Guides

書き方ガイド

役員・執行役員クラスの職務経歴書|経営に関わる実績の書き方と記入例・無料テンプレート

役員・執行役員クラスの職務経歴書|経営に関わる実績の書き方と記入例・無料テンプレート

役員・執行役員クラスとして応募するとき、職務経歴書に何を書けばよいか迷う人は多いはずです。「経営陣の一員として会社の成長に貢献しました」と書いても、それだけではどの範囲に責任を持ち、何を決めてきたのかが伝わりません。執行役員・本部長・取締役といった肩書きの意味も、会社によって大きく違います。

採用担当や経営陣が知りたいのは、どの範囲の経営責任を担い、全社の数字や課題にどう関わり、誰にどう説明してきたかです。役員クラスの採用では、書類は社長や取締役、ときには社外取締役も読みます。肩書きではなく、経営の中で果たした役割を中身で示すことが大切です。

この記事では、BtoBサービス会社(従業員 約800名)で執行役員 経営管理本部長として経理・人事・総務・情報システムを統括し、上場準備の責任者も務めた人の記入例をもとに、経営に関わる実績の書き方と、項目別のOK例・NG例を解説します。部長クラスとの違い、応募先・立場別の書き分け方、面接で聞かれたときの答え方も紹介します。

この記事でわかること

  • 役員・執行役員クラスの職務経歴書の完成イメージ(記入例)
  • データで読む、取締役会と経営に求められる説明の責任のいま
  • 「経営に関わる実績」欄を含む、項目別の書き方とOK例・NG例
  • 執行役員・取締役・初めての役員・非上場企業への転職など、立場別の書き分け方
  • 役員クラスとAI:全社の方針とリスク管理をどう書くか
  • 面接で経営の経験について聞かれたときの答え方

無料テンプレート

役員・執行役員クラスの職務経歴書、記入見本つきのテンプレートがあります

この記事の記入例と同じ形式で、Word・Excel・PDFの3形式。空欄のテンプレートと記入見本がセットになっています。

役員・執行役員クラスの職務経歴書の記入例

まずは完成イメージです。精密機器メーカーで経理・経営企画を17年経験した後、業務受託の会社に移って経理部長・経営管理本部長を務め、2022年4月から執行役員 経営管理本部長として4部(本部員 約70名)を統括している50代前半の人を想定しています。2023年3月の東証スタンダード市場への上場では、準備の責任者を務めました。職務経歴の後ろに「経営に関わる実績」の欄を設け、経営計画・上場と統治・人と組織をまとめているのが特徴です。画像をタップすると拡大できます。

役員・執行役員クラスの職務経歴書の記入例(BtoBサービス会社の執行役員 経営管理本部長)
役員・執行役員クラスの職務経歴書の記入例(A4・2枚)

この記入例と同じ形式のテンプレートを無料で用意しています。Word・Excel・PDFの3形式で、それぞれ空欄テンプレートと記入見本の2点セットです。

役員・執行役員クラスの職務経歴書を、質問に答えるだけで無料作成できる「レジュメラボ AI職務経歴書メーカー」の案内

記入例をもとに、あなたの経歴で役員・執行役員クラスの職務経歴書を作る(AI職務経歴書メーカー・無料)

ツールで聞かれる質問や記入見本は、役員・執行役員クラスの職務経歴書をAIで作成するページで先に確かめられます。

データで読む:取締役会に社外の目が入り、経営には説明の責任。役員クラスの書類は「何を決め、どう説明したか」

書き方に入る前に、役員クラスが働く経営の場がどう変わっているかを、東京証券取引所の公表資料で見ておきます。3つの資料を重ねると、見えてくることは1つです。上場会社の取締役会には社外の目が当たり前に入り、経営には資本の使い方まで説明する責任が求められています。だから役員クラスの書類では、何を決め、誰にどう説明してきたかが問われます。

スタンダード市場でも6割超が、独立社外取締役を3分の1以上に

東京証券取引所の「東証上場会社における独立社外取締役の選任状況及び指名委員会・報酬委員会の設置状況」によると、2026年7月14日時点で、独立社外取締役を取締役の3分の1以上選んでいる会社は、プライム市場で98.8%、スタンダード市場で62.3%、グロース市場で68.4%でした。スタンダード市場は前年より3.0ポイント増えています。

市場区分別の取締役会の状況。独立社外取締役が3分の1以上:プライム98.8%、スタンダード62.3%、グロース68.4%
言いたいこと:スタンダード市場でも6割超が独立社外取締役を3分の1以上に(東京証券取引所、2026年7月)

出典:東証上場会社における独立社外取締役の選任状況及び指名委員会・報酬委員会の設置状況(東京証券取引所)(2026年7月21日公表)

任意の指名委員会(役員の選任を話し合う委員会)を設けている会社も、プライム市場で87.2%、スタンダード市場で47.8%ありました。役員の顔ぶれを決める場にも、社外の目が入り始めています。

編集部の読みでは、社外取締役は社内の事情を知らない立場で、経営の判断の根拠を確かめます。そこで執行の責任者に求められるのは、社外の人にも伝わる言葉と数字で説明する力です。記入例の「上場後は社外取締役への事前説明を毎月行い、取締役会で議論の時間を確保」は、この力を具体的な行動で示した例です。

プライム市場では、独立社外取締役が過半数の会社が約3割に

同じ資料で、プライム市場の会社を見ると、独立社外取締役が2名以上の会社は99.7%、3分の1以上は98.8%で、ほぼすべての会社に広がっています。さらに過半数を独立社外取締役が占める会社は29.9%で、前年より3.7ポイント増えました。

プライム市場の上場会社。独立社外取締役が2名以上99.7%、3分の1以上98.8%、過半数29.9%
言いたいこと:プライム市場では独立社外取締役が過半数の会社が約3割に(東京証券取引所、2026年7月)

出典:東証上場会社における独立社外取締役の選任状況及び指名委員会・報酬委員会の設置状況(東京証券取引所)(2026年7月21日公表)

社外取締役が過半数の取締役会では、取締役会は「業務を自ら執行する場」より「執行を監督する場」としての性格が強くなります。編集部の読みでは、こうした会社ほど、監督を受ける側である執行役員の役割が重くなります。執行役員として応募する人は、取締役会に何を報告し、どんな判断を仰いできたかを書いておくと、応募先の経営の仕組みの中で動ける人だと伝わります。記入例が【担当】に「取締役会・経営会議への月次の業績報告」と書いているのはそのためです。

「資本コストや株価を意識した経営」、スタンダード市場の開示は55%

東京証券取引所の「『資本コストや株価を意識した経営』に関する4年目の現状と今後の取組みについて」によると、2025年9月〜2026年8月に、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応を開示している会社は、プライム市場で94%、スタンダード市場で55%でした。スタンダード市場では43%がまだ開示していません。

資本コストや株価を意識した経営の開示状況。プライム市場94%、スタンダード市場55%、スタンダード市場の未開示43%
言いたいこと:スタンダード市場では、資本の使い方を説明する取り組みが途中(東京証券取引所、2026年10月公表)

出典:「資本コストや株価を意識した経営」に関する4年目の現状と今後の取組みについて(東京証券取引所)(2026年10月14日公表)

資本コストとは、株主や金融機関から集めたお金に対して、会社が期待されている利回りのことです。編集部の読みでは、とくにスタンダード市場の会社では、こうした説明をこれから整える会社も多く、経営計画と数字を結びつけて説明できる人が求められます。記入例の「事業別の採算と投資の計画をまとめ、2024年3月に取締役会で承認」のように、計画を数字でまとめて承認まで導いた経験は、その素地になります。

なお、ここで見たのは上場会社のデータです。非上場の会社やオーナー企業では、説明する相手は社長や株主、金融機関になります。説明の相手は違っても、「何を決め、誰にどう説明してきたか」を書くという考え方は同じです。

まとめると、役員クラスの職務経歴書では、管掌範囲と報告先、全社の数字と、自分が決めて進めたことの関係を書けるかで差がつきます。次は、採用担当や経営陣が書類のどこを見ているかを確認します。

役員・執行役員クラスの職務経歴書テンプレートを無料でダウンロード

採用担当が役員・執行役員クラスの応募者で確認している3つのこと

採用担当が確かめる3つのこと:経営責任の範囲、全社の数字と経営課題への関わり、組織と統治をつくる力
この章のまとめ:採用担当が確かめる3つのこと

こうした変化と採用の現場でよく見られる傾向を踏まえると、役員クラスの採用では、書類から次の3つが確認されます。

  1. どの範囲の経営責任を担い、誰に何を報告してきたか管掌した部門と人数、予算の規模に加えて、取締役会・経営会議への報告や経営計画への関わり。執行役員・本部長などの肩書きは会社によって意味が大きく違うため、経営の中での役割を中身で確かめます。
  2. 全社の数字と経営課題に、どう関わってきたか売上高・利益率など会社全体の数字と、自分が決めて進めたことの関係。上場・経営計画・大きな投資など、会社の方向を左右した場面で何を担ったかを見ています。
  3. 経営チームの一員として、組織と統治をつくれるか内部統制や取締役会の運営、社外取締役への説明、後任や管理職の育成。役員クラスには、自分の部門を超えて会社の土台をつくり、次の世代につなぐ役割が求められます。

部長クラスの書類では「自分の部門の規模・方針・成果」が中心になります。役員クラスでは、その一段上の「会社全体への関わり・報告と説明・統治と次の世代」が問われます。同じ管理職の延長でも、書く範囲が自分の部門から会社全体に広がることを意識しましょう。

項目別の書き方:OK例とNG例の違い

ここからは項目ごとに、NG例とOK例を並べて解説します。OK例は記入例からの引用です。役員クラスの書類で特に差がつくのは、職務経歴での全社の数字の扱い方と、「経営に関わる実績」の欄です。

職務要約:経験の流れ・管掌範囲・報告先と、会社全体に関わった実績を示す

職務要約では、役員としての期間と管掌範囲・報告先を書き、会社全体に関わった実績を1つ添えます。読む人は社長や取締役のこともあるため、短く、具体的に書きましょう。

× NG例

上場企業の執行役員として、管理部門全般を統括してまいりました。経営陣の一員として会社の成長に大きく貢献し、上場も実現しました。豊富な経営経験を活かし、貴社の企業価値向上に貢献いたします。

ここが惜しい

  1. どの部門を、どの規模で管掌していたのかがわかりません。
  2. 「会社の成長に大きく貢献」「上場も実現」では、自分が何を担ったのかが読み取れません。
  3. 「豊富な経営経験」「企業価値向上」は根拠がなく、どの役員経験者にも書けてしまいます。

○ OK例

(前略)2022年4月からは執行役員 経営管理本部長として、経理・人事・総務・情報システムの4部(本部員 約70名)を統括し、取締役会に業績を報告しています。2023年3月の上場では準備の責任者を務めました。全社の営業利益率は4.1%から6.8%に改善しています(2021→2025年度)。

ここが評価される

  1. 管掌する4部と人数、取締役会への報告と、経営の中での役割が具体的です。
  2. 上場で「準備の責任者」だったと、自分の役割をはっきり書いています。
  3. 全社の数字を、比べた期間とともに示しています。

部長クラスの書き方との違い

部長クラスの職務要約は「自分の部門の規模と成果」が中心です。役員クラスでは、それに加えて「取締役会・経営会議との関わり」と「会社全体に関わった実績(上場・経営計画など)」を入れると、経営に携わってきたことが伝わります。

職務経歴(役員の期間):管掌範囲・報告先・全社の数字・決めて進めたことを分けて書く

職務経歴は、役員クラスの書類でいちばん重要な項目です。下の画像の3つのポイントを押さえると、同じ経験でも伝わり方が大きく変わります。

役員・執行役員クラスの職務経歴と経営に関わる実績の書き方のポイント
職務経歴と「経営に関わる実績」の書き方のポイント

× NG例

2022年4月〜現在 執行役員 経営管理本部長

管理部門全般を統括。経営戦略の立案・実行、ガバナンス強化、DX推進などを担当し、業績の拡大に貢献。

ここが惜しい

  1. 管掌する部門と人数がなく、責任の範囲がわかりません。
  2. 「経営戦略」「ガバナンス強化」「DX推進」は言葉だけで、何をしたのかが伝わりません。
  3. 業績の数字がなく、全社の数字と自分の仕事の関係も読み取れません。

○ OK例

執行役員 経営管理本部長(経理・人事・総務・情報システムの4部、部長4名・本部員 約70名)

【担当】全社の予算編成と業績管理、取締役会・経営会議への月次の業績報告、中期経営計画の策定事務局、本部の経費予算(年 約9億円)の管理

【全社の数字】売上高 約180億円→約240億円、営業利益率 4.1%→6.8%(2021→2025年度)。事業別の採算管理を導入し、不採算の契約12件の条件見直しを営業部門と進めた

ここが評価される

  1. 管掌する部門・部長の人数・本部員数を所属の欄に書き、責任の範囲がすぐにわかります。
  2. 取締役会・経営会議への報告や経営計画の事務局と、経営の中での役割を具体的に書いています。
  3. 全社の数字であることを見出しで示し、自分が進めた施策との関係を1文で添えています。

役員クラスの書類で気をつけたいのは、全社の数字と、自分の成果の境目です。売上高や営業利益率は、多くの部門の仕事が積み重なった結果です。それを自分だけの成果のように書くと、かえって信頼を損ねます。データの章で見たとおり、社外取締役のように根拠を確かめる読み手も増えています。全社の数字は「全社」と明記し、そこに自分がどう関わったかを1文で添えるのが、正確で伝わる書き方です。

全社の数字は「全社」と明記する

管理部門の役員は、売上を自分で上げる立場ではありません。記入例では【全社の数字】と見出しをつけ、そのうえで「事業別の採算管理を導入し、不採算の契約12件の条件見直しを営業部門と進めた」と自分の関わりを書いています。成果を自分だけのものに見せないことが、信頼につながります。

経営に関わる実績:経営計画・統治・人と組織を、具体的な行動と結果で書く

役員クラスの書類では、職務経歴の後ろに「経営に関わる実績」の欄を設けるのがおすすめです。管掌部門の仕事は職務経歴に、会社全体の方向や土台に関わったことはこの欄に書き分けると、同じ話の繰り返しを防げます。

× NG例

■経営に関わる実績

経営陣の一員として、全社的な視点で意思決定に参画してきました。コーポレート・ガバナンスの強化に尽力し、企業価値の向上に努めています。

ここが惜しい

  1. どの意思決定に、どう関わったのかがわかりません。
  2. 「ガバナンスの強化に尽力」では、実際に何を整えたのかが伝わりません。
  3. 結果が書かれておらず、役員としての成果を判断できません。

○ OK例

【経営計画】中期経営計画(2024〜2026年度)の策定を事務局として主導。事業別の採算と投資の計画をまとめ、2024年3月に取締役会で承認されました。

【上場と統治】上場準備の責任者として内部統制と社内規程(約60本)を整備。上場後は社外取締役への事前説明を毎月行い、取締役会で議論の時間を確保しています。

(中略)

ここが評価される

  1. 経営計画で担った役割と、取締役会での承認という結果が書かれています。
  2. 規程の本数や、社外取締役への事前説明の頻度など、統治のために行ったことが具体的です。
  3. 見出しで分けて書き、経営の中で担ってきた仕事の全体像がわかります。

【上場と統治】のような欄では、「ガバナンス」「コンプライアンス」といった言葉より、整えた規程の本数、社外取締役への説明の頻度、内部統制の仕組みなど、数えられる行動で書きます。上場の経験は役員クラスの書類で目を引きますが、準備の責任者だったのか、一部を担当したのかで重みが違います。自分の役割をはっきり書きましょう。

人と組織の実績も1つ入れる

記入例では【人と組織】として「本部の部長4名のうち2名を社内から登用」と書いています。役員クラスには、自分がいなくても回る組織をつくり、次の世代につなぐ役割が期待されます。

活かせる経験・知識・スキル:経営に関わる経験を、会社の規模とともに3つに絞る

職務経歴の中から、応募先で使える経験を3つに絞って箇条書きにします。「経営全般」「ガバナンス」といった言葉だけでは、どの規模の会社で、どの立場の経験なのかが伝わりません。

× NG例

・経営全般

・コーポレート・ガバナンス

・組織マネジメント

・IPOの経験

ここが惜しい

  1. 言葉を並べただけで、どの規模の会社で、どの立場の経験なのかがわかりません。
  2. 「IPOの経験」だけでは、準備の責任者だったのか、一部を手伝ったのかが区別できません。

○ OK例

全社の予算・業績管理と、取締役会への報告(売上高 約240億円)

上場準備の責任者としての、内部統制・規程の整備と上場後の開示体制づくり

経理・人事・総務・情報システムの統括と、基幹システム刷新の推進

ここが評価される

  1. 会社の規模を添えて、経営管理の経験の水準が伝わります。
  2. 上場で「準備の責任者」だったことと、担った範囲が具体的です。
  3. 管掌した部門と、大きな投資を伴う取り組みを書いています。

自己PR:全社の数字を動かした経験と、会社の土台をつくった経験を1つずつ

自己PRは「会社の課題 → 自分が決めて進めたこと → 全社の結果」の順に書きます。役員クラスの自己PRは「経営者の視点」「全社最適」といった言葉になりがちですが、読み手が知りたいのは、その視点が、どんな判断と行動になったかです。

× NG例

私の強みは、経営者の視点で物事を考えられることです。常に全社最適を意識し、経営トップを支えてまいりました。どのような環境でも結果を出す自信があります。

ここが惜しい

  1. 「経営者の視点」「全社最適」が、どんな判断や行動につながったのかがわかりません。
  2. 結果の数字がなく、強みが成果につながったのかを判断できません。
  3. 「どのような環境でも」は根拠がなく、応募先での再現性が伝わりません。

○ OK例

管理部門から、全社の利益を上げる仕組みをつくる力

事業ごとの採算が見えず、不採算の契約が続いていました。事業別の採算管理を導入し、営業部門と12件の契約条件を見直しました。全社の営業利益率は4.1%から6.8%に改善しています。

ここが評価される

  1. 会社の課題と、管理部門の立場で自分が導入した仕組みが具体的です。
  2. 営業部門と一緒に進めたことを書き、他部門を動かす力が伝わります。
  3. 全社の営業利益率の変化で、取り組みの結果を示しています。

2つ目は、会社の土台をつくった経験を

記入例では、2つ目の強みに「上場という大きな変化を、仕組みと人で乗り切る力」を書き、内部統制と規程の整備、月次決算の短縮、部長の登用を示しています。数字を動かす力と、会社の土台をつくる力を1つずつ書くと、役員としての全体像が伝わります。

役員・執行役員クラスの職務経歴書の記入見本つきテンプレート

応募先・立場別:役員・執行役員クラスの職務経歴書の書き分け方

応募先・立場ごとに前に出すこと:同じ管掌の執行役員へ、取締役として、部長から初めて執行役員へ、上場企業から非上場・オーナー企業へ
この章のまとめ:応募先・立場ごとに前に出すこと

はじめに、言葉の違いを確認しておきます。取締役は株主総会で選ばれる会社法上の役員で、取締役会で会社の重要な事項を決め、経営を監督します。執行役員は、多くの会社では会社が独自に設ける役職で、取締役会が決めた方針に沿って業務を執行する責任者です(指名委員会等設置会社の「執行役」は、会社法上の機関で別のものです)。応募する役職がどれにあたるかで、前に出すことが変わります。

応募先・立場採用担当が気にすること書くべきこと
同じ管掌の執行役員・本部長へ自社の経営の仕組みの中で、すぐに管掌範囲を任せられるか管掌範囲と人数、取締役会への報告、全社の数字への関わり
取締役(会社法上の役員)として会社全体の判断と監督に責任を持てるか取締役会での議論や決議への関わり、統治の仕組みづくり
部長から初めて執行役員へ部門を超えて、会社全体の課題を扱えるか全社のプロジェクトや経営会議での役割、部門をまたいだ成果
上場企業から非上場・オーナー企業へ社長を支え、仕組みがないところから整えられるか仕組みをつくった経験、社長や金融機関への説明、現場への関わり

同じ管掌の執行役員・本部長へ

いちばん多いのが、同じ分野(管理部門・営業・製造など)の執行役員や本部長への転職です。採用側は、自社の経営の仕組みの中で、すぐに管掌範囲を任せられるかを確かめます。

職務経歴書に書きたいこと

  • 管掌する部門と、部長・部員の人数、予算
  • 取締役会・経営会議への報告や、経営計画への関わり
  • 全社の数字と、自分が進めた施策の関係

記入例

【担当】全社の予算編成と業績管理、取締役会・経営会議への月次の業績報告、中期経営計画の策定事務局、本部の経費予算(年 約9億円)の管理

ポイント

  1. 記入例の書き方です。管理部門の役員として、何を管理し、誰に報告していたかがわかり、応募先の役職と比べやすくなっています。

よくある落とし穴は、管掌部門の名前を並べるだけのケースです。部門の名前より、そこで何を決め、どう変えたかを書きましょう。

取締役(会社法上の役員)として

取締役として迎えられる場合、自分の管掌範囲に加えて、会社全体の判断と監督に責任を持てるかが問われます。データの章で見たとおり、取締役会の顔ぶれは社外の人が増えています。

職務経歴書に書きたいこと

  • 取締役会での議論や決議に、どう関わったか(議案の提案・説明など)
  • 統治の仕組み(内部統制、規程、委員会の運営など)をつくった経験
  • 社外取締役や株主への説明の経験

記入例

【上場と統治】上場準備の責任者として内部統制と社内規程(約60本)を整備。上場後は社外取締役への事前説明を毎月行い、取締役会で議論の時間を確保しています。

ポイント

  1. 記入例の書き方です。統治の仕組みを整え、社外取締役との議論の場をつくったことが具体的で、取締役会の運営に関わる力が伝わります。

よくある落とし穴は、執行の成果だけを書くケースです。取締役には監督の役割もあります。会社全体の判断にどう関わったかを書き添えましょう。

部長から初めて執行役員へ

役員の経験がない場合は、部門を超えて会社全体の課題に関わった経験を書きます。採用側は、部門の責任者から経営の一員になれるかを見ています。

職務経歴書に書きたいこと

  • 経営会議への出席や、全社のプロジェクトでの役割
  • 部門をまたいで進めた取り組みと、全社に効いた結果
  • 社長や役員に提案し、承認を得た経験

記入例

※記入例とは別の架空例です

【全社の取り組み】営業部長として、全社の価格改定プロジェクトの責任者を担当(2025年)。経営会議で改定案を説明し承認を得て、全社の粗利率を1.2ポイント改善

ポイント

  1. 自分の部門の外に関わり、経営会議で説明して承認を得た経験が書かれているので、経営の一員として動けることが伝わります。

よくある落とし穴は、部長としての部門の成果だけで終わるケースです。役員クラスの応募では、会社全体の課題にどう関わったかを、1つでも書いておきましょう。

上場企業から非上場・オーナー企業へ

上場企業から、非上場の会社やオーナー企業の役員に移る場合、採用側は「社長を支え、仕組みがないところから整えられるか」を気にします。説明する相手は、社外取締役や投資家ではなく、社長や株主、金融機関になります。

職務経歴書に書きたいこと

  • 仕組みやルールがないところから整えた経験
  • 社長への提案や、金融機関への説明の経験
  • 自分で手を動かして現場に関わった場面

記入例

【担当】決算・税務・資金管理。2021年4月から上場準備室長を兼務し(2023年3月の上場まで)、内部統制・規程の整備と監査法人・証券会社への対応を統括

ポイント

  1. 記入例の経理部長・本部長時代の書き方です。上場前の会社で、決算・資金管理から仕組みを整えた経験は、非上場の会社でも役立つことが伝わります。

よくある落とし穴は、大きな会社の仕組みをそのまま持ち込もうとする印象を与えるケースです。応募先の規模や段階に合わせて、何から整えるかを考えられることを伝えましょう。

役員クラスとAI:全社の方針とリスク管理をどう書くか

役員クラスがAIの経験を職務経歴書に書くときの3つのこと:全社の方針を決めた、リスクを管理した、投資と効果を確かめた
この章のまとめ:役員クラスのAIの経験、書くときの3つのこと

最初にお伝えしたいのは、AIの使い方や、AIの経験を求める度合いは、応募先によって大きく違うということです。IPA(情報処理推進機構)の「DX動向2026」では、AIを導入している企業は従業員1,001人以上で8割近くにのぼる一方、101人以下では16.6%でした。

AIの経験がないからといって、書類選考で不利になると考える必要はありません。求人票や会社の中期経営計画に「AI」「DX」などの言葉があるかを確認し、記載があれば具体的に、なければ1行添える程度で十分です。

役員クラスに問われるのは「会社としてどう扱うか」

パーソルキャリアの「企業のAI活用実態と人材戦略に関する調査」では、AIを導入・活用している従業員501人以上の企業の人事・採用担当者のうち、76.7%が「AI活用と業績は関係していると思う」と答えています。また、同じ調査の第1弾では、AI推進の懸念として「個人情報・機密情報の取り扱い」が挙がっています。いずれも社員や企業の状況についての調査で、中途採用の基準を示すものではありません。

編集部の読みでは、AIが業績にも、情報のリスクにも関わる以上、それを会社としてどう扱うかは経営の判断です。役員クラスでは、自分がAIを使えるかより、使う範囲とルールを決め、リスクを管理し、投資の効果を確かめた経験が評価されます。

書き方:決めたこと・管理したこと・確かめたことを書く

× NG例

全社のDX・AI戦略を主導し、生成AIの導入で生産性を大きく向上させました。

ここが惜しい

  1. 何を決め、どの業務に導入したのかがわかりません。
  2. 情報のリスクをどう管理したかが書かれておらず、経営の判断として任せられるか判断できません。
  3. 「大きく向上」は根拠がなく、取締役会で説明を求められたときに答えにくくなります。

○ OK例

生成AI:全社の利用ガイドラインの策定を統括(2024年)。個人情報・顧客の受託データは入力禁止とした

ここが評価される

  1. 「全社の利用ガイドラインの策定を統括」と、役員として決めたことが具体的です。
  2. 業務を受託する会社として、顧客から預かったデータを入力禁止にしたと書き、リスクの管理がわかります。
  3. 使った範囲を大きく見せず、事実だけを書いています。

導入の費用や効果を測っていれば、「導入費用 年 約○○万円、対象業務の作業時間 約○割減(経営会議に報告)」のように、投資と効果をセットで書きます。測っていなければ、数字を作らずに、決めたことと管理したことだけを書きましょう。

AIを使っていない・制限している会社だった人は

情報管理の観点から、生成AIの利用を慎重に進めている会社は少なくありません。その判断に関わったなら、それも経営の経験です。代わりに、システムや仕組みへの投資を判断し、効果を確かめた経験を書きましょう。記入例の「基幹システムの刷新(投資 約3.5億円、2024年10月稼働)を統括し、月次決算を締め後12営業日から6営業日に短縮」のように、投資と結果をセットで書けば、AIと同じく会社のやり方を変える力が伝わります。

面接で経営の経験について聞かれたときの答え方

経営の経験について聞かれたときに話す順番:管掌範囲と報告先、会社の課題と判断、巻き込んだ人と進め方、結果と応募先での再現
この章のまとめ:経営の経験について聞かれたら、この順番で具体的に

役員クラスの面接は、社長や取締役が相手になることが多く、書類の内容を経営の目線で深く聞かれます。書類と同じ数字を使い、「範囲 → 判断 → 進め方 → 結果」の順に話すと、一貫した説明になります。よく聞かれる質問と、答え方の例を紹介します。

「経営陣の中で意見が分かれたとき、どうしましたか」

対立そのものより、判断の材料をどうそろえたかを話します。
例:「採算管理の導入には、営業部門から負担が増えるという声がありました。事業別の数字を一緒に確かめ、不採算の契約12件に絞って見直す形で合意しました」
相手の立場をどう理解したかも添えると、経営チームで働く姿が伝わります。

「失敗した判断と、そこから学んだことを教えてください」

事実を短く話し、立て直しと学びに時間を使います。
例:「基幹システムの刷新では、当初の計画より稼働が遅れました。現場の業務の確認が足りなかったためで、各部の担当者を加えて進め方を変え、稼働後は月次決算を6営業日に短縮できました」
失敗を隠さず話せることは、役員クラスでは信頼につながります。

「入社したら、最初の3か月で何をしますか」

応募先の状況を踏まえて、まず確かめることを話します。
例:「まず事業ごとの数字と、決算・報告の流れを確かめます。そのうえで、取締役会や経営会議に何をどの粒度で報告すべきかを社長と相談します」
いきなり大きく変えると言うより、現状を理解する姿勢を示すほうが伝わります。

「なぜ今の会社を離れるのですか」

今の会社の評価ではなく、次に担いたい役割を中心に話します。
例:「上場と管理体制づくりに区切りがつき、次は事業の成長により近い立場で、経営に関わりたいと考えました」
守秘義務のある経営の情報には触れず、公表されている範囲で話しましょう。

履歴書の学歴欄、入学・卒業の年で迷ったら

生年月日を選ぶだけで、入学・卒業の年月を和暦・西暦で計算し、学歴欄をそのまま作れます。早生まれ・浪人・留年にも対応しています。

学歴早見表で計算する →

提出前のチェックリスト

提出前に確かめる7つのこと
この章のまとめ:提出前に確かめる7つのこと

書き終えたら、提出前に次の項目を確認しましょう。

  • 職務要約に、役員としての期間・管掌範囲・報告先と、会社全体に関わった実績が入っている
  • 所属の欄に、管掌する部門と、部長・部員の人数を書いている
  • 取締役会・経営会議への報告や、経営計画への関わりを書いている
  • 全社の数字は「全社」と明記し、自分の取り組みとの関係を添えている
  • 上場・経営計画・大きな投資などで、自分が担った役割をはっきり書いている
  • 後任や管理職の育成など、人と組織に関する実績を書いている
  • 社外に出せない数字は書かず、公表済みの数字や率で示している

最後に、職務要約・職務経歴・経営に関わる実績・自己PRで同じ数字(管掌部門の人数、売上高、営業利益率、決算の日数など)を使っている箇所を読み合わせ、食い違いがないかを確かめましょう。上場会社の数字は、公表されている有価証券報告書や決算短信と合っているかも確認しておくと安心です。

書いた職務経歴書を、採用担当の視点で100点満点チェックできる「レジュメラボ AI職務経歴書メーカー」の案内

よくある質問

取締役の経験はなく、執行役員の経験だけです。役員クラスとして応募できますか?

応募できます。執行役員の多くは会社法上の役員ではありませんが、経営の執行の責任者として役員クラスの求人の対象になります。職務経歴書では、管掌範囲と、取締役会・経営会議への報告など経営との関わりを具体的に書きましょう。

任期満了や、経営体制の変更で退任しました。どう書けばよいですか?

事実を短く書けば十分です。たとえば「2026年6月 任期満了により退任」「経営体制の変更に伴い退任」のように1行で書き、理由を長く説明する必要はありません。面接で聞かれたら、在任中に何をしたかを中心に話しましょう。

経営に関わる数字の多くが非公表です。どこまで書いてよいですか?

上場会社なら公表済みの数字(売上高、営業利益率など)は書けます。非公表の数字や、取締役会での議論の中身など守秘義務のある情報は書きません。率や前後の比較、規程の本数や会議の頻度など、出せる形で書きましょう。

役員クラスでも、職務経歴書はA4・2枚に収めるべきですか?

2枚を目安にまとめるのがおすすめです。役員クラスの書類は社長や取締役が短い時間で読むことが多いため、古い経歴は短くまとめ、役員としての期間と経営に関わる実績に紙面を使いましょう。

AIの経験がないと、役員クラスの転職で不利になりますか?

AIの活用をどの程度求めるかは応募先によって大きく違い、経験がないことだけで不利になるとは限りません。応募先の経営計画にAIやDXの記載がある場合は、システム投資の判断や、情報管理のルールづくりの経験を具体的に書きましょう。

この記事の記入例テンプレートを無料でダウンロード

Word・Excel・PDFの3形式に対応。空欄テンプレートと記入見本のセットです。

Author

佐藤 大貴

レジュメラボ編集責任者/アースダイバー代表

佐藤 大貴

人材紹介の会社で、キャリア系メディアの編集長をしていました。転職やキャリアをテーマにした記事づくりに長く関わり、2019年にアースダイバー株式会社を立ち上げました。編集長時代、たくさんの求職者の方やキャ…

Share

前の記事
一覧へ戻る
次の記事