識」を最初に伝えるのが職務経歴書です。記入例が所属の欄に「部長(3課を統括。課長3名・部員 約60名)」と書き、担当の欄に「部の売上予算と販促予算(年 約4.2億円)の配分、課長3名の評価、経営会議での月次報告」と権限の範囲まで書いているのは、処遇を決める材料を採用担当に渡すためです。

大きな事業所ほど、中途採用に「組織の活性化」「新規事業」を求めている

同じ調査で、転職者の採用に当たり重視した事項(複数回答)を見ると、事業所計では「人員構成の歪みの是正」が48.3%と最も多く、「既存事業の拡大・強化」が39.5%でした。1,000人以上の事業所では「既存事業の拡大・強化」が69.5%、「組織の活性化」が49.8%、「新規事業分野への進出」が29.8%と、事業所計よりそれぞれ大きく高くなっています。

転職者の採用に当たり重視した事項。1,000人以上の事業所では既存事業の拡大・強化69.5%、組織の活性化49.8%、新規事業分野への進出29.8%
言いたいこと:大きな事業所ほど、中途採用に組織と事業を変える役割を求める(厚生労働省、2025年)

出典:令和7(2025)年転職者実態調査の概況(厚生労働省) 表3

これも役職を問わない採用全体の数字です。編集部の読みでは、外から人を迎えて組織や事業を変えたい会社にとって、その中心を担うのが部長クラスです。だから部長クラスの書類では、「既存の組織をうまく回した」ことに加えて、組織や事業の形を変えた経験を書くと、採用側の期待に応えられます。記入例の「2023年4月にリフォーム流通課を新設して3課体制に再編」は、まさにその経験です。

まとめると、部長クラスの職務経歴書では、部門の規模と権限、部門として変えたことと、その結果の数字を書けるかで差がつきます。次は、採用担当が書類のどこを見ているかを確認します。

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採用担当が部長クラスの応募者で確認している3つのこと

採用担当が確かめる3つのこと:部門の規模と権限、方針と事業の数字、課長の育成と他部門との連携
この章のまとめ:採用担当が確かめる3つのこと

こうした変化と採用の現場でよく見られる傾向を踏まえると、部長クラスの採用担当は、書類から次の3つを確認しています。

  1. 部門をどの規模で、どこまでの権限で預かっていたか統括した課の数、課長の人数、部員数、予算の規模。加えて、予算の配分・課長の評価・経営への報告など、部長としての権限の範囲。同じ「部長」でも会社によって任される範囲が大きく違うため、数字で確かめます。
  2. 部門の方針を立て、事業の数字を動かしてきたか部長に求められるのは、課の成果を足し合わせることではなく、部門の進む方向を決めることです。市場の変化をどう読み、組織・人員・予算をどう変え、売上や利益がどう変わったかを見ています。
  3. 課長を育て、他部門を動かせるか課長への任せ方、次の管理職の育て方、商品開発・物流・管理部門など社内の他部門との連携。部長は自分の部の外とも仕事をするため、組織の内と外の両方を動かした経験を重く見ます。

課長クラスの書類では「部下の人数・課の予算・育成」が中心になります。部長クラスでは、その一段上の「方針・組織の形・課長の育成・部の外との連携」が問われます。同じ管理職でも、書く中身の重心が変わることを意識しましょう。

項目別の書き方:OK例とNG例の違い

ここからは項目ごとに、NG例とOK例を並べて解説します。OK例は記入例からの引用です。部長クラスの書類で特に差がつくのは、職務経歴の権限の書き方と、「部門運営の実績」の欄です。

職務要約:部長の期間・課の数・部員数・予算と、部門の成果を数字で示す

職務要約では、部長になった時期に加えて、課の数・課長の人数・部員数・予算をそろえます。課長クラスの書類と見分けがつくように、部門として変えたことも1文入れましょう。

× NG例

住宅設備メーカーで27年間営業に従事し、現在は営業部長として部をまとめています。部下の育成に力を入れ、強い組織づくりで業績の向上に貢献してきました。これまでの経験を活かし、貴社の発展に貢献したいと考えています。

ここが惜しい

  1. 課の数も部員数も予算もなく、どの規模の部門を預かっていたのかがわかりません。
  2. 「強い組織づくり」「業績の向上に貢献」は、課長の書類と見分けがつきません。
  3. 部長になった時期と、部門として何を変えたのかが書かれていません。

○ OK例

住宅設備メーカーの株式会社サンプル住設機器で27年半、住宅会社・リフォーム会社向けの営業に携わってきました。2022年4月からは首都圏営業部の部長として3課(課長3名・部員 約60名)を統括し、部の売上予算 年380億円を管理しています。新築向け中心の体制をリフォームにも広げる再編を進め、2025年度は達成率104%、リフォーム向けの売上比率は32%から45%になりました。(中略)

ここが評価される

  1. 部長になった時期・課の数・課長の人数・部員数・予算がそろい、預かっていた部門の大きさが一目でわかります。
  2. 「再編を進め」と部門として変えたことを書き、課長との違いがはっきりしています。
  3. 達成率に加えて売上の構成の変化を示し、方針の結果が伝わります。

課長クラスの書き方との違い

課長クラスの職務要約は「部下の人数・予算・課の成果」が中心です。部長クラスでは、それに加えて「部門として何を変えたか(方針・再編)」を1文入れると、ひとつ上の立場の経験として伝わります。

職務経歴(部長の期間):権限・部全体の数字・部門として変えたことを分けて書く

職務経歴は、部長クラスの書類でいちばん重要な項目です。下の画像の3つのポイントを押さえると、同じ経験でも伝わり方が大きく変わります。

部長クラスの職務経歴と部門運営の実績の書き方のポイント
職務経歴と「部門運営の実績」の書き方のポイント

× NG例

2022年4月〜現在 首都圏営業部 部長

3課を統括し、各課の予算達成を管理。課長への指導を行い、部の売上目標を毎年おおむね達成。重要顧客には自ら訪問し、関係を強化。

ここが惜しい

  1. 課長の人数・部員数・予算の額がなく、部門の規模がわかりません。
  2. 「各課の予算達成を管理」では、課長の仕事を上から見ていただけのように読まれます。
  3. 部門の方針や組織の変更が書かれておらず、部長として何を決めてきたのかが伝わりません。

○ OK例

首都圏営業部 部長(3課を統括。課長3名・部員 約60名)

【担当】首都圏の住宅会社・工務店・リフォーム会社・建材流通 約1,200社への販売を統括。部の売上予算と販促予算(年 約4.2億円)の配分、課長3名の評価、経営会議での月次報告

【部の実績】

2022年度:予算 352億円/実績 344億円(達成率98%)。新築着工の減少で未達

(中略)

2025年度:予算 380億円/実績 395億円(達成率104%)、部の粗利率 26.0%→27.5%(2022→2025年度)

ここが評価される

  1. 予算の配分・課長の評価・経営会議への報告と、部長としての権限の範囲を具体的に書いています。
  2. 部全体の予算と実績を年度ごとに並べ、粗利率も添えて、売上だけでなく利益に責任を持ってきたことが伝わります。
  3. 未達の年も理由とともに書き、その後の立て直しにつなげています。

部長の権限は、会社によって大きく違います。予算を配分できるのか、課長の評価をするのか、経営会議に出るのか。データの章で見たとおり、大きな会社ほど前の会社での立場と仕事の大きさを確かめて処遇を決めます。【担当】の行に権限を具体的に書くと、採用担当が自社の部長職と比べやすくなります。

部の実績は、売上の予算と実績に加えて、粗利率や利益も添えます。記入例の「部の粗利率 26.0%→27.5%」のように、売上の規模だけでなく利益に責任を持ってきたことが伝わると、事業を任せられる人だと判断されやすくなります。

課長以前の経歴は1〜2行にまとめる

部長クラスで応募する場合、課長以前の経歴は短くまとめ、部長・副部長の期間に紙面を使います。記入例では、入社から課長までの19年を1行にまとめています。

部門運営の実績:方針・課長の育成・他部門との連携を、結果の数字とセットで書く

部長クラスの書類では、職務経歴の後ろに「部門運営の実績」の欄を設けるのがおすすめです。売上などの数字は職務経歴に、部長として決めたこと・任せたこと・つないだことはこの欄に書き分けると、同じ話の繰り返しを防げます。

× NG例

■部門運営の実績

部の一体感を大切にし、課の垣根を越えて協力し合う風土をつくってきました。課長とは密にコミュニケーションをとり、信頼関係を築いています。

ここが惜しい

  1. 考え方や心がけだけで、部長として何を決め、何を変えたのかがわかりません。
  2. 課長の育成や他部門との連携の結果が書かれておらず、成果を判断できません。
  3. 課長の書類にも書ける内容で、部長としての経験が伝わりません。

○ OK例

【部門の方針】住宅着工の減少を受け、2023年度から「リフォームを第2の柱に」を部の方針とし、課の再編・人員の配置・販促予算の配分を見直しました。

【課長の育成と権限の委譲】週1回の課長会議で方針をそろえ、案件の判断と課員の一次評価を課長に任せました。課長候補4名に育成計画を立て、2名が課長に昇格しています(2024年・2025年)。

(中略)

ここが評価される

  1. 市場の変化から方針を決め、組織・人員・予算をどう変えたかがつながっています。
  2. 課長に任せた範囲と、管理職候補が育った結果が具体的です。
  3. 見出しで分けて書き、部長として担ってきた仕事の全体像がわかります。

【部門の方針】は、「何を見て、何を決め、何を変えたか」の順に書きます。記入例では「住宅着工の減少」という変化を受けて「リフォームを第2の柱に」と方針を決め、課の再編・人員の配置・販促予算の配分を変えています。データの章で見たとおり、採用側は組織や事業を変える役割を中途採用に期待しています。方針から組織の変更までがつながっていると、その期待に応えられる人だと伝わります。

【課長の育成と権限の委譲】は、課長クラスの「部下の育成」とは中身が違います。育てる相手は課長と課長候補で、成果は管理職に昇格した人数で示せます。記入例の「課長候補4名に育成計画を立て、2名が課長に昇格」がその例です。

他部門との連携は、結果まで書く

記入例では、商品開発部と企画した商品の売上(2025年度 約18億円)や、物流部と見直した納期の回答(平均5日から2日)を書いています。部の外を動かした経験は、部長クラスならではの実績です。

活かせる経験・知識・スキル:部門運営・管理職の育成・他部門との連携を、規模とともに書く

職務経歴の中から、応募先で使える経験を3つに絞って箇条書きにします。「マネジメント」「戦略立案」といった言葉だけでは、課長クラスの応募者と区別がつきません。

× NG例

・部門マネジメント

・戦略立案

・人材育成

・営業の経験

ここが惜しい

  1. 言葉を並べただけで、どの規模・どの期間の経験なのかがわかりません。
  2. 課長の応募者でも書ける内容で、部長としての経験の違いが伝わりません。

○ OK例

部門の方針づくりと予算の配分(3課・部員 約60名、売上予算 年380億円)

課長への権限の委譲と、管理職候補の計画的な育成

商品開発・物流など他部門を巻き込んだ、販売の仕組みの改善

ここが評価される

  1. 部門の規模を添えて、方針と予算の配分という部長の仕事を書いています。
  2. 「人材育成」ではなく「課長への委譲と管理職候補の育成」と、育てる相手と方法が具体的です。
  3. 他部門との連携を入れ、部の外を動かせることを示しています。

自己PR:部門の方針で成果を上げた経験と、管理職を育てた経験を1つずつ

自己PRは「課題 → 決めた方針と変えたこと → 結果の数字」の順に書きます。部長クラスの自己PRで避けたいのは、自分が現場で売った話を中心にすることです。採用担当が知りたいのは、自分がいなくても成果が出る部門をつくれるかです。

× NG例

私の強みは、現場を大切にすることです。部長になってからも課員と同行し、大口の商談には自ら出向いてまとめてきました。部下からも頼られる存在です。

ここが惜しい

  1. 現場の話が中心で、部門の方向を決める力が伝わりません。
  2. 自分で商談をまとめる話は、課長に任せられない人ではないかと心配されるおそれがあります。
  3. 結果の数字がなく、強みが成果につながったのかを判断できません。

○ OK例

市場の変化を読み、部門の方針を変えて成果を出す力

部長に就いた2022年度は、新築着工の減少で部の予算が未達でした。新築向けに偏っていた体制を見直し、リフォーム流通課の新設と販促予算の配分の変更を進めました。リフォーム向けの売上比率は45%になり、2023年度から3期連続で予算を達成しています。

ここが評価される

  1. 市場の変化という課題と、部長として決めた方針・組織の変更が具体的です。
  2. 未達の年からの立て直しを書き、厳しい状況での判断が伝わります。
  3. 売上比率と予算の達成という結果の数字で締めています。

2つ目は、任せて育てる強みを

記入例では、2つ目の強みに「課長に任せ、次の管理職を育てる力」を書き、課長候補4名のうち2名が昇格したことを示しています。部門の成果を上げる力と、組織を次につなげる力を1つずつ書くと、部長としての全体像が伝わります。

部長クラスの職務経歴書の記入見本つきテンプレート

応募先・立場別:部長クラスの職務経歴書の書き分け方

応募先・立場ごとに前に出すこと:同じ業界の部長へ、事業部長・本部長へ、大手から中堅・中小企業へ、副部長から初めて部長へ
この章のまとめ:応募先・立場ごとに前に出すこと

部長クラスの転職は、応募先の規模や求められる役割によって、前に出すことが変わります。どの場合も共通するのは、「課長の成果の合計」ではなく、部門として変えたことを書くことです。

応募先・立場採用担当が気にすること書くべきこと
同じ業界・同じ職種の部長へ自社の部門と同じ規模・権限で動けるか部門の規模と権限、年度ごとの部の実績、再編などの方針
事業部長・本部長など、一つ上の役割へ利益と投資の判断ができるか、複数の部門をまとめられるか部門の利益、投資や予算配分の判断、他部門をまたいだ取り組み
大手から中堅・中小企業の部長へ仕組みがない環境でも、自分で動けるか仕組みを自分でつくった経験、現場にも入れること
副部長・部長代理から初めて部長へ部長として判断を任せられるか部長の代わりに判断した範囲と、その結果

同じ業界・同じ職種の部長へ

いちばん多いのが、同じ業界・同じ職種の部長への転職です。採用担当は、自社の部門と同じ規模・同じ権限で動けるかを確かめます。

職務経歴書に書きたいこと

  • 統括した課の数、課長の人数、部員数
  • 部全体の予算と実績、粗利率などの利益の数字(年度ごと)
  • 部門の方針と、組織・人員・予算の変え方

記入例

【担当】首都圏の住宅会社・工務店・リフォーム会社・建材流通 約1,200社への販売を統括。部の売上予算と販促予算(年 約4.2億円)の配分、課長3名の評価、経営会議での月次報告

ポイント

  1. 記入例の書き方です。取引先の規模と、予算の配分・評価・経営への報告という権限がそろい、自社の部長職と比べやすくなっています。

よくある落とし穴は、業界の用語や社内の呼び方のまま書くケースです。同じ業界でも、課や部の呼び方、予算の単位は会社によって違います。人数と金額で書けば、誤解なく伝わります。

事業部長・本部長など、一つ上の役割へ

部長から事業部長や本部長への転職では、売上だけでなく、利益と投資の判断が問われます。複数の部門をまとめる立場になるため、部の外と進めた仕事の重みも増します。

職務経歴書に書きたいこと

  • 部門の利益(粗利・営業利益)と、その改善のために判断したこと
  • 投資・予算配分・価格など、事業の数字を左右した判断
  • 商品開発・物流・管理部門など、他部門をまたいで進めた取り組み

記入例

【他部門との連携】商品開発部と工務店向けの省エネ改修セットを企画(2024年発売、2025年度 売上 約18億円)。物流部と受注の流れを見直し、納期の回答を平均5日から2日に短縮しました。

ポイント

  1. 記入例の書き方です。自分の部の外を動かして、売上とお客様への対応の両方を変えたことが伝わります。

よくある落とし穴は、営業部長としての売上の話だけで終わるケースです。利益や、他部門との連携で事業全体に効いたことを書きましょう。

大手から中堅・中小企業の部長へ

大きな会社から中堅・中小企業の部長に移る場合、採用担当は「仕組みが整っていない環境でも動けるか」を気にします。部下の人数が前の会社より少なくなることも多く、自分で手を動かす場面も増えます。

職務経歴書に書きたいこと

  • 管理の仕組みやルールを、自分でつくった経験
  • 少ない人数で成果を出した経験や、現場に入って動いた経験
  • 応募先の規模に合わせて、何から始めるか

記入例

※記入例とは別の架空例です

【取り組み】部の予算・実績を課ごとに見る仕組みがなかったため、Excelで管理表を作成し、週1回の会議で課長と確認する運用を自ら立ち上げ(2023年)

ポイント

  1. 仕組みを人任せにせず、自分でつくって定着させたことが伝わり、整っていない環境でも動ける人だと判断されやすくなります。

よくある落とし穴は、前の会社の大きな数字だけを並べるケースです。規模が違う会社では、そのまま再現できるかが見えにくくなります。仕組みのつくり方や、自分で動いた場面を添えましょう。

副部長・部長代理から初めて部長へ

部長の経験がない場合は、部長の代わりに判断を任された範囲を書きます。採用担当は、部長として判断を任せられるかを見ています。

職務経歴書に書きたいこと

  • 部長を補佐して担当した課の数と人数
  • 任された予算や人員配置の判断と、その結果
  • 部長の不在時に代わりに担った役割(会議の運営、経営への報告など)

記入例

【担当】部長を補佐し、名古屋・静岡の2課の予算と人員配置を担当。2021年度 部の売上 約210億円(予算比101%)

【取り組み】静岡の課で工務店向けの勉強会を年12回開催し、新規取引先を3年で約40社増加

ポイント

  1. 記入例の副部長の時代の書き方です。任された範囲と、その中で自分が決めて進めたことと結果がわかります。

よくある落とし穴は、「部長を補佐」とだけ書くケースです。補佐の中で、どこまでを自分の判断で進めたのかを具体的に書きましょう。

部長クラスとAI:部門での使い方と、情報の守り方をどう書くか

部長クラスがAIの経験を職務経歴書に書くときの3つのこと:部門での使い方を決めた、情報の守り方を決めた、効果を確かめた
この章のまとめ:部長クラスのAIの経験、書くときの3つのこと

最初にお伝えしたいのは、AIの使い方や、AIの経験を求める度合いは、応募先によって大きく違うということです。IPA(情報処理推進機構)の「DX動向2026」では、AIを導入している企業は従業員1,001人以上で8割近くにのぼる一方、101人以下では16.6%でした。

AIを使った経験がないからといって、書類選考で不利になると考える必要はありません。求人票に「生成AI」「DX」などの言葉があるかを確認し、記載があれば具体的に、なければ1行添える程度で十分です。

部長クラスに問われるのは「部門でどう使うか」

パーソルキャリアの「企業のAI活用実態と人材戦略に関する調査」では、AIを導入・活用している従業員501人以上の企業の人事・採用担当者のうち、67.2%が「AIスキルのレベルを定義している」と答えています。また72.4%が「AIを使いこなす社員とそうでない社員の差が見られる」と答えました。これは社員の評価に関する調査で、中途採用の基準を示すものではありません。

編集部の読みでは、社員の間に差が出ている会社では、部長クラスに「部門全体でどう使うか」を決める役割が求められます。課長クラスなら「自分やチームが使った経験」で十分なところ、部長クラスでは、使う業務と使わない業務を決め、ルールをつくり、効果を確かめた経験が評価されます。

書き方:決めたこと・守ったこと・確かめたことを書く

× NG例

部門のDXを推進し、生成AIの全面活用で業務を効率化しました。

ここが惜しい

  1. 何を決め、どの業務に使ったのかがわかりません。
  2. 情報の扱いのルールが書かれておらず、部門の情報管理を任せられるか判断できません。
  3. 「全面活用」は面接で具体的に聞かれたときに説明しにくく、盛った印象を与えるおそれがあります。

○ OK例

生成AI:部内の利用ルールを情報システム部と作成(2025年)。顧客情報は入力しない運用を徹底

ここが評価される

  1. 「部内の利用ルールを作成」と、部長として決めたことが具体的です。
  2. 情報システム部と作成したと書き、会社のルールに沿って進めたことがわかります。
  3. 「顧客情報は入力しない運用を徹底」と、情報の守り方まで書いています。

効果を測っていれば、「提案書の作成時間 1件 約3時間→約1.5時間(部内の5名で試行)」のように、範囲と前後の数字を添えます。測っていなければ、数字を作らずに、決めたことと守ったことだけを書きましょう。

部門の情報、とくに人事の情報の扱い

部長は、取引先の情報に加えて、部員の評価や異動などの人事の情報を扱います。パーソルキャリアの同じ調査の第1弾でも、AI推進の懸念として「個人情報・機密情報の取り扱い」が挙がっています。AIの経験を書くときは、どの情報を入力しないと決めたかを添えると、安心して部門を任せられる人だと伝わります。

AIを使っていない・禁止の職場だった人は

情報管理の考え方から、生成AIの利用を制限している会社は少なくありません。ルールを守って部門を運営してきたことは、部長として大切な姿勢です。代わりに、道具や仕組みで部門の働き方を変えた経験を書きましょう。記入例の「部の予算・実績と粗利のダッシュボードを設計し、課長会議で毎週確認」のように、数字を見える形にして判断の速さを変えた経験は、AIと同じく仕事のやり方を変える力を示します。

面接で部門運営について聞かれたときの答え方

部門運営について聞かれたときに話す順番:部門の規模と権限、読んだ変化と決めた方針、組織をどう変えたか、結果と応募先での再現
この章のまとめ:部門運営について聞かれたら、この順番で具体的に

部長クラスの面接では、職務経歴書に書いた内容を深く聞かれます。書類と同じ数字を使い、「規模 → 方針 → 組織の変更 → 結果」の順に話すと、一貫した説明になります。よく聞かれる質問と、答え方の例を紹介します。

「部長として、いちばん大きな決断は何でしたか」

方針を変えた決断を、背景と結果とともに話します。
例:「新築着工の減少で、就任1年目は予算が未達でした。新築向けに偏っていた体制を見直し、リフォーム流通課を新設して人員と販促予算を移しました。リフォーム向けの売上比率は32%から45%になり、翌年度から予算を達成しています」
迷った点や、反対意見にどう向き合ったかも添えると、判断の過程が伝わります。

「課長とはどのように役割を分けていましたか」

課長に任せたことと、自分が担ったことを分けて話します。
例:「案件の判断と課員の一次評価は課長に任せ、私は部の方針と、商品開発部・物流部など他部門との調整に時間を使いました」
課長の育成の結果として、昇格した人数も伝えましょう。

「当社では、前の会社ほど部下はいませんが、大丈夫ですか」

規模ではなく、やり方で貢献できることを話します。
例:「人数が少ない分、まず数字を見える形にして、課長と一緒に優先順位を決めるところから始めます。必要な場面では私も取引先に出向きます」
前の会社の規模を強調しすぎず、応募先の状況に合わせて動けることを伝えます。

「なぜ今の会社で上を目指さず、転職するのですか」

今の会社への不満ではなく、応募先でやりたいことを中心に話します。
例:「部門の再編で成果を出せたので、次は事業全体の方向づけから関われる立場で力を試したいと考えました。御社の○○事業で、その経験を活かせると考えています」
職務要約の最後の1文と、話す内容をそろえておきましょう。

履歴書の学歴欄、入学・卒業の年で迷ったら

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提出前のチェックリスト

提出前に確かめる7つのこと
この章のまとめ:提出前に確かめる7つのこと

書き終えたら、提出前に次の項目を確認しましょう。

  • 職務要約に、部長の時期・課の数・課長の人数・部員数・予算・部門の成果が入っている
  • 所属の欄に、統括した課の数と、課長・部員の人数を書いている
  • 予算の配分・課長の評価・経営への報告など、部長としての権限を書いている
  • 部全体の予算と実績を年度ごとに書き、粗利や利益率も添えている
  • 部門の方針と、組織・人員・予算をどう変えたかを、結果とセットで書いている
  • 課長への任せ方と、管理職候補の育成の結果を書いている
  • 課長以前の経歴は短くまとめ、部長・副部長の期間に紙面を使っている

最後に、職務要約・職務経歴・部門運営の実績・自己PRで同じ数字(部員数、予算、達成率、売上比率など)を使っている箇所を読み合わせ、食い違いがないか、達成率の計算が合っているかを確かめましょう。

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よくある質問

部長の期間が1〜2年と短いのですが、部長クラスとして応募できますか?

応募できます。期間が短くても、預かった部門の規模と、その間に決めた方針・変えたことを具体的に書けば評価の材料になります。副部長や部長代理として判断を任された経験があれば、あわせて書きましょう。

課長時代の実績は、どのくらい書けばいいですか?

部長クラスとして応募する場合、課長以前の経歴は1〜2行にまとめ、部長・副部長の期間に紙面を使います。課長時代に、のちの部門運営につながる大きな成果があれば、1行で添えましょう。

部の売上や利益の数字を、社外に出してよいかわかりません。

社内の規程で禁じられている数字は書きません。金額を出しにくい場合は、達成率・前年比・構成比の変化など、率で書けば成果の大きさは伝わります。上場企業で公表済みの数字なら、その範囲で書けます。

今の会社の「部長」と、応募先の「部長」の役割が違うようです。

職務経歴書には今の会社の正式な役職名を書き、課の数・部員数・予算・権限を数字で添えます。役職名が同じでも任される範囲は会社によって違うため、中身で伝えるのが確実です。

AIを使った経験がないと、部長クラスの転職で不利になりますか?

AIの活用をどの程度求めるかは応募先によって大きく違い、経験がないことだけで不利になるとは限りません。求人票にAIやDXの記載がある場合は、管理の仕組みを整えて部門の働き方を変えた経験を具体的に書きましょう。

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Author

佐藤 大貴

レジュメラボ編集責任者/アースダイバー代表

佐藤 大貴

人材紹介の会社で、キャリア系メディアの編集長をしていました。転職やキャリアをテーマにした記事づくりに長く関わり、2019年にアースダイバー株式会社を立ち上げました。編集長時代、たくさんの求職者の方やキャ…

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